石田光規のレビュー一覧
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「人それぞれだからね」と話を結論づけることは思考停止に過ぎないと前から思っていて、「人それぞれ」は冷たく、突き放している言い方だよね。帯にもあるように「受け入れつつ突き放す人間関係」。なんとなくこの寂しさや息苦しさを感じている人は多いと思う。言語化されていて良かった。
「人それぞれ」の生き方がありながら、序列は存在するから息苦しいという点が腑に落ちた。格差、自己責任論と言われる今の社会で、それぞれに手は差し伸べるのではなく、手を引き合う、足を引っ掛け合うような場面が最近多いように感じる。
「みんなちがって、みんないい」には「みんな違うから、みんなそのままでいい」多様性と「みんな違って -
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「人それぞれ」って多様性が叫ばれる昨今、耳触りのいい表現に聞こえるけど、人それぞれだからって言われちゃうとそれ以上何も言えなくなっちゃう。私がずっと思ってたことはこれだ!って気づきました。
人それぞれだからってのは、多様性とか異質性を受け入れてるように感じるけど、実はそうじゃなくて、それ以上そのことに深入りしないってことなのよ。つまり議論の余地もないの。これって本質的には全然受け入れたことにならないし、そのことを理解しようとする人をばっさり切り捨てるってこと。
理解できなくても、受け入れられなくても、そのことについて議論したいと思ってるのに、人それぞれだからって考えようともしないで、多様性 -
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ネタバレ「人それぞれ」というのは多様性を認める言葉である反面、対立を避けるあまり他人に対して無関心になったり無難な関係しか築けなくなってしまうことにも繋がる。
ほんとにその通り。
じゃあ深い対話を通じて自分と違う意見の人とも分かり合うためにはどうしたらいいかというと、そもそも人とのつながりに対する期待値を下げる必要があるとのこと。
ちょっと消極的なような印象もあるけど、確かに私も自分にとってプラスだと感じる人間関係だけを求め過ぎているのかもなぁと感じた。
もっと気の合う友達が欲しい、とはいえそんなに気の合う人なんてなかなか出会えない、出会えたとしても深い話ができるような関係性を築くのには時間がかか -
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独身未婚中年男性の自分(ゲイ寄りのアロマンティックでアセクシャルではない)が読んでみました。
今の中高生には、読んで欲しいかも、という本でした。
「ありのままでいいんだよ」ということで「そっか」と思えて受け入れて前向きになれればそれでいいんです。
一方で、例えば自分がいわゆるブ男だけど、イケメンになりたいと思っていて、それが受け入れられなければ、いくら周りに「おまえのままでいいんだよ」と言われても、納得はできないでしょう。(ヘテロ男性の場合は、「あなた素敵」と言ってくれる女性が自分の意中の人であって結婚できれば、だいたいどんな状況でも生きていける単純な生き物ですが)
なので、「ありのままでい -
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友人、親友という概念の内容が時代とともに変遷しているという目から鱗の指摘から始まり引き込まれた。
本書は、研究レポート的な長期間の新聞内容推移分析やアンケート分析など中心であるが、その分析自体は、やや粗い分析になっているように感じた。一方で、分析との関係からは答えありきなのかもとも感じたが、考察にはなるほどと感じる点があった。
昭和においては、家族や会社などの中間的なコミュニティが強く、その中での役割を通した関係も友人であり親友であったが、その中間的なコミュニティの存在が弱まり個人化が進んだことで友人関係も変化したという。
現代においては、友人は選び選ばれる感情的な関係を中心となっているこ -
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「人それぞれ」という言葉に込められている、一見多様性を重んじているようで実は思っていることを飲み込み、大きな波を起こさないように過ごす考え方、今の社会で多くの人が知らないうちに実践している考え方や行動をわかりやすく解説してくれている。実は私も大いに思い当たるところがある。一つはこの20年ほど友人ができないこと、大学生の頃の友人とは離れていても会えばすぐに戻る感覚で今も繋がっているが、働き出してから本当の苦しみを吐露できるような友人と巡り会えない。これは青年期を過ぎた大人では仕方ないのかなと思っていたが、恐らく本書で書かれていることが本当の原因だったと思う。私も相手を尊重するという考え方のもと、