エルヴェルテリエのレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
想像を裏切られる
「第一部のラストで思わず本を落とした」という小島監督などの帯コメントにひかれて購入。
SF読みなので一部のラストでめちゃくちゃ驚いたかというとそうでもなかったけど、その後の展開がすばらしい。
私を含む多くの読者が(なんで? どうしてこうなったの?)と期待するタネ明かしが本筋ではなく、(巻末解説にもあったが)それにどう立ち向かうかを作者は描きたかったのだ。そこが目ウロコでおもしろかった。そういう物語でもいいよね。
多岐にわたるジャンルへの作家の博識もすばらしいが、訳者のなめらかな翻訳がさらにすばらしい。
おかげで様々な文体ジャンルを含む物語をすらすらと読めた。
(アンドレの日常だけ、興味が持てな -
Posted by ブクログ
殺し屋、ポップスター、売れない作家、軍人の妻、がんを告知された男……なんのつながりもない人びとが、ある飛行機に同乗したことで、運命を共にする。飛行機は未曾有の巨大乱気流に遭遇し、乗客は奇跡的に生還したかに見えたが――。ゴンクール賞受賞作
第一章で、登場人物の紹介めいたエピソードが延々と続くので、受け付けない人は脱落するのでは。
私は割りと、ふむふむと楽しく読み込むタイプなので苦にならず。
第二章で何が「異常」なのかが明らかになり、第三章では「ダブル」同士での落としどころ、それぞれが語られる。
私はシンプルな解決方法を選んだブレイクが好きかも。
そして各自「マーチ」と「ジューン」のその後が語 -
Posted by ブクログ
ネタバレそうとう厄介な作品だ。
が、読み終わってみると、それなりの満足感がある、とも言える。
本書は、巻末の、あとがき、解説の世話にも大いになった。ご丁寧に、それらも、ここまでは第一部を読んでる途中の人へ、とか ここから先は結末に触れているなど、読者が頼ってくるだろうことを想定して書いているところも面白い。それだけ、厄介な、というか、途中で放り出したくなる序盤なのだった。
とにかく第一部は我慢して読んでみること。そして第二部は、あくまで建付けにすぎず、核心は第三部にある、と我慢に我慢が必要な作品だ。
訳者あとがきで、この先注意、とある先に書いてあることではあるが、これは先に知って読んでもよ -
Posted by ブクログ
ネタバレ3.5くらい
読むのに時間かかった。物語の加速パートに入るまでが長い…人間も多くて誰だっけとなる。
シミュレーション仮説というのがどうも腑に落ちなくて、そこも読みにくいポイント
でも重複者それぞれの人生の選択が面白くて、特にスリムボーイは好き(対面の場で寿司を食べながらお互い見つめ合うシーン面白いし、なくした片割れとの出会いみたいにしっくりきててよい)
あとソフィアの父親による性暴力が明るみに出たところも、ちょいきついもののよかった。
終わり間際の俯瞰した状態で登場人物たちの様子が描かれるところ、映画みたい。
で、まさかの三便目…大統領の撃墜指示。ヒェ〜3があるなら4や5もあるのでは…これか -
Posted by ブクログ
ネタバレ同じ人々が突如現れたら、国家として人類としてどう対峙するか。
これがテーマの小説だ。
小説というべきか、ドキュメンタリーのようにも思える。
もともとの世界にずっと存在していた人たちをマーチ(3月)、3月時点から分岐して突如6月に現れた人たちをジューン(6月)と分類する。
言葉は便利だ。同じ人間ですら分類できる。
しかし、当事者にとっては残酷だ。
自分は、ずっと一人と思っていたのに、1号、2号とつけられたようなものだからだ。
一人の息子を前に合理的な判断を選び、共存を模索するマーチとジューンもいれば、
たった3か月の空白のために身を引き、新たな生活を始めるジューンもいる。
過去は思い出として共 -
Posted by ブクログ
ネタバレもう一度読めば絶対に評価は変わるのだけど、1回目だと晦渋なストーリーに喰らってしまった。
とはいえこれは、ワットダニットミステリ的な一本道を期待してしまった故の読みづらさであり、本著のテーマは寧ろミステリでもSFでもなく、自らの“重複者(ダブル)”が現れた後の11人の人物それぞれの参差錯落な内面であり、生の選び方である。
これに加えて、登場人物それぞれの属性に合わせた文体や語彙レベルの緩急、詩、メール、新聞記事、聴取記録など形態の異なる執筆方法、小説『異常』の入れ子構造など、実験小説(?)としてのメタ的な遊び心がこれでもかと詰まった1冊だった。
そうした、ある意味では人物と技法の“るつぼ”