水野梓のレビュー一覧

  • 蝶の眠る場所

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    小学生が学校の屋上から転落死した事件。その取材をする女性記者は、その子供の祖父が死刑になっており、しかしそれが冤罪かもしれないということを知って調査を始める。ふとしたことから始まった悲劇の連鎖を描くミステリです。
    実は続編「名もなき子」の方を先に読んでしまったので、少しだけ事件の真相に触れるところを知った状態で読んでしまったのですが。しかしそれでも謎は多いし、読みごたえのある物語でした。まあ彼が冤罪なのはストーリー上間違いがないとして、しかしなぜそのようなことになってしまったのか……わかってみるとあまりにやりきれないです。冤罪に追いやった彼の気持ちも、自分は無実と知りながらもある意味での「罰」を受け入れた彼の気持ちも悲しくて。冤罪を作ることに加担した人たちにもそれぞれの理由があったり、そしてその冤罪からの波紋の大きさもまた悲痛極まりなく、いったい誰が悪かったのか……もちろん真犯人なのですけどね。真犯人は判明するものの存在感が薄くて、だからこそその分憎しみのやりどころが分からない気持ちにさせられました。
    その一方で報道番組「アングル」スタッフの面々は魅力たっぷりで楽しいです。かなり癖の強い人ばかりだけれど、どの人も素敵でした。

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    2022年12月28日
  • 蝶の眠る場所

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    すごく面白くて、1日で一気読みしました。死刑制度について、私自身の考えを深める間もなく読み切ってしまって、ちょっともったいなかったです。著者の水野梓さん、女性なんですね。主人公・榊美貴の母としての心情が胸に沁みました。一方で、男性の登場人物の心情は、なんとなく添わないような気がしました。きっと、私の周囲の男性とはタイプが違うのでしょう。また、出身であるテレビ業界の描写は臨場感があるのでしょう。とても興味深かったです。

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    2022年11月27日
  • 蝶の眠る場所

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    少年の飛び降り自殺に端を発して、冤罪事件の解明へと広がっていくストーリー運びはとても丁寧で読みごたえがあった。登場人物がやや多いので、「おっと、この人は誰だったっけ?」となる瞬間もあったけど、割としっかりキャラ立ちしてるので分かりにくくはない感じかな…『アングル』スタッフの面々は好きですね。ただまぁ、詰め込みすぎた感があって残念ですね。瑠伽少年の共感覚なんて、それだけでひとつお話ができそうなネタだと思うし。もったいないなぁ。

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    2022年08月17日
  • 名もなき子

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    テレビ局でドキュメンタリー番組の制作に携わる榊美貴は、高齢者施設で多発している不審死に疑問を感じる。

    ほどなくして、主要メディアや官邸に犯行声明が届く。
    何も生み出さない高齢者は、「社会悪」だ。と…
    寝たきりだと、病気だと、それだけで必要のない人間になるのか…

    取材を進めていく中、高熱で倒れている青年・小林悟を助ける。
    彼は、無戸籍だった。
    彼の生きてきた道程を知った美貴は、強い衝撃を受ける。
    そして、彼の周りを調べていくうちに高齢者施設での不審死にも繋がるものを探り出す。

    今現代において、高齢化する問題もあるが、生まれながらにして無戸籍で生きなければならない者たちの苦悩。
    それも鋭く書いている。

    孤独や悲しみ、諦念すら感じさせる。

    重いテーマではあるが、淡々と流れるように読み進められたのは、榊美貴の目線を軸にしているからだろうか。

    終章の誕生で母親の気持ちを知る。
    辛すぎて複雑である。

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    2022年08月08日
  • 名もなき子

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    昼の光に、夜の闇の深さが分かるものか ニーチェ

    僕たちの生きている社会は、どのみち公平ではない。生まれながらにして貧富や家庭環境やIQや美醜など様々「格差」があって、そこから抜け出すのは容易じゃない。
    だったら、生産性の有無で人を仕分けるのはもっとも公平なやり方だ。

    人間には誰一人無駄な者などいないのだ。
    生まれてこないほうがいい命など、一つもない。
    すべての命は等しく尊いのだ。

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    2022年07月09日
  • 名もなき子

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    前作『蝶の眠る場所』でデビューした水野さんの新作。本作は続篇というよりシリーズ2作目といったほうがしっくりくる。
    今回、美貴が追うのは、高齢者施設で相次ぐ不審死だ。首相官邸と衆参議長公邸には犯行声明が届き、社会部は独占取材に成功するが、殺人の実行犯ではないらしい。さらに無戸籍、育児放棄、性的虐待などを絡めながら物語は進む。
    早々に犯人の目星はついてしまってミステリーとしては弱いが、この国の抱えている問題が詳らかにされていく過程はさすがの一言だ。ただ、あまりに重苦しい背景に、(おもしろかった)と小さく書きたい。

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    2022年06月20日
  • 蝶の眠る場所

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    70すごく重いテーマで心が重くなるけれど、その中からも信仰心を持って相手を思いやり自制する姿にある種の感動を覚える。自死を選ぶ人が少なる社会を望む。(20250521再読)

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    2022年06月17日
  • 蝶の眠る場所

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    内容的には凄く読み進めたくなる感じでよかったのに、最後の終わり方が残念。
    え、終わり?
    色々中途半端みたいな

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    2022年04月04日
  • 蝶の眠る場所

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    ある日、小学生の男児が学校の屋上から転落死する。取材にあたったテレビ局の女性記者はいじめによる自殺を疑う。取材を進めると、男児の母の父(つまり男児の祖父)は、かつて冤罪(えんざい)が疑われていた事件の被告で、その後死刑になっていた事実を知る。転落とかつての冤罪事件は関連しているのか
    冤罪で死刑になった男の最後の言葉冤罪だと最後まで良い続けていたが沢木が持ってきた手紙を見て自分の罪を知ることになる。
    罪の連鎖…

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    2022年02月13日
  • 蝶の眠る場所

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    面白かった!
    事件についての描写もそうだが、働く母としての描写もよかったです。
    最後、冴木さんとは、結ばれないのかな?そこまで書かれていたら、出来過ぎかな。

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    2022年01月29日
  • 蝶の眠る場所

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    本書がデビュー作となる水野梓さんの社会派ミステリー。小学校の屋上から落ちて亡くなった小学生と、一貫して無罪を主張し続けたにも関わらず刑を執行された死刑囚が物語の発端となる。この2つの事件を結びつけるのはテレビ局の女性ディレクターで、シングルマザーの苦労も織り込まれる。彼女の丹念な取材から驚きの真実が浮かび上がる。新人離れした文章力と緻密な構成で飽きさせない。贖罪の意味を考えさせられた。

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    2021年07月03日
  • 蝶の眠る場所

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    東京都町田市で起きた小学生の転落事故。事故として警察は処理されたが、母親はそれに疑問を呈し、いじめで殺されたんだと主張する。その母親を取材していたテレビ局の記者は、さらに調べていくうちに母親の父が、以前誘拐殺人事件の死刑囚であることを知る。後に死刑囚は処刑されたが、その直前まで、やっていないと主張し続けていた。
    2つの事件は繋がっているのか?報道記者が、その真相に迫っていく。


    作者の水野さんは、日本テレビの報道局経済部のデスクとして働いている現役の報道記者として活躍されています。
    報道によるドキュメンタリー番組にも携わっていたこともあり、この作品でもそういったドキュメンタリー番組作りが描かれています。

    その描写が、複数話分のドキュメント番組を見ているかのような躍動感があって、重厚感もありました。

    メインとなる話は、小学生の転落事故ではなく、過去に起きた冤罪の可能性のある誘拐殺人事件の方です。

    母親が感じた疑問や鳥がつぶやいた「ヒトゴロシ」など一つの小さな疑問点を繋ぎ合わさっていく行程が、緊迫感あるだけでなく、スピード感もあって、ついつい惹き込まれました。

    主人公は報道記者の美貴。以前は社会部の友軍キャップとして活躍していたが、ある出来事がきっかけで、ヒラ記者として戻されます。夫は死別で、2歳の子供がいます。

    記者としてのプライドや真実を追い求める執念さがひしひしと伝わりました。その一方で子供を育てるという母親としての「顔」もあり、そのあたりの苦悩といった心理描写が丁寧に描かれているので、ドキュメンタリーをみているようでした。

    その他にも、警察署長や被害者の母親、仕事場での仲間など、様々な人たちの過去や思いが丁寧に描かれていて、ストーリーにさらに重厚感を増したように感じました。
    その一方で、仕事場での登場人物のキャラクター性が、クスッとさせた部分もあり、良い息抜きにさせてくれるので、程よい緊張感になりました。

    殺人事件の犯人が果たして本当にその死刑囚だったのか?
    冤罪だったのでは?というのが、大きなテーマとなっています。

    罪とは何か?
    罰とは何か?

    色々考えさせられました。何気なく言った一言が、後に大きな影響を及ぼしていくことに何とも言えないもどかしさを感じました。

    保身のために嘘をつく。決して許されないことですが、もし自分だったらと思うと・・・、もしかしたら嘘を言うかもしれません。

    何事も屈せず、真実を追い求めようとする美貴の姿に誇らしさや勇ましさを感じましたし、真の記者だなと感じさせてくれました。

    一つの転落事故から誘拐殺人事件まで、あらゆる人を巻き込みながら、ここまで話が拡がるとは・・・。

    事件の結末としては、匂わせな形で終わりますが、その分リアリティもあって、余韻に浸れました。

    何が正しくて、何が悪いのか。おそらく答えはわかっていますが、その状況になった時、果たして答えられるのか。

    読み終わった後、色んな感情が渦巻いてしまい、色んな意味で心を揺さぶられた作品でした。

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    2021年05月08日
  • 名もなき子

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    「蝶の眠る場所」の記者榊美貴の続編。
    高齢者の医療・介護問題、尊厳死、優性思想、無戸籍児、DV、性虐待含む虐待、、、社会問題てんこ盛りです。
    作者の書きたい事や伝えたい事がいっぱいある気持ちは伝わってくるのだが、、

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    2025年06月10日
  • 彼女たちのいる風景

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    彼女たちのいる風景
    水野梓さん

    大学の同級生の親友。
    三人三様。
    それぞれの胸の内が赤裸々に描かれている。
    隣の芝生は青く見える。

    胸が痛くなる描写もあったけど、
    おもしろかった。


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    2024年09月20日
  • 金融破綻列島

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    金融破綻列島というタイトルにハードな内容を期待したが、金融庁に勤める小説主役の香月彩の描き方が幼すぎ、金融庁同僚もかなり緊張感のない描き方なので、金融破綻列島と書かれても緊迫感の無い小説だった。
    私怨や偶然や過去の繋がりが物語にプラスになったとは思えなかった。
    著者の「蝶の眠る場所」は面白かったんだけど…。

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    2024年09月05日
  • 蝶の眠る場所

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    「冤罪」「死刑」「少年の自殺」どれをとっても重いテーマ。
    点と点で起きていた事件が線で繋がってしまった。
    物語は過去と現在を行ったりきたりしながら、事件の全容を見せていく。
    伏線が散らばっているので、回収したくてどんどん読んでしまう。
    たくさん内容がありすぎて、結局、終わり方は淡々としてしまった感はあったけれど、読み応えは充分ある。

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    2024年06月27日
  • 彼女たちのいる風景

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    作中の彼女たちと同年代の私としては響くものあり。最後は少しご都合主義的展開かもだけど割と好きな作品だった。

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    2024年04月12日
  • 彼女たちのいる風景

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    中盤まではリアルティ溢れて
    とっても面白くて、
    共感しきりだったのだけど、

    終盤、全てがうまいところに収まって、
    結局誤解や勘違いだったのねみたいな、
    そんな『めでたしめでたし』みたいな終わり方が
    なんか納得できないというか、
    現実味がないというか、
    いまいちスッキリしない読後感でした。

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    2023年01月20日
  • 名もなき子

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    無国籍、児童虐待、命の価値、トリアージ、AI。現代における様々な問題が盛りだくさんだった。どれも重たい話なのだけれど、さらっと書かれているので読後ずっしり来るという感じではなかった。それぞれの問題についてもう少し掘り下げてほしかったけれど、これだけ詰め込むならこれくらいがちょうどいいような気もするし…なんだかモヤモヤ。

    命の価値は、正直どれだけ考えても答えが出ない問題だ。生産性のない人は生きている価値がないとまでは思っていないけれど、自分自身が生産性のない立場になったら、それは生きている価値がないと感じるだろうな、とは思った。

    それと、犯人の動機や母親の選択の理由がイマイチ理解できなかった。理解できないという言葉が正しいかは分からないのだけれど…なんだろう。腑に落ちない?

    他のかたの感想を読んで知ったのだけれど、どうやら前作があるらしい。今回あっさり書かれていた夫の死だとか、そのあたりの主人公の闇が見えそうなので前作も読んでみたい。

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    2023年01月09日
  • 蝶の眠る場所

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    蝶の眠る場所
    水野梓さん。

    おもしろかった。
    着地点が、見えず。
    どうなるのだろう?と、
    先が気になり、読み進める。

    悲しい。話だけど、
    希望もあり、
    良かった。


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    2022年11月29日