発達障害の内側から見た世界 名指すことと分かること

発達障害の内側から見た世界 名指すことと分かること

1,815円 (税込)

9pt

4.0

精神科医が自分を振り返り自らに「発達障害」という診断を下したとき、自分というもののあり方、他者との関係や理解はどのように見えてくるのか。
ASD(自閉症スペクトラム)、ADHD(注意欠陥多動障害)、DCD(発達性協調運動障害)などの診断名で呼ばれる「発達障害」は病気ではないし、必ずしも「障害」ではない。脳のスペックの傾向であり、そのスペックに適した環境に置かれていないがゆえの不適応と考えるほうがはるかに実態に近い。
私のスペックは、たとえば精神科医、牡羊座、A型、DCD、右利き、日本人、大学教授などさまざまに表される。しかし、その中の一つに焦点をあて人としての本質として前景化した形で周りから名指されてしまうと、その「分かられ方」は自分からは切り離され、独自の存在として扱われることになる。
物事を認識すること、人を理解することにおいて、人間の思考の営みは常になにかを捨て去り、排他的に対象を輪郭づけようとするのではないか。ゆで卵が生卵からゆで卵に変貌する臨界点はどこにあるのか。
人工的に作られた名前が必ずしも「定義」から出発しているとはかぎらず、定義もまた定義づけられた瞬間からその「過不足のなさ」は揺らぐことになる。
人を了解すること、人を説明すること、それらの間にはなにか質的な違いがあるのではないか。また自分が自分を分かるということはじつは大きな謎であり、他人のことが分かることの謎へと連続的に連なっている。
本書は、著者による発達障害の自分史を事例としてつつ、「私」あるいは「私」と他者との関係の「分かり方」を考察する。名指すことによって分かるのでなく、繰り返し語らい合い、ともに眼差すことによって「分かる」ことへと接近するだろう道筋を探って。

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発達障害の内側から見た世界 名指すことと分かること のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2020年02月06日

    脳の物理的側面と感覚的な側面。なんとなく、脳というものは限界がなくてがんばれば改善できるような気もしてしまうが、薬などできちんと介入しないと改善できない、それどころかそう考えていると(薬が必要な状況なのにそれなしになんとかしようとしていると)危険なケースもあるということ。。

    0
    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2020年03月29日

    発達性協調運動障害であった精神科医の著者。
    発達性協調運動障害とは、例えば、、、
    ・逆上がりが出来ない。
    ・とび箱が飛べない。
    ・球技が苦手。
    ・紐が結べない。
    など。


    実は、僕も全く同じで、
    特に野球やバスケットボールなど、分担・役割が決まっているものは大の苦手でした。今なら僕も発達性協調運動...続きを読む

    0

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