小川幸司のレビュー一覧
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世界史教育史および世界史/歴史総合教育の(史学系人文アプローチとして手堅い)トピック集・兼・エッセイ集だった。松本サリン事件の話から始まるところに面喰らいつつ、そのことが著者自身の実体験および教育実践経験と相俟って優れた導入になっていた。世の残酷さに対して歴史学のアプローチで立ち向かえるような優れた思考法が、理論的にというよりはドリル演習的に、経験できる。それでいてその語られる志向にはリベラルアイロニスト的なものさえ感じさせる(リチャード・ローティ的)。
歴史的事項が単なる暗記学習でないとすれば、どのような問いで世界史の記述に向かい合えば良いか? という点についても幾つか提案してくれており、 -
Posted by ブクログ
冒頭の著者の実体験である松本サリン事件の話からグイグイと読ませます。結果的にその段階から本書の“歴史実践の実践”とも言うべき土俵の上にまんまと乗せられていた訳で、最後まで読み進めた結果大きな感銘を受けました。これぞ名著!という感じです。
また、本書の出版は2023年6月ですが今現在パレスチナの地を蹂躙するイスラエルによる史上最悪の人種虐殺について、奇しくもその歴史背景や捉え方についてクリティカルな解説がなされています。その点においても歴史を学ぶことがいかに重要であるか、歴史を軽視した時にいかに深刻な問題が生じるか、深く深く教えられました。 -
Posted by ブクログ
爆弾みたいな新書でした。読みながら自分の固定観念がぼんぼん爆発していく感じに驚きました。いきなりの松本深志高校の教員として「松本サリン事件」にどう向き合ったかというエピソードにも面食らいますがそれがファクトの曖昧さへの対峙の仕方に繋がりベンヤミンの「危機の瞬間にひらめく想起をわがものにする」という言葉の紹介になり映画「ショア」の上映会に至ります。その過程の容疑者の娘の生徒さんのエピソードも胸熱です。「松本サリン事件」からの「ユダヤ人虐殺」へ。そしててIRAの爆弾工場と同じように歴史学が爆弾工場になる、というホブズホームの言葉へ。著者は2022年から始まった高校新科目「歴史総合」を機会と捉え上か
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Posted by ブクログ
2022年から高校で「歴史総合」という新しい科目の授業は始まることを受けて、歴史家の先生方の議論をまとめたユニークな著書だ.課題図書に相当する本を選択して、それをベースに議論を進めるという形だが、文系の方々には違和感のないものらしいが、専門分野が違う先生方が盛り上がる議論を展開させていることに驚いた.日本史と世界史を分けないで総合的に学んでいく方法は面白いと感じた.包括的な捉え方でなく、個人ベースの事実を基にした歴史の構築を目指しているのだと理解した.気になったキーワードは、複合革命論、鉱物依存型経済、門衛国家、りドレス運動、無限定性、植民地責任、アフラシア.
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Posted by ブクログ
2022年4月から高校新科目「歴史総合」が始まる。これを契機に歴史の捉え方を歴史叙述を通して前近代から現代まで深めていくという試み。私が高校性の時は世界史・日本史と区分されていて、しかも古代から現代までを通時的に、個々のイベントを単に暗記していくという授業しかなく、一方そのころ日本or世界では?という俯瞰したものはとか複合的な視点で読み解くなんてものはなかったな。さらにいうと、近代以降ってそんな重点置かれていなかった気がする。
通俗的に持っている印象とは異なる視点を提供してくれている、多面的な視点で過去から現代、未来を歴史学を通して想像する、そういった力が必要なのだな。
フランス革命や世界大 -
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