あらすじ
第20回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作が待望の文庫化!
型破りな女性弁理士の剛腕が炸裂! 特許をめぐるまったく新しいリーガルミステリー!
特許権を盾に企業から巨額の賠償金をふんだくっていた凄腕の弁理士・大鳳未来。
現在は「特許権侵害を警告された企業を守る」ことを専門にし東奔西走している。
今回のクライアントは、映像技術の特許権侵害を警告され、活動休止を迫られる人気VTuber・天ノ川トリィ。
調べるうちにさまざまな企業の思惑が絡んでいることに気づいた未来は、トリィを守るため、いちかばちかの賭けに出る――。
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Posted by ブクログ
話がポンポン進んで、軽く読みやすい小説でした。話に出てくる用語や考え方なども分かりやすく説明されるので、読者に優しい小説だと思います。ただ、百戦錬磨のプロフェッショナル2人が、基本的と思われることを確認しあうのは少し違和感があります。プロだからこそ、そういうコミュニケーションを欠かさないという描写かもしれません。
大学時代に特許制度をかじった身ですが、教科書に載っているような基本的な事項が効果的に使われていて、「そうそう、この制度ってこうなるんだよ」と膝を打つような体験ができました。最後の施策も、Vtuberだからみんなそうせざるを得ない、という説得力がありました。
謎ではあるけど話の内容としてはどうでもいい箇所が、バッサリ切られていたのも好印象です。
Posted by ブクログ
特許界の闇に立ち向かう女性弁理士(自身も闇?)が 、半沢直樹的活躍を見せるストーリーです。
おもしろかったです。
余計なお世話ですが、主要な登場人物である vtuber の方は、そのまま YouTube に出た方がいいように思いました。私が思うに、 そのvtuber の方は私生活で男関係乱れがちなのでvtuber やってるのかなぁ、と 一人夢想しています。
Posted by ブクログ
特許係争をテーマに、弁理士の活躍を描いたミステリー。正攻法と異なるウルトラCの解決が痛快でした。良作です。
作者は弁理士ですが、一般読者にも理解させる筆遣いに苦心の跡が見られます。作品の平易性とリアリティーとのバランスは本当に難しいと思います。その意味で、知財をかじったことのある読者にはやや物足りなく感じられるかもしれません。
Posted by ブクログ
特許に関して知識を持ち合わせていなくても、読んでいるうちになんとなく理解できてその理解できた範疇で問題なく物語を追うことができるようになっている。すごい。
八方塞がりと思われた状態から、一気に逆転する展開はスカッとする。こんな解決方法思いつかない。
続編が読みたくなりました。
Posted by ブクログ
特許を巡る係争といういささかとっつきにくい題材だが、主人公を始め、キャラの立った登場人物と、現実味のある「事件」をスピード感たっぷりに描く。痛快エンタメリーガルミステリといったところ。
主人公、大鳳未来(おおとり・みらい)は弁理士。弁理士とは知的財産法を専門とする法律の専門家。弁護士は民法や刑法など幅広い法律を扱うが、弁理士は特許や商標に関するもののみを扱う。
未来は元々、パテント・トロールといって、特許権を行使するやり口で稼いでいた。使われていない特許などを低価格で取得し、他社がこの特許に抵触しているとして、ライセンス料や和解金を要求することで利益を得るものだ。和解金はふつう訴訟費用よりも安価に設定される。侵害訴訟に発展すれば時間的・金銭的な負担が増大するため、言われるままに支払ってしまう企業も少なくない。違法ではないのだが、真っ当ともいいにくいグレーゾーンである。
その経験をある意味生かして、弁護士と組んで、防衛専門の特許事務所を立ち上げた。侵害事件で警告を受けた企業などの相談に乗ろうというのだ。それまでやってきたことの逆をやるのだから、手の内はある程度わかっている。昨日までの泥棒が今日は警官になるようなものだから、適任といえばそうだろう。
手を組んだ相棒の弁護士は姚愁林で、こちらも切れ者の女性。2人だけの特許法律事務所である。
本作でのクライアントはVTuber。映像技術の特許権侵害を警告され、活動休止を迫られている。VTuberというのはYouTuberのバーチャル版で、実在の人物ではない。アニメのキャラクターに似ているが、ストーリーから解放された形で存在する。
キャラクターの裏には、演じる人(いわゆる「中の人」)がいて、声優もいる。両者は同じ人物の場合も異なる人物の場合もある。いずれにしろ、通常は公開しない。キャラクターのイメージが大切だからだ。今回の場合は同一人物が声も動きも担当している。
演者の演技をレーザーでトラッキングして、CGキャラクターに反映させる。この技術に侵害があるとの訴えである。
さてどうするのか。
この事件には複数の企業が絡む。いずれも腹に一物あり、一筋縄ではいかない。
しかし、未来もしたたかで、最後にはあっと驚く一手を打ってくる。
リーガルミステリや企業小説を併せたような読み心地で、特許を題材にしたエンタメで1つジャンルができてもよさそうな感じはする。
ただ、特許周りの権利や法律の条項など、一般にはなじみの薄いあれこれを嚙み砕いてリーダビリティの高い作品に仕上げ、かつ時事的な話題も取り込むというのは、かなり労力のいることなのかもしれない。著者は現役企業内弁理士でもあるそうなので、専業作家としてバリバリ執筆するという感じではないのかも。
本作以外には同じ主人公でもう1作あるようなので、そちらもいずれ読んでみようかと思う。
Posted by ブクログ
2024年
鑑賞作品 No.29
法律×技術×ミステリーの三巴。
企業内弁理士である著者が描く本格特許小説!
大鳳未来は、かつてパテント・トロール(実際には事業を行っていないが、特許を取得し、その特許に対する多額のライセンス料や賠償金を他社に請求して儲ける組織)に所属していたが、今は逆に特許侵害からクライアントを守る弁理士として活躍する。
そんな未来の元に舞い込んだ一件の依頼。それは、トップVTuberである天ノ川トリィの特許侵害を回避するというものだった。
しかし、特許の裏には様々なからくりがあり、クライアントであるトリィにも難あり。正攻法では絶対に解決できない状況に…
大鳳未来の痛快かつ大胆な性格は見ていて痛快。
目的のためなら手段を問わず、冷や冷やするような綱渡りをする姿は、弁理士として異端。
しかし、その裏には特許を用いてクライアントを必ず守るという強い信念と誇りがある。
「発明者のように何かを生み出すことはできないが、弁理士というスキルを使って、発明を守ることはできる。」
小説にVTuberが登場するのは非常に新鮮。
もうそんな時代が来たか…と思わされる。
しかし、その発想がおもしろい!!
弁理士のリアル。
VTuberの苦労や裏側。
特許を巡る駆け引き。
飽きさせないストーリー展開で一気に読んでしまった
Posted by ブクログ
凄く読みやすい!未来の格好いい強気な姿勢。男に引けを取らない。格好良い!現実じゃ出来ないよなぁと思いつつも読む手が止まらなかった。2巻目も楽しみ。
Posted by ブクログ
主人公は特許などの発明者の権利を守ったりする弁理士。
特許侵害で警告を受けたVTuberの事務所からの難しい依頼にどうやって対応するのか。
個性的なキャラクター達、小難しい法律系を平易な文章で読ませるエンタメ小説。
リーガル系デキる若い女性。このミス大賞。といえば新川帆立。
特許絡みのミステリ、圧倒的に不利な状況からの逆転劇。といえば、池井戸潤の下町ロケット。
それぞれのいいとこ取りしたような作品だがラストまで一気読み。
シリーズとしてまた次作を読みたくなる痛快さ。
Posted by ブクログ
このミス大賞とのことで手に取ってみました。
冒頭、三重県多気町から始まるんですね。そうか、シャープの工場は元テレビ工場だったのか…。いち早くマスク工場になったと思ったけど、元々あった工場の生産品を変えたんですね。ナルホド。
今一つVチューバーという存在がよくわからなくて… 2次元や3次元のアバターを使った配信者ってことなのかな、と読み終わってもこの程度の知識ですが、面白く読みました。リアルと大差ないアバターってアバターの意味あるんだろうか。まぁ個人の考えなんでしょうが。特許問題に関しては特許が使用されていると立証できればそれで良いんですね。なるほど。
個人が買った資材を使って作った製品が、自分たちの特許技術が使われているから制作を変えろってのは不思議に思いました。パン屋さんがオーブンを買って商品を作って売りました。そうしたらこの焼き色が出るのはうちの技術のオーブンだけだからもうこのオーブンでパンを焼くな、という警告が来た、みたいな感じですかね?でもそれってオーブンを作ったり売った方を取り締まるべきであって、オーブンを買って使用したエンドユーザーもダメな訳?と首を傾げました。特許問題って難しいんだな…
初稿はさらに法律用語や専門知識全開だったみたいですが、改稿されたとのことでかなり読みやすく、サクサク読み終えました。あと、新田アナスタシアにニヤリってなりました(笑)
Posted by ブクログ
弁理士って知的財産に特化した法律家だよね、程度の認識でしたが、主人公の大鳳未来は何かアグレッシブな正義の味方の悪徳弁理士風。
始めはVTuberの何が特許侵害?と話の筋が上手く掴めなくて戸惑いましたが、なるほど特許ってこうした世界でも睨みが効くのね、と勉強した気分。
敵役にもうちょっと知財のプロがいないのか?とか、かき回しただけでその後消息不明の薄雲鷹介を絞めてやりたい、とか、結構のめり込んで突っ込みを入れながら楽しく読みました。
天野川トリィが仮想現実じゃなくてもスーパー過ぎなのと、容赦なさそうなキャラクターで活躍を今か今かと楽しみにしていた事務所のパートナー、桃愁林弁護士が現場に登場しなかったことの二つが、個人的にはちょっと惜しい。
Posted by ブクログ
解説にある通り、面白いけど難しい!?がしっくり来ます。
作者の南原さんは主人公と同じ弁理士さんという事で、専門的な話も納得。
登場人物、特に主要キャラは個性的で認識し易く、サスペンスドラマを見ている感じで一気読み!
法的な内容は人を選ぶかもしれませんが、個人的には新たな分野に新鮮な印象でした。
最終章読んでいる最中、クライマックスは異なる展開を予想してましたが、フェスの結果が気になる!!
シリーズ化されてるので、続編も追いたいと思います。
Posted by ブクログ
星4.4
このミス作品は当たり外れ(自分に合っているか否か)があるのですが、今回は当たりでした。
※「元彼の〜」より好きです。
評価を5つ星にしてもよかったけど、
きっと好き嫌いがあるだろうなということで、
少し日和って4つです。
スピード感について来れて、
正攻法でなく絡めて手もありという人は
是非読んでください
Posted by ブクログ
さすが「このミステリーがすごい!」大賞作品!面白くて一気に読んじゃいました。弁理士?特許?普段馴染みのない言葉だけど設定が面白くてキャラクターも魅力的でした!
Posted by ブクログ
面白いのと読みやすいのとで一気に読んだ。助っ人が都合よくどんどん出てくるのは、ちょっと安易な感じがするが、スピード感があって、ぐいぐい引き込まれる。
Posted by ブクログ
特許に係る係争をテーマとした小説。裁判ものとはまた違って、特許ならではの闘いがあって面白い。今作ではVTuberがその動きを記録するためのシステムに関する特許が争われます。
実際のところは難しい法律などがあるのかと思いますが、解説によるとそういった難しいところは削られて、エンタメ仕様になっているようです。よくできた小説です。
Posted by ブクログ
特許権を盾に、企業から巨額の賠償金を得ていた凄腕の弁理士・大鳳 未来。
特許に関する専門用語も多々ありますが、それほど難しくありません。
映像技術の特許権侵害を警告された人気YouTuber・天ノ川トリィ。
様々な企業の思惑も絡み、事態は更なる苦境へ。
果たして、起死回生の賭けはどう出るのか。
ハラハラドキドキの結末は?
Posted by ブクログ
評価は星3つですが、面白い作品ですよ。
特許権や映像機器の専門的な難しさがあり、又、VTuberなる聞きなれない言葉もでてきて、オヤジ泣かせのミステリー感で始まった物語りですが、弁理士・大鳳未来がクライアントを救う為に奮戦する過程でのハイテンポな展開が心地よく、小難しさを吹き消してくれました。
法律やITへの馴染み深ければもっと面白い作品であったろう?という思いから評価星3つにしました。
ストーリーとしては満点に近い星4.5かな?
Posted by ブクログ
利害関係者がいろいろでてくるけれどキャラが立っているのでわりとイメージはしやすい。続編も機会があれば読みたいけれど、作風としては
ほろ苦さを感じる太田愛の方が好みかな…。
Posted by ブクログ
タイトル通り、特許のお話。
また私とは関係のない世界のお話。
特許申請、特許侵害?よく聞いたりはするけど…(想像で出てくるのはドクター・中松さん)
実際のところはよくわかりません。
それでも、この本を読めば1割くらいは理解できるかも!
そして、弁理士!このような職業があるとは…知りませんでした(無知で恥ずかしい)
物語としてはスラスラと読めます。展開が良く、飽きさせません。キャラクターもわかりやすく、少し外野が多いような気がしますがね。
Posted by ブクログ
強引な弁理士だったけど、不快さはなかった。
"特許"という難しい話もあったけど、弁理士という職業のことも知ることができたし、割と面白かった。
別方向から証拠や弱みをしっかり掴んで無理矢理丸め込む感がすごかった。
Posted by ブクログ
「このミス」の大賞受賞作とあると
ついつい手にしてしまう
いつもエンタメを満喫して
すっきりした気分に
今回の作品は
特許権に対して弁理士という職業
言葉として知っていても
日頃あまりにも関係する事なくて
どんな感じの事があるのかも
分かってなく
(どんな職種も関係するまでよく分からない)
映像技術の特許権侵害を警告された人気VTuber
という時点で知らない項目が並んでる
さすがによく分からないところは
頭の中でも勝手な映像でイメージして
読み進めてしまったけれど
テンポあってダイナミックな登場人物たちは
小気味良く物語の先まで
(私はヨレヨレしてたが)
連れて行ってくれた
この先またどんなクライアントが
やってくるのかと思わせてくれる
Posted by ブクログ
特許に関してはたまたま知識があったのでサクサク読めたが、主人公のキャラが少し弱いかな。今の仕事に転向した経緯とか、もう少し掘り下げたら深みが出ると思った。特許権者たちとの直接対決は半沢直樹っぽい感じで、映像化したら映えそう。
Posted by ブクログ
弁理士という仕事のことも特許についともよくしらなかったので、難しいと感じてしまいました。V Tuver のことにも疎いのでますます大変でした。 でもテンポが良くて、大鳳未来というキャラクターのインパクトが強かったので楽しめました。 頭の回転が速く気の強い仕事のできる女性
。人気が出るヒロイン像ですよね、
Posted by ブクログ
知財や弁理士の仕事は普通の人にはとっつきにくいため、知財の重要性を認識するためミステリーにしたのは作者の慧眼だと思う。
ただ、違法スレスレの手口や主人公たちの行き過ぎた行動主義は、弁理士の仕事に誤った先入観を与えるおそれがある。また、黒幕も途中で予想できる点で読後の爽快感はあまり感じられなかった。そのため、3評価とした。
次回作での挽回を期待したい。
Posted by ブクログ
大賞作とのこと、期待が大きすぎるかな。読みやすいし、スピード感はある。パートナーとの連携がもう少しあればいいのに。私がYoutubeを見ないので、余計に心が寄せられていかないのか、でも
Vtuberを知れたし、仕組みをしれて知識が増えた。
Posted by ブクログ
このミスが久しぶりに読みたくなったので。
特許&弁理士はなかなか本ではお目にかからないなぁ。解決の仕方が独特で、勧善懲悪ゥ!被害者には一片の非もありません!と言うわけではないのもまた面白い。むしろクロ。どう言う事情であれ法的にはクロな状況どうする?しかも穏やかに解決するのは。と言うなかなかなミッションは面白いと思う。主人公も破天荒タイプで鋼メンタルで、とっつきにくい特許の世界をブルドーザーの如く整地していくのは読んでいて悪い気はしない。ただ読んでると説明や言い回しがもう少し欲しいとこもあり、全体的に軽い仕上がりになってる気がする。
どうしてこの道進んだのかとか、パートナーとの出会いとか、その辺はシリーズ化できたらやるんだろうな。