藍川京のレビュー一覧
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主人公よ、どこへ行く
(2025/3/20更新)主人公の人妻は、勤め先が倒産した夫の就職活動のため、健気にも面識ある保険会社の元専務で今なお古巣に影響力を持つ男のもとに駆け込む。男はいじらしい人妻の願いを聞き入れる。だがむろん、無条件ではなく。「わかるよね。子供じゃないんだから」と。かくして貞淑な妻は夫のため、家庭のため、生活のために一線を越える。そしていちど越えてしまうと、後戻りはできず、あとはずるずると被虐と官能の蟻地獄に突き進むことに。この筋書きは藍川京の初期作に多い展開だが、当時に比べると、強引なストーリー運びはややマイルドになっていると感じるのは考え過ぎか。しかし、性愛小説の見せ場である絡みのシーンがみっ
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イブたちに誘惑されて
(2025/2/16更新)藍川京作品の中でもフィクション性とコメディ色の強い作品。勢力旺盛な男と孤閨を持て余す未亡人方が次々に体を合わせ、男からすれば、ビジネスと割り切っているとはいえ、それはそれは極楽のようなめくるめくハーレムに身を置くという筋書き。投稿者の好みからすると、少々現実離れしており気持ちが入っていかないものの、娯楽作品という観点では文句なく楽しめる。それでいて、性描写のクオリティもしっかり確保されているところはさすが。終始明るく屈託のないストーリー運びを純粋に楽しむための作品である。
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現代日本版チャタレイ
(2024/10/13更新)本作は、雑誌「週刊大衆」2012年2月6日~10月22日号に連載された「濡れて、あっはん」を改題・刊行した長編。現代の日本が直面する格差社会を映すような、上品な未亡人に思いを寄せる独身ミドルの交通誘導員が主人公の物語である。これだけでも男のロマンを湧き立たせる設定だが、この主人公、かなわぬ恋と指をただ咥え見てているだけでなく、思いを遂げるために行動を起こす。ストーリーの細部への言及はネタバレ回避で控えるが、上流階級の美人が徐々に躰だけでなく心も開いていく過程が見せ場で、ロレンスの「チャタレイ夫人の恋人」を彷彿とさせる快作である。但し、いくら世間知らずのお嬢様後家が相
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おどろオドロ
本作は著者が「成瀬純」のペンネームで上梓した「母娘秘祭 隷の輪舞」を改題した長編。物語は、カルト宗教を連想させる何やら怪しげな仏教寺院を舞台に、信者や相談者の女性を相手に秘儀と称さんばかりのクレイジーな倒錯プレイが連続するというもの。宗教界という独特の環境設定が、プレイ描写のおどろおどろしい雰囲気づくりに大いに一役買っていて、著者の他作品と比べて淫靡さの点で出色の出来となっている。ここからは投稿者の好みの話。若すぎる女性を慰みものにするというのは、フィクションとわかっていてもアレルギー反応を禁じ得ない。が、最後はホッとする締めくくりとなり溜飲が下がる。全員にとってハッピーエンドとはならないもの
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忽ち一羽のツルに・・ならなんだ
昔話「鶴の恩返し」をモチーフにしたと明らかにわかる作品。そのためか、主人公の男の相手となる女性の名を鶴乃というが、このネーミングは時代小説でない本作にあって古めかしくていささか興趣をそがれる向きもあろう。設定はさておき、ストーリーはこれまた鶴乃が暴漢に襲われそうになったところを主人公が助け、二人の距離が一気に縮まって、という流れは昔話と同じ。違うのは本作が男女の関係に突入するところ。当然ですな。さてプレイ描写だが、倒錯ものでなく至極ノーマルな内容に終始しつつ、濃密かつ丁寧に編まれていて読みごたえがある。最初のうちは正直、上述の女性ネーミングの違和感もあり、それほど興が乗らなかったが、絡みの部分
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男の夢
主人公の教師によるかつての教え子との邂逅譚。当時17歳の生徒に手を出そうとしたものの、当然の如く拒まれ、挙句転校までされ、以来、主人公の心の中にしこりとなって二十年以上が経過。それが相手の女性の方から誘いを受け、長い時を超えて結ばれるという筋書き。かかる展開は、実に未練の生き物である男にとっては夢物語と言っていい。この展開にまずグッと引き込まれる。主人公は心の中で当時にタイムスリップしたことだろう。かつて心を寄せた清楚な女性が時間の経過により、艶色をまとって再び自分の前に現れた情景を想像してみるといい。一気に「あの頃」に立ち戻り心ときめく様は男性読者なら理解できるのではないか。ただ一方で、プレ
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中盤以降、燃え上がる情炎
独身・熟女・京都・突然の邂逅・・・藍川作品の何種かの神器、本作でも炸裂。出逢いの現場は、洛北は戻橋。ただ類作と異なるのは、相手の男の出現からベッドインまでの展開が速いこと。凝縮されたというより、やっつけで飛ばされたという文章。意欲が筆先に乗ってないな、などといっぱしの評論家気取りで幾分否定的に読み進めたものの、いざ本番に差し掛かるや、180度とはいかないまでも、120度ほどは作品に対する見方が変わったのである。ヒロインは冒頭からの記述ではうかがえないほど、男女のことに貪欲な肉食女子であり、組んずほぐれつのタフな肉弾戦が読者の気持ちを盛り上げる。このキャラクター設定は大いに当たり、プレイの幅を多
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白梅一輪、描写も作中でポツンと
還暦間近の男が新婚の娘夫婦とともに初詣にやって来た鎌倉で、かつて懇意となった部下の女との偶然の再会を果たす。その折はホテルまで一緒に行くも結局は唇すら合わせることなく終わったふたりだが、時を超えて再び巡り逢い、今度こそ・・・となるが、読んでいていささか違和感あり。寒風に耐え、他に先駆けて咲く一輪の梅花の描写は可憐でつつましく、それでいて力強さを感じさせるが、物語と同化していないというか、白梅が単独で浮いてしまっており、メインである濡れ場と断絶されている。既婚者となっていた女性がどのような心の移ろいを経て主人公との不倫まで犯す気になったのか、という点まで踏み込んでおらず、深掘りされていないという
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まさかとは思ったが
広い屋敷と体の渇きを持て余した女&執事兼使用人の年寄り男。他の作品にも同様の取り合わせがあったが、本作の読後感は妙な表現だが、ホッとした、というもの。何しろ「女主人」では、老いた男の下半身の描写が飛び出して「勘弁してくれぇ」と内心絶叫したものであったから。この「閨」ではさいわい、憂き目に遭わずに済んだ。それは良いのだが、男女の営みも、ない。主人公は25歳の社長夫人。夫以外の男性経験がない、結果的にではあるがいわゆる一棒主義を維持したまま夫婦であることを続け、そのためか、どこかウブさをとどめている女性。ある時夫が長期出張で家を空け、夜間は家政婦も引き上げ、ヒロインと前出の老執事のみ。淋しさのせい
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和で雅な藍川文学の代表作
藍川女史の作品は、和服の女性が多く登場し、流麗で雅な文章に乗せて読者を耽美な世界にいざなう、といった特長があるが、本作はそのエッセンスが凝縮された象徴的な作品といえる。
主人公は16歳の、少女といっていい年代。早くに母親を亡くし、父の再婚を機に叔母夫婦の家に身を寄せるが、叔母の配偶者である和人形職人が屈折した性癖の持ち主で、そこから男女のアブノーマルな物語が展開していく。
シリーズ全4編という大作で、第1作となるこの「夜の指」は、その後のより大きな広がりを期待させつつ終幕となる。性愛小説にはちがいないが、どこか甘く気怠い耽美さを持った純文学作品のような性格を併せもっており、女性でも安心して -
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スタンドインのファウル
清楚で知的な美女が主人公。あらすじはBookLive記載の通りだが、才色兼備で純潔を守ってきたヒロインが、大学教員との結婚を機に環境がガラリと変わり、一転して性の虜となっていくさまを描き切れていないのが惜しい。変貌の過程を団鬼六のようにとは言わないまでも、もう少し読者を焦らすようにじっくり辿っていればなお良かった。それと、役割不明の登場人物が気になる。まずプロローグで出てくる二人。一人は実名がないものの主人公と容易にわかるが、その絡み相手の「養父」は何者か。舅は本編で「義父」と描かれており、同一人物であれば呼称が一貫しておらず、ならばラスト近くで登場する「村の真の有力者」なる者が該当するかと読
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う~ん
すべて人妻の不倫をテーマにした短編集。比較的地味めのカバーイラストで目立たないが、もしや隠された逸品では、との期待から購入。しかし、先に評価を言うと残念ながら星2つ。どの作品も似たり寄ったりで、サビと言うべき男女の絡みの描写も単調で変化に乏しい。しかも中には藍川先生の著作には数少ないバッドエンドのものも含まれており、後味わるい。但し文章を丹念に読み込んでいくと、パーツ単位で秀逸な表現も見られ、後年著された作品の中にはむしろ見られない書きぶりが見られるのは興味深い。また最後に掲載の「オウマさんごっこ」は設定に工夫が凝らされ、ユニークさの点で出色である。ちなみに同短編は小説club 45(6)号に
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猛女、獅子奮迅だが
急死した親のリリーフで、飲食チェーン企業の経営に乗り出した若い女性社長が主人公。読み始める前のイメージは男勝りの主人公が次々と異性を征服していくというものであったが、ちょっと予想とちがった。パワフルな女性にはちがいないが、そのエネルギーは自社に就職志望の若い男のコたちを自分のオモチャにするこに向けられる、というスジ(男のコの調教シーンはもう少し抑えられなかったか)。かとおもうと70男のまるで従属的な副社長の局部表現があったりと、特に後半は主人公と不釣り合いな世代との絡みが目につき、正直気分が萎えた。壮年の男との逢瀬もあり、また主人公の友人の美女も登場してある程度見せ場をつくるものの、主人公のキ