南原詠のレビュー一覧
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特許を巡る係争といういささかとっつきにくい題材だが、主人公を始め、キャラの立った登場人物と、現実味のある「事件」をスピード感たっぷりに描く。痛快エンタメリーガルミステリといったところ。
主人公、大鳳未来(おおとり・みらい)は弁理士。弁理士とは知的財産法を専門とする法律の専門家。弁護士は民法や刑法など幅広い法律を扱うが、弁理士は特許や商標に関するもののみを扱う。
未来は元々、パテント・トロールといって、特許権を行使するやり口で稼いでいた。使われていない特許などを低価格で取得し、他社がこの特許に抵触しているとして、ライセンス料や和解金を要求することで利益を得るものだ。和解金はふつう訴訟費用よりも -
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2024年
鑑賞作品 No.29
法律×技術×ミステリーの三巴。
企業内弁理士である著者が描く本格特許小説!
大鳳未来は、かつてパテント・トロール(実際には事業を行っていないが、特許を取得し、その特許に対する多額のライセンス料や賠償金を他社に請求して儲ける組織)に所属していたが、今は逆に特許侵害からクライアントを守る弁理士として活躍する。
そんな未来の元に舞い込んだ一件の依頼。それは、トップVTuberである天ノ川トリィの特許侵害を回避するというものだった。
しかし、特許の裏には様々なからくりがあり、クライアントであるトリィにも難あり。正攻法では絶対に解決できない状況に…
大鳳未来の -
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このミス大賞とのことで手に取ってみました。
冒頭、三重県多気町から始まるんですね。そうか、シャープの工場は元テレビ工場だったのか…。いち早くマスク工場になったと思ったけど、元々あった工場の生産品を変えたんですね。ナルホド。
今一つVチューバーという存在がよくわからなくて… 2次元や3次元のアバターを使った配信者ってことなのかな、と読み終わってもこの程度の知識ですが、面白く読みました。リアルと大差ないアバターってアバターの意味あるんだろうか。まぁ個人の考えなんでしょうが。特許問題に関しては特許が使用されていると立証できればそれで良いんですね。なるほど。
個人が買った資材を使って作った製品が、 -
Posted by ブクログ
弁理士って知的財産に特化した法律家だよね、程度の認識でしたが、主人公の大鳳未来は何かアグレッシブな正義の味方の悪徳弁理士風。
始めはVTuberの何が特許侵害?と話の筋が上手く掴めなくて戸惑いましたが、なるほど特許ってこうした世界でも睨みが効くのね、と勉強した気分。
敵役にもうちょっと知財のプロがいないのか?とか、かき回しただけでその後消息不明の薄雲鷹介を絞めてやりたい、とか、結構のめり込んで突っ込みを入れながら楽しく読みました。
天野川トリィが仮想現実じゃなくてもスーパー過ぎなのと、容赦なさそうなキャラクターで活躍を今か今かと楽しみにしていた事務所のパートナー、桃愁林弁護士が現場に登場