エルヴェルテリエのレビュー一覧
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ネタバレ検索を厳禁な小説です うっかり目につかないように、手早く読み進めようとしたのですが、物語は各人に迫って、短めに追っては次に移っていくので、垣間見える異常への関心を抱いても、前のアイツに興味があっても、ソイツには興味ないんだなぁという気持ちが湧いて、読み終えるまで、季節が移ろう程の時間がかかりました
作品として描かれている中で、フランスの小説の中での紋切型なアメリカや中国への印象が興味深かったです、日本についてもチラっと出てきて、こっちが花の都パリの豊かなライフスタイルしか想像しないのと同様に、向こうも浅く日本を切り取って、たまにニュースと関連付けて思い出すぐらいの関係なのだろうなぁと思 -
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ネタバレ一部のラスト(180Pくらい!)までは苦痛だった。
物語がどこに向かうのか、ともかくわからない。
数ページごとにシーンが変わり、登場人物が変わり、それぞれの人物の物語もぶつ切り。わかりづらく、わからない。全体を通しての客観的すぎる文体も手伝い、「?」が続き、正直なところ2回くらい読むのやめよっかなと思ったりしました。
一部の最後、一つの異常な出来事にゾクゾクする。
そして二部。一部で出てきた人物たちの深掘りが進む。この出来事に一部のシーンがつながっていく。なんせ最初はわかりづらかったので、確認のために何度も一部のそれぞれのシーンを読み返してしまう。
個人的に好きな要素も出てきたりして、この -
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フランス発の不可思議小説。
11名の運命を描く。
何かを書くことが即ネタバレになりそうなので書けないが、はじめは読むのが面倒に感じるくらい緩慢だが、1/4を過ぎたあたりから事態は急展開を迎えて面白くなってくる。
ところどころ出てくるユーモアが基本的に風刺というか皮肉が効いているし、多少偏見かもしれないが、フランス人は本当に皮肉とタブーと不平・批判が好きなんだなあと本書を読むとしみじみと感じる。
現代においても我ら東洋の国々と西欧の文化や価値観の違いに如実に表れていて面白い。
そして後半ラストは我ら個々の人生に対するテーゼであり、熟慮できたのもよかった。 -
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ネタバレSFデカルト2.0
我々はプログラムにすぎないのだろうか。
仮に私たちがプログラムであるとして
私たちがゲームキャラクターを思い通りに操作できても自分達自身は自由に操作できない。
同様に私達が上位存在に操作されていたとしても彼らは彼ら自身を自由に操作できないのでは。
だからプログラムであろうがなかろうが完全に自由な存在などいないのだからその中でどうにか生きてゆかねばならない。
キャラクター同士のクロスオーバーが少なく「異常」にたいしてのオムニバス形式という感が強かった。故に読みやすいのだろうけど。
誰か1人でも読んでて刺さる人がいるかもしれない。
ラストの撃墜すると世界終焉エンドは気が利 -
Posted by ブクログ
ネタバレまず、シミュレーション仮説、世界線(人物)の分岐を扱ったエンターテインメントSFとして面白い。第一部の核心に触れるまでに不穏さが高まっていく感じがよかった。
後半に入り、何が起きたのかが明らかになってからはコピーが生まれてしまった人間たちそれぞれの自分との向き合い方に焦点が移る。複製との協力関係を選ぶものもいれば、隔離、あるいは抹殺という選択をするものもいる。この選択は自分の絶対性をいかに信じているかによるのかもしれない。ブレイク(おそらくサイコパス)は自分の絶対性を信じて疑わない。だから複製を抹殺した。アンドレは自分の過去の行いを悔いていた。だから複製にアドバイスを与え、同じ轍を踏まないよう -
Posted by ブクログ
ネタバレ本筋のSF部分は言うまでもなく大変面白い。
一方で、それを差し置いても心理描写がとにかく多彩で、ヒューマンドラマ小説としても十分に楽しめた。
多様な比喩表現で登場人物たちの心の機微をありありと伝えてくれた。
例えば、粗雑な性格をした夫を持つ女性の話などは特に沁みた。
若かりし頃、夫が自分のために詠んでくれた詩が、実はただの引用だと知った時の虚しさ。
かつて心優しかった夫は今や乱暴な男性へと成り果てた。
そんな夫を受け入れるために、自分の中で気持ちの落とし所を探る、苦痛で愛の無い作業を繰り返す。
この手の描写を多様な比喩を用いて、懇切丁寧に人物を描いている。
そのため、ヒューマンドラマ群像劇