水野梓のレビュー一覧

  • 蝶の眠る場所

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    素晴らしかった。
    冤罪と死刑制度、この二つのテーマを根底に人間のあらゆる感情を抉って来る。

    「真犯人は別にいる」と言い残し絞首台を登った男がいた。
    その数十年後に起きた小学校屋上からの転落事故。
    亡くなった少年は冤罪が疑われたまま極刑になった男の孫だった。

    男の無実を信じ、取材を進める女性記者に同化する様に真実を知りたい欲求が加速する。

    徐々に明らかになる事実。
    憎しみが憎しみを呼び連鎖する悲劇に閉口する。

    冤罪が作られて行く過程に恐怖を感じながら、同時に人間の弱さ、愚かさを思い知らされる。

    真の贖罪の意味を問われる読後。

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    2023年02月17日
  • 名もなき子

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    感動しました。ミステリーあり、高齢者社会の提言あり、親子の絆あり、盛り沢山の感動作でした。こんなにも悲惨な子供達がいるのかと考えさせる一面もありそれに反してスキバァの「人間には、誰一人無駄な者などいない」名言です。ラストの章はとても考せられました。謎です。あなたも読んで感動して下さい。涙して下さい。

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    2022年05月11日
  • 蝶の眠る場所

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    本書がデビュー作という水野梓さんによる社会派ミステリ。冒頭で小学生の少年が屋上から飛び降りる+冤罪だと言い残して死刑囚の死刑の執行されて、そこから本編へ…主人公のテレビ局社会部の女性記者である美貴は、少年の事件をいじめによる自殺の線でその家族を調べていくうちに、死刑囚の起こした事件と関わりのあることを知る… 最初は全貌がおぼろげだが、段々とパズルのピースがハマっていきラストですべての謎が判明する滅茶苦茶練られて面白い作品。これは高確率で映画化するような気がしている(木村文乃さんあたりが主演で)。

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    2021年12月13日
  • 蝶の眠る場所

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    評価は5

    (BOOKデータベース)
    「私は事件には一切関係していません。真犯人は別にいます」そう言い残して絞首台を登っていった男。時は巡り、小学生が学校の屋上から落ちて亡くなるという事故が起きる。いじめによる自殺の線で取材を進めていたテレビ局社会部の女性記者は、少年の母親が、冤罪が疑われる事件の加害者として極刑となった男の娘だと知る。果たして二つの事件と事故に関連はあるのか!? 警察権力との暗闘の果てに、女性記者が辿りついた真実とは。

    関係者が芋づる式にゾロゾロ出てくる(笑)。結末はこんなもんかと思ったが、それよりも出てくる人たちがそれぞれ個性的で魅力的であった。

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    2021年11月23日
  • 蝶の眠る場所

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    河瀬直美監督の帯コメント通り、ゆるしとは、贖罪とは、と考えさせられる深く濃い作品。一方で、幼な子を愛しむような筆者の筆致はどこまでも優しく、情感と思索に満ちていて、詩的でもあり、また哲学的でもある。
    筆者の経歴を生かした報道現場の空気感や登場人物もリアリティに満ちている。個性豊かな人物の一人一人が愛おしく、ページが残り少なくなってくると寂しくて、でも先が読みたくて、激しく葛藤した。是非、またこのチームで次回作を!できればシリーズ化して欲しい。映画や連続ドラマ化も切に願う。

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    2021年08月04日
  • 蝶の眠る場所

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    一気に読んでしまいました…
    読み終わってからもドキドキします

    ドキュメンタリー映画のようでした



    つくられる偽りの記憶…怖いですね
    あなたの思い出は本物か?

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    2021年06月13日
  • グレイの森

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    水野梓『グレイの森』徳間文庫。

    臨床心理士が偶然に殺人事件の被害者家族と加害者家族の狭間で苦悩するという社会派小説。

    生と死の狭間で、解の無い答えを見付けようとして彷徨う人びと。失ってからこみ上げてくる後悔の念。全ての人は迷いながらも微かな光に向かって歩み続けるのだ。


    斗鬼クリニックで臨床心理士になって4年になる水沢藍の元を訪ねてきた聡美という中年女性は、診察室に入ると何かに憑かれたように話し始める。

    そんな中、藍は知人に請われ、精神的な問題を抱える小学6年生の綾香にボランティアで英語を教えることになる。藍は、初めて綾香を目にすると彼女の顔に表情がないことに違和感を覚えると共にに、彼

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    2026年02月18日
  • 蝶の眠る場所

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    他者に偽りの記憶を植え付けることが可能らしい。。。

    筆力がすごい、と思った。

    エンディングはちょっと。。。

    払ってもいい金額:1,200円
    貼った付箋の数:4(小説なのに4もあった)

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    2025年11月19日
  • 蝶の眠る場所

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    初の著書とは信じられないくらいの作品でした。報道記者の経験が生かされているのでしょう。

    無実を訴え続け、死刑になった今井武虎。殺人犯の子ども、孫としての人生、偽証した女性の苦悩、冤罪について、色々考えさせられ最初から引き込まれました。

    ドラマ化されることを意識して書いているのかなぁとも思えます。

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    2025年10月20日
  • 蝶の眠る場所

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    自分の意見を発する機会を持てない弱者の声に、どのように耳を傾けるか。真の贖罪とは何か。
    無力感と無知の怖さ、決めつけの怖さ。
    死刑のその後について考えさせられました。

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    2024年11月23日
  • 蝶の眠る場所

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    強引な部分もあるけれど、物語や登場人物の魅力がに引きつけられて一気読み。最後の最後まで面白かった。この作者のデビュー作品だと聞き、色々てんこ盛りに納得。

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    2023年05月03日
  • 彼女たちのいる風景

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    隣の家の芝生は青く見える。その人がどんな苦悩を抱えているか知ることもなく、他人を羨み、妬み、嫉妬し自分と比べて落ち込んだり憐憫したり。大学時代からの女友だち3人のそれぞれの生活は誰が幸せ?幸せの意味や、他人と比べることの愚かさ、そして生きる意味を考えさせられた一冊。というか、すごく良かった!3人がこれからどうなるのかハラハラしながら一気読み。

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    2023年03月26日
  • 彼女たちのいる風景

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    「こんなはずじゃなかった」
    彼女達の声にならない悲痛な叫びが何度も頭の中でこだました。

    序章で描かれる卒業証書を持つ袴姿の女学生の姿が、かつての自分とリンクする。

    あの頃は怖いものなんて何もなく未来に希望しかなかった。
    年齢を重ねるうちに社会に蔓延る理不尽に気付き、仕事や結婚、出産、育児、躓くたびに努力で叶わない現実がある事を思い知らされた。

    彼女達に襲い掛かる突然の病や子の発達障害。
    一体誰がそんな未来を予想しただろう。

    自らの心に潜む醜い感情に対峙しながらも精一杯生きる姿に共感し、そんな彼女達が愛おしくて堪らない。

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    2023年02月18日
  • 名もなき子

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    名前は親から子供への最初の贈り物。
    その瞬間は我が子の健やかな成長と明るい未来を心から祈ったはず。

    だが親の身勝手や社会のシステムによって、無戸籍児となる状況に追いやられる子らがいる。

    一方、高齢者施設で相次ぐ不審死。
    生産性のない高齢者を解放するという建前の誤った正義。

    劣悪な環境、理不尽な人生。
    親を、社会を恨みたくなる気持ちは理解出来ても、それが殺人を肯定する理由にはならない。

    物語ではダウン症児や路上生活者など様々な人の人生が描かれる。
    赤子も高齢者もこの世に生を受けた者の命は等しく尊い。

    命の意味を問われる読後。

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    2023年02月18日
  • 彼女たちのいる風景

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    大学のサークルで出会って意気投合した3人の女性たち。彼女たちが38歳となったときの、それぞれの人生を描いた作品だ。
    1人は結婚・出産後育児休業中、1人はシングルマザーで奮闘中、1人は結婚後なかなか子供ができず悩んでいる。
    そんな、仕事・結婚・子供に悩む姿を主軸に、現代を生きる女性が共通して抱える問題も取り上げられている。このあたりはさすがだなと思う。
    前2作はミステリーだったが、本作にはそうした要素はあまりない。より幅広い読者に受け入れられるのではないだろうか。

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    2023年02月04日
  • 蝶の眠る場所

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    小学生が学校の屋上から転落死した事件。その取材をする女性記者は、その子供の祖父が死刑になっており、しかしそれが冤罪かもしれないということを知って調査を始める。ふとしたことから始まった悲劇の連鎖を描くミステリです。
    実は続編「名もなき子」の方を先に読んでしまったので、少しだけ事件の真相に触れるところを知った状態で読んでしまったのですが。しかしそれでも謎は多いし、読みごたえのある物語でした。まあ彼が冤罪なのはストーリー上間違いがないとして、しかしなぜそのようなことになってしまったのか……わかってみるとあまりにやりきれないです。冤罪に追いやった彼の気持ちも、自分は無実と知りながらもある意味での「罰」

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    2022年12月28日
  • 蝶の眠る場所

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    すごく面白くて、1日で一気読みしました。死刑制度について、私自身の考えを深める間もなく読み切ってしまって、ちょっともったいなかったです。著者の水野梓さん、女性なんですね。主人公・榊美貴の母としての心情が胸に沁みました。一方で、男性の登場人物の心情は、なんとなく添わないような気がしました。きっと、私の周囲の男性とはタイプが違うのでしょう。また、出身であるテレビ業界の描写は臨場感があるのでしょう。とても興味深かったです。

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    2022年11月27日
  • 蝶の眠る場所

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    少年の飛び降り自殺に端を発して、冤罪事件の解明へと広がっていくストーリー運びはとても丁寧で読みごたえがあった。登場人物がやや多いので、「おっと、この人は誰だったっけ?」となる瞬間もあったけど、割としっかりキャラ立ちしてるので分かりにくくはない感じかな…『アングル』スタッフの面々は好きですね。ただまぁ、詰め込みすぎた感があって残念ですね。瑠伽少年の共感覚なんて、それだけでひとつお話ができそうなネタだと思うし。もったいないなぁ。

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    2022年08月17日
  • 名もなき子

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    テレビ局でドキュメンタリー番組の制作に携わる榊美貴は、高齢者施設で多発している不審死に疑問を感じる。

    ほどなくして、主要メディアや官邸に犯行声明が届く。
    何も生み出さない高齢者は、「社会悪」だ。と…
    寝たきりだと、病気だと、それだけで必要のない人間になるのか…

    取材を進めていく中、高熱で倒れている青年・小林悟を助ける。
    彼は、無戸籍だった。
    彼の生きてきた道程を知った美貴は、強い衝撃を受ける。
    そして、彼の周りを調べていくうちに高齢者施設での不審死にも繋がるものを探り出す。

    今現代において、高齢化する問題もあるが、生まれながらにして無戸籍で生きなければならない者たちの苦悩。
    それも鋭く書

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    2022年08月08日
  • 名もなき子

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    昼の光に、夜の闇の深さが分かるものか ニーチェ

    僕たちの生きている社会は、どのみち公平ではない。生まれながらにして貧富や家庭環境やIQや美醜など様々「格差」があって、そこから抜け出すのは容易じゃない。
    だったら、生産性の有無で人を仕分けるのはもっとも公平なやり方だ。

    人間には誰一人無駄な者などいないのだ。
    生まれてこないほうがいい命など、一つもない。
    すべての命は等しく尊いのだ。

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    2022年07月09日