小山太郎のレビュー一覧
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デザイン経営という考え方について、グローバル企業の具体的な事例を通して学ぶことができた。商品の購買や満足感には空間と調和するデザインが持つ力が大きく、それが企業価値の長期的な向上につながることは納得に値した。バルミューダやダイソン、イケアに現代自動車と、世界中で成功しているデザイン経営の事例を見ると、CDOと呼ばれるようなデザイン責任者が会社の指揮を取れる仕組みだと機能する。アップルではティムクックがCEOになってからは、デザイナーが好きな製品を追求できる環境が無くなったことが近年のアップルの停滞につながってるとされる。今はApple Watchや新しい製品を通して、デザイン的な製品の価値を再創造している段階である。また、日本は視覚公害に汚染されているという指摘も尤もである。本当に心の底から、日本の街並みは美しいと思ったことがたるだろうか?もちろん京都や金沢、熊本や松山、郡山や渋川など、日本中に残ってる市街が美的景観を備えている事例もあるが、多くの日本の街は、看板広告や電柱、電線、ガードレールや乱雑なコンクリート道路、建物屋上の室外機など、見るに絶えない残念な視覚公害が乱立している。これは、ジャパノロジストのアレックス・カー氏に、「日本は近代化に失敗した国」という評価を言わしめている。これからの日本は、高付加価値、高デザインの製品に注力し、再び輸出大国に名乗り出ることが必要である。
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Posted by ブクログ
ネタバレ献本されたので読んでみた。デザイン先進国であるイタリアのデザイン起業家数十名が、具体的なデザインマネジメントの仕方を生々しく証言している第5章が圧巻。マーケティングでもなく、ラグジュアリーでもなく、グッドテイストを中心にしてデザインマネジメントが行われているというのには驚いた。日本企業はこのマネをすればいい。それに、デザインデザインとは何か、という問いに対する最終解決的な定義がなされていて面白い。そもそも、イタリアでデザインを意味する言葉はプロジェクト(progetto)であるため、designという言葉の語源を探るのは意味がないわけだ。そもそもデザインの起源がバロックであるというのは初耳。今、流行しているアメリカのデザイン思考の起源が、ブルーノ・ムナーリやエンツォ・マーリなどのイタリア人デザイナーにあるなら、本家本元のイタリアのデザイン思考を学んだ方が、ファンタジー溢れる新製品開発ができるとのこと。
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Posted by ブクログ
トム・ケリーの「発想する会社」を読んだのは今世紀になってからか…それ以来IDEOに対する尊敬はずっと続いています。個人的な思い出もいろいろあるけど、それはさておき「デザイン経営」というストレートな書名に、これは読まないわけにはいかない、ということでチェックしました。イノベーションの方法論として、この言葉を使う書籍はあったような気がしますが、シンプルにタイトルとして見たのは初めてです。ただあとがきにあるように本書が「失われた30年を取り戻すための処方箋」だとしたら「発想する会社」の時点から日本の経営はあまり動いていないのかもしれません。それが成し遂げられなかった歴史的要因についての著者の視点をいつか読んでみたいです。タイムラインという横軸は置いておいて、本書の優れているところは各国の「デザイン経営」の特徴を詳らかにしているところです。それこそIDEO流のDESGIN THINKIGNGではなく各地の歴史、風土、産業構造に根ざした「デザイン経営」の多様性の存在を知りました。それを「工学的思考」「工業デザイン」「デザイン思考」「工芸(クラフト)」の4つのキーワードから選ばれる3つの円のバランスで分析する手法が鮮やかでした。IDEO出身の深澤直人が現在、日本民藝館の館長も兼ねている意味がわかったような気がしました。そういう意味で工学設計とデザイン施工に注力した米国型に分類される日本のデザインプロジェクトが、美しいかたち重視のイタリア型、クラフト重視の北欧型、バランス重視の韓国型、工学的設計に特に注力した中国型、いずれにも展開しうる可能性と、逆に型を持たない道程の遠さを感じました。一気読みだったので、もう一度ゆっくり読みます。