池田喬のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『存在と時間』の解説。丹念な説明で入口に立たせてくれる。ギリギリ分かるレベルで攻めきっている。
第1部は、読み解くための視点がちりばめられている。
・なぜ存在の意義を問うのに、自分自身を問うのか
・直訳=翻訳によりエポケーし、理解にいたる
・世界内存在=住まう。主体を出さない=認識論に陥らない。
第2部は、その視点の卓越性、結論を示す。
・「世界は存在しない」
・「手」
・「世人」
第3部は、実践的な論。
・「死への先駆」
・『存在と時間』に倫理学はあるのか
・存在と時間が成し遂げたことは過不足なく、また誇張せず、到達点と貢献を述べている。 -
Posted by ブクログ
今この社会を生きていくうえで「差別」というテーマについて考えずにやっていくことはほぼ不可能(すさまじい特権を持っているなら別だが)だと思う。とはいえ、明らかに間違っていると思うことに声を上げようにもそれを上手く言語化できなかったり、詭弁でごまかされてしまったりすることは驚くほど多い。この本は、あらゆる差別に抵抗していきたいがそもそも「差別をなくすべき」という前提を共有していない人間に対して反論する言葉をまだ構築できていなかった私のような人間にはまさにぴったりの本だった。
差別という大きなテーマを「差別とはどういうものか」「差別はなぜ悪いのか」「差別はなぜなくならないのか」の3つのトピックに分け -
Posted by ブクログ
ハイデガーの『存在と時間』の入門的解説書です。
「本書は、『存在と時間』についてよく抱かれる疑問や、理解しがたい主張をハイデガーがしていると思われがちな点をピックアップし、その疑問に答えるという仕方で、結果的に、『存在と時間』の全体をだいたいカバーするという方法をとった」と著者は述べています。全体は10章で構成されており、各章は「なぜ存在の意味を問うのに自分自身を問わねばならないのか」「なぜ『存在と時間』の言葉遣いは普通の哲学書と違うのか」といった疑問文の形のタイトルになっており、それぞれの問いについて説明がなされています。
個人的に興味深く読んだのは、「『存在と時間』に倫理学はあるのか」