あらすじ
類例のない究極の入門書
本書「序」のタイトルは「なぜ、『存在と時間』についてなおも書くのか」である。『存在と時間』やハイデガーの入門と謳う本はすでにいくるもあるからだ。
だが「なぜ、なおも書くのか」と問うには勇気がいる――正面から答えねばならないから。答えはこうだ;
「『存在と時間』は一度は読んだ方がいい。そして、『存在と時間』を読みたいとこころざした人にとって、この本がかつてなかった読み方と説得力を示しているから」。
哲学徒を引きつけてやまない“現代哲学の最高峰”の読解を、自分の読書体験としてモノにするための確かな道が本書だ。『存在と時間』の鮮烈な解釈で学界にデビューした新鋭による、問答無用のニュー・スタンダード!
〈内容〉
序 なぜ『存在と時間』についてなおも書くのか
第1章 なぜ「存在の意味」を問うのに自分自身を問うのか
第2章 なぜ『存在と時間』の言葉遣いは普通の哲学書と違うのか
第3章 なぜ「主体」でも「心」でもなく「世界内存在」なのか
第4章 なぜハンマーと釘の分析が存在論になるのか
第5章 なぜ「世界は存在しない」なんて言えるのか
第6章 なぜ「手」を中心に考えるのか
第7章 「世人」とは誰のことなのか
第8章 「死への先駆」は無理な要求か
第9章 『存在と時間』に倫理学はあるのか
第10章 結局、『存在と時間』は何を成し遂げたのか
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
猫町倶楽部の読書会で紹介されたおすすめ副読本。
基本的には『存在と時間』の章に順立てに沿って進むみながら、特質すべきは『存在と時間』で理解が難しいトピックを取り上げて要点を解説しているところでしょう。
何が目標であったか、どこまで達成しているのかといった視点で著者がまとめ直してくれているのが、難解な原著への理解度向上を助けてくれる。
そうはいっても一読では理解がし難い。適宜原著の読書で関連する箇所に来たら参照していきたい。
Posted by ブクログ
『存在と時間』の解説。丹念な説明で入口に立たせてくれる。ギリギリ分かるレベルで攻めきっている。
第1部は、読み解くための視点がちりばめられている。
・なぜ存在の意義を問うのに、自分自身を問うのか
・直訳=翻訳によりエポケーし、理解にいたる
・世界内存在=住まう。主体を出さない=認識論に陥らない。
第2部は、その視点の卓越性、結論を示す。
・「世界は存在しない」
・「手」
・「世人」
第3部は、実践的な論。
・「死への先駆」
・『存在と時間』に倫理学はあるのか
・存在と時間が成し遂げたことは過不足なく、また誇張せず、到達点と貢献を述べている。
Posted by ブクログ
入門書
『在る』について、目からウロコが何枚も剥がれ落ちました
語るに足る理解、解釈は全くできていませんが、掘り下げたいテーマだと実感しました
Posted by ブクログ
ハイデガーの『存在と時間』の入門的解説書です。
「本書は、『存在と時間』についてよく抱かれる疑問や、理解しがたい主張をハイデガーがしていると思われがちな点をピックアップし、その疑問に答えるという仕方で、結果的に、『存在と時間』の全体をだいたいカバーするという方法をとった」と著者は述べています。全体は10章で構成されており、各章は「なぜ存在の意味を問うのに自分自身を問わねばならないのか」「なぜ『存在と時間』の言葉遣いは普通の哲学書と違うのか」といった疑問文の形のタイトルになっており、それぞれの問いについて説明がなされています。
個人的に興味深く読んだのは、「『存在と時間』に倫理学はあるのか」というテーマをあつかった章でした。著者は「『存在と時間』は道徳哲学の前提にさかのぼり、道徳性というものが私たちに可能になるための条件を問うているのだ」と述べて、「責め」(Schuld)という概念にかんするハイデガーの議論を検討し、さらに「道徳的運」をめぐる問題に対してハイデガーの思想がどのような貢献をなしうるのかということにまで考察を進めています。