高橋知之のレビュー一覧
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『アルテーミー・セミョーノヴィチ・ベルヴェンコーフスキー』アレクセイ・トルストイ
馬車の故障で立ち寄ったお屋敷の主アルテーミー・セミョーノヴィチは風変わりな発明狂だった。素っ裸で散歩して、30分間大声で騒ぎ立て、それから発明!発明!発明!
語り手は、アルテーミー・セミョーノヴィチの膨大な金を注ぎ込み珍妙で役に立たない発明自慢を聞くだけなので「変わった人だなあ」で済むんだけど、金がどんどんなくなって彼の屋敷の人たちは大変そうだよね、というお話。
『指輪』エヴゲー二ー・バラトゥインスキー
真面目な貴族のドゥブローヴィンは膨大な借金を背負うことになってしまう。ドゥブローヴィンは変わり者引きこもり資 -
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短編が6つ、中編が1つ収録されている。
『奇譚』というと怖い系をイメージするかもしれないけど、奇怪・珍奇という感じの話も多かった。
解説によると短編は全て本邦初訳らしい。
中編も現在では入手が難しいとか。
好きだったものを以下にいくつか。
「アルテーミー・セミョーノヴィチ・ベルヴェンコーフスキー」
初っ端から全裸で走り回ったり、30分間も雄叫びをあげるのを習慣にしている元気なマッドサイエンティストが出てきて、あまりのキャラの濃さに笑った。
全体的にコメディ色が強い。
「指輪」
不思議な指輪にまつわる因縁話。
指輪の持ち主のいうことには無条件で従う男がいるが、それには合理的な説明がつくかと -
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都会で暮らす「私」は、育ての親である「おじ」が大変な状況に置かれていることを知り慌てて里帰りをする。
そこで出会う様々な人々に振り回される「私」と人がいい「おじ」との二日間を描くドタバタ笑劇
人を疑わず、学者を崇拝しがちなおじを好きなように操る、学者を名乗るフォマー。そのフォマーなしでは生きていけなくなっているおじの母である将軍夫人。この2人から叔父を助け出し、実家を平和にする話……かと思ってよんでいたので、まぁ、びっくり。そういう方向かぁ。これは喜劇だわ(笑)→
ドストエフスキー初期の作品らしいこちら、いい意味で勢いがあって、圧倒される。個性的なキャラクターがたくさん出てきて、なんか目が -
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ユーモア小説ではあるけど、そこまで笑えるというほどではなく、普通にこの状況やばいし怖くないか?と思う場面も多かった。
ただ、他のドストエフスキー作品に比べると、思想や宗教についてのことがほぼ書かれてないし、難しさもないので読みやすい。
自尊心を拗らせに拗らせたフォマーが本当に読んでてイライラした。
なんでも被害者面して「侮辱された!」とか言うのはすごく卑怯な攻撃の仕方だし、それに対して周りの人たちもそうだそうだ!ってなったり、謝ったりしてるのがこれまた余計にイライラさせる。
家のなかにあんな人がいたら心が休まらないだろうに、なんであそこまでフォマーにみんな執心してるのかわからなかった…。
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『君主論』などのロシア版のようなリーダー論なのかと思って手に取ったが、小説であったので、少し面喰いながら読み始めた。読み始めながらも、「英雄」らしき人物の登場はなく、かといってそれほど「悪人」が登場するでもなく、よくわからずに本文を読み終えた。詳細な解説や年表などで、本書の位置づけや評価がなんとなくわかった。結構有名なものだったようで、浅学を恥じた。現在、本文庫版で順次刊行中の『戦争と平和』を読書中で、それとも共通するのだが、当時のロシアの貴族や軍人の思考や行動、風俗などは非常に特異なものがありつつ、現代にも通じる人間の性がうかがい知れる点は、興味深い。
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Posted by ブクログ
本書『現代の英雄』が刊行されたのは1840年、著者レールモントフが26歳のとき。翌年には旧友との間での決闘により命を落とす。
本書では、主人公であるペチョーリンに関して、恋物語やちょっとした冒険談などのエピソードを折り混ぜて、語り手による語りや手記、本人の日記の形を取って、その性格や考え方、人物像が明らかに(?)なっていく。
ペチョーリンはどういう人物なのだろうか。全体的には、冷笑的で、物事に真剣に取り組むことを避ける人物という感を受けるのだが、細部まで読めば読むほど、理解するに一筋縄ではいかない面が多い。「自意識」の塊のような人物と言えばよいのだろうか。
こうした人物を、26歳と