石田光規のレビュー一覧

  • 自己決定の落とし穴

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    理性など西洋哲学に疑念を持っていることから、発売日すぐに手に取った。自分で決めるという自由は一見良さそうに感じるが、責任を負う・孤独に陥ることなどマイナス面も大きい。例えば、孤独は肥満・運動不足より死亡するリスクが高まることが研究で判明している。なぜこのようになったのか。読んでいて感じたことは、ムラ社会・空気など過去から研究されていた人間関係からの脱却。物・サービスが豊かになり「今・ここ」が即時的に楽しめるようになったことが影響しているのではないだろうか。コミュニケーションも体力と同様に鍛えないと衰える。どうすればつながりを保てるのか、関心のある人に読んで欲しい本。

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    2025年08月11日
  • 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える

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    現代は『人それぞれ』の多様性が認められはじめて、ずいぶんと昔よりは生きやすくなっていると思う反面、他人とクイックに繋がれる希薄な人間関係にうっすらとした寂しさを感じてこの本を読みました。

    ・異質な他者を取り込むには深い対話が必要

    ・最適化願望をいったん脇におき、つながりへの期待値を下げ、人にはプラスの面もマイナスの面もあるというごく当たり前の事実に立ち返る必要がある

    ・人付き合いの基本と本質は、期待通りにいくこと、期待にそぐわないことも含めて共に過ごしていくこと

    人間関係を築く際に自分に足りてないことや、これからの人付き合いに意識していきたいことが明確になった気がします。

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    2024年07月05日
  • 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える

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    超良かった。ぜひ「昔は良かったなぁ」と思っている人には読んでほしい
    個人主義の弊害について書かれているが、
    ネットでの過剰な「叩き」、「親ガチャ」にまで言及されており、とても読み応えがあった

    気づき
    ・集団から離れた「人それぞれ」社会は、「つながりは自分で調達する」ことを意味する。それは「相手からも魅力的である」必要があるため、人間関係がコスパ重視になる。
    ・人間関係のコスパ主義は、人間関係を狭める。
    「人にはプラス、マイナスどちらもある」ということを今一度思い出すべき
    ・現代の「叩き」に共通するのは「異質な他者の不在」である。異質な他者をも取り込む必要性

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    2023年02月22日
  • 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える

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    この著者さんの言っていることが、自分に当てはまっていた。一人でいるのが気楽で落ち着くし、人との関係は疲れるし面倒くさい。何より自分と合わない人との関係なんて、もっといやだ。だけどこの本を読んで、少し価値観を変えてもらえた。

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    2022年09月07日
  • 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える

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    誰しもが口にしたことのある、「人それぞれ」という言葉。

    多様性の受け皿として、便利に使われているものの、それは対立を避けるためのものであり、極端に言えば、それは無関心なのです。

    この本では、集団から個人への転換と共に訪れた、個人主義と多様性の間でどう生きるべきかを事例を用いて解説しています。

    「人それぞれ」を枕詞にし、個人主義とは言いながらも、他人をまるで腫物扱いにして、無関心を正当化するのは、やはりどこか歪んでいると思います。

    そして、大きな問題は、個人レベルで行われるそれらのことが、社会全体に浸透して、自己責任論が蔓延っていることだと思います。

    サンデル教授が述べていた、能力主義

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    2022年01月27日
  • 自己決定の落とし穴

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    ネタバレ

    独身未婚中年男性の自分が読んでみました。
    社会学の本なので具体的な解決策などは書いてありませんが、社会構造として、個人に責任が押しつけられやすい現代になっている、ということはかなり解像度高く描かれていると感じました。

    個人的には、恋愛・結婚のところが印象的でした。
    自分が比較的、この人の論がしっくり来ると思っていた御田寺圭さんが引用されていて、石田先生は半分同意、半分反論といったところでしょうか。
    自分としては、たしかに石田先生仰るように、恋愛に「同意」が必要になったことで救われる性被害者がいるというのには激しく同意。
    一方で、(特に男性側で)恋愛に消極的な人はもう性行為や結婚には及べず、か

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    2025年11月19日
  • 自己決定の落とし穴

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    ネタバレ

    自分で決められる⇔責任を負わされる
    ひとりを尊重する⇔孤独・孤立に陥る
    やりたいことをやる⇔思わぬ非難を受ける
    自分で決めたはずなのに息が詰まるのはなぜか。

    自分のことは、自分で決める――。
    本来善しとされるはずなのに、どこか疲れるのはなぜ?
    そもそも自分で決めるってそんなによいものなのか。
    他人の決めたことにはどこまで踏み込んでよいのか。
    「自己決定」をめぐるこの社会の自縄自縛をときほぐす。(紹介文より)
    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    第一章 自分で決めることに息苦しさを感じてしまう
    ・自己決定を可能にするには、物質的な条件と思想的な条件がある
    ・「自分のことを自分で決める」を「社会」

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    2025年11月28日
  • 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える

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    多様化が進む現代社会において、「人それぞれ」という言葉に違和感はない。しかし、自由を尊重した結果、孤独を深めている現実がある。寛容に見えて他者と一線引く都合の良い言葉でもあったからだった。
    確かに、めんどくさくなって「人それぞれでいいんじゃない?」と話を終わらしたことがある...。新たな視点を与えてくれて、興味深く面白かったです!
    新書は難しそうというイメージがありますが、読みやすくて良かった。

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    2025年10月27日
  • 自己決定の落とし穴

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    服装や髪型に気を使わない人がいた時につい表面的なものだけを見て人を評価しそうになるが、その背景や事情を考えられるような人間になりたいと思う。
    孤立して視野が狭くならないように挨拶程度の交流や動画などのコンテンツで様々な人を観察していきたい。

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    2025年10月15日
  • 自己決定の落とし穴

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    これから重要な決定をするか迷っており手に取った本。
    タイトルから「個人」の意思決定に関する話かと思ったら、むしろ社会的なつながりの話だった。
    私がネックに感じていた息苦しくなってしまうのではないか?挫折してしまうのではないか?という懸念についても触れられており、それを解消する方法や意思決定の仕方は本書には書かれていなかったが、その息苦しさや挫折を冷たく突き放す社会であるから、それが大きな懸念になってしまうということが理解できた。
    社会全体でこれを無くしていくことは一朝一夕で出来ることではないが、個人的にはもう少し自分を責めすぎなくていいのかもしれない。また、他人を自己責任論で突き放しそうになっ

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    2025年09月16日
  • 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える

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    「人それぞれ」って言うと、多様性に理解のある寛容は人という感じがするけど、ばっさり切り捨てるような寂しさを感じることもある。
    その寂しさの理由が「こういうことだったのか」とわかった気分。
    一人でいるほうが気楽で、でも誰かと繋がっていないと不安で…という心理や、人それぞれと言いながらも自己主張はしづらいという現代の風潮。結局みんなどこか息苦しいのかなと思う。
    人間なんて、プラスの面もマイナスの面も持ち合わせているのが当たり前で、コスパを考えることなく相手と向き合ってみることが大事だという考えには賛成。「人それぞれ」っという言葉はできるだけ使わず、面倒くさいことにも関わってみようかという気になった

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    2025年02月22日
  • 「ふつう」の子育てがしんどい

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    ネタバレ

    普通の子育て層が全然普通じゃない
    おむつ変えてお風呂入れて育休取った旦那がいる家庭の奥さんの孤独率やばい
    無関心層、興味層、愛着層、主体層、まちの担い手層

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    2025年02月12日
  • 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える

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    大学入試小論文の出典として名前を見て、この手のテーマが昨年の流行であったとのことで手に取った本。

    プリマー新書ということで学生向けなので、文体も優しく、すぐ読めてしまうが、なかなか現代の「息苦しさ」を絶妙に言語化してくれているように思った。それゆえにプリマー新書であることが悔やまれる。あと2、3歩踏み込んだ内容を読みたいと思った。

    人それぞれ、という一見個性を尊重する社会通念は、実は形を変えているだけで集団主義的な色を非常に強く残しているというのはその通りだ。

    外のコミュニティに対して「迷惑センサー」と「特権センサー」が過敏に反応し、相手を再起不能になるまでボコボコにする想像力のなさや、

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    2024年08月05日
  • 友だちがしんどいがなくなる本

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    新学期に向けて子ども用に用意した本。私も手にとってみた。小学生高学年〜中学生向けに書かれたそうだけど、思いがけず(失礼!)いい本だった。
    筆者に言わせると「友だちづくり」は無理ゲーなのだそう。
    新たな環境に身をおいたとき、まずは「友だち作らなきゃ」と思う自分がいる。
    ちょっとよそ行きの顔をして、テンション上げて、そして家に帰ったら疲れて…(笑)
    そんなことしなくてもいいんだなと、子どもにも大人にもわかりやすく伝えてくれる本。
    うまく一人になること。うまく人と繋がること。覚えておこう。

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    2024年04月05日
  • 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える

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    「まあ、人それぞれだからね」というのは一見寛容に見えるけれども非常に冷たい対応で、それによって生じる懸念などの解説をした本。新書だし薄くてわかりやすかった。
    「人それぞれ」ってのはその人を尊重するように見えて、その人自身が抱える問題をこちらに持ち込まないでくれという一種の拒否反応でもあり思考をストップさせる言葉でもある的なことが書かれていて、いやーほんとそうですよね…と反省したというか、考えたくないことが出てきたときに使ってしまいがちが頻出フレーズよな…と思った。
    「人それぞれ」なのはもう存在するものとして社会に共有されたほうがいいし、大事なのはその「人それぞれ」の中身に対してどうやって行動し

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    2024年01月29日
  • 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える

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    若者あるいは中学生向けの新書である。したがって、難しくはなく、語りかけるような書き方である。
     何か人付き合い、あるいは炎上してしまった人が読むと癒されるであろう。短時間で読めるので大学生にもおすすめである。

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    2024年01月22日
  • 「友だち」から自由になる

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    「形から入る友達」「コスパ重視」など、面白かった。
    調査や文献などが引用される展開には「???」もちょいちょいあったが、考えを広げるには良かった。

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    2023年11月30日
  • 「友だち」から自由になる

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    数年前に菅野仁『友だち幻想』を読み、その時はピンとこなかった「友だち」という曖昧な関係性についての問題が、コロナ禍を経て、オンラインでのコミュニケーションが文化的に受容された社会への変容を受け入れたような、受け入れきれないような現在にあって、切実なアクチュアリティをもって迫ってきた。
    本著は「友だち」概念の変遷や、それがコミュニケーションの形態から如何なる影響を受けてきたのかを具体的に説明しており、コロナ以降の不安感を解剖して見せてくれるようで響くものがあった。1日で読破。

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    2022年09月27日
  • 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える

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    みなさん、前回のレビューをご覧いただけただろうか。
    (この切り口、気に入っている)
    ご覧いただいていない方のために、再度振り返ってみよう(しつこい)。
    naonaonao16g、様々な顔回りの異変から親知らず(下)があったことが判明しました。
    無事手術(骨を削ったのでこの言い方を選んでいる)を終え、術後も良好とのこと。
    しかしである。
    また耳が痛みだしたのである。歯医者さんも耳鼻科も原因不明、ということで大病院で検査。結果、CT・MRIともに耳にも脳にも異常はなし(よかった!)。
    とのことでいよいよ耳の痛みに関しては原因不明なのだけれども、フェスに参加して(いや、BUMPに会って、と言い換えて

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    2022年08月15日
  • 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える

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    ネタバレ

    人それぞれ、という言葉は、多様性を受け入れるように見えて、他者への介入を阻害する。リベラリズムに裏打ちされた個を尊重する社会は、誰と付き合うかを選べる社会。絶対にその人と付き合わなければならないという強い土台がないからこそ、人はコミュニケーションに最新の注意を払う。
    1000人に1人のマイノリティの意見も、インターネットを使えばすぐに10万人の同調者を募れる。意見の合う人だけが集まる社会で対話する力が失われ、他者に冷たい分断社会が生まれていく過程が多角的に語られていた。

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    2022年05月04日