デイヴィッドウェリントンのレビュー一覧
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未来を舞台にしたディストピア小説。人類は遠宇宙まで進出し、コロニーを形成して大繁栄している。ところが、謎の病原体に感染し、ある集団は自発的な呼吸を忘れ、別の集団は人肉食も辞さない飢餓感に襲われ共食いを始める。そのほか、ありもしない虫を探してそこらじゅう(自分の体内も)探し回ったり、光を極端に避けて生きるようになったりする。この症状は人間だけでなく、AIも感染する。原因は病原体ではなく「アイディア」、人間もコンピューターも感染するコンピューターウィルスのようなもの。このアイディアの発生源である惑星に着陸しようとする主人公たちと、それを阻止しようとする「発生源」の戦いが繰り広げられる。ホラーチック
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人間やAIに抗えない妄想を植え付け狂気に至らしめる精神感染体、<バジリスク>の恐怖を描いたSFホラー、下巻。
惑星<パラダイス-1>の軌道上にある数多の宇宙船全てが、精神感染体<バジリスク>に汚染され、船内では様々な"狂気"が振り撒かれていた。汚染された宇宙船による苛烈な攻撃を受ける中、それら宇宙船の中で最大規模を誇る植民船<パシパエ号>によって、サシャとジャンが乗ったポッドが捕らえられる。そこでサシャは"母親"と再会する―――。
上巻で魅せた緊張感と勢いそのままで引き続き描かれる、<バジリスク>の精神汚染による狂気と地獄絵図。妄想に憑りつかれ自分自 -
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早川書房 翻訳SFファンタジイ編集部のXタイムラインに流れているのを見て、面白そうだったので購入。
防衛警察(防警)のアレクサンドラ(サシャ)・ペトロヴァ警部補は、上司であるラング局長から、連絡が途絶えている、太陽系から百光年離れたコロニー惑星<パラダイス-1>への調査を命じられる。<パラダイス-1>―――そこは、サシャの母親である前防警局長エカテリーナ・ペトロヴァが移住(政争の敗北により流刑されたとの噂も。)している惑星であった。
サシャは、<パラダイス-1>へ向かう旅客輸送船アルテミス号で、医師のジャン・レイ、船長で元恋人のサム・パーカーと乗り合わせる。コールドスリープ状態となった3人を -
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人間にもA1にも取り憑く謎の存在「バジリスク」。生命でもウィルスでもないそれは、憑りついたものを自己破壊的な衝動に差し向けるような妄想を抱かせるのだが、同胞同士を食い合わずにおれない飢餓感だったり、何かが体内に寄生しているという強迫観念から自らを解剖しようとしたり、感染ごとに妄想の種類が異なるという、その正体およびその目的や意図がまったくわからない。その謎にせまっていく後半だがクライマックスの敵との激闘のアクションに、主人公たちの過去のトラウマの物語も絡む感じはちょっとシン・ヱヴァっぽいかも。謎の存在バジリスクの正体は、それが真の正体であるかはわからないが、なるほどという感じ。というのもこの上
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太陽系から百光年離れた星系にある植民星「パラダイス‐1」と連絡が途絶し、その調査に送り込まれた防衛警察の警部補、医師、パイロットたちが、目的地到着の目前コールドスリープから目覚めるや否や正体不明の敵からの襲撃を受け、そこからノンストップで危機また危機の戦闘に巻き込まれていくという、難しいこと言いっこなしのエンタメSF。上巻だけで510ページほどあるが7~8ページ単位の70章ほどの短い章に分かれていてテンポよくサクサク読める。謎の敵は人間にもAIにも感染し、どちらも発狂させゾンビ化させてしまうウィルスのようなもので、それによって「ソンビ化した人間」はお馴染みのあれなのだが、「ゾンビ化したAI」と
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宇宙人は存在するのでしょうか?
しかし、よく考えてみると、我々は宇宙〈人〉と言っている時点で自分たちの概念を勝手に当てはめているだけなのかもしれません。人ではないかもしれないのですから。
では地球外生命体はどんな生物なのでしょうか?
エイリアンみたいな感じでしょうか?
地球の概念にあてはまらないのであれば、見えないのでしょうか??
見えないということはすでに存在しているということでしょうか???((((゜д゜;))))
☆☆☆☆
本書はSFであり、ホラーでもあり、ハラハラドキドキの冒険小説でもありました。ちょっとグロテスクな部分もありますが…。
読み終えると、宇宙から帰ってきた気分にな -
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最高!
ラーマとエイリアンのベストミックス。
冒頭の柔らかい壁とか布製エアロックとかに惹き込まれ、深夜までの一気読み。
途中の中だるみさえ我慢すれば、タイトルに記される主役と謎解き係の女性博士が後半大活躍。男性陣がほぼ全滅の中、エンディングのどんでん返しが素晴らしく(博士の冷静な判断は女性ならでは?)、きれいな着地点に誘導してくれる。この30ページは圧巻だし、最後の一行は感動モノだ。
実はエンディングは予想の範疇で、やはりそうきたか!なんだけど、そこに至るストーリーがハラハラドキドキで、最後の数行のようやくきたか!感がとても良かった。きれいな伏線回収だな。
女性のドラマではないし、そ -
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ヒトだけでなくAIにまで「感染」する、明確な意図を持った狂気。
遠く離れた植民星に派遣された船。その星系に到着した途端に、何も分からないままその狂気に投げ込まれた。
上巻終わって、ちょうど「事件」が一段落して謎が深まったところと見えるが、下巻が楽しみ。
仕掛けが良くてのめり込んでいるが、流石に色んな既視感は否めない。
エイリアンだったり、2001年だったり、宇宙船ビーグル号だったり、ゾンビだったり。
SFというジャンルが書かれて長い時間が経っているから、大概のアイデアが発表されているわけだ。世界観とか、設定とか現象とか、逃れられないよねえ。ここをどうするかで、作品の方向とか、作者の腕が問