イリナ・グリゴレのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
行動を決断できるほどの衝撃が無いから、日々を何気なく繰り返す。その穏やかな生活こそ、幸せと言えば幸せ。しかし、どこかに現状を変容させたい衝動があるなら、挑戦して変える事もできる。この本を読んで、そう思う。
チェルノブイリの子。放射能が原因で病気を患い手術。貧しい旧社会主義国で生まれた著者の半生。生まれた時に乳を与えられぬ母の代わりに、隣の産婦であるジプシーの女の母乳を飲んだ。その出来事に意味づけをし、自らのアイデンティティとして吸収する。多かれ少なかれ、人間は日々の出来事を自らの血肉とし、それは信仰のようなものになる。その大きな天啓として、川端康成の『雪国』との出会いが著者を日本に駆り立てた -
Posted by ブクログ
ジェンダーとか、閉鎖的な国について書かれたものは、どこからその人たちを見ているのか、が結構重要になると感じている今日この頃。
私たち(いわゆる自由が比較的ある環境に住む人)の視点から、厳しい男尊女卑が続いている国に住む人たちを描いたり、言論の自由がかなり制限されている国に住む人たちを描いたりすると、かわいそうな人々とひとくくりにしてしまう傾向があると思うのです。
(偏見かもしれませんが)
日本から遠く離れた、文化も宗教も考え方も全く違う場所で生きてきた生の声(一次情報)は、かなり稀な存在だと思います。
この本の著者、イリナ・グレゴリはルーマニアで育ち日本に留学し、一時帰国したりもしたけれど