あらすじ
まわり道しなければ、たどり着けない場所がある――。
若き日の著者の、人生を決めた旅立ちの物語。読んだ人に深い感動と変化をもたらした話題の書。
第七回梅棹忠夫・山と探検文学賞受賞作。
大学4年のある日、オオカミの夢を見た。自然写真家を目指していた著者は、導かれるように1冊のオオカミの写真集と出会う。「ダメもとくらいの挑戦をしないと、人生は面白くない」と語る著者は、その世界的な写真家ジム・ブランデンバーグに弟子入りを直接志願するため、単身アメリカに旅立つ。
ミネソタ州北部に広がる森と湖の世界「ノースウッズ」の入り口へたどり着き、ジムの家がその先にあると突き止めると、カヤックにキャンプ道具を積み込み、水上の旅へ。深い北国の森と無数の湖、様々な野生動物との出会い。8日間の旅の末にたどり着いた場所で、ついにジムとの対面を果たすが――。
臨場感あふれる自然描写、不安に揺れ動く心情を正直に素直に描く、著者のかざらない姿に、いつしか共感し励まされる。自分の足で歩き、自分の目で見て、人と出会うことの大切さを教えてくれる、人生の羅針盤となりうる一冊。
著者による「文庫版あとがき」追補。
解説:松家仁之(小説家)
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Posted by ブクログ
そして、僕も旅に出たくなる、一冊(爆)
読んでいて、とにかく気持ちがいい。
最近、芥川賞小説になぜかハマって、そればかり読んでいるんだけど、芥川賞といったら、芥川龍之介だ。
あの辛気臭い顔そのままの小説ばかり読んでいると、人間がせせっこましくなる(爆)
いや、これまで読んだそれらの小説は辛気臭いものではないんだけどさ。
でも、読んでいると、(このクソ暑い空の下でもいいからw)思いっきり伸びをしたくなるって言うかさ(^^ゞ
文学っちゅーのは、やっぱり自分には合わないんだなぁーって(爆)
ま、それはそれとして。
森の匂いがしてくる、描写がすごく新鮮。
あと、わらしべ長者みたいに、著者が次から次へと出逢いを経て夢へと近づいていくストーリーになっているのがいいんだよね。
もちろん、実際はいいことばかりではなくて。
嫌な人に出会ったり、嫌な思いもしたはずだ。
ただ、あとがきの最後、
“たとえ年齢がいくつであっても、どんな時代であっても、目標に向かって一歩を踏み出そうとする人の手に、この本が届くことを心から願っている。”とあるように。
著者はなにより、バカな夢を見ることの大切さ。そのバカな夢を叶えるために一歩を踏み出す勇気を読者にわかってほしくて、この本をこんな風に書いたんだろう。
著者はもちろんそんなことは書いていないけど、スマホ見てる間に人生終わっちゃうぜ、みたいにさ(爆)
嫌なヤツや嫌なことなんて、本当に楽しい体験をすればどーでもいいことになる。
それは、著者のようなスペシャルな旅でなくても、普通の日常でも同じはずだ。
自分が楽しむための一歩を踏み出す勇気。
今、一番必要なのはそれなのかもしれない(^^)/
Posted by ブクログ
アメリカとカナダの国境にある無数の湖と豊かな自然があるノースウッズ地域、カヌー旅、動物、植物、空など自然の撮影といった未知の世界を教えてくれた
Posted by ブクログ
初々しい感性が読んでいて清々しかった。
著者の率直さが、最初の一歩を踏み出させ、憧れの人物まで辿り着かせ、大きな夢へ近づいていったんだろうな。
著者が行動を起こした1999年はまだSNSなどもなかったようで憧れの写真家に手紙を出してコンタクトを図る。今ならDMが送れるかもしれない。。。
著者の写真集も見てみたい。
オオカミには会えたのかな。
ブーツを履いて歩き出せ。
知ることよりも感じることのほうが重要。
人生の悲劇は苦しみではなく見過ごすこと。
心をクリアに。
2024.4.2
Posted by ブクログ
冒険チックな本が大好きだ。石川直樹に沢木耕太郎、星野道夫など。今まで星5を付けた数少ない本の多くが冒険に関する本だった。そして、この本もそのひとつに加わった。
彼らの本は今、この地に自分がいる一方、世界の彼方には全く異なった世界があることを伝えてくれる。当たり前のことなんだけど、冒険家の本を読むと情景がトロトロと浮かび上がり、自分もその世界に指先を触れた気になれる。それが好きだ。
ただ、この本には他とは違う点がある。彼の身自体、ワンゲルならではの嗅覚で慎重に慎重を課す雰囲気がとても親近感が湧くのだ。その中で彼は若さ故の大きな一歩を踏み出した。目的地への道中から何まで美しい文書、素敵な自然(蚊は多そうだけど)、慈愛に溢れた人に囲まれてスタートした彼には嫉妬してしまいそう。だけれども、それは彼が慎重ながらも大きな決断をしたからこそ得られたものであり、更には彼の性格のおかげでもあるのだ。
とても勇気を貰えた。この勇気のおかげで、私もひとつ大きな冒険、というか挑戦に今踏み切ることが出来た。どうなるか、結果はわからん。自分次第。
Posted by ブクログ
著者の行動力に圧倒される。そして旅に出たくなる本です。
本を読んでから、海外でカヌーで旅がしたくなりました。
自分の知らない世界がこんなにあることを知れるのはワクワクが止まりません。
そして、僕も旅に出た。となります。
Posted by ブクログ
夢中で読み切ってしまった。
単なる旅行記ではなく、周りの人たちの助けも得ながら、著者がひとつひとつ成長していく記録でもある。
著者の行動力と素直さには敬意しかない。
できない、というより「やらない」言い訳をつい探してしまう自分を反省。。
本作中で出てくる「森の生活」や「センス・オブ・ワンダー」なども、ぜひ読まねば…!
しばらくノンフィクションで忙しくなりそうだ。
Posted by ブクログ
憧れの写真家に弟子入りすべく旅立った大竹英洋さん。本書は、大胆・無謀とも思える3ヶ月に及ぶ北米ノースウッズへの旅を記した紀行文です。大変素晴らしい内容でした。
単なる冒険譚や苦難を乗り越えたサクセスストーリーでもありません。やりたいことを必死に考え、目標に向かっての決断・行動は必然だったのでしょう。文章が瑞々しく、真摯さ・誠実さが人柄として滲み出ており、その姿勢が人との出会いと学びをもたらし、運命を動かしていきます。
特に、たった一人で臨んだ8日間のカヌー紀行の部分からは、自然の美しさや厳しさなど、豊かな情景が臨場感溢れるように伝わり、読み手も自然への畏敬の念をもたずにはいられません。ちょうど、『旅をする木』の星野道夫さんが、アラスカを舞台に大自然の営みや風景を見事に描写したことに通じている気がします。
「人生に寄り道は必要だ」に100%共感します。自分自身や対象・夢としっかり対峙し、年齢を問わず、一歩踏み出そうとする全ての人に本書をおすすめします。
Posted by ブクログ
写真家になるきっかけとなったミネソタ州のノースウッズへの旅行記(というのだろうか)。
ノースウッズで出会ったジムとウィルと過ごした日々、彼らから得た経験は貴著なものだったのだろうと思う。著者の行動力、いろいろな人と出会えた幸運。また、何かをしてもらえたという著者の人間性もあったのだろうと思う。
読みやすくてよかったが、文章が軽すぎる感があり、ほんの少し残念。
よい仕事ができるようになるまでには、とにかく時間がかかる。
ブーツを履いて、歩き出せ。
ウィルの言葉。
Posted by ブクログ
大竹英洋(1975年~)氏は、京都府生まれ、東京都世田谷区育ち、一橋大社会学部卒。大学卒業後、写真家を目指して北米大陸のノースウッズを訪れ、以降度々同地に滞在して撮影活動を行い、ナショナルジオグラフィック日本版や写真絵本等で作品を発表してきた。本書『そして、ぼくは旅に出た。』で梅棹忠夫・山と探検文学賞(2018年)、日経ナショナルジオグラフィック写真賞2018ネイチャー部門最優秀賞(2019年)、写真集『ノースウッズ 生命を与える大地』で土門拳賞(2021年)を受賞。
本書は、ナショナルジオグラフィック日本版のウェブサイトで、「ノースウッズの森へ」と題して2011年5月~2015年2月に連載されたものを加筆修正し、2017年に出版、2022年に文庫化された。
内容は、今や著名な自然写真家となった著者が、大学を卒業してすぐに同地を単身で訪れ、世界的な写真家ジム・ブランデンバーグと探検家ウィル・スティーガーに出会い、一緒に暮らし、様々なことを学んだ日々を振り返った、いわゆる体験記で、著者が、なぜ大きな自然に憧れ、写真家を目指すようになったのか、また、なぜその場所が「ノースウッズ」だったのかが、自ずから明らかになって行くものである。
私はアラ還の会社員でありながら、本書のような若者の体験記・冒険記をいまだに好んで読むし、読む年齢に関わらず様々な刺激が得られることは確かなのだが、この類の本には、もし若いときに出会っていたら(更に、本に出会ったことによって、自分も同じような体験をしようとしたなら)、自分の人生は異なるものになっていたかも知れないと、しばしば思わせられる。それは、植村直己や星野道夫や石川直樹のような大自然を相手にした人たちのものに限らず、沢木耕太郎の『深夜特急』などでも同様だが、10代なら10代、20代なら20代でしか感じられないことは少なくないからだ。本書では、そのときの著者の悦びや不安などの心情が、飾ることなく、率直に描かれており、そういう意味でも好感度は高い。
また、本書で目に留まったことの一つに、このフィールドで古典・名作と呼ばれている著作が引用されていることがある。アラスカの自然を撮り続けた星野道夫の『旅をする木』、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』、ヘンリー・D・ソローの『ウォールデン 森の生活』等である。
若いうちに読むことをお奨めしたい一冊である。
(2025年1月了)
Posted by ブクログ
壮大な冒険に出た感覚になった。
紀行文なので淡々としていて読むのに時間がかかった。けれど、読まなければ知らなかった、自然の大きさとか、野生動物の生き様とか、
大きな想像ができました。
私もいつかノースウッズに行ってみたいなと
本当に思いました。
現地で過ごす人の人柄とか自由さとか、そういった熱い人格を知れたのもよかった。総じて面白かったです!
旅に出た理由
筆者が太平洋を越えて極寒の地に向かった理由――夢で狼が語り掛けて来たから。
それをお告げとして、実際に向かってしまう行動力。
筆者の経歴を見るに、どうにもエリート街道を歩いてきた人なんだろうなって想いが浮かんでしまう。
とにもかくにも、行動力凄いな。
Posted by ブクログ
さわやか。読んだ後、あー旅しよう。って思える。
南米縦断の旅に出る前に立ち寄った韓国で読み終わり、そこのホステルで次の人へ渡すため本に手紙を添えて置いてきたけど、次の人の旅の活力になれば良いなと思います。
Posted by ブクログ
文庫本で450ページ以上もあり、読み始めは、失礼ながら飽きてしまって終わりまで読み続けることができるかなと思っていたのですが、著者の誠実さからか、途中から応援しながらペースが上がり読みきってしまいました。北アメリカの大自然を見てみたい気持ちになりました。でも、マネはできませんけど。