クリスウィタカーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ未解決の連続少女誘拐事件に翻弄されたアメリカアラバマ州の田舎町グレイスで、また一人の少女が行方不明となる。おりしもグレイスには未曽有の嵐の気配が予想され…
誘拐された少女と双子の妹、彼女らの家族、友人、警察署長、牧師夫婦らの視点で描かれる物語から見えてくれる真実とは?
ミステリー要素は少なく、登場人物たちの哀しみと強さをじっくり味わうテイストの小説だった。登場人物たちそれぞれが持っている過去や現状の問題と自分の弱さ、それでもあがく強さ。抗いきれない現実に打ちのめされても、魂をすんなり売り渡すのではなくあがいて傷を負ったからこその光明、やりきれない展開にも拘らず勇気をもらえた気がした。
それにしても、1995年のアメリカにおいてもこういう風なんだから、俺たちの盲信していた「自信にあふれて自由で賢く強い」アメリカなんて前世紀からなかったわけだし、そらトランプは再選するよなぁってこと。
日本も30年以上凋落と諦念を抱えてきた、彼らの哀しみは他国の遠い物語ではないよなぁとも。 -
Posted by ブクログ
『われら闇より天を見る』(上)
『われら闇より天を見る』(下)
何の気なしに読み出して、冒頭の肝心なところがはっきりしないまま引き込まれる。登場人物もこんがらがって訳もわからないまま読み出す。進むうちにストーリーに刺激されて、どんどん嵌っていく自分を感じる。これは久し振りの感覚だ。
それでも登場人物や経緯は複雑であやふやなままだ。
上・下巻の長編が短く感じる。
最後に書評家川出正樹の解説で何処となく感じていた作者の人間性や個性、この作品のテイストの所以がわかってくる。また、物語の経緯もそうだったのかと後追いながら理解できる。そのくらい事実関係を傍においたまま切迫した臨場感が読者を引っ張り回す。
カルフォルニア州の絶景を望むのどかな海辺の町で起きた事件である。30年前、スターは友達のヴィンセントに妹シシーを誤って殺されるという不幸な事故にあう。彼らと仲のよい幼なじみのウオーカーは地元警察の署長になり日々の仕事をしながら長引いた彼の出獄を待つ。ヴィンセントは30年ぶりに出所して町に帰り昔の友人とは接触せず静かな生活を送る。
その町では事業家の巨漢ダークと一味が別荘開発の地上げを進めている。彼はスターに好意を寄せていたが複雑な事情を抱えてタイトな資金繰りに追い回されている。
スターはかつての事故以来立ち直れず、アルコールと薬物の過剰摂取で子供達(ダッチェスとロビン)の面倒をほとんど見ることができない。そうしたなかスターが誰かに殺される。現場に血だらけでいたヴィンセントが犯人として逮捕され黙秘のまま裁判へ進む。
13歳の娘ダッチェスが6歳になる弟ロビンの面倒を見ながら、叔父のハンクに保護され、ウオーカーとともにスター殺害の真相解明を進める。
主人公ダッチェスは女だてらに無法者を自称する跳ねっ返りである。強い弟思いで世間への不信と恨みが彼女の真骨頂である。彼女の直情的で軽はずみな行動が事件を起こす。ロビンが姉の妄動を責める場面には同感できるし、さすがに叔父ハンクへの態度にはやり過ぎを感じる。兄弟愛や祖父愛、ウオーカーの友情と献身など感情が入り乱れて錯綜する。
彼らの心の芯を貫く暖かいものが格別だ。
筋書きの複雑さやわからなさも作者の構想のうちで
ダッチェスの破滅的行動への違和感もそれなのだ。
典型的なミステリー小説で傑作だと思う。
クリス・ウイタカー、他の作品も是非読んでみたい。
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Posted by ブクログ
クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る 下』ハヤカワ文庫。
最後には全てが明かされる。上巻を読み、ダッチェスと弟のロビンの父親は誰なのかということが心に引っ掛かっていたのだが、やはりこれが物語の核心につながる訳かと納得。
上下巻を読み終えて、国内ミステリーのランキングを総ナメするだけの作品ではないように思った。警察ミステリーにしても、法定ミステリーにしても中途半端で、散りばめられた伏線の答えも明確には描かれず、消化不良という感じなのだ。
モンタナ州に住む母方の祖父のハルに引き取られたダッチェスとロビンは少しずつ新しい環境にも慣れていく。特に最初はハルに激しく反抗していたダッチェスもハルに対して心を開いていく。
そんな中、ハルが何者かに銃で撃たれた状態で見付かり、ダッチェスの目の前で命を落とす。
一方、ケープ・ヘブンの警察署長のウォークは元恋人で弁護士のマーサ・メイの力を借り、ヴィンセントのスター殺害が無実であることを証明しようとしていた。ウォークが新たな証拠を見付けようとスターたちの隣人の家を捜索するとスターを隠し撮りした大量の写真が発見される。
本体価格1,100円
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クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る 上』ハヤカワ文庫。
2023年本屋大賞翻訳小説部門第1位を始め、各ミステリーランキングで1位を獲得した作品の文庫化。
読んでみたが、そこまで評価が高いかなと首をひねるばかり。
ストーリーは至って単純なのだが、なかなか全貌は描かれず、小出し小出しで少しずつ過去の事件や人間模様が描かれる。
恐らく30年前の事件で、主要人物の1人であるダッチェスの母親の妹のシシーを殺害したのは、もう1人の主要人物であるウォークの幼なじみであるヴィンセントであった推測されるのだが、判然としない。
また、ダッチェスと弟のロビンの父親は誰なのか、これも謎のままにゆっくりとストーリーは進行していく。
アメリカのカリフォルニア州の海沿いの町ケープ・ヘブン。住民の誰もが互いに顔見知りということもあり、30年前に1人の少女が命を落とした事件が町全体に暗い影を落としていた。
『無法者』と自称しながら、虚勢を張る13歳のダッチェス・デイ・ラドリーは30年前の事件から立ち上がれずに酒とドラッグに溺れる母親のスターと幼い弟のロビンと共に世の理不尽に抗いながら懸命に日々を送っていた。
一方、町の警察署長ウォークは、30年前の事件で親友のヴィンセント・キングが逮捕されるに至った証言を未だに悔いており、過去に囚われたまま生きていた。
そんな中都合30年の刑期を終えたヴィンセントが町に帰還すると、かりそめの平穏を乱し、ダッチェスとウォークを巻き込んでいく。そして、ダッチェスの母親のスターが何者かに暴行を受け、射殺されるという悲劇が起きる。
スター殺害の容疑でヴィンセントは逮捕され、ダッチェスとロビンはモンタナ州に住む母方の祖父のハルに引き取られる。
本体価格1,100円
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Posted by ブクログ
ネタバレ2025年の43、44冊目は、クリス・ウィタカーの「われら闇より天を見る」です。2021年のゴールドダガー賞受賞作です。文庫化されたのを期に、読んでいなかったので読む事にしました。
あたかも大河ドラマのような小説だと思います。
無法者を自称する主人公のダッチェスの苛烈な人生が、これでもかと描かれて行きます。ダッチェスは、幼い弟ロビンや母親スターを守る為、世間に立ち向い続けますが、余りにも残酷な運命が幾重にも待ち受けています。
ミステリーに重きを置いていないと言われればそれまでですが、気になる所がいくつか有りました。その点が有ったとしても充分、満足出来るとは思いますが。
全ては、ダッチェスとロビンの父親が誰なのかに有ります。登場した全ての人物のこれからの人生に、少なからず幸が有るように願って止みません。人生について考えてしまう1冊だと思います。
☆4.6 -
Posted by ブクログ
“貧乏で暴力的な”アメリカの片田舎アラバマ州「グレイス」の上空に、厚い雲とともに嵐の足音が忍び寄る。
そこで暮らすノアとパーヴ、辛い境遇の二人にとって、“ここで生きる”は他の人より困難なこと。
もう一人、双子の妹レインはノアとパーヴととともに、優等生の姉サマーの失踪の謎を探る。
これは、この三人の物語
貧困、暴力、過激な信仰心、妊娠中絶、アルコール中毒など、アメリカ社会の問題を背景にしているのは、前作「我らは闇より天を見る」同様で、主人公のひとりレインは前作のダッチェスと被る。
少し読むのに人物整理が大変だが、ノアとパーヴがとてもいい。
「おれたちゃ勇猛」
「おれたちゃ果敢」
がんばれって、応援したくなる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあー、読むのが辛かった。個人的に子どもが悲惨な目に合う物語が苦手なのに、この子達どうなるんだろう?と気になってしまって、最後まで読んでしまった。何ていうか、皆んなが皆んな、ボタンのかけ違いで、どれか一つがまともに機能できていれば、と思わずにいられない。ダッチェスとロビンが幸せであって欲しいのに、不器用な大人たちが秘密を抱えて、都合よく真実を塗り潰し、そしてダッチェス自身も、衝動的にみずからチャンスを壊してしまう。
警察署長のウォークは、遅ればせながら、真実に辿りつくが、全てが終わったあと。そしてダッチェスは気付いていた。事件の真相に。ダッチェスがたった1人で、ヴィンセントに向かっていくくだりは痛々しくて読むのが特にしんどかった。
最後、ダッチェスとロビンは、別々の道を歩むことになる。分かっていたけど、悲しかった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ去年新刊案内で気になった『終わりなき夜に少女は』(クリス・ウィタカー)。
海外の小説は、登場人物が多すぎて誰が誰だかわからなくなるという理由で避けていたのですが、
頑張って読んでみる事にした!
少女達の失踪、なかなか解決しない流れに「まだか……まだか……」と思いながら数日間格闘し、約450ページやっと読み終えた。
『名探偵コナン』(青山 剛昌)や『金田一少年の事件簿』(樹林伸)のように天才的頭脳を持った主人公がハイスピードで事件を解いていく感覚に慣れてしまっていたせいか、
結末を急ぐクセがある。
でも大抵の事件はなかなか解決できずで時が過ぎる事の方が多いでしょう。
連続する曇天なんて起きる事件は人の心を荒みやすくさせる事を『曇天に笑う』(唐々煙)で読んでイメージが付いていたから、
文字だけに留まらない緊迫感を感じられて面白かった。
けど……。
長かったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!