兼本浩祐のレビュー一覧

  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    これは中身に対して題名が軽過ぎる印象にある。
    実態は定型発達と非定型発達の差異から垣間見る人間としての哲学論考に他ならない。
    ただ題名だけをみると精神学の本に見えなくもない。これはかなり重めの哲学書であることは踏まえておかないと読むのは苦痛になるだろう。

    さて、ADHD当事者としては「せやろか」の連続であることは否めない。さもありなん、カントの例も出てくるが、我々は言語化し得ないファジーな感性の中に揺蕩う一次的感覚を他者に伝達する上で削ぎ落とされる情報と付加される虚偽が生じるのだから。

    なので、正確に発達障害と健常発達の病理を明かすと言うよりは、理論立ての遊戯を眺める感覚の方が良いかもしれ

    0
    2024年07月17日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    ■ベーシック・トラスト(基本的信頼)とは、エリクソンが言い始めた精神科用語。
     具体的には、自分は何か価値ある存在だとあえて証明しなくても、自分とは生きる価値のある、いいものだと思える基本的な自分への信頼感のこと。
     子供の養育者が子供に充分「いいね」を言って育てるとベーシック・トラストは醸成され、そうでないと、自分が生きるに値するいいものであることを、子供はその後の生涯をかけて証明しなくてはならなくなる。

    0
    2023年10月01日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    とても面白かった。
    健常発達を一つの特性として捉え直すことで、普通に生きることの困難さ、生きづらさについて考えていくような流れと感じました。
    大きな物語で自己をバラバラにならないようにしていた昭和と比較し、令和はいいね!と言った他者評価により自己をバラバラにならないようにしていくという流れと理解しました。
    他者を取り込み自己を形成していく過程を超え、あまりに多くの他者像に触れてしまう現代においては、自己をどのようにも形成できてしまう(ように錯覚してしまう)自己形成における自由の刑に処せられているように思えます。また、少し前ならドラマ、今ならSNSで提供される普通は、とてもハードルが高いと個人的

    0
    2023年08月15日
  • 発達障害の内側から見た世界 名指すことと分かること

    Posted by ブクログ

    脳の物理的側面と感覚的な側面。なんとなく、脳というものは限界がなくてがんばれば改善できるような気もしてしまうが、薬などできちんと介入しないと改善できない、それどころかそう考えていると(薬が必要な状況なのにそれなしになんとかしようとしていると)危険なケースもあるということ。。

    0
    2020年02月06日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    「発達障害とはどういうものか?」という内容だという認識で読み始めました。
    そういったことの解説もあるのですが、もっと踏み込んで、「そもそも人間の欲求ってどのように生じるのか?」といった哲学的な問いから「普通の人って何なんだろう?」というところに及んでいて、とても勉強になりました。

    0
    2025年09月25日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    発達障害が脚光を浴びるようになってそれについての話はよく見聞きするようにもなりましたが、健常発達もまた病と言えるのでは!?という切り口は良かったです。AちゃんにBちゃんの話も分かりやすかったです。あと、見てないドラマですが牡丹と薔薇の例えも分かりやすかったような気がします。でも、他の方も書いているように、後半は難解でした。心理学の本によく出てくる「〇〇的な」という例えがその前に説明はされてあるのですが覚えられません。デカルト的コギタチオも予備知識のない自分には意味不明でした。最後の終わり方もなかなか、、、。

    0
    2025年08月16日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    精神科医の書いた本でこのタイトルなので医学的アプローチの本かと思えば、発達障害を社会モデルで捉え、さらにその「社会」について哲学的な考察を重ねていくといった本であった。
    ギャップに面食らったが、内容自体は興味深い。
    健常発達の「健常」とはなにか、そもそも人を健常たらしめている力学とは(筆者はそれを社会からもたらされる承認=いいねであると述べる)などなどが語られる。
    昭和の時代は社会的に推奨される堅固なロールモデルがあり、それに沿えば承認されていたが、多様性の令和の世となった結果、むしろいいねを獲得するのは個々人の創意工夫が必要となり困難になった(故に発達障害的言説も顕在化している)というあたり

    0
    2024年08月08日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    難しい部分もあったけど、総じて普通なんてものはなく、すごく地続きに色々な性質の人がいるイメージを持てた。

    自分の幸せは自分で決めたい。

    1
    2024年05月08日
  • なぜ私は一続きの私であるのか ベルクソン・ドゥルーズ・精神病理

    Posted by ブクログ

    私が一続きの私である、というのは決して自明のものではない。「意識」というものを通じて、われわれはどのようにして、この一続きの私を獲得しているのかという問いを、精神病理や哲学の領域から問い直すことがこの本の目的と言えるだろう。著者はその考察の中で、哲学者のベルグソンやドゥルーズ、フッサール、ハイデガーまで援用するが、一方、アントニオ・ダマシオやジェラルド・エーデルマンといった脳神経科学者が得た知見も重視する。

    本書の最初に置かれた色見本タグを自由に分類する課題について、統合失調症の患者が普通の健常者とはまったく別の分類をしてみせるという説明は、まずわれわれの常識というものが何らかの当たり前では

    0
    2019年01月28日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    作者の方の広範な知識と洞察が披露されるが読解力皆無なため、自分には猫に洋服を着せるが如く無理があった。ドーパミンの辺りとかは興味深かった。
    本書の伝えたい事とズレてるかもしれないけど、情報の過剰さが「普通」という枠を狭めている気がする。

    0
    2025年12月08日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ほとんど無知の状態でこの本を手に取ったので、意外とも思える方向に話が進んで不思議だった。哲学、文学、絵画、アート、芸能などからも根拠を引っ張ってくるような感じなので、真に理解するには読者にも幅広い知識が必要なのではないかと思う。
    対人希求性や精神鑑定の話、ドーパミンの移行、ベーシック・トラストなどの話は興味深く読めた。
    第三章まではそうやってついていくことができたけれど、途中からテーマが変わったように感じられ、話は飛躍していき、読みにくくなっていった。結論があやふやに思える。
    人間のことを知っていこうとすればするほど、人間のことが分からなくなっていく。そんな感覚にもなった。でもここに生きている

    0
    2025年11月04日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    普通とはなんだろうかという問いの一つの解釈として精神科医の視点で解説し問題的提起をする。
    発達障害は年々増加傾向となり、直近の厚生労働省の令和4年(2022年)「生活のしづらさなどに関する調査」によれば、医師から発達障害と診断された人の推計数は約87万人で、前回(平成28年、2016年)の約48.1万人から倍近く増えている。現在(2025)においても増加傾向であることは揺るがないだろう。
    さて、本著は発達障害ではない健常者という普通の人について焦点を合わせた内容である。普通とはどういう状態かを本著では解説している。現代において、特にスマホやSNSが大きく発展し承認欲求や同調圧力による生きづらさ

    0
    2025年09月21日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    序盤はわかりやすい例えで読みやすかったのですが、以降はなにがなにやら理解が追いつかず、とりあえず文字を追う感じで読み終えました。
    ということで、なにが書かれていたのかいまいち要点を掴みきれず(わたくしの理解力のせい)、とりあえず納得できたのは、ADHD特性と健常発達特性を状況によって使いわけていけたらいいよね、との論でした。

    0
    2025年06月22日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    ”定型発達の特性を持つ人も負けず劣らず病的になることがあるのではないか、この本で取り扱いたいのは、こういう疑問です”
    ADHDやASD、いわゆる非定型発達という概念が浸透してきた。それに対して、定型発達の特性が過剰な人の特性についても紐解いていくという本
    興味深かったのは脳内のドーパミン放出に関するところだった。健常発達(本のなかで著者があえてこう書いている)は自分がなにかに直接触れて感じた快・不快を、すぐにまわりの多くの人が良しとする行為や目標へ置換される。これが躾のしやすさやルールを守ることにつながりやすいが、つまりそれは、社会制度的な正しさが自分の実感と深く結びついてしまい、自分が本来何

    0
    2024年09月30日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    むっちゃむずいけど、人間でいることに疲れてもいいんだ、と思えた
    こんなに人の目を気にして、悩んでいるのは自分ひとりだとおもっていたから

    0
    2024年09月20日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    中盤までは良かったんですけど後半はなかなか理解し難かったです。
    ですが自分がいかに周りを気にして生きているかを知り、たまにはそうでない人を真似してみるのも人生の見方が変わっていいかもなと思いました

    0
    2024年08月13日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    ADHDを知りたい気持ちから『健常発達という病』とのサブタイトルに惹かれ、手に取ってみました。健常発達の観点から逆説的にADHDが浮き上がって見えてくるのでは?と思ったのですが、どちらかというとタイトル通りでした。無いことはなかったのですが。

    期待した方向とはやや違ったものの、新しい知識を得られる事は面白く、難解ではありましたが興味深く読みました。
    第四章で伏線回収、第五章でまとめといった感じでしょうか。
    例えに出てくるテレビ番組も有名な哲学者の本もあまり知らず、少なくともテレビ番組を知っていればもっと楽に想像を膨らませて読めただろうと思います。

    行き過ぎた健常発達の怖さとそれに付き合わね

    0
    2024年05月29日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    私には難しい内容でしたが、懐かしい題材がありました。普通とは何か、発達障害とは何か、これからも考えていきたいと思います。

    0
    2024年05月12日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    【目次】

    第一章 意地悪と健常発達者

    第二章 ニューロティピカル症候群の生き難さ

    第三章 ほんとうは怖い「いいね」と私

    第四章 昭和的「私」から「いいね」の「私」へ

    第五章 定住民的健常発達者とノマド的ADHD

    0
    2024年04月19日
  • 普通という異常 健常発達という病

    Posted by ブクログ

    第二章の「ドーパミン移行欠陥仮説」が興味深い。
    後半にいくにつれて難しくなり読み込めていない。
    「発達」「健常」それぞれの特徴のどちらが普通で生きやすいのか、はそのコミュニティによるよな、などとごくありきたりな事を思ったり。
    時間をおいて再度したい。

    0
    2023年12月15日