【感想・ネタバレ】夜の指 人形の家 1のレビュー

あらすじ

母を亡くした高校生の小夜を、養女として引き取った高名な人形作家・柳瀬彩継。彩継には、女の秘部や恥毛まで丹念に創った生々しい〈生き人形〉作家・鳴海麗児という別の顔があった。「小夜に触れ、生き人形を創りたい……」同じ家に暮らしながら養父の顔しかできぬ彩継は、隣室から覗き穴で小夜の部屋をうかがうが、やがて堪えきれなくなった。

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和で雅な藍川文学の代表作

藍川女史の作品は、和服の女性が多く登場し、流麗で雅な文章に乗せて読者を耽美な世界にいざなう、といった特長があるが、本作はそのエッセンスが凝縮された象徴的な作品といえる。
主人公は16歳の、少女といっていい年代。早くに母親を亡くし、父の再婚を機に叔母夫婦の家に身を寄せるが、叔母の配偶者である和人形職人が屈折した性癖の持ち主で、そこから男女のアブノーマルな物語が展開していく。
シリーズ全4編という大作で、第1作となるこの「夜の指」は、その後のより大きな広がりを期待させつつ終幕となる。性愛小説にはちがいないが、どこか甘く気怠い耽美さを持った純文学作品のような性格を併せもっており、女性でも安心して読めると思う。
但し職人の親父に対しては、あまりにねじけた考え方から、少なくとも男性読者は「鼻持ちならないヤツ」という悪印象を持つだろう。が、それは作品の完成度の高さゆえの感情移入であり、口惜しいが親父に対して毒づきながらも夢中で読み進んでしまったのであった。

#切ない #深い #ドロドロ

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2022年06月25日

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