シヴォーン・ダウドのレビュー一覧
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ネタバレ■普通に面白い
ヤングアダルト向けの作品を得意とし、賞を取りまくっている作者による唯一の本格ミステリ、とのことだが、普通に面白い。
文章は読みやすく、登場人物も少なく覚えやすく、キャラクターも立っており、状況もプロットも超シンプル。それでいてしっかりヒントや伏線がちりばめられ、無駄な描写もなく、1日で読めてしまう。
こういう作品は普通に好み。
■古典
現代作品であるにも関わらず、そのトリックは古典そのもの。「変装(して出てきた)」というのは、もはや古典のパターンであり、現代作品でもそれが踏襲されているのを見ると嬉しくなる。
「超シンプルなプロット=観覧車に乗って消えた」というのは本作を読む前から情報として知っているため、何か全く思いつかないような解法なのか!?という事前の楽しみがあったが、そうでなかったのは残念でもあり、かといって古典の踏襲だから嬉しくもある。
調査や証言によって、ちゃんと「2周以上したわけではない」「座席の下などに隠れていたわけではない」「実は最初から乗っていなかった、というのでもない」ということが示される。 -
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-あらすじ-
主人公テッドのいとこサリムがロンドンに訪問してくる。
テッドと姉のカットはサリムと共にロンドンで有名な観覧車"ロンドンアイ"に訪れるのだが、そのロンドンアイに乗ったサリムがそのまま姿を消してしまう。
密室の観覧車で何が起こったのか?
この不可解な事件を、アスペルガー症候群(物語上表記はないが恐らく)を抱えるテッドがカットの協力の元、独自の視点と論理的思考により真相に迫る物語
-感想-
テッドの普通とは違う視点や思考が事件解決に導くのだが、普通ではないいわゆる変わり者ということが欠点ではなく、強みとして書いていることに作者のメッセージを感じる。
姉のカットが時には怒ったりしながらも、普通ではない弟をなんだかんだ認めて受け入れる姿に姉弟って良いねと思える。
家族も周りもテッドの良さを理解してくれるこの作品は多様性や生きづらさを感じる人への問いかけにも感じた。
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シェルの母親が亡くなって1年、父親は仕事を辞めて酒浸りになっていた。父におびえながら幼い弟妹の世話をする高校生のシェルにとって、幼なじみの少年デクランや親友のブライディと過ごす時間が、気を抜ける大切な時間だった。しかし、ふとしたきっかけからデクランと深い仲なになり、15歳にして妊娠してしまう。誰にも相談できないまま時間だけが過ぎていき、やがてシェルは思いも寄らない事件に巻き込まれていく。
本当にこれで良かったのだろうかと、読み終わって悩みました。人間の良い面と悪い面の両方が描かれていたと思うのですが、わたしの心に残ったのは閉鎖的な村人たちへの怒りと、警官への怒り、そして冒頭のモヤモヤでした。ダガンのおばさんが居てくれて本当に良かったと思います。序盤に描かれるシェルの貧困や家庭問題は、休み休み読まないと辛くなる程でした。
こんな閉鎖的な村であるかは別として、子どもの貧困や若い世代の望まぬ妊娠の問題は、現代に通じるものがあります。自分はせめて、子どもの側に寄り添える、子どもが相談できる大人でありたいと強く思いました。 -
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ネタバレ「ロンドン・アイの謎」を読み終えた。短時間でさっと読めて、満足感も高い良書だった。
作者は本書の刊行後に亡くなっているため、ほかの作品を読むことが難しいのが残念だが、本書の物語を別の作家が書き継いだものがあるらしいので、そちらも読んでみたい。
本書の最大の魅力はキャラクターにある。
登場人物をむやみに増やさずに絞り、それぞれに異なる個性を与えている。
とりわけ自閉症スペクトラムを抱える主人公の特性を、ラベルとして示すだけでなく思考様式まで描写しており、その点が見事だ。
この描写がどれほど現実的かは分からないが、物語を読み進めるうえで十分な説得力があった。
ミステリーとしての構成も丁寧で、謎解きの過程は読者を引き込む。
トリック自体はそれほど目を見張るものではなかったという印象だが、主人公たちが一歩ずつ手がかりを追っていく筋立てが面白い。
また、登場人物を別の視点から捉えたときに見える人間性も興味深い。世間から奇異の目で見られている人物が、主人公にとっては真摯に話を聞いてくれる存在であったりする。
子どもであり障害も抱える主人公自身も、周囲から正当に評価されず苦労する場面があるため、視点が変われば印象も変わるという主題が物語全体に通奏低音のように流れているように感じた。
総じて、手がかりを丁寧に示すミステリーとして好感が持て、キャラクターの行動や発言にも十分な説得力があった。全体的に無駄が少なく、文章運びが巧みな作家だと感じた。 -
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ヤングアダルト向けジュブナイルミステリー
約20年経って翻訳されたようだ
背表紙と扉ページの両方にあらすじが書いてあるのが創元推理文庫の特徴だが、さらに、著者とは別の人が書いた序文もあった
まあまあなネタバレと結構なヨイショぶりだが大丈夫か?どれどれ
はい。面白い
探偵役はサヴァン症候群で、社会性の一部は欠落しているが特定分野で才能を発揮
珍しくはない人物造形といえるがその特徴がイギリス人のイメージに沿っているのが良い
後半に登場するキーパーソンの人間関係にやや後出し感はあるものの、謎解きはフェア
序文に触発されてアレを数えるだろうし
その序文を書いた方が遺稿を続編として完成させたそうだ
単行本は出ているようだが、創元推理文庫から出たら購入不可避です
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レビューを拝読し、気になっていた作家さん。
SNSで文庫化の告知を見掛け、本書の発売を知り手に取った。帯がアツい!
12歳の少年テッドが、大きな観覧車ロンドン・アイで行方不明になったいとこのサリムを探す物語。
翻訳小説の割には登場人物が少なくて、とっても読みやすかった。
主人公、テッドのユーモア溢れる語り口調がクセになる。
数字についての拘りがとにかくすごくて、時折クスッと笑ってしまった。
本書は児童向けミステリ。
でも児童向けだと侮ることなかれ。
真相にたどり着くための手がかりは分かりやすくあちこちに施されているし、なんなら正解も描かれているのに、私は全然分からなかった…!
真相が分かってからのハラハラドキドキ、手に汗握る展開も楽しめた。
テッドと共に事件を追うテッドの姉・カットとの絆がだんだん深まっていく様、事件を通してテッドが成長していく様もよかった。
私もロンドン・アイに乗ってみたくなった。
秋に続編も文庫化されるそうなので、そちらも楽しみ。 -
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舞台は1984年アイルランド。15歳のシェルは一年半ほど前に母親が亡くなり、弟と小さい妹の世話をしながら、働かず酒に溺れる父(理不尽な石拾いまでさせられ、金はほぼない)と暮らす。強制的にいかされている教会に助任司祭としてきたローズ神父に惹かれ、母の幻に心を助けられながらも、つるんでいたデクランと深い仲になってしまい、友人だったブライディはデクランと付き合っていたので、離れてしまう(情事も付き合うことも大人になってブラつけることもあまり分からないピュアなシェル)。そして、後半、実際にあった嬰児を巡る事件をもとに考えられただけあって、一気にミステリーとなります。読むペースが前半と後半でかなり変わったなぁ。
カトリックの習慣がかなり多く書かれていて理解に苦しむところ、弟妹の世話や貧困家庭への公的な補助体制、学校のシステムの違いなど、意欲がないと児童が読むのには厳しいかも、と思わされた。ただ、逆に小説を楽しみながら児童が陥る普遍的な困難や海外の生活を知れる良い本でもある。
あとは、タイトルが惹かれないと思った、けど、これは既に邦訳のある言い回しみたいだったから、仕方ないのかな。
ルビもあるし、この内容を読めれば小学生からでも大丈夫(情事はあるが、教科書以上の叙述ない)。通常は中学校以上。 -
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1984年、アイルランドの村で15歳の少女シェルは、母親を病気で亡くして以来酒浸りの父と生意気な弟と幼い妹の世話に明け暮れていた。
カトリックのクリスチャンで日曜ごとに教会には行っていたが、信仰心は薄れていて気がまぎれるのは幼馴染のデクランとブライディとくだらない話をしているときくらいだった。
だがデクランと深い関係になり、ブライディとの友情も壊れてしまう。そして妊娠しているのに気づき、誰にも相談できないまま時間だけが過ぎて…。
妊娠に気がついたのが弟妹で、内緒で手助けしたのにも驚かされるが、できることには限りがある。
10代での妊娠という重い事実をひとりで受け止めることしか方法はなかったのかということに孤独に生きたことや貧困であり、ヤングケアラーでもあったことの現実を思い知る。
ひたすら亡くなった母の幻想をみる少女に父親の存在があまりにも薄く感じた。
しかし父親に何を相談できようか…。
苦難ばかりの少女に父親も本気をみせてもらいたい。
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12歳のテッドはいとこのサリムの希望で姉のカットと共に3人で観覧車ロンドン・アイに乗りに行く!
チケット売り場で並んでいると一人の見知らぬ男がチケットを一枚譲ってくれるという
チケットはいとこのサリムが使うことになり、彼は他の乗客と共にロンドン・アイに乗り込んでいく!
時速0.9キロ、約30分で一周するロンドン・アイ
しかし30分を過ぎてもサリムが降りてこない…
さらにもう1周してしまったのか?
しばらく待ってもサリムは降りてこない
サリムは一体どこに消えたのか?
気象学の知識は専門家並みだけど、コミュニケーションが苦手な少年テッドは姉と共にサリムの消えた謎に挑む!
この作品、本が好きな子なら小学生の高学年から楽しめるのでは…
事件の謎を解く鍵…それは「どう見るかによって違う」
子どもならではの柔軟な見方と洞察力
もちろんテッドはちゃんと筋道を立てて理論も組み立てていく
おそらく彼は自閉症スペクトラムだと思われるが、この作品はそんな彼や姉の成長物語でもあり、家族の愛情物語でもあり、すばらしいミステリーでもある…
まさかの謎からの謎〜なのだから…(笑)
イギリスに行ったらまずロンドン・アイだ!
と思いながら数年…
ふとこのロンドン・アイのタイトルが目に入り読んでみたら、ハートフルなミステリーでした!
残念なのは、著者がこの作品を発表したわずか2か月後、47歳で逝去されているということ…
この作品はビスト最優秀児童図書賞(現・KPMGアイルランド児童図書賞)を受賞している -
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主人公の少女もその兄弟も、物語が進む時点の生活環境の割に精神的にかなり安定していて状況を賢く乗り切り、そのあたりが少し出来すぎていると感じた。子ども達だけの出産、死産の埋葬を経て、別の赤ちゃんの殺人容疑も含め父親に容疑がかかり村が炎上している最中で、これほど冷静に動いたり考えたりできるだろうか。母からの愛着や心の土台が彼女や弟妹をささえているのか。何度もででくる母の霊的な支え、キリスト教の考えがある。
それは物語として、
実際に日本において身の回りでこのような事態になる若い女性はとても弱いことが多く、そうなる前の段階で本に出会うことはほぼないだろうと感じる。
アイルランドという地域の人々の賢さとか自立が背景にある物語かもしれない。 -
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全作ロンドン・アイの謎がとても面白く、再びテッドとカットが見ることが出来るという喜びもあって期待値が上がりすぎた。
それもそのはずで、原案者が若くして亡くなってしまったこともあり、作家が変わってしまったからだ。
それでも設定やキャラをしっかり研究した上で練られているだけに再現性は見事だと思う。
今回はニューヨークにいる叔母グロリアといとこのサリムを訪ねることで、物語が始まる。
グッゲンハイム美術館で盗難事件が起き、働いている叔母が疑われてしまい、それを晴らすためにテッド、カット、サリムが奔走する。
良くも悪くもテッドが3ヶ月でとても大人になっていて、人が使う比喩表現を理解して自分も敢えて使ったりだとか、あんなに嫌がっていた嘘を平気でつけるようになったのは驚きなのだが、大切な人のためならと割り切れるようになったようだ。
肝心なミステリーにおいては、慣れてる人ならほぼ序盤で犯人はわかるし、手口や動機も大体予想がつくので驚きは皆無だった。その点が大きくマイナスというか、テッドの独特な視点がなくても解決出来ないか?とは思ってしまった。
警察の調べが甘すぎる設定がなんとも…
それでもテッドとカットの付かず離れずの姉弟愛というか絆が凄く再現出来ているからそこは変わらず良かった。
カンディンスキーの絵も検索したくなる。
"あの絵はひとりの人間の一部だったんだ。"
このテッドの言葉が印象的。
人が昔の絵画に魅了されるのは、間違いなく存在した画家の脳を現代で観られるからだと感じた。 -
Posted by ブクログ
母親は亡くなり、お酒におぼれる父親の元、幼い弟妹の世話をするシェルは15歳で妊娠してしまう。シェルにとって唯一の気がまぎれる時間であったのは、友人たちとの時間だった。その遊び相手のデクランとキスをしたことから、深い仲になってしまう。シェルの妊娠を知らずに、デクランは米国へ行ってしまう。誰にも相談できず、シェルは幼い弟妹の協力を得て、子どもを産むが…。
出産までも過酷だが、その後の経過は死体遺棄事件となり、ますます過酷になっていく。大人たちの勝手な対応に読む事が止められなかった。
読み終わり☆をいくつにするか悩んだが、4つをやめて3つにした。すんなり同調できなかった。 -
Posted by ブクログ
シェルの母が亡くなり父が酒浸りになって働かず貧困、弟と妹の世話と家事をするヤングケアラー、10代での妊娠という重苦しい内容。
窮状に気付かないふりをする周りの大人たちの無関心さに憤りを感じる。ローズ神父は気付くが結局キャロル神父に諌められ何も出来ない。そして後半は思わぬ展開になりミステリーの様だった。
辛く悲しくてもシェルは前を向いて日常を送っていく。救いがあるようないような物語だが、最後の文が爽やかだ。
80年代のアイルランドの社会問題や実際に起きた事件をベースに書かれたとのことで考えさせられたが自分が当時その場に居たとしても何も出来なかったと思う…。