クリスウィタカーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★5 双子の姉が行方不明になってしまい… 人間の弱さと支え合いを描いた物語 #終わりなき夜に少女は
■あらすじ
アメリカの田舎にある小さな街で、双子の少女のひとり、サマーが行方不明になった。この街では少女の連続誘拐事件が続いており、新たな犠牲者と目されていた。書置きが残されていたことから、警察は家出だと判断され本格的な捜索がされない状況。しかし双子の残された少女はレインは、友人たちと独自に捜索を開始するのだった。
■きっと読みたくなるレビュー
人間って弱い生き物ですよね…
大人たちですら支え合って生きている世界なのに、まだ経験の浅い少女たちが懸命に生き抜こうとする物語。つらっ
本作一番の読みどころは、双子の少女たち。姉サマーと妹レイン。レインは行方不明になったサマーを見つけ出すため、日頃から手名付けている男友達と一緒に奔走する。ちょっぴり不良で粋がってる彼女だけど、ホントはいつも不安だし、誰よりも寂しがり屋さん。必死に捜査を続けるレイン、自らを犠牲にしたり、リスクをとった行動もし続けてゆく。
家族に対する感情もわかり身が過ぎるし、特に男友達や街の不良たちとのやりとりを見てると、自分が年ごろの娘を持ったみたいな気持ちになり、守ってあげたくなっちゃう。でも実際に声をかけようものなら、キモいと言われちゃうんだろうなぁ。
姉のサマーはおしとやかで清楚な女の子。でも少女から女性へ変化していく時期でもあり、揺れ動く憂わしげな心情があまりにも危うい。ちなみに彼女目線のストーリーは行方不明になる前の時系列で書かれており、なぜ行方不明になっているのか、徐々に景色が見えてくる仕組みになっています。
さらに他の登場人物たちも、読者の胸を突いてきます。警察署長であるブラックは、連続誘拐事件を捜査しつつも、既に諦めや自身を憂いでいる。凶悪事件も自分自身も迷走している中年男性の悲しさを背中で感じ取ることができました。ただ彼は誰よりも優しい心の持ち主なんですよね…
レインの男友達であるノアは、警察の手伝いをしている高校生。自分が何者でもなく、弱い部分は隠したい。そしてとにかく一人前の男だと思われたい。はー…わかるよ、うん。まだまだ大人には遠いけど、きっと10年後くらいには頼りがいのある男性になってると思うよ。
物語の終盤、ついに誘拐事件の顛末が語られる。めっちゃまっすぐな展開。弱く頼りない人間がぶつかっていく覚悟が眩しくて、カッコ良かったです。『我は闇より天を見る』で少女の心情をつぶさに描いたクリス・ウィタカー、本作も胸に沁みる人間ドラマを描いてくれました。
■ぜっさん推しポイント
聞こえてくるんですよ… この物語にでてくる登場人物たちは、みんなが助けを求めている。
犠牲者も加害者も関わる人々、すべての人が救されたいと叫んでいるんです。彼らは根はいい人ばかりなんですが、圧倒的に弱いんです。生きる力がなさすぎるの。
ただ脆弱ながらも手を取り合おうとしているところに弱い光があてられ、鬱々たるお話のなかにも少しだけ希望が見えてくるんですよね。みんな今回は辛いことがあったけど、このまま素直に懸命に生きて、ぜったいに幸せになって欲しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレクリス・ウィタカーの翻訳3作目。原著は2017年の作品で、一昨年話題になった「われら闇より天を見る」より前の作品。
1995年のアメリカアラバマ州が舞台。隣の地区で未解決の少女連続失踪事件がある中、双子の姉サマーが失踪する。姉を探すレインは、ひょんなことから殉職した父を持つノアと暴力的な父を持つパーヴと出会う。一方、地元警察署の署長ブラックは、サマーの失踪と連続失踪事件が関連しているのか決断を下せずにおり。。。
「われら闇より天を見る」よりミステリ感は薄く、青春小説の色を強くした作品。現代パートはレイン、ノア、パーヴ、ブラックの視点で進み、過去パートはサマーの視点で進む。
何よりも、ノアとパーヴの会話が非常に良く。そして打ちひしがれた中年のブラックが、ゆっくりと立ち直る様も良い。
登場人物が多く、また序盤にある程度まとまって情報が入ってくるため、なかなか読み進め難いかもしれない。ただそこさえ乗り切れば、徐々にわかってくる人間関係や新事実を楽しめると思う。良作でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上下巻で600ページを超える海外小説を読んだのは初めてだった。
少女誘拐事件の真相を追うミステリであり、パッチの生涯を描く伝記であり、パッチとセイントの友情物語であり、冒険譚であり、家族愛の物語でもある。まさに「全部盛り」。
個性的で危うく、それでも不思議と人を惹きつけるパッチも魅力的だが、私はセイントの一途さと知性、頼もしさに惹かれた。しかし上巻では、報われないセイントの気持ちを思って何度もやりきれなくなった。
しかし、結末はあたたかかった。パッチとセイントにとって大切だった言葉やキーワードが一つひとつ綺麗に回収されていく。最後にパッチ、セイント、シャーロットの三人が再会するシーンは胸が熱くなる。そして何より、セイントのこれまでが報われるラストシーン!思わず涙がこぼれた。
振り返ってみると、パッチが犯した殺人は、いずれもセイントを守るためだったことも心に残る。やはりパッチにとっても、セイントはかけがえのない存在だったのだ。
ミステリとして真相を追いかけていたはずが、いつの間にかパッチとセイントの人生そのものを追いかけていた。忘れがたい一冊。 -
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ネタバレ未解決の連続少女誘拐事件に翻弄されたアメリカアラバマ州の田舎町グレイスで、また一人の少女が行方不明となる。おりしもグレイスには未曽有の嵐の気配が予想され…
誘拐された少女と双子の妹、彼女らの家族、友人、警察署長、牧師夫婦らの視点で描かれる物語から見えてくれる真実とは?
ミステリー要素は少なく、登場人物たちの哀しみと強さをじっくり味わうテイストの小説だった。登場人物たちそれぞれが持っている過去や現状の問題と自分の弱さ、それでもあがく強さ。抗いきれない現実に打ちのめされても、魂をすんなり売り渡すのではなくあがいて傷を負ったからこその光明、やりきれない展開にも拘らず勇気をもらえた気がした。
それにしても、1995年のアメリカにおいてもこういう風なんだから、俺たちの盲信していた「自信にあふれて自由で賢く強い」アメリカなんて前世紀からなかったわけだし、そらトランプは再選するよなぁってこと。
日本も30年以上凋落と諦念を抱えてきた、彼らの哀しみは他国の遠い物語ではないよなぁとも。 -
Posted by ブクログ
『われら闇より天を見る』(上)
『われら闇より天を見る』(下)
何の気なしに読み出して、冒頭の肝心なところがはっきりしないまま引き込まれる。登場人物もこんがらがって訳もわからないまま読み出す。進むうちにストーリーに刺激されて、どんどん嵌っていく自分を感じる。これは久し振りの感覚だ。
それでも登場人物や経緯は複雑であやふやなままだ。
上・下巻の長編が短く感じる。
最後に書評家川出正樹の解説で何処となく感じていた作者の人間性や個性、この作品のテイストの所以がわかってくる。また、物語の経緯もそうだったのかと後追いながら理解できる。そのくらい事実関係を傍においたまま切迫した臨場感が読者を引っ張り回す。
カルフォルニア州の絶景を望むのどかな海辺の町で起きた事件である。30年前、スターは友達のヴィンセントに妹シシーを誤って殺されるという不幸な事故にあう。彼らと仲のよい幼なじみのウオーカーは地元警察の署長になり日々の仕事をしながら長引いた彼の出獄を待つ。ヴィンセントは30年ぶりに出所して町に帰り昔の友人とは接触せず静かな生活を送る。
その町では事業家の巨漢ダークと一味が別荘開発の地上げを進めている。彼はスターに好意を寄せていたが複雑な事情を抱えてタイトな資金繰りに追い回されている。
スターはかつての事故以来立ち直れず、アルコールと薬物の過剰摂取で子供達(ダッチェスとロビン)の面倒をほとんど見ることができない。そうしたなかスターが誰かに殺される。現場に血だらけでいたヴィンセントが犯人として逮捕され黙秘のまま裁判へ進む。
13歳の娘ダッチェスが6歳になる弟ロビンの面倒を見ながら、叔父のハンクに保護され、ウオーカーとともにスター殺害の真相解明を進める。
主人公ダッチェスは女だてらに無法者を自称する跳ねっ返りである。強い弟思いで世間への不信と恨みが彼女の真骨頂である。彼女の直情的で軽はずみな行動が事件を起こす。ロビンが姉の妄動を責める場面には同感できるし、さすがに叔父ハンクへの態度にはやり過ぎを感じる。兄弟愛や祖父愛、ウオーカーの友情と献身など感情が入り乱れて錯綜する。
彼らの心の芯を貫く暖かいものが格別だ。
筋書きの複雑さやわからなさも作者の構想のうちで
ダッチェスの破滅的行動への違和感もそれなのだ。
典型的なミステリー小説で傑作だと思う。
クリス・ウイタカー、他の作品も是非読んでみたい。
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Posted by ブクログ
ネタバレ2025年の43、44冊目は、クリス・ウィタカーの「われら闇より天を見る」です。2021年のゴールドダガー賞受賞作です。文庫化されたのを期に、読んでいなかったので読む事にしました。
あたかも大河ドラマのような小説だと思います。
無法者を自称する主人公のダッチェスの苛烈な人生が、これでもかと描かれて行きます。ダッチェスは、幼い弟ロビンや母親スターを守る為、世間に立ち向い続けますが、余りにも残酷な運命が幾重にも待ち受けています。
ミステリーに重きを置いていないと言われればそれまでですが、気になる所がいくつか有りました。その点が有ったとしても充分、満足出来るとは思いますが。
全ては、ダッチェスとロビンの父親が誰なのかに有ります。登場した全ての人物のこれからの人生に、少なからず幸が有るように願って止みません。人生について考えてしまう1冊だと思います。
☆4.6 -
Posted by ブクログ
“貧乏で暴力的な”アメリカの片田舎アラバマ州「グレイス」の上空に、厚い雲とともに嵐の足音が忍び寄る。
そこで暮らすノアとパーヴ、辛い境遇の二人にとって、“ここで生きる”は他の人より困難なこと。
もう一人、双子の妹レインはノアとパーヴととともに、優等生の姉サマーの失踪の謎を探る。
これは、この三人の物語
貧困、暴力、過激な信仰心、妊娠中絶、アルコール中毒など、アメリカ社会の問題を背景にしているのは、前作「我らは闇より天を見る」同様で、主人公のひとりレインは前作のダッチェスと被る。
少し読むのに人物整理が大変だが、ノアとパーヴがとてもいい。
「おれたちゃ勇猛」
「おれたちゃ果敢」
がんばれって、応援したくなる。