兼本浩祐のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ADHDを知りたい気持ちから『健常発達という病』とのサブタイトルに惹かれ、手に取ってみました。健常発達の観点から逆説的にADHDが浮き上がって見えてくるのでは?と思ったのですが、どちらかというとタイトル通りでした。無いことはなかったのですが。
期待した方向とはやや違ったものの、新しい知識を得られる事は面白く、難解ではありましたが興味深く読みました。
第四章で伏線回収、第五章でまとめといった感じでしょうか。
例えに出てくるテレビ番組も有名な哲学者の本もあまり知らず、少なくともテレビ番組を知っていればもっと楽に想像を膨らませて読めただろうと思います。
行き過ぎた健常発達の怖さとそれに付き合わねばならないしんどさ。キツいよなぁ… -
Posted by ブクログ
タイトルに魅かれて読んでみた。
正直、文章が読みづらく、前提知識を必要とするパートが大部分を占めていて、軽い気持ちで手に取ると頭に入らないかもしれない。ただ、それでも健常発達者をスタンダードなモデルにすることなく、一つの類型として捉えて評価する視点は新鮮だった。
健常者の特徴の一つに「対人希求性」(いいねを求める)が挙げられるが、それがあるべき姿なのかと問われると素直に肯けない自分がいる。それよりも自分の興味にしか気持ちが向かず、他人の評価が意識に入らない発達障害者の方が健全に見える。
健常発達者の「空気を読む」「いいねをもらう」は、共同体を維持するためには必要な能力なのかもしれないが、幸せになるための能力かと問われると悩んでしまう。
・いじわるコミュニケーション
・対人希求性
・色、金、名誉 -
Posted by ブクログ
ADHDやASDに対する「健常発達」という異常。
相対的なものとして考えてみませんか、という本書。
極めつけが、アメリカの自閉症協会による「ニューロティピカル症候群」の定義。
ニューロティピカル症候群は、1万人のうち9624人に発生するという。社会的懸念へののめり込み、妄想や強迫観念に特徴付けられる、神経性生物学上の障害。←定型障害のヒトたちのことだけど。
ニューロティピカル症候群の人は、いじわるコミュニケーションとか、「いいね」とか、対人希求性とか、本音と建前とか、「色、金、名誉」に囚われてて、よっぽど病んでるよね、と。
生きづらくて、とてもしんどいですわね、と。
「他人からどう見えるのか」より自分の興味や関心ごとに拘る発達障害と言われている人の生き方を参考にすると、もしかするとそのしんどさから抜け出せるのかも。
おもしろかった。
♪FISH DANCE/THE BOOM(1989) -
Posted by ブクログ
ネタバレ発達性協調運動障害であった精神科医の著者。
発達性協調運動障害とは、例えば、、、
・逆上がりが出来ない。
・とび箱が飛べない。
・球技が苦手。
・紐が結べない。
など。
実は、僕も全く同じで、
特に野球やバスケットボールなど、分担・役割が決まっているものは大の苦手でした。今なら僕も発達性協調運動障害と診断されるかもしれませんね。
僕は、それが影響してか、ずっと自信のない子ども時代でしたし、特に男性としては全く自信が無かったので、一生独身なんだろうと子どもながらに思い込んでいました(笑)。
まあ、こんな僕でも惚れてくれる女性が現れて、3人の子の親となれたのは、子どもの時の僕からすれば、夢物語に思えるでしょうね。
本書では発達障害のたとえとして、スポーツカーと普通車と耕運機が、高速道路と田んぼを走る場合について書かれています。
高速道路で耕運機を走らしたり、田んぼでスポーツカーを走らすと、それぞれの特性は障害となります。
動物は精子と卵子が受精する時に、必ずどちらの親とも異なる遺伝子の変化を起こし、種の多様性を作り出します。
この多様性が様々な環境変化の中でも、生き残る生物があり、進化をもたらします。
ヒトの能力には必ず凸凹がある。それは、その子が劣っているのではなく、多様性の一つなのだと理解し受容する豊かな人間社会が、いつかやってくることを望みます。
あと、本書のテーマは、発達障害や心の病気に対して、「診断すること」「了解すること」の是非についても書かれています。
心理やキャリアのカウンセラーの養成スクール等で、精神科領域での様々な病名について教えていますが、この診断と了解について教えていないのはとても危険な事だと考えています。
そもそも診断とは何か?
異常と正常の線引きとは何か?
診断(線引き)はどんな時に必要で、患者(クライエント)にとって利益となり不利益となるのか?
そして、患者(クライエント)が了解する事にどんな意味があるのか?
これを考えずに、人の心の専門家となるのは、時に自分が言葉というナイフを振り回している事に気づいて欲しいと思います。