栗田シメイのレビュー一覧
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2022年5月から翌年1月までにかけて日本を震撼させた広域強盗事件の首謀者集団(「ルフィグループ」)について、彼らの背景から組織の成り立ち、事件の詳細から逮捕に至るまでを、幹部1名、主要なメンバー1名との数多のやり取りで立体的に詳解したノンフィクションである。
出版時点ではリーダー格2名の裁判が開始しておらず、さらに両人とも黙秘を貫いている。本書はリーダー格の彼らの供述が反映されていないことを差し引いても、組織犯罪の一連の顛末がよく理解できる形にまとまっていた。結局は「徹底して管理するとこ」と「人心を掌握すること」が(たとえそれが犯罪組織でも)組織をマネージする上で重要であることが再確認される。この点は会社運営でも変わらない知見であると思う。また、「仕事(と責任)を分散させることで当事者意識が無くなる」ことも会社組織などではマイナスなる一方、犯罪においては罪悪感を無くす方向に働くのは興味深い対称性だと感じた。
ルフィグループは一連の強盗事件で注目を集めたが、組織のおこりは特殊詐欺であったことは知らなかった。詐欺で培った術をそのまま強盗に転用したことが一連の強盗事件の核心であるともいえる。
さらに、フィリピンをはじめとした東南アジアの汚職の酷さも垣間見える。ルフィグループも金で現地警察やコネクションを利用できるだけ利用したが、最後は単にフィリピン人の身内に売られるのが何とも儚い。
一気読みできる筆力はさすがの著者であった。また次の著書も楽しみに待ちたい。 -
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ルポ秀和幡ヶ谷レジデンスから注目していた作者による世間を震撼させた闇バイト/ルフィ事件に関する新たなルポ。
なんとなく日本を震撼させた闇バイトの首謀者はフィリピンに潜伏しており、比較的早期に捕まったイメージであったが、その裏にある事件がしていない無数の特殊詐欺被害が先立ち、その後窮地に陥った犯人グループが強盗殺人というより苛烈な犯罪指示に手を染めていく流れが克明に記されている。
当然ながら首謀者たちにもそれなりの辛い過去があるというところから始まるのだが、それ以上にまるで企業のように徹底した規則とマニュアルが存在し、組織再編を繰り返しながら進んでいく姿は、方向を間違えなければ、もっと良い価値の発揮の仕方があったのではないかと思わせる。
さらに、首謀者たちに巧みに騙され、実行に手を染めてしまう実行犯たちも、搾取されているにも関わらず、なぜか首謀者グループに敬意のような抱いている点が本件に関連する犯罪の奇妙な点。
トクリュウであったり、闇バイトであったり、その背景にある圧倒的な違法性や残虐性を包み隠すようなキャッチーなワーディングは、やはり誤った認知を起こし、判断力の未熟な若者や人間を勘違いさせてしまう。元々脱法ハーブという言葉も同様の認知齟齬を生んでいた気がするが、本作をきっかけにこうした犯罪の嗜虐性が広く伝わり、そして世の中から根絶されることを切に願う。 -
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『ミカの一人勝ち』
やはりメディアだけで知る情報は憶測や推測が多く正確な情報は得られていないんだなと感じました。
読む前までは今村、渡邊の関係性は!?
藤田、小島の役割は!?
知らないことだらけで面白かったです。
フィクションとしても十分物語になるような事件ですね。
また、『順調に詐欺稼業が続けられた理由』『転機』『没落』全てが明確で分かりやすかったです。
「日本で起こる詐欺事件はほぼ100%海外から行われているんだろうな」と思いました。
以下、批判覚悟
タンス預金が市場に流れるのであれば、被害者の感情云々は置いといて経済が回るので、個人的にはそこまで詐欺は悪質なものとは思えません。
ただ、逆を言うと貧しい国からしたら形はどうあれ日本のタンス預金が自国の経済を回している。
このような考えもできると思います。
違法であれ、黒い金であれ、その国が経済的に潤うのであれば、フィリピン警察のようなケースは撲滅できない。=特殊詐欺は撲滅不可能
と感じました。
結局のところ、1人勝ちはミカですね。彼女が1番の策士ですw
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本書が描く秀和幡ヶ谷レジデンスの管理組合をめぐる対立は、単なるマンションのトラブルではなく、自治が形骸化したときに何が起こるのかを示す社会的事件として読み取れる。委任状による多数派支配や、公権力が介入しにくい構造は、民主主義の脆弱さを日常のレベルで露呈させている。
その一方で、住民たちが何度も挫折しながらも組織化し、少しずつ力を取り戻していく過程は、ノンフィクションでありながら物語的な高揚感を持つ。事実でしか出せない重さと、事実だからこそ生まれる希望が同居している点が本書の魅力だ。
読み進めるうちに、政治参画のあり方やリーダーの役割について考えさせられた。悪意ではなく“日常の延長”として権力が暴走すること、同調圧力が健全な自治を蝕むことなど、マンション管理という身近な題材が社会全体の問題を照らし出す。
本書は、集合住宅というミクロな世界を通じて、民主主義のリアルを描き出す優れたルポルタージュである。
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一気読みしてしまった…
一つの映画とかドラマを観た感覚だ…
最後の方では、マンションに住むこと自体考えさせられる。
旧理事長も私腹を肥やしていたかどうかが明らかではないが、少なくとも最初はこの秀和幡ヶ谷を安心で安全なものにしたい、そんな純粋な気持ちで動いていたんだと思う。
どこからか歯車が狂い始めて、少しずつ少しずつ周りの意見が汲み取れなくなったんだろうな。
いわゆる老害とか言われてしまう人も、ガチモンもいるとは思うけど、自分のやっていることが正しいんだ。と昔の感覚のまま考え方を変えられず、今目の前で起きている変化を受け入れられない悲しい人なんだろうな。思っていたりやっていることは決して悪いことではないんだけど、極端すぎるし、他者を受容できず排斥しようとする姿勢がどうにも変えられなくなってるんだろうな。 -
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自治会により、まるで北朝鮮かのように不自由な管理を強いられた「秀和幡ヶ谷レジデンス」において、その自治会長を追放し新たな自治を取り戻すまでの過程を追ったルポが本書である。
自治会は、管理人が介護業者や引っ越し業者の入居を妨げたり、友人の宿泊を民泊と見なして課徴金を課したりと、実際に存在するのか不明なルールを通じて管理してきた。とはいえ、法律上、自治会をひっくり返さない限りどうしようもない。そのような中で、レジスタンス的に活動してきた人々を追いかけながら、新たな自治会長を選任するまでを記述している。
印象的だったのが、どうしてそのような自治会長が生まれたかである。筆者の考察の中に「思い込みが強い」という記述があったのだが、恐らく正しい。そういう人が力を持つと変な方向に曲がっていく。 -
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ネタバレ分譲マンション管理をめぐる、独裁的管理組合VS反対派住民の闘争ルポ。
・面白かった点
ストーリー。ルポなんで誰かが頭の中で作った筋書じゃなく、本当に普通の人たちが困難に屈せず掴んだ勝利が素晴らしかった。特に後半なんかまんまドブ板選挙で、ここまでやらないと勝てないのか、ここまでしたからこそ勝てたのか、薄氷の勝利に賛辞を贈りたくなること間違いなし!
・面白くなかった点
役員交代後も未だ引継ぎが終わっていない(なんでやねん!)とか、諸々証拠がそろっていないのもあるんだろうけど、限りなくグレーな長年の横領や賠償の問題に追及がない、というのがスカッとしないなーと思った。旧役員の信条がどこにあったかは置いといて、大人なら己のやったことに責を負うて然るべきじゃない?と。
<総評>
ルポ普段読まない身でも、起承転結分かりやすくて面白かった。何はともあれハッピーエンドだし。あとどれだけ腹立たしくても、賛同者を得るには「ファクトで戦い、感情的に批判しない」という参謀からのアドバイスが、最近の新興政党も似たようなこと言ってたなあ~と思った。自分でもやれと言われればギリギリやると思うけど、あんまり長期戦だとある日ポッキリ折れて逃げだしちゃいそうだなと。なので、熱い意欲と冷たい戦略性を保ったまま"クール"であること、というのは本当に大変だし、「絶対に先行きはよくなるはず」という希望の存在は人を強くするよな、と思った。 -
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タクシーのルポ。
コロナ禍はやはり大きなインパクト。
それ以外にも様々な切り口でタクシー運転手、タクシー業界のことがわかり楽しい。
ある意味、自由な働き方ができるからこそ、実力主義でありながらマイペースで仕事ができ、いろいろな人が存在するんだなと思いました。
・運賃が自由競争に近い関西のタクシー界
・名古屋のトヨタワールドをタクシー運転手から見た話
・ロイヤルリムジンの突然の600人一斉解雇の衝撃
ベンチャー精神で経営合意的な社長だからこそ起こったインパクト
・年収1000万超えのスーパードライバーたちの工夫
通常のビジネスマン同様、ネットワークつながりを駆使して様々な工夫をしている。
・市議、弁護士など、タクシードライバーを介した異業種から、異業種への転職など
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Posted by ブクログ
★関係性を分かりやすく整理★ルフィーと名乗っていたインパクトが大きすぎて、ルフィー=今村が組織のトップだと思っていたが、この本によるとそうではないらしい。渡邉をボスとする会社のように統制されたグループがあり、偽電話詐欺でたんまり稼いでいた。ただフィリピンで現地警察に逮捕され、それまで稼いでいたカネもフィリピン人の愛人に騙し取られる。ビクタン収容所での生活を改善し脱獄につなげるためにカネが必要になり、収容所で出会った旧知の今村と組んで強盗に入るようになり、ついには殺人・傷害に至って日本からの追及が厳しくなって現在に至るとのこと。あくまで今村は罪をますりつけるためにかついでいただけという。
渡邉・今村の証言はなく、渡邉の部下だった小島・山田の取材や裁判を基にしている。すすきの時代の過去より、タイやフィリピンでの生活が本書の中心で、偽電話詐欺で豪遊できるほど稼いでいたことに驚いた。殺人に至らなければ、逮捕まで至らなかったのが恐ろしい。年寄りをカモにした詐欺の量刑が甘すぎる。
そして、JPドラゴンとの関係もごっちゃになっていたが、渡邉グループとはシンプルに言えば対立する組織だという。JPドラゴンは闘鶏で稼ぎ、渡邉グループを騙して偽電話詐欺のチームも一部を奪ったという。一方で今村のバックにはJPドラゴンがいたとの説明もほかの記事でもよく見られる。
そのJPドラゴンのトップという吉岡も逮捕され、ビクタン収容所にいるという。中国マフィアに狙われているとの記事もあった。ただ逆に最後まで逃げ切っている犯罪者もいるのだろう。