水野梓のレビュー一覧

  • グレイの森

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    臨床心理士の藍が、小学校で起こった殺人事件の被害者家族の娘の家庭教師を引き受けることになり、その中で見えてくるものと、偶然にも加害者の母親を診ることで感じたことは…。

    とても重い内容ではあったが、被害者側と加害者側の家族の気持ちを知れば知るほど、母親の影響がこれほどまでとは…と思うと怖さを感じた。

    藍が迷ったり、悩んだりしたときに言う斗鬼院長や潤の言葉もとても温かくて良かった。

    「私たちはあくまでも一時的な添え木のようなもの」

    「誰かを理解したいなら、その人の靴を履いて一マイル歩け、本当にその人のことを思うなら、たとえ相手の求める明快な『答え』が出せなくても、そばに一緒にいて、汗をかき

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    2025年04月01日
  • 蝶の眠る場所

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    素晴らしかった。
    冤罪と死刑制度、この二つのテーマを根底に人間のあらゆる感情を抉って来る。

    「真犯人は別にいる」と言い残し絞首台を登った男がいた。
    その数十年後に起きた小学校屋上からの転落事故。
    亡くなった少年は冤罪が疑われたまま極刑になった男の孫だった。

    男の無実を信じ、取材を進める女性記者に同化する様に真実を知りたい欲求が加速する。

    徐々に明らかになる事実。
    憎しみが憎しみを呼び連鎖する悲劇に閉口する。

    冤罪が作られて行く過程に恐怖を感じながら、同時に人間の弱さ、愚かさを思い知らされる。

    真の贖罪の意味を問われる読後。

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    2023年02月17日
  • 名もなき子

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    感動しました。ミステリーあり、高齢者社会の提言あり、親子の絆あり、盛り沢山の感動作でした。こんなにも悲惨な子供達がいるのかと考えさせる一面もありそれに反してスキバァの「人間には、誰一人無駄な者などいない」名言です。ラストの章はとても考せられました。謎です。あなたも読んで感動して下さい。涙して下さい。

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    2022年05月11日
  • 蝶の眠る場所

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    本書がデビュー作という水野梓さんによる社会派ミステリ。冒頭で小学生の少年が屋上から飛び降りる+冤罪だと言い残して死刑囚の死刑の執行されて、そこから本編へ…主人公のテレビ局社会部の女性記者である美貴は、少年の事件をいじめによる自殺の線でその家族を調べていくうちに、死刑囚の起こした事件と関わりのあることを知る… 最初は全貌がおぼろげだが、段々とパズルのピースがハマっていきラストですべての謎が判明する滅茶苦茶練られて面白い作品。これは高確率で映画化するような気がしている(木村文乃さんあたりが主演で)。

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    2021年12月13日
  • 蝶の眠る場所

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    評価は5

    (BOOKデータベース)
    「私は事件には一切関係していません。真犯人は別にいます」そう言い残して絞首台を登っていった男。時は巡り、小学生が学校の屋上から落ちて亡くなるという事故が起きる。いじめによる自殺の線で取材を進めていたテレビ局社会部の女性記者は、少年の母親が、冤罪が疑われる事件の加害者として極刑となった男の娘だと知る。果たして二つの事件と事故に関連はあるのか!? 警察権力との暗闘の果てに、女性記者が辿りついた真実とは。

    関係者が芋づる式にゾロゾロ出てくる(笑)。結末はこんなもんかと思ったが、それよりも出てくる人たちがそれぞれ個性的で魅力的であった。

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    2021年11月23日
  • 蝶の眠る場所

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    河瀬直美監督の帯コメント通り、ゆるしとは、贖罪とは、と考えさせられる深く濃い作品。一方で、幼な子を愛しむような筆者の筆致はどこまでも優しく、情感と思索に満ちていて、詩的でもあり、また哲学的でもある。
    筆者の経歴を生かした報道現場の空気感や登場人物もリアリティに満ちている。個性豊かな人物の一人一人が愛おしく、ページが残り少なくなってくると寂しくて、でも先が読みたくて、激しく葛藤した。是非、またこのチームで次回作を!できればシリーズ化して欲しい。映画や連続ドラマ化も切に願う。

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    2021年08月04日
  • 蝶の眠る場所

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    一気に読んでしまいました…
    読み終わってからもドキドキします

    ドキュメンタリー映画のようでした



    つくられる偽りの記憶…怖いですね
    あなたの思い出は本物か?

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    2021年06月13日
  • 蝶の眠る場所

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    他者に偽りの記憶を植え付けることが可能らしい。。。

    筆力がすごい、と思った。

    エンディングはちょっと。。。

    払ってもいい金額:1,200円
    貼った付箋の数:4(小説なのに4もあった)

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    2025年11月19日
  • 蝶の眠る場所

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    初の著書とは信じられないくらいの作品でした。報道記者の経験が生かされているのでしょう。

    無実を訴え続け、死刑になった今井武虎。殺人犯の子ども、孫としての人生、偽証した女性の苦悩、冤罪について、色々考えさせられ最初から引き込まれました。

    ドラマ化されることを意識して書いているのかなぁとも思えます。

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    2025年10月20日
  • グレイの森

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    非常に重い、簡単には正解の出ない問題に取り組んだ力作。匿名性に高い社会にあって、求められているのはやはり尊敬とか思いやりではないかな。昭和世代ですみません。

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    2025年06月26日
  • グレイの森

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    人に寄り添うとはどういうことか、を考えさせてくれる作品。最後の方、少し説明しすぎかなという気がしました。

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    2025年05月12日
  • 蝶の眠る場所

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    自分の意見を発する機会を持てない弱者の声に、どのように耳を傾けるか。真の贖罪とは何か。
    無力感と無知の怖さ、決めつけの怖さ。
    死刑のその後について考えさせられました。

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    2024年11月23日
  • グレイの森

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    ネタバレ

    読み終わった後にこの作者の方の経歴を見て「なるほど…」と納得してしまうくらいに生々しい物語だった。

    この方は現役で働いていた頃にもしかしたらこういう事件に関わったことがあるのか、関わっていなかったとしても考えさせられる日々の連続だったのか…

    そう思わざるを得ないほど、子育てで悩み劣等感の塊の母親と父親の無関心さ、「普通」が何よりも大切なこの日本という国の生きづらさ、そこから犯罪が起き、そして世間の無責任な罵倒、この描き方がリアルだった。

    被害者側、加害者側、どちらの立場になってもしんどい。
    今回の事件は、母親の子供の頃からの劣等感や学生時代のカーストと父親の世間体などお互い共通する事柄が

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    2024年11月05日
  • グレイの森

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    恐ろしくなった。
    わたしも…
    7人の子を殺した殺人者の母、聡美と、
    自分の子を叩くことをやめられない被害者の母、塔子とそう変わらないのだと思う。
    "正しい"と思う事柄に子どもを当てはめて、
    それが子どもにとって良いことなのだと信じ込み、子どもをあるがまま受け入れられない。
    だけどグレーでいいんだと、自分と子どもとの関わりをもう一度考えさせてくれた一冊。

    "正解のない世界を生きる勇気"
    今のわたしに必要なメッセージを届けてくれた本でした。
    作者の方に感謝です。

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    2024年07月01日
  • グレイの森

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    殺人事件関係者の心と向き合う臨床心理士の話。ミステリ風味。内容が重いせいか結末に物足りなさは感じる。善悪観ははっきりしており、グレーを許容するものではないのが私には残念。

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    2024年04月21日
  • グレイの森

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    人と人を隔てる深く険しい谷を越えられるものがあるとしたら、ただ一つ、想像力ではないか。
    想像の翼を広げることで、人はいつか、互いを隔てる深い溝を越えることができるかもしれない。

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    2024年04月16日
  • グレイの森

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    ネタバレ

    臨床心理士の藍の抱えている兄の死のトラウマとボランティアでかかわっている事で頼まれた小学生の引きこもり、に加えて偶然知りあった小学校の生徒7人殺人事件の犯人の母親。一人にこれだけ都合よく重なるかなど都合の良い登場人物は多いけれど、内容は真摯に考えさせられる。白黒ではなくグレーの価値、正義には正しさだけでなく優しさが必要など、心に響く。
    同居する同僚の潤、人間として理想すぎる。

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    2024年03月21日
  • グレイの森

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    臨床心理士の藍は、ボランティアで知り合った小学校教諭に頼まれ、不登校の女子の家庭教師を引き受ける。通ううちに少しずつ心を開くようになった少女だが、その心には深い闇が横たわっていた……。
    人の心の問題に立ち入る臨床心理士を主人公とした、社会派の水野さんらしい作品だ。
    幼児期から有名校に入学するための対策をしなければならない“お受験”問題、凶悪事件の加害者と被害者、それぞれの家族などが描かれていく。
    主人公は経験値が低く力不足なのは明らかだが、それ故の気付きもありよかった。ただ、偶然が多すぎて白けた気分になったのは否めない。

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    2024年02月11日
  • グレイの森

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    読み進めるのが辛い話だったけど、相談者に真摯に寄り添う臨床心理士 藍の姿勢に好感が持て、とても読み応えがあった。
    加害者を産み育てた母親の苦悩、悔恨、悲しみ‥心の叫びが綴られた聡美の日記に、同じ母親として胸が痛んだ。
    白黒つけず、簡単に答えも出ないグレーのまま。そこに救いを感じる読後感。

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    2023年12月21日
  • 蝶の眠る場所

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    強引な部分もあるけれど、物語や登場人物の魅力がに引きつけられて一気読み。最後の最後まで面白かった。この作者のデビュー作品だと聞き、色々てんこ盛りに納得。

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    2023年05月03日