【感想・ネタバレ】蝶の眠る場所のレビュー

あらすじ

「私は事件には一切関係していません。真犯人は別にいます」そう言い残して絞首台を登っていった男。時は巡り、小学生が学校の屋上から落ちて亡くなるという事故が起きる。いじめによる自殺の線で取材を進めていたテレビ局社会部の女性記者は、少年の母親が、冤罪が疑われる事件の加害者として極刑となった男の娘だと知る。果たして二つの事件と事故に関連はあるのか!? 警察権力との暗闘の果てに、女性記者が辿りついた真実とは

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Posted by ブクログ

素晴らしかった。
冤罪と死刑制度、この二つのテーマを根底に人間のあらゆる感情を抉って来る。

「真犯人は別にいる」と言い残し絞首台を登った男がいた。
その数十年後に起きた小学校屋上からの転落事故。
亡くなった少年は冤罪が疑われたまま極刑になった男の孫だった。

男の無実を信じ、取材を進める女性記者に同化する様に真実を知りたい欲求が加速する。

徐々に明らかになる事実。
憎しみが憎しみを呼び連鎖する悲劇に閉口する。

冤罪が作られて行く過程に恐怖を感じながら、同時に人間の弱さ、愚かさを思い知らされる。

真の贖罪の意味を問われる読後。

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2023年02月17日

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本書がデビュー作という水野梓さんによる社会派ミステリ。冒頭で小学生の少年が屋上から飛び降りる+冤罪だと言い残して死刑囚の死刑の執行されて、そこから本編へ…主人公のテレビ局社会部の女性記者である美貴は、少年の事件をいじめによる自殺の線でその家族を調べていくうちに、死刑囚の起こした事件と関わりのあることを知る… 最初は全貌がおぼろげだが、段々とパズルのピースがハマっていきラストですべての謎が判明する滅茶苦茶練られて面白い作品。これは高確率で映画化するような気がしている(木村文乃さんあたりが主演で)。

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2021年12月13日

Posted by ブクログ

評価は5

(BOOKデータベース)
「私は事件には一切関係していません。真犯人は別にいます」そう言い残して絞首台を登っていった男。時は巡り、小学生が学校の屋上から落ちて亡くなるという事故が起きる。いじめによる自殺の線で取材を進めていたテレビ局社会部の女性記者は、少年の母親が、冤罪が疑われる事件の加害者として極刑となった男の娘だと知る。果たして二つの事件と事故に関連はあるのか!? 警察権力との暗闘の果てに、女性記者が辿りついた真実とは。

関係者が芋づる式にゾロゾロ出てくる(笑)。結末はこんなもんかと思ったが、それよりも出てくる人たちがそれぞれ個性的で魅力的であった。

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2021年11月23日

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河瀬直美監督の帯コメント通り、ゆるしとは、贖罪とは、と考えさせられる深く濃い作品。一方で、幼な子を愛しむような筆者の筆致はどこまでも優しく、情感と思索に満ちていて、詩的でもあり、また哲学的でもある。
筆者の経歴を生かした報道現場の空気感や登場人物もリアリティに満ちている。個性豊かな人物の一人一人が愛おしく、ページが残り少なくなってくると寂しくて、でも先が読みたくて、激しく葛藤した。是非、またこのチームで次回作を!できればシリーズ化して欲しい。映画や連続ドラマ化も切に願う。

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2021年08月04日

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一気に読んでしまいました…
読み終わってからもドキドキします

ドキュメンタリー映画のようでした



つくられる偽りの記憶…怖いですね
あなたの思い出は本物か?

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2021年06月13日

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他者に偽りの記憶を植え付けることが可能らしい。。。

筆力がすごい、と思った。

エンディングはちょっと。。。

払ってもいい金額:1,200円
貼った付箋の数:4(小説なのに4もあった)

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2025年11月19日

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初の著書とは信じられないくらいの作品でした。報道記者の経験が生かされているのでしょう。

無実を訴え続け、死刑になった今井武虎。殺人犯の子ども、孫としての人生、偽証した女性の苦悩、冤罪について、色々考えさせられ最初から引き込まれました。

ドラマ化されることを意識して書いているのかなぁとも思えます。

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2025年10月20日

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自分の意見を発する機会を持てない弱者の声に、どのように耳を傾けるか。真の贖罪とは何か。
無力感と無知の怖さ、決めつけの怖さ。
死刑のその後について考えさせられました。

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2024年11月23日

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強引な部分もあるけれど、物語や登場人物の魅力がに引きつけられて一気読み。最後の最後まで面白かった。この作者のデビュー作品だと聞き、色々てんこ盛りに納得。

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2023年05月03日

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小学生が学校の屋上から転落死した事件。その取材をする女性記者は、その子供の祖父が死刑になっており、しかしそれが冤罪かもしれないということを知って調査を始める。ふとしたことから始まった悲劇の連鎖を描くミステリです。
実は続編「名もなき子」の方を先に読んでしまったので、少しだけ事件の真相に触れるところを知った状態で読んでしまったのですが。しかしそれでも謎は多いし、読みごたえのある物語でした。まあ彼が冤罪なのはストーリー上間違いがないとして、しかしなぜそのようなことになってしまったのか……わかってみるとあまりにやりきれないです。冤罪に追いやった彼の気持ちも、自分は無実と知りながらもある意味での「罰」を受け入れた彼の気持ちも悲しくて。冤罪を作ることに加担した人たちにもそれぞれの理由があったり、そしてその冤罪からの波紋の大きさもまた悲痛極まりなく、いったい誰が悪かったのか……もちろん真犯人なのですけどね。真犯人は判明するものの存在感が薄くて、だからこそその分憎しみのやりどころが分からない気持ちにさせられました。
その一方で報道番組「アングル」スタッフの面々は魅力たっぷりで楽しいです。かなり癖の強い人ばかりだけれど、どの人も素敵でした。

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2022年12月28日

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すごく面白くて、1日で一気読みしました。死刑制度について、私自身の考えを深める間もなく読み切ってしまって、ちょっともったいなかったです。著者の水野梓さん、女性なんですね。主人公・榊美貴の母としての心情が胸に沁みました。一方で、男性の登場人物の心情は、なんとなく添わないような気がしました。きっと、私の周囲の男性とはタイプが違うのでしょう。また、出身であるテレビ業界の描写は臨場感があるのでしょう。とても興味深かったです。

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2022年11月27日

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少年の飛び降り自殺に端を発して、冤罪事件の解明へと広がっていくストーリー運びはとても丁寧で読みごたえがあった。登場人物がやや多いので、「おっと、この人は誰だったっけ?」となる瞬間もあったけど、割としっかりキャラ立ちしてるので分かりにくくはない感じかな…『アングル』スタッフの面々は好きですね。ただまぁ、詰め込みすぎた感があって残念ですね。瑠伽少年の共感覚なんて、それだけでひとつお話ができそうなネタだと思うし。もったいないなぁ。

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2022年08月17日

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70すごく重いテーマで心が重くなるけれど、その中からも信仰心を持って相手を思いやり自制する姿にある種の感動を覚える。自死を選ぶ人が少なる社会を望む。(20250521再読)

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2022年06月17日

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内容的には凄く読み進めたくなる感じでよかったのに、最後の終わり方が残念。
え、終わり?
色々中途半端みたいな

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2022年04月04日

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ある日、小学生の男児が学校の屋上から転落死する。取材にあたったテレビ局の女性記者はいじめによる自殺を疑う。取材を進めると、男児の母の父(つまり男児の祖父)は、かつて冤罪(えんざい)が疑われていた事件の被告で、その後死刑になっていた事実を知る。転落とかつての冤罪事件は関連しているのか
冤罪で死刑になった男の最後の言葉冤罪だと最後まで良い続けていたが沢木が持ってきた手紙を見て自分の罪を知ることになる。
罪の連鎖…

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2022年02月13日

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面白かった!
事件についての描写もそうだが、働く母としての描写もよかったです。
最後、冴木さんとは、結ばれないのかな?そこまで書かれていたら、出来過ぎかな。

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2022年01月29日

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本書がデビュー作となる水野梓さんの社会派ミステリー。小学校の屋上から落ちて亡くなった小学生と、一貫して無罪を主張し続けたにも関わらず刑を執行された死刑囚が物語の発端となる。この2つの事件を結びつけるのはテレビ局の女性ディレクターで、シングルマザーの苦労も織り込まれる。彼女の丹念な取材から驚きの真実が浮かび上がる。新人離れした文章力と緻密な構成で飽きさせない。贖罪の意味を考えさせられた。

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2021年07月03日

Posted by ブクログ

東京都町田市で起きた小学生の転落事故。事故として警察は処理されたが、母親はそれに疑問を呈し、いじめで殺されたんだと主張する。その母親を取材していたテレビ局の記者は、さらに調べていくうちに母親の父が、以前誘拐殺人事件の死刑囚であることを知る。後に死刑囚は処刑されたが、その直前まで、やっていないと主張し続けていた。
2つの事件は繋がっているのか?報道記者が、その真相に迫っていく。


作者の水野さんは、日本テレビの報道局経済部のデスクとして働いている現役の報道記者として活躍されています。
報道によるドキュメンタリー番組にも携わっていたこともあり、この作品でもそういったドキュメンタリー番組作りが描かれています。

その描写が、複数話分のドキュメント番組を見ているかのような躍動感があって、重厚感もありました。

メインとなる話は、小学生の転落事故ではなく、過去に起きた冤罪の可能性のある誘拐殺人事件の方です。

母親が感じた疑問や鳥がつぶやいた「ヒトゴロシ」など一つの小さな疑問点を繋ぎ合わさっていく行程が、緊迫感あるだけでなく、スピード感もあって、ついつい惹き込まれました。

主人公は報道記者の美貴。以前は社会部の友軍キャップとして活躍していたが、ある出来事がきっかけで、ヒラ記者として戻されます。夫は死別で、2歳の子供がいます。

記者としてのプライドや真実を追い求める執念さがひしひしと伝わりました。その一方で子供を育てるという母親としての「顔」もあり、そのあたりの苦悩といった心理描写が丁寧に描かれているので、ドキュメンタリーをみているようでした。

その他にも、警察署長や被害者の母親、仕事場での仲間など、様々な人たちの過去や思いが丁寧に描かれていて、ストーリーにさらに重厚感を増したように感じました。
その一方で、仕事場での登場人物のキャラクター性が、クスッとさせた部分もあり、良い息抜きにさせてくれるので、程よい緊張感になりました。

殺人事件の犯人が果たして本当にその死刑囚だったのか?
冤罪だったのでは?というのが、大きなテーマとなっています。

罪とは何か?
罰とは何か?

色々考えさせられました。何気なく言った一言が、後に大きな影響を及ぼしていくことに何とも言えないもどかしさを感じました。

保身のために嘘をつく。決して許されないことですが、もし自分だったらと思うと・・・、もしかしたら嘘を言うかもしれません。

何事も屈せず、真実を追い求めようとする美貴の姿に誇らしさや勇ましさを感じましたし、真の記者だなと感じさせてくれました。

一つの転落事故から誘拐殺人事件まで、あらゆる人を巻き込みながら、ここまで話が拡がるとは・・・。

事件の結末としては、匂わせな形で終わりますが、その分リアリティもあって、余韻に浸れました。

何が正しくて、何が悪いのか。おそらく答えはわかっていますが、その状況になった時、果たして答えられるのか。

読み終わった後、色んな感情が渦巻いてしまい、色んな意味で心を揺さぶられた作品でした。

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2021年05月08日

Posted by ブクログ

「冤罪」「死刑」「少年の自殺」どれをとっても重いテーマ。
点と点で起きていた事件が線で繋がってしまった。
物語は過去と現在を行ったりきたりしながら、事件の全容を見せていく。
伏線が散らばっているので、回収したくてどんどん読んでしまう。
たくさん内容がありすぎて、結局、終わり方は淡々としてしまった感はあったけれど、読み応えは充分ある。

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2024年06月27日

Posted by ブクログ

蝶の眠る場所
水野梓さん。

おもしろかった。
着地点が、見えず。
どうなるのだろう?と、
先が気になり、読み進める。

悲しい。話だけど、
希望もあり、
良かった。


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2022年11月29日

Posted by ブクログ

初めての作家・水野梓さん。
日本TVの記者として入社、その後警視庁担当を経て
経済部デスク兼「深層NEWS」キャスター
冤罪事件を扱った番組制作によって死刑執行後の家族やその後について世に問いかけるには小説しかないと思い執筆を始めたらしい。

小学生の屋上転落…事故?自殺?他殺?
その取材をする中ですでに死刑執行されたある事件に辿り着く…

着想はすごくいい。
冤罪、過去との繋がり…そういう作品は出つくした感がなきにしもあらずですが。

面白かったですが何か足りない(*´-`)

記者が事件を追うと言うストーリーは久しぶりに読んだ気がするけど…
何だろうか?ルポタージュ感にドラマ性を足してはいるんだけど、足し算引き算が物足りなく感じた?

同じような経歴であの「横山秀夫」がいるし、今はミステリーブームだから険しいジャンルだな…
だから頑張った感が出過ぎたような( ̄▽ ̄)

題材が良いので惜しい‼︎
もう一作あるようなので読んでみよう!




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2022年11月11日

Posted by ブクログ

報道記者という経歴を十分に活かした作品。
テレビ局社会部の記者である主人公が、左遷された視聴率も低く予算もないドキュメンタリー番組のチームで地道な調査報道をしていくという物語。

シングルマザーの働き方、作り上げられる冤罪、死刑制度への問題提起など作者の考えを色濃く映す社会派ミステリ。
なんだけど、一報道マンが数ヶ月調べてわかることを当時の捜査本部が突き止められないということに疑問。いくら冴木の作意があったにせよ、直接的には何か捏造したわけでもないのに冤罪になって死刑?
そしてそんな特殊な事件を引き合いに出して死刑反対って、納得のいく論理展開ではないな〜。
ただ、検察が集めた証拠のうち都合のいいものだけを採用して、その他のものは開示知らされないという実情は是非とも改善してほしい。
まずはそこからでしょ。

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2022年06月23日

Posted by ブクログ

面白かったけど、何かが足りない。そう複雑でもないのに読みにくい。
清水潔の「殺人犯はそこにいる」のフィクション版のような感じでした。

できる女性特有のケンケンした感じが全ページに渡って襲ってくる感じが苦手なのかなぁ。取り扱っている内容は面白いだけに残念。

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2022年06月21日

Posted by ブクログ

前半は面白かったけど、中盤から乗りきれないまま終了。転落死した小学生男子。死因を追求するうちに、テレビ記者の美貴は彼の祖父が極悪刑で死刑執行されたことを知る。しかし本人は最後まで冤罪であると訴えていた。「DNA鑑定の一致」という大きな壁を破って罪を晴らせるのか。あらすじには大いに興味を惹かれたが、思いのほかトントン拍子に進むのが拍子抜け。そして美貴と警察署長の距離感がおかしい。元から知り合いだっけ?子連れで警察署長に何度も会いに行くってアリなの?署長暇じゃね?と節々に疑問が湧き出てストーリーに集中できず。

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2022年03月31日

Posted by ブクログ

01月-24。3.5点。
ある死刑囚が執行前、「罪は受けるが無実だ」と言い残す。テレビ局の女性記者の主人公、小学生の転落死を取材するとあの死刑囚の孫だとわかり。。。

面白かった。キーマンの警察署長のミステリアスさ、主人公の地道な取材、転落した小学生の家族の背景等、丁寧な記述だったと思う。

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2022年01月27日

Posted by ブクログ

事故とされた小学生の飛び下り事件。
母親の一言が気に掛ったTV局のディレクター榊美貴は事件を調べ始める。

長年報道に携わってきた著者の初小説で、社会派ミステリー。
作中でも言われていたとおり、終わらない不幸の連鎖
それぞれが自分の思惑のためにしたことが事件を作り上げた…
人間は誰も聖人ではないから何とも複雑な気分。犯人だけは微塵も同情の余地ないけど。
ただひたすら事件に翻弄され傷ついた人達が、傷つき傷つけた人が、新たに歩み始める締め方が良かった。

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2021年11月07日

Posted by ブクログ

冤罪をモチーフにした作品。
少年の自殺から始まり、様々な伏線を貼りつつ、
全てを回収して終了。
ミステリー要素に加え、死刑制度についても
触れているのも興味深い。

ただし、詰め込み過ぎなのは事実。
特に署長の独白前後から、それが気になった。

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2021年08月25日

Posted by ブクログ

社会派ミステリ
人間とは奥深い
罪とは何か
罰とは何か
赦しとは何か
贖罪とは何か
人の連絡とは何か
護るべきものは何か
考えされられる話でした

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2021年05月21日

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