水野梓のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
臨床心理士の藍が、小学校で起こった殺人事件の被害者家族の娘の家庭教師を引き受けることになり、その中で見えてくるものと、偶然にも加害者の母親を診ることで感じたことは…。
とても重い内容ではあったが、被害者側と加害者側の家族の気持ちを知れば知るほど、母親の影響がこれほどまでとは…と思うと怖さを感じた。
藍が迷ったり、悩んだりしたときに言う斗鬼院長や潤の言葉もとても温かくて良かった。
「私たちはあくまでも一時的な添え木のようなもの」
「誰かを理解したいなら、その人の靴を履いて一マイル歩け、本当にその人のことを思うなら、たとえ相手の求める明快な『答え』が出せなくても、そばに一緒にいて、汗をかき -
Posted by ブクログ
評価は5
(BOOKデータベース)
「私は事件には一切関係していません。真犯人は別にいます」そう言い残して絞首台を登っていった男。時は巡り、小学生が学校の屋上から落ちて亡くなるという事故が起きる。いじめによる自殺の線で取材を進めていたテレビ局社会部の女性記者は、少年の母親が、冤罪が疑われる事件の加害者として極刑となった男の娘だと知る。果たして二つの事件と事故に関連はあるのか!? 警察権力との暗闘の果てに、女性記者が辿りついた真実とは。
関係者が芋づる式にゾロゾロ出てくる(笑)。結末はこんなもんかと思ったが、それよりも出てくる人たちがそれぞれ個性的で魅力的であった。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ読み終わった後にこの作者の方の経歴を見て「なるほど…」と納得してしまうくらいに生々しい物語だった。
この方は現役で働いていた頃にもしかしたらこういう事件に関わったことがあるのか、関わっていなかったとしても考えさせられる日々の連続だったのか…
そう思わざるを得ないほど、子育てで悩み劣等感の塊の母親と父親の無関心さ、「普通」が何よりも大切なこの日本という国の生きづらさ、そこから犯罪が起き、そして世間の無責任な罵倒、この描き方がリアルだった。
被害者側、加害者側、どちらの立場になってもしんどい。
今回の事件は、母親の子供の頃からの劣等感や学生時代のカーストと父親の世間体などお互い共通する事柄が