石田光規のレビュー一覧
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理性など西洋哲学に疑念を持っていることから、発売日すぐに手に取った。自分で決めるという自由は一見良さそうに感じるが、責任を負う・孤独に陥ることなどマイナス面も大きい。例えば、孤独は肥満・運動不足より死亡するリスクが高まることが研究で判明している。なぜこのようになったのか。読んでいて感じたことは、ムラ社会・空気など過去から研究されていた人間関係からの脱却。物・サービスが豊かになり「今・ここ」が即時的に楽しめるようになったことが影響しているのではないだろうか。コミュニケーションも体力と同様に鍛えないと衰える。どうすればつながりを保てるのか、関心のある人に読んで欲しい本。
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Posted by ブクログ
現代は『人それぞれ』の多様性が認められはじめて、ずいぶんと昔よりは生きやすくなっていると思う反面、他人とクイックに繋がれる希薄な人間関係にうっすらとした寂しさを感じてこの本を読みました。
・異質な他者を取り込むには深い対話が必要
・最適化願望をいったん脇におき、つながりへの期待値を下げ、人にはプラスの面もマイナスの面もあるというごく当たり前の事実に立ち返る必要がある
・人付き合いの基本と本質は、期待通りにいくこと、期待にそぐわないことも含めて共に過ごしていくこと
人間関係を築く際に自分に足りてないことや、これからの人付き合いに意識していきたいことが明確になった気がします。 -
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超良かった。ぜひ「昔は良かったなぁ」と思っている人には読んでほしい
個人主義の弊害について書かれているが、
ネットでの過剰な「叩き」、「親ガチャ」にまで言及されており、とても読み応えがあった
気づき
・集団から離れた「人それぞれ」社会は、「つながりは自分で調達する」ことを意味する。それは「相手からも魅力的である」必要があるため、人間関係がコスパ重視になる。
・人間関係のコスパ主義は、人間関係を狭める。
「人にはプラス、マイナスどちらもある」ということを今一度思い出すべき
・現代の「叩き」に共通するのは「異質な他者の不在」である。異質な他者をも取り込む必要性
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誰しもが口にしたことのある、「人それぞれ」という言葉。
多様性の受け皿として、便利に使われているものの、それは対立を避けるためのものであり、極端に言えば、それは無関心なのです。
この本では、集団から個人への転換と共に訪れた、個人主義と多様性の間でどう生きるべきかを事例を用いて解説しています。
「人それぞれ」を枕詞にし、個人主義とは言いながらも、他人をまるで腫物扱いにして、無関心を正当化するのは、やはりどこか歪んでいると思います。
そして、大きな問題は、個人レベルで行われるそれらのことが、社会全体に浸透して、自己責任論が蔓延っていることだと思います。
サンデル教授が述べていた、能力主義 -
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ネタバレ独身未婚中年男性の自分が読んでみました。
社会学の本なので具体的な解決策などは書いてありませんが、社会構造として、個人に責任が押しつけられやすい現代になっている、ということはかなり解像度高く描かれていると感じました。
個人的には、恋愛・結婚のところが印象的でした。
自分が比較的、この人の論がしっくり来ると思っていた御田寺圭さんが引用されていて、石田先生は半分同意、半分反論といったところでしょうか。
自分としては、たしかに石田先生仰るように、恋愛に「同意」が必要になったことで救われる性被害者がいるというのには激しく同意。
一方で、(特に男性側で)恋愛に消極的な人はもう性行為や結婚には及べず、か -
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ネタバレ自分で決められる⇔責任を負わされる
ひとりを尊重する⇔孤独・孤立に陥る
やりたいことをやる⇔思わぬ非難を受ける
自分で決めたはずなのに息が詰まるのはなぜか。
自分のことは、自分で決める――。
本来善しとされるはずなのに、どこか疲れるのはなぜ?
そもそも自分で決めるってそんなによいものなのか。
他人の決めたことにはどこまで踏み込んでよいのか。
「自己決定」をめぐるこの社会の自縄自縛をときほぐす。(紹介文より)
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第一章 自分で決めることに息苦しさを感じてしまう
・自己決定を可能にするには、物質的な条件と思想的な条件がある
・「自分のことを自分で決める」を「社会」 -
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これから重要な決定をするか迷っており手に取った本。
タイトルから「個人」の意思決定に関する話かと思ったら、むしろ社会的なつながりの話だった。
私がネックに感じていた息苦しくなってしまうのではないか?挫折してしまうのではないか?という懸念についても触れられており、それを解消する方法や意思決定の仕方は本書には書かれていなかったが、その息苦しさや挫折を冷たく突き放す社会であるから、それが大きな懸念になってしまうということが理解できた。
社会全体でこれを無くしていくことは一朝一夕で出来ることではないが、個人的にはもう少し自分を責めすぎなくていいのかもしれない。また、他人を自己責任論で突き放しそうになっ -
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「人それぞれ」って言うと、多様性に理解のある寛容は人という感じがするけど、ばっさり切り捨てるような寂しさを感じることもある。
その寂しさの理由が「こういうことだったのか」とわかった気分。
一人でいるほうが気楽で、でも誰かと繋がっていないと不安で…という心理や、人それぞれと言いながらも自己主張はしづらいという現代の風潮。結局みんなどこか息苦しいのかなと思う。
人間なんて、プラスの面もマイナスの面も持ち合わせているのが当たり前で、コスパを考えることなく相手と向き合ってみることが大事だという考えには賛成。「人それぞれ」っという言葉はできるだけ使わず、面倒くさいことにも関わってみようかという気になった -
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大学入試小論文の出典として名前を見て、この手のテーマが昨年の流行であったとのことで手に取った本。
プリマー新書ということで学生向けなので、文体も優しく、すぐ読めてしまうが、なかなか現代の「息苦しさ」を絶妙に言語化してくれているように思った。それゆえにプリマー新書であることが悔やまれる。あと2、3歩踏み込んだ内容を読みたいと思った。
人それぞれ、という一見個性を尊重する社会通念は、実は形を変えているだけで集団主義的な色を非常に強く残しているというのはその通りだ。
外のコミュニティに対して「迷惑センサー」と「特権センサー」が過敏に反応し、相手を再起不能になるまでボコボコにする想像力のなさや、 -
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「まあ、人それぞれだからね」というのは一見寛容に見えるけれども非常に冷たい対応で、それによって生じる懸念などの解説をした本。新書だし薄くてわかりやすかった。
「人それぞれ」ってのはその人を尊重するように見えて、その人自身が抱える問題をこちらに持ち込まないでくれという一種の拒否反応でもあり思考をストップさせる言葉でもある的なことが書かれていて、いやーほんとそうですよね…と反省したというか、考えたくないことが出てきたときに使ってしまいがちが頻出フレーズよな…と思った。
「人それぞれ」なのはもう存在するものとして社会に共有されたほうがいいし、大事なのはその「人それぞれ」の中身に対してどうやって行動し -
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みなさん、前回のレビューをご覧いただけただろうか。
(この切り口、気に入っている)
ご覧いただいていない方のために、再度振り返ってみよう(しつこい)。
naonaonao16g、様々な顔回りの異変から親知らず(下)があったことが判明しました。
無事手術(骨を削ったのでこの言い方を選んでいる)を終え、術後も良好とのこと。
しかしである。
また耳が痛みだしたのである。歯医者さんも耳鼻科も原因不明、ということで大病院で検査。結果、CT・MRIともに耳にも脳にも異常はなし(よかった!)。
とのことでいよいよ耳の痛みに関しては原因不明なのだけれども、フェスに参加して(いや、BUMPに会って、と言い換えて