水野梓のレビュー一覧

  • 彼女たちのいる風景

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    隣の家の芝生は青く見える。その人がどんな苦悩を抱えているか知ることもなく、他人を羨み、妬み、嫉妬し自分と比べて落ち込んだり憐憫したり。大学時代からの女友だち3人のそれぞれの生活は誰が幸せ?幸せの意味や、他人と比べることの愚かさ、そして生きる意味を考えさせられた一冊。というか、すごく良かった!3人がこれからどうなるのかハラハラしながら一気読み。

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    2023年03月26日
  • 彼女たちのいる風景

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    「こんなはずじゃなかった」
    彼女達の声にならない悲痛な叫びが何度も頭の中でこだました。

    序章で描かれる卒業証書を持つ袴姿の女学生の姿が、かつての自分とリンクする。

    あの頃は怖いものなんて何もなく未来に希望しかなかった。
    年齢を重ねるうちに社会に蔓延る理不尽に気付き、仕事や結婚、出産、育児、躓くたびに努力で叶わない現実がある事を思い知らされた。

    彼女達に襲い掛かる突然の病や子の発達障害。
    一体誰がそんな未来を予想しただろう。

    自らの心に潜む醜い感情に対峙しながらも精一杯生きる姿に共感し、そんな彼女達が愛おしくて堪らない。

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    2023年02月18日
  • 名もなき子

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    名前は親から子供への最初の贈り物。
    その瞬間は我が子の健やかな成長と明るい未来を心から祈ったはず。

    だが親の身勝手や社会のシステムによって、無戸籍児となる状況に追いやられる子らがいる。

    一方、高齢者施設で相次ぐ不審死。
    生産性のない高齢者を解放するという建前の誤った正義。

    劣悪な環境、理不尽な人生。
    親を、社会を恨みたくなる気持ちは理解出来ても、それが殺人を肯定する理由にはならない。

    物語ではダウン症児や路上生活者など様々な人の人生が描かれる。
    赤子も高齢者もこの世に生を受けた者の命は等しく尊い。

    命の意味を問われる読後。

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    2023年02月18日
  • 彼女たちのいる風景

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    大学のサークルで出会って意気投合した3人の女性たち。彼女たちが38歳となったときの、それぞれの人生を描いた作品だ。
    1人は結婚・出産後育児休業中、1人はシングルマザーで奮闘中、1人は結婚後なかなか子供ができず悩んでいる。
    そんな、仕事・結婚・子供に悩む姿を主軸に、現代を生きる女性が共通して抱える問題も取り上げられている。このあたりはさすがだなと思う。
    前2作はミステリーだったが、本作にはそうした要素はあまりない。より幅広い読者に受け入れられるのではないだろうか。

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    2023年02月04日
  • 蝶の眠る場所

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    小学生が学校の屋上から転落死した事件。その取材をする女性記者は、その子供の祖父が死刑になっており、しかしそれが冤罪かもしれないということを知って調査を始める。ふとしたことから始まった悲劇の連鎖を描くミステリです。
    実は続編「名もなき子」の方を先に読んでしまったので、少しだけ事件の真相に触れるところを知った状態で読んでしまったのですが。しかしそれでも謎は多いし、読みごたえのある物語でした。まあ彼が冤罪なのはストーリー上間違いがないとして、しかしなぜそのようなことになってしまったのか……わかってみるとあまりにやりきれないです。冤罪に追いやった彼の気持ちも、自分は無実と知りながらもある意味での「罰」

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    2022年12月28日
  • 蝶の眠る場所

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    すごく面白くて、1日で一気読みしました。死刑制度について、私自身の考えを深める間もなく読み切ってしまって、ちょっともったいなかったです。著者の水野梓さん、女性なんですね。主人公・榊美貴の母としての心情が胸に沁みました。一方で、男性の登場人物の心情は、なんとなく添わないような気がしました。きっと、私の周囲の男性とはタイプが違うのでしょう。また、出身であるテレビ業界の描写は臨場感があるのでしょう。とても興味深かったです。

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    2022年11月27日
  • 蝶の眠る場所

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    少年の飛び降り自殺に端を発して、冤罪事件の解明へと広がっていくストーリー運びはとても丁寧で読みごたえがあった。登場人物がやや多いので、「おっと、この人は誰だったっけ?」となる瞬間もあったけど、割としっかりキャラ立ちしてるので分かりにくくはない感じかな…『アングル』スタッフの面々は好きですね。ただまぁ、詰め込みすぎた感があって残念ですね。瑠伽少年の共感覚なんて、それだけでひとつお話ができそうなネタだと思うし。もったいないなぁ。

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    2022年08月17日
  • 名もなき子

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    テレビ局でドキュメンタリー番組の制作に携わる榊美貴は、高齢者施設で多発している不審死に疑問を感じる。

    ほどなくして、主要メディアや官邸に犯行声明が届く。
    何も生み出さない高齢者は、「社会悪」だ。と…
    寝たきりだと、病気だと、それだけで必要のない人間になるのか…

    取材を進めていく中、高熱で倒れている青年・小林悟を助ける。
    彼は、無戸籍だった。
    彼の生きてきた道程を知った美貴は、強い衝撃を受ける。
    そして、彼の周りを調べていくうちに高齢者施設での不審死にも繋がるものを探り出す。

    今現代において、高齢化する問題もあるが、生まれながらにして無戸籍で生きなければならない者たちの苦悩。
    それも鋭く書

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    2022年08月08日
  • 名もなき子

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    昼の光に、夜の闇の深さが分かるものか ニーチェ

    僕たちの生きている社会は、どのみち公平ではない。生まれながらにして貧富や家庭環境やIQや美醜など様々「格差」があって、そこから抜け出すのは容易じゃない。
    だったら、生産性の有無で人を仕分けるのはもっとも公平なやり方だ。

    人間には誰一人無駄な者などいないのだ。
    生まれてこないほうがいい命など、一つもない。
    すべての命は等しく尊いのだ。

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    2022年07月09日
  • 名もなき子

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    前作『蝶の眠る場所』でデビューした水野さんの新作。本作は続篇というよりシリーズ2作目といったほうがしっくりくる。
    今回、美貴が追うのは、高齢者施設で相次ぐ不審死だ。首相官邸と衆参議長公邸には犯行声明が届き、社会部は独占取材に成功するが、殺人の実行犯ではないらしい。さらに無戸籍、育児放棄、性的虐待などを絡めながら物語は進む。
    早々に犯人の目星はついてしまってミステリーとしては弱いが、この国の抱えている問題が詳らかにされていく過程はさすがの一言だ。ただ、あまりに重苦しい背景に、(おもしろかった)と小さく書きたい。

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    2022年06月20日
  • 蝶の眠る場所

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    70すごく重いテーマで心が重くなるけれど、その中からも信仰心を持って相手を思いやり自制する姿にある種の感動を覚える。自死を選ぶ人が少なる社会を望む。(20250521再読)

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    2022年06月17日
  • 蝶の眠る場所

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    内容的には凄く読み進めたくなる感じでよかったのに、最後の終わり方が残念。
    え、終わり?
    色々中途半端みたいな

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    2022年04月04日
  • 蝶の眠る場所

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    ある日、小学生の男児が学校の屋上から転落死する。取材にあたったテレビ局の女性記者はいじめによる自殺を疑う。取材を進めると、男児の母の父(つまり男児の祖父)は、かつて冤罪(えんざい)が疑われていた事件の被告で、その後死刑になっていた事実を知る。転落とかつての冤罪事件は関連しているのか
    冤罪で死刑になった男の最後の言葉冤罪だと最後まで良い続けていたが沢木が持ってきた手紙を見て自分の罪を知ることになる。
    罪の連鎖…

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    2022年02月13日
  • 蝶の眠る場所

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    面白かった!
    事件についての描写もそうだが、働く母としての描写もよかったです。
    最後、冴木さんとは、結ばれないのかな?そこまで書かれていたら、出来過ぎかな。

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    2022年01月29日
  • 蝶の眠る場所

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    本書がデビュー作となる水野梓さんの社会派ミステリー。小学校の屋上から落ちて亡くなった小学生と、一貫して無罪を主張し続けたにも関わらず刑を執行された死刑囚が物語の発端となる。この2つの事件を結びつけるのはテレビ局の女性ディレクターで、シングルマザーの苦労も織り込まれる。彼女の丹念な取材から驚きの真実が浮かび上がる。新人離れした文章力と緻密な構成で飽きさせない。贖罪の意味を考えさせられた。

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    2021年07月03日
  • 蝶の眠る場所

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    東京都町田市で起きた小学生の転落事故。事故として警察は処理されたが、母親はそれに疑問を呈し、いじめで殺されたんだと主張する。その母親を取材していたテレビ局の記者は、さらに調べていくうちに母親の父が、以前誘拐殺人事件の死刑囚であることを知る。後に死刑囚は処刑されたが、その直前まで、やっていないと主張し続けていた。
    2つの事件は繋がっているのか?報道記者が、その真相に迫っていく。


    作者の水野さんは、日本テレビの報道局経済部のデスクとして働いている現役の報道記者として活躍されています。
    報道によるドキュメンタリー番組にも携わっていたこともあり、この作品でもそういったドキュメンタリー番組作りが描か

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    2021年05月08日
  • 名もなき子

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    「蝶の眠る場所」の記者榊美貴の続編。
    高齢者の医療・介護問題、尊厳死、優性思想、無戸籍児、DV、性虐待含む虐待、、、社会問題てんこ盛りです。
    作者の書きたい事や伝えたい事がいっぱいある気持ちは伝わってくるのだが、、

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    2025年06月10日
  • グレイの森

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    ネタバレ

    衝撃的な事件が起きてから、次にその事件に触れるまでが少し長くてダルくなってくるが、それを過ぎればサクサク読める。
    正解かどうか、正義か悪か。白か黒かどちらかしか、ゆるしてくれない。
    1軍、2軍、カースト。

    グレーでいい。グレーのグラデーション。
    安易に正解に飛びついてはいけない。
    単純な結論はない。
    信じてるじゃなくて信じたい。
    正解のない世界を生きる勇気
    p291から292など は興味深かった。

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    2025年06月08日
  • グレイの森

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    グレイの森
    水野梓さん

    臨床心理士。

    全てが繋がった。
    怖いなぁー。

    自分がその立場になったら、
    どうなっちゃうんだろう。
    怖いなぁー。

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    2024年10月07日
  • 彼女たちのいる風景

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    彼女たちのいる風景
    水野梓さん

    大学の同級生の親友。
    三人三様。
    それぞれの胸の内が赤裸々に描かれている。
    隣の芝生は青く見える。

    胸が痛くなる描写もあったけど、
    おもしろかった。


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    2024年09月20日