大竹英洋のレビュー一覧
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ネタバレノースウッズは無数の湖をもった深い森です。
大工のウェインさんは春の気配を感じると3週間分の食糧をもって、カヌーの旅に出かけます。彼がはじめて旅にでたのは14歳のとき。それから40年、彼はかかさず春と秋に旅に出るのです。
ノースウッズの豊かな自然と、そこに暮らす動植物を写真で伝える旅の絵本です。
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ウェインさんスナフキンかと思った。アルミやグラスファイバー製の丈夫で軽いカヌーを使わないのは自然の景色に溶け込んで動物たちを驚かせないため。湖と湖の間、陸地にのびる獣道のことを人間はポルタージュと呼び、ウェインさんは木製のカヌーを担いでその道を歩くことを考えると敬服する。「必要なのは力じゃなくてバランスなんだ」と言いながら大きなカヌーを担ぐ姿がかっこいい。あとやっぱりなんか言ってることもスナフキンっぽい。
ムースの頭蓋やカリブーの巨大な角、火災の跡地にひろがる奇妙な森、湖上の壁画…自然、生命、時の流れ、いろいろなことを感じる写真絵本。
ノースウッズの木々の名前がしっかり書いてあるのも科学絵本って感じでいい。さすがたくさんのふしぎ。 -
Posted by ブクログ
そして、僕も旅に出たくなる、一冊(爆)
読んでいて、とにかく気持ちがいい。
最近、芥川賞小説になぜかハマって、そればかり読んでいるんだけど、芥川賞といったら、芥川龍之介だ。
あの辛気臭い顔そのままの小説ばかり読んでいると、人間がせせっこましくなる(爆)
いや、これまで読んだそれらの小説は辛気臭いものではないんだけどさ。
でも、読んでいると、(このクソ暑い空の下でもいいからw)思いっきり伸びをしたくなるって言うかさ(^^ゞ
文学っちゅーのは、やっぱり自分には合わないんだなぁーって(爆)
ま、それはそれとして。
森の匂いがしてくる、描写がすごく新鮮。
あと、わらしべ長者みたいに、著者が次から次へと出逢いを経て夢へと近づいていくストーリーになっているのがいいんだよね。
もちろん、実際はいいことばかりではなくて。
嫌な人に出会ったり、嫌な思いもしたはずだ。
ただ、あとがきの最後、
“たとえ年齢がいくつであっても、どんな時代であっても、目標に向かって一歩を踏み出そうとする人の手に、この本が届くことを心から願っている。”とあるように。
著者はなにより、バカな夢を見ることの大切さ。そのバカな夢を叶えるために一歩を踏み出す勇気を読者にわかってほしくて、この本をこんな風に書いたんだろう。
著者はもちろんそんなことは書いていないけど、スマホ見てる間に人生終わっちゃうぜ、みたいにさ(爆)
嫌なヤツや嫌なことなんて、本当に楽しい体験をすればどーでもいいことになる。
それは、著者のようなスペシャルな旅でなくても、普通の日常でも同じはずだ。
自分が楽しむための一歩を踏み出す勇気。
今、一番必要なのはそれなのかもしれない(^^)/ -
Posted by ブクログ
冒険チックな本が大好きだ。石川直樹に沢木耕太郎、星野道夫など。今まで星5を付けた数少ない本の多くが冒険に関する本だった。そして、この本もそのひとつに加わった。
彼らの本は今、この地に自分がいる一方、世界の彼方には全く異なった世界があることを伝えてくれる。当たり前のことなんだけど、冒険家の本を読むと情景がトロトロと浮かび上がり、自分もその世界に指先を触れた気になれる。それが好きだ。
ただ、この本には他とは違う点がある。彼の身自体、ワンゲルならではの嗅覚で慎重に慎重を課す雰囲気がとても親近感が湧くのだ。その中で彼は若さ故の大きな一歩を踏み出した。目的地への道中から何まで美しい文書、素敵な自然(蚊は多そうだけど)、慈愛に溢れた人に囲まれてスタートした彼には嫉妬してしまいそう。だけれども、それは彼が慎重ながらも大きな決断をしたからこそ得られたものであり、更には彼の性格のおかげでもあるのだ。
とても勇気を貰えた。この勇気のおかげで、私もひとつ大きな冒険、というか挑戦に今踏み切ることが出来た。どうなるか、結果はわからん。自分次第。 -
Posted by ブクログ
憧れの写真家に弟子入りすべく旅立った大竹英洋さん。本書は、大胆・無謀とも思える3ヶ月に及ぶ北米ノースウッズへの旅を記した紀行文です。大変素晴らしい内容でした。
単なる冒険譚や苦難を乗り越えたサクセスストーリーでもありません。やりたいことを必死に考え、目標に向かっての決断・行動は必然だったのでしょう。文章が瑞々しく、真摯さ・誠実さが人柄として滲み出ており、その姿勢が人との出会いと学びをもたらし、運命を動かしていきます。
特に、たった一人で臨んだ8日間のカヌー紀行の部分からは、自然の美しさや厳しさなど、豊かな情景が臨場感溢れるように伝わり、読み手も自然への畏敬の念をもたずにはいられません。ちょうど、『旅をする木』の星野道夫さんが、アラスカを舞台に大自然の営みや風景を見事に描写したことに通じている気がします。
「人生に寄り道は必要だ」に100%共感します。自分自身や対象・夢としっかり対峙し、年齢を問わず、一歩踏み出そうとする全ての人に本書をおすすめします。 -
Posted by ブクログ
著者の大竹英洋さんの写真集が欲しいと思い検索すると、福音館書店の「たくさんのふしぎ」シリーズが出てくる。その時は同シリーズの「ノースウッズの森で」を購入したが、本書は復刊の予告が出ており、心待ちにした復刊だ。
本書に現れる旅人は14歳のころから、毎年、春と秋に3週間のカヌー旅に出かけるという。カヌーには食料やテント、薪ストーブまで積み込んでいる。なんて素晴らしい人生だろう。カヌー旅を通して北米大陸北部のノースウッズの魅力が伝わってくる。カヌー旅の自由が伝わってくる。顔がこわばるほどの張りつめた空気や、首筋を流れる冷たい雨、閉じた瞼越しの柔らかな陽光が伝わってくる。
わが身を、アウトドアにおきたい衝動に駆られる一冊。 -
Posted by ブクログ
大竹英洋(1975年~)氏は、京都府生まれ、東京都世田谷区育ち、一橋大社会学部卒。大学卒業後、写真家を目指して北米大陸のノースウッズを訪れ、以降度々同地に滞在して撮影活動を行い、ナショナルジオグラフィック日本版や写真絵本等で作品を発表してきた。本書『そして、ぼくは旅に出た。』で梅棹忠夫・山と探検文学賞(2018年)、日経ナショナルジオグラフィック写真賞2018ネイチャー部門最優秀賞(2019年)、写真集『ノースウッズ 生命を与える大地』で土門拳賞(2021年)を受賞。
本書は、ナショナルジオグラフィック日本版のウェブサイトで、「ノースウッズの森へ」と題して2011年5月~2015年2月に連載されたものを加筆修正し、2017年に出版、2022年に文庫化された。
内容は、今や著名な自然写真家となった著者が、大学を卒業してすぐに同地を単身で訪れ、世界的な写真家ジム・ブランデンバーグと探検家ウィル・スティーガーに出会い、一緒に暮らし、様々なことを学んだ日々を振り返った、いわゆる体験記で、著者が、なぜ大きな自然に憧れ、写真家を目指すようになったのか、また、なぜその場所が「ノースウッズ」だったのかが、自ずから明らかになって行くものである。
私はアラ還の会社員でありながら、本書のような若者の体験記・冒険記をいまだに好んで読むし、読む年齢に関わらず様々な刺激が得られることは確かなのだが、この類の本には、もし若いときに出会っていたら(更に、本に出会ったことによって、自分も同じような体験をしようとしたなら)、自分の人生は異なるものになっていたかも知れないと、しばしば思わせられる。それは、植村直己や星野道夫や石川直樹のような大自然を相手にした人たちのものに限らず、沢木耕太郎の『深夜特急』などでも同様だが、10代なら10代、20代なら20代でしか感じられないことは少なくないからだ。本書では、そのときの著者の悦びや不安などの心情が、飾ることなく、率直に描かれており、そういう意味でも好感度は高い。
また、本書で目に留まったことの一つに、このフィールドで古典・名作と呼ばれている著作が引用されていることがある。アラスカの自然を撮り続けた星野道夫の『旅をする木』、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』、ヘンリー・D・ソローの『ウォールデン 森の生活』等である。
若いうちに読むことをお奨めしたい一冊である。
(2025年1月了)