ジェローム・ルブリのレビュー一覧
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忌まわしい魔女伝説が残るモンモール村。小さく平穏で退屈なその村に警察署長として赴任してきたジュリアンは、村長から内密の捜査を依頼される。しかしその矢先、村内で謎の怪死事件が立て続けに発生した。村人たちに囁きかける謎の声と奇妙な気配は、古くからこの村に伝えられる魔女のものなのか。不気味な雰囲気が横溢するホラーミステリです。
いかにも平和そうな村の雰囲気に反して、案外と過去にはいろいろ起こっています。村長の娘の不審死、刑務所での火災、そして羊飼いの謎の死。これだけでも充分不穏なのに、さらに怒涛のごとく起こる怪事件……全体としては静謐な印象の物語なのに、なかなかに壮絶でした。被害者たちが徐々に追い詰 -
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これは面白い!私好みでした!かつて魔女裁判で多くの女たちが殺されたモンモール山。麓の村の村長は実業家で私財を投じて村の管理をしていた。村人を襲う幻覚と幻聴。平和な村に赴任した警察署長のジュリアンは着任早々、連続して呪われ、自殺のように死んでいく村人たちの対応に追われていく。次第にふたりの部下とジュリアンにも幻覚と幻聴が現れる。そして最後の大どんでん返し!
先ずは最初から最後まで魔女の呪いというホラーの匂いがまとわりつく。チャールズ・L・グラントのオクスランステーションシリーズを思い出す。あるいは、もはやラヴクラフトの描くアーカムやインスマウス。禁じられた町…平和な田舎町のはずだが、この町何 -
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続きを読みたい衝動を抑えきれず、歩きながら読んでしまう危ない本に久しぶりに出会った。
まったく無関係にみえるような登場人物たちが、なぜ、あるものに対して共通の違和感を抱くのか、それが分からないのがもどかしい。まるで何かの象徴のような、思わせぶりのアイテムや歌や風景は、混沌と混乱で作られた沼にわたしを引き摺りこんでゆくのだ。
ずるずると。
小さな島の海岸で異常な数のカモメにつつかれていたのは、腕のない子どもの死体だった。それを発見したのは犬を散歩中の女性で、驚いた彼女が海のほうに目をやると、その海面には更に9人の子どもの死体が浮かんでいた。
全然違う場所にあるのに、同じ時間を指している複数の時 -
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やってくれたな、今回も!
オープニングから最高に好み、訳の分からないことが起きてるゾクゾク感に包まれ、モンモール村の雰囲気も素晴らしい!
ただ、製薬会社って設定でなんとなーく予想してたことが当たっちゃったよ。ベアゲルター感満載です←ストーリー違いますよ、念のため。
腹がたたない程度にはあ?と思わせてくれるのはルブリならではでしょう。この感覚は彼の作品でしか味わえません。次作にも期待大です。巻頭に村や登場人物イメージした曲が紹介されてて、ググって聴いちゃいました。モンモール村、ジュリアンのテーマが良かったです。道尾秀介氏作品のようで、こういうの大好きです。 -
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すごい
何を言っても確かにネタバレになる
読後の爽快感はない
ただただ凄いもんを読んだな……って放心
ピースを嵌めていく感じじゃなくて、玉ねぎの皮を延々と剥いていく感じ(?)のミステリー
途中まではピース嵌めてたんだけどな
一個謎がひらけたと思って、え?でもこれってさ…って立ち止まるし、物語中でもそうなってる
残りページ数みても、いや絶対まだ謎が解け切ってないじゃない何この残りページ数…ってなるのちょっと嬉しい
一緒に謎を追いかけて行って、ラストは特に嫌だな〜嫌だな〜嫌な予感がするな〜って稲川淳二になってオワ、、、(脱力)になった
フランス人たち名前覚えられるか不安だったけど杞憂でした
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すごいなフランスミステリー…。
結末に賛否両論あるようで、確かに好き嫌いがはっきりと分かれる作品だと思う。
私はこの結末だからこそ、めっちゃくちゃ心に刺さった。
読んだ後にずっと考えてしまって、しばらく閉じた裏表紙を見てボーっとして動けなかった。
映画を観た後のようだった。
構成がすごいし、読み始めたらダイソン並みの吸引力で物語に吸い込まれてしまって一気読みした。
読んでる時には、中学の時に習ったシューベルトの『魔王』が脳内BGMでずっと流れていた。ピアノの前奏からもう怖い。
今だに中学の時の『魔王』の授業を覚えてるくらい『魔王』の衝撃はすごかった。
この『魔王の島』も同じく忘れられな -
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ネタバレフランスの作家、ジェローム・ルブリの邦訳第二作。邦題の雰囲気が前作「魔王の島」と似ているが、全く関係ないので今作から読んでも問題なし。
小高い山と二つの丘、その下に広がる森に囲まれたモンモール村。古くからの魔女狩りの言い伝えがありつつも牧歌的な村が、羊飼いが羊を殺し自殺する事件をきっかけに一変する…
前作はサイコサスペンス+フランスらしいミステリだったが、今作は外連味が一味も二味も違い、ホラーサスペンスの域。個人的には、版元は異なるが、マネル・ロウレイロの「生贄の門」のしっかりとした捜査パートを、ホラー寄りに振り切った感じ(もちろん、ラストは全く異なるが)。
ミステリとしては前作の方が衝 -
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ネタバレ2作目?が出るからようやく読んだ。
そんなに調べてないのにラストがねぇーみたいな感想をチラッとみて構えてたけどこの終わりかた好きでした。
脳内で多層化した妄想ミステリーは映画ではよくあるよね〜
アイデンティティーみたいな感じ?って思いながら読んでたし。
島の話、監禁の話どれも興味をひくし、フリだけの面白くない話になってないのがいい。
主人公ダミアンの設定がいいですね。
何かを失い、それに取り憑かれた人生を生きてる人が出てくるだけで面白く感じちゃう。
ラストはメメントみたいでいいですね。メメントに近いなって感じたらもう満足するようになってる。
救われない終わりかたもいいなあ、2作目も期待 -
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ネタバレ面白い。
ゲーテの「魔王」、シャンソンの名曲「聞かせてよ愛の言葉」を巧みに挟み込む印象操作、構成の妙で綴られるこれぞフレンチミステリの傑作。
自分の中では「魔王」はシューベルトの曲へ、「聞かせてよ愛の言葉を」はZAZの「Je veux」へ比較的馴染みあるものへと変換されはしたものの、不穏さ以外の何物でもない「魔王」と、一見甘やかで情熱的、けれども裏にある悲哀を含んだシャンソンの曲がこの物語の深層を形造り、最初に語られる表面的な物語とは全く異なる物語を浮かび上がらせてくる。
フレンチミステリの展開で唸らされた思い出深い作品というとピエール・ルメートルの『その女、アレックス』だが、それに並ぶほ -
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久々に重厚なミステリ小説を読んだ。
この小説は奥行きがある。アメリカスタイルのミステリは横に広く登場人物も多くて複雑に絡み合うものが多いが、
このフランス小説は横に広がる絡みは少ないが、奥行きが何層もある。ほじくって行くと、まったく別の景色が見えてくる。
そしてまたほじくると、また景色が変わってしまう。物語を回していく登場人物も10人弱しかいない。
ストーリーの骨子自体はシンプル。あらすじにもあるように、祖母の訃報を聞いた女性が、祖母の終生の住処である孤島へ遺品整理に行く。
そこで村人たち何人かに出会い、その島にまつわる悲しい過去の物語を知る・・・と、シンプルなものです。
ミステリマガジン -
Posted by ブクログ
ネタバレ人生って、ときにはその人にふさわしくないこともあるから
118ページ
なかなか面白い表現だと感心したものだが。
面白い!この話。でも、猫好き、ドイツ好きな人には思い切り嫌な話だからご注意。最後まで読めば良かった、になるけれど。
思い切りネタバレなうえに書き殴りなので、ご了承ください
はじまりは2019年現在の大学の講義。1949年の事件と1986年の出来事が交互に語られ、物語の真相に迫っていくと思いきや。
中盤くらいでなんだありきたりの実験かい、と一気に詰まらなくなった、と感じたのだが、その後また怒涛の展開に。
胸糞悪い。
10人の罪なき子供が殺されても、あ、そうなのへー、だけれど罪