クリスウィタカーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレアメリカが舞台だけどイギリスの作家、クリス・ウィタカーの新作。一昨年出版社された「終わりなき夜に少女は」が、実は「われら闇より天を見る」より前の作品なので、今作が一番新しい作品(間に児童書があるらしいけど…)。
生まれつき片目のない少年パッチは、ある日誘拐されそうになっている少女を助ける。代わりに連れ去られたパッチは、暗闇の中、グレイスという少女と出会う。
今年のミステリランキング総なめの予感がするほどの大作。モートン「秘密」や、オコンネル「愛おしい骨」、オーエンズ「ザリガニの鳴くところ」、ティンティ「父を撃った12の銃弾」など、何年経っても心に残る作品がある。今作は間違いなくそれらの作品に仲間入りした。
パッチとグレイス、セイントとパッチ。恋愛ではない運命の相手として、相手に何かあったら、全てを度外視して助けに行く。それが眩しい反面、危なっかしい気持ちにもさせてくれる。
特にパッチ、いい加減にしろよと何度思ったか笑。途中、セイントがあまりにも不憫で。でも、パッチが特にタカを外すのは、実は全てセイントのためだと気づいて、込み上げるものがあった。
1975年から2001年まで、四半世紀にわたる物語なので、当然出会いと別れがある。パッチとセイントの周りの大人たちが、あまりにも優しくて。時代の移り変わりの中、当然その人たちの別れも少なからずあり、その都度胸が抉られた。特に中盤の「わたしはいまでもあなたにどうしようもないほど首ったけだよ、わかってるよね?」は号泣。ここまで泣いたのは久しぶりかも。
ミステリ読みも、普段海外作品を読まない人も、この作品は読んで損はない。スーパーおすすめ。
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Posted by ブクログ
評価の高いクリスウィタカーの最新作。
主人公は二人。片目しか無い眼帯を付けたバッジと祖母と二人暮らしのセイント。
孤独な二人は親密になっていく。
ある日同級生の美少女が男に襲われているのを助けたバッジは男にさらわれ監禁される。
その中でもう一人監禁されていたグレイスと名乗る少女と真っ暗な部屋の中で交流する。
セイントはバッジを見つけ出す事をあきらめず
ついに見つけ出す。
それから始まる45年にわたっての物語。
海外小説を読むのは、日本では無いこういう話が読めるから。
とてもオススメ。
魅力的な人が一杯いますが、中てもシャーロットは面白い。 -
Posted by ブクログ
人は、過去にこだわらずに、忘れて前へ進めと言いがちだけれど、パッチが失踪して誰もがあきらめたときも、セイントは決してあきらめず、徹底してこだわりつづける。その執念、強さが、一貫してこの物語をひっぱっていく。
いっぽうのパッチのほうも、頑迷なまでにこだわりつづける。過去ばかり見ていたらけっして前には進めないとわかっていても。
物語はそんなふたりを中心に、町の人々の群像を少しはなれた視点で描いていくので、陰惨な事件があり、とてつもない執念があっても、どこかたゆたうような、淡々とした味わいがあってするすると読まされる。
……と思っているうちに、「えーっ? そっちにいっちゃうの??」となったところで下巻へ。 -
Posted by ブクログ
ずっと気になっていたミステリー小説だったのでお盆休みに上下を読破。
時間が溶けるようになくなり、読後には、切なく、愛しく、強さをもらえる感情に浸らせてもらいました。
上の最初は登場人物を覚えるの苦労したり、物語の展開がスローな感じもあったので少し辛抱してました。
ただ、上の中盤から下の終盤まで一気にミステリーの世界に引っ張り込まれて、タイトル通り読者としても闇の中にいた感じです(笑)…
読んでる最中は「お前犯人だろ!」「え、お前死ぬの!」「え、お前実はそうだったの!」「ダッチェス激しすぎやろ!笑。でもそうなっちゃうよね」とか頭の中ワンワンします。
個人的に1番好きな部分は、場面がいろいろ変わるのも情景がイメージしやすく、新鮮に読み進められる中で、特にモンタナの大自然でダッチェスとハルの掛け合いや心が少しずつ再生していく展開が1番グッときました。
翻訳小説の中では個人的には1番と言っていいほどの作品でした!!
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Posted by ブクログ
ネタバレ解説、酒井さんが「この物語は、登場人物の背景や来歴、思い、物語が始まる前に起きていた出来事や物事の経緯などが、後出しで少しずつ言及されていく形式をとる。(省略)読者である私達の内面に浮かぶ波紋、染み込む情緒、徐々に変化する印象。そういった繊細なことが、とても大切されている小説である。(省略)だから、できるだけ何も知らない状態で接して欲しいのだ」と仰っている。
まさに同感。
最初はやや、いやむしろかなりとっつき難いのだが、徐々に与えられる情報でどんどんと物語世界に浸されていくのが実感できる。
なので、これから読もうと思われている方は以下、読み飛ばし頂きたい。
意外性が損なわれるからネタバレ気を付けてねとかそういうことではなく、物語の積み上げられ方、剥がされ方、ひとつひとつを生のまま堪能すべしという類の物語。
時は1995年、悪魔崇拝の影が残るアラバマ州グレイスでは、少し前に「鳥男」なる通称で知られた犯人が引き起こしたとされる連続少女失踪事件があった。
暫くの間なりを潜めていたと思っているところに、新たな少女失踪の話が持ち上がる。
少女の名はサマー。
父のジョーはかつて8年の刑で服役している前科持ち。
父の荒くれ加減に反して、読書をこよなく好み、教会通いにいそしみ、そこで牧師の妻からチェロの演奏を教わるいわゆる穏やかな優等生。
一方、妹のレインは未成年飲酒の常習、粗い言葉遣い、男遊びに明け暮れると奔放。
だが、姉のサマーとの絆は何よりも強く、姉の発見を誰よりも強く望む。
独自の捜索を進めようとする過程で、警官である父を早くに失った体つきは軟弱だが心意気だけは勇猛果敢なノアとその友人、父親からの家庭内暴力を抱えるパーヴに出会い、半ば手下のように扱う形で姉の発見に奔走する。
衝撃をもたらした『われら闇より天を見る』後初の邦訳作品。
ただ、原著の出版順としては『消えた子供』に次ぐ第2作目。
トーンとしてはまさに、この2作を足して割ったような感じ。
ノアとパーヴの少年コンビがもたらすユーモア交じりの成長譚と、メインの事件を取り巻くグレイスの町に生きる人々の擦り傷だらけの痛々しき人生。
そこに挟まるサマーの独白パート。
この事件の真相はどこにあるのか、「鳥男」は濡れ衣で別の事情があるのではと思わせるような、町の人々の疑わしき言動。
エピソード自体は決して目新しいものではないのだが、その描き方、場面、ワードセンスがとにかく秀逸で、不遇の少年達が自らの人生に立ち向かう心意気や、一見すれた少女レインの姉を思う心持ち、捜査を率いる町の警察署長ブラックが抱える後悔など、ことごとく感情が沸き立つ。
ほんと凄い作家さんだわ。
翻訳もいいんだろうな。
これまでの3作品、いつか絶対再読したいし、本棚に置いて置きたい。
心配なのは新作が出ていないこと。
でも英語でググルと今年『All the Colours of the Dark』という作品が出版されている。
早く邦訳されないかな。
さらなる高みに達していると期待したいな。