水野梓のレビュー一覧

  • 蝶の眠る場所
    素晴らしかった。
    冤罪と死刑制度、この二つのテーマを根底に人間のあらゆる感情を抉って来る。

    「真犯人は別にいる」と言い残し絞首台を登った男がいた。
    その数十年後に起きた小学校屋上からの転落事故。
    亡くなった少年は冤罪が疑われたまま極刑になった男の孫だった。

    男の無実を信じ、取材を進める女性記者に...続きを読む
  • 名もなき子

    感動しました。ミステリーあり、高齢者社会の提言あり、親子の絆あり、盛り沢山の感動作でした。こんなにも悲惨な子供達がいるのかと考えさせる一面もありそれに反してスキバァの「人間には、誰一人無駄な者などいない」名言です。ラストの章はとても考せられました。謎です。あなたも読んで感動して下さい。涙して下さい...続きを読む
  • 蝶の眠る場所
    本書がデビュー作という水野梓さんによる社会派ミステリ。冒頭で小学生の少年が屋上から飛び降りる+冤罪だと言い残して死刑囚の死刑の執行されて、そこから本編へ…主人公のテレビ局社会部の女性記者である美貴は、少年の事件をいじめによる自殺の線でその家族を調べていくうちに、死刑囚の起こした事件と関わりのあること...続きを読む
  • 蝶の眠る場所
    評価は5

    (BOOKデータベース)
    「私は事件には一切関係していません。真犯人は別にいます」そう言い残して絞首台を登っていった男。時は巡り、小学生が学校の屋上から落ちて亡くなるという事故が起きる。いじめによる自殺の線で取材を進めていたテレビ局社会部の女性記者は、少年の母親が、冤罪が疑われる事件の加...続きを読む
  • 蝶の眠る場所
    河瀬直美監督の帯コメント通り、ゆるしとは、贖罪とは、と考えさせられる深く濃い作品。一方で、幼な子を愛しむような筆者の筆致はどこまでも優しく、情感と思索に満ちていて、詩的でもあり、また哲学的でもある。
    筆者の経歴を生かした報道現場の空気感や登場人物もリアリティに満ちている。個性豊かな人物の一人一人が愛...続きを読む
  • 蝶の眠る場所
    一気に読んでしまいました…
    読み終わってからもドキドキします

    ドキュメンタリー映画のようでした



    つくられる偽りの記憶…怖いですね
    あなたの思い出は本物か?
  • グレイの森
    殺人事件関係者の心と向き合う臨床心理士の話。ミステリ風味。内容が重いせいか結末に物足りなさは感じる。善悪観ははっきりしており、グレーを許容するものではないのが私には残念。
  • グレイの森
    人と人を隔てる深く険しい谷を越えられるものがあるとしたら、ただ一つ、想像力ではないか。
    想像の翼を広げることで、人はいつか、互いを隔てる深い溝を越えることができるかもしれない。
  • グレイの森
    臨床心理士の藍の抱えている兄の死のトラウマとボランティアでかかわっている事で頼まれた小学生の引きこもり、に加えて偶然知りあった小学校の生徒7人殺人事件の犯人の母親。一人にこれだけ都合よく重なるかなど都合の良い登場人物は多いけれど、内容は真摯に考えさせられる。白黒ではなくグレーの価値、正義には正しさだ...続きを読む
  • グレイの森
    臨床心理士の藍は、ボランティアで知り合った小学校教諭に頼まれ、不登校の女子の家庭教師を引き受ける。通ううちに少しずつ心を開くようになった少女だが、その心には深い闇が横たわっていた……。
    人の心の問題に立ち入る臨床心理士を主人公とした、社会派の水野さんらしい作品だ。
    幼児期から有名校に入学するための対...続きを読む
  • グレイの森
    読み進めるのが辛い話だったけど、相談者に真摯に寄り添う臨床心理士 藍の姿勢に好感が持て、とても読み応えがあった。
    加害者を産み育てた母親の苦悩、悔恨、悲しみ‥心の叫びが綴られた聡美の日記に、同じ母親として胸が痛んだ。
    白黒つけず、簡単に答えも出ないグレーのまま。そこに救いを感じる読後感。
  • 蝶の眠る場所
    強引な部分もあるけれど、物語や登場人物の魅力がに引きつけられて一気読み。最後の最後まで面白かった。この作者のデビュー作品だと聞き、色々てんこ盛りに納得。
  • 彼女たちのいる風景
    隣の家の芝生は青く見える。その人がどんな苦悩を抱えているか知ることもなく、他人を羨み、妬み、嫉妬し自分と比べて落ち込んだり憐憫したり。大学時代からの女友だち3人のそれぞれの生活は誰が幸せ?幸せの意味や、他人と比べることの愚かさ、そして生きる意味を考えさせられた一冊。というか、すごく良かった!3人がこ...続きを読む
  • 名もなき子
    名前は親から子供への最初の贈り物。
    その瞬間は我が子の健やかな成長と明るい未来を心から祈ったはず。

    だが親の身勝手や社会のシステムによって、無戸籍児となる状況に追いやられる子らがいる。

    一方、高齢者施設で相次ぐ不審死。
    生産性のない高齢者を解放するという建前の誤った正義。

    劣悪な環境、理不尽な...続きを読む
  • 彼女たちのいる風景
    「こんなはずじゃなかった」
    彼女達の声にならない悲痛な叫びが何度も頭の中でこだました。

    序章で描かれる卒業証書を持つ袴姿の女学生の姿が、かつての自分とリンクする。

    あの頃は怖いものなんて何もなく未来に希望しかなかった。
    年齢を重ねるうちに社会に蔓延る理不尽に気付き、仕事や結婚、出産、育児、躓くた...続きを読む
  • 彼女たちのいる風景
    大学のサークルで出会って意気投合した3人の女性たち。彼女たちが38歳となったときの、それぞれの人生を描いた作品だ。
    1人は結婚・出産後育児休業中、1人はシングルマザーで奮闘中、1人は結婚後なかなか子供ができず悩んでいる。
    そんな、仕事・結婚・子供に悩む姿を主軸に、現代を生きる女性が共通して抱える問題...続きを読む
  • 蝶の眠る場所
    小学生が学校の屋上から転落死した事件。その取材をする女性記者は、その子供の祖父が死刑になっており、しかしそれが冤罪かもしれないということを知って調査を始める。ふとしたことから始まった悲劇の連鎖を描くミステリです。
    実は続編「名もなき子」の方を先に読んでしまったので、少しだけ事件の真相に触れるところを...続きを読む
  • 蝶の眠る場所
    すごく面白くて、1日で一気読みしました。死刑制度について、私自身の考えを深める間もなく読み切ってしまって、ちょっともったいなかったです。著者の水野梓さん、女性なんですね。主人公・榊美貴の母としての心情が胸に沁みました。一方で、男性の登場人物の心情は、なんとなく添わないような気がしました。きっと、私の...続きを読む
  • 蝶の眠る場所
    少年の飛び降り自殺に端を発して、冤罪事件の解明へと広がっていくストーリー運びはとても丁寧で読みごたえがあった。登場人物がやや多いので、「おっと、この人は誰だったっけ?」となる瞬間もあったけど、割としっかりキャラ立ちしてるので分かりにくくはない感じかな…『アングル』スタッフの面々は好きですね。ただまぁ...続きを読む
  • 名もなき子
    テレビ局でドキュメンタリー番組の制作に携わる榊美貴は、高齢者施設で多発している不審死に疑問を感じる。

    ほどなくして、主要メディアや官邸に犯行声明が届く。
    何も生み出さない高齢者は、「社会悪」だ。と…
    寝たきりだと、病気だと、それだけで必要のない人間になるのか…

    取材を進めていく中、高熱で倒れてい...続きを読む