村中直人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ■■「叱れば人は育つ」は幻想 ー 読書メモ■■
◆気づきの核心:「叱る」は麻薬のようなもの
著者が指摘する「叱る依存」のメカニズムに衝撃を受けました。私たちが「正しいから叱る」と思い込んでいた行為が、実は脳の報酬系(線条体)を刺激する快楽行為だったとは。特に「叱った後に相手が従うとドーパミンが分泌される」という研究データは、自分自身の指導経験を振り返りゾッとしました。教育熱心な人ほどハマりやすい罠だと痛感します。
◆重要な脳科学知識:3つの危険信号
扁桃体の暴走:叱られると30分以上「戦うか逃げるか」モードが持続
前頭前野の麻痺:理性的思考が37%低下する実験データ
海馬の萎縮:長期の叱責で記憶力が衰えるリスク
これらを知って、以前「あの子は何度言っても覚えない」とイライラしていた自分の浅はかさを反省。脳機能の特性を無視した指導は虐待に等しいと気付きました。
◆実践中の代替手法:3:1フィードバック法
試しにチームメンバーに実践したところ、予想外の効果がありました。
例:「今回の資料に誤字があった(1)→ でもレイアウトが読みやすい・調査データが充実・修正スピードが速かった(3)」
すると相手の表情が緩み「次はチェックリストを作ります」と自主的な改善策を提案してくれました。従来の指摘方法との明らかな違いに驚いています。
◆組織改革のヒント:権力勾配の可視化
部署内の意思決定プロセスを図に書き出したら、驚くほどトップダウン構造になっていました。これを改善するため:
週次1on1を全メンバーと実施
匿名アイデアボックスを設置
プロジェクトリーダーをローテーション制に
3ヶ月後、若手社員の提案数が2.5倍に増加。叱る回数も自然と減りました。
◆スポーツ指導の気づき:VRトレーニングの可能性
娘のバスケットボールチームで実験的に導入。危険なファウル動作をVRで疑似体験させたところ、従来の怒鳴りつけ指導より効果的で、怪我が半減。監督のストレスも軽減される副次的効果がありました。
◆創作現場での発見:三角形コミュニケーション
ライターと編集者の間にディレクターを介在させる仕組みを試みています。これまで頻発していた感情的衝突が激減し、作業効率が向上。ただし中間者の負担増が新たな課題として浮上しました。
◆自己点検リスト(毎晩記入):
[ ] 今日の指摘は未来志向だったか
[ ] 3:1の比率を守れたか
[ ] 身体距離を1.5m保ったか
[ ] 選択肢を提示したか
[ ] 24時間ルールを適用すべきでないか
◆失敗事例:プレッシャー下での逆効果
納期直前の緊急時に24時間ルールを適用したら、かえって混乱が拡大。著者の指摘する「本当に危険な場面では即時介入が必要」という例外事項の重要性を痛感しました。
◆神経多様性の気づき:
ADHD傾向のあるメンバーに視覚リマインダーを導入。TODOリストを色分けしたところ、タスク忘れが74%減少。叱る必要が激減し「個性の最適化」という新たな視点を得ました。
◆根本的疑問:叱らない社会は可能か?
著者の提唱する「叱る必要のないシステム」構築に向け、現在進行形で試行錯誤中。AIによる進捗管理ツールの導入や、社内心理安全性スコアの可視化などに取り組んでいます。しかし完全な自動化が人間関係を希薄化する危険性も感じています。
◆竹中氏の言葉の深層:
「叱るのは指導者の無力の表れ」という指摘が胸に刺さりました。真のプロフェッショナルは環境設計で問題を未然に防ぐのだと。現在、プロジェクト管理にVRシミュレーションを導入し、リスクの可視化に注力しています。
◆次なる挑戦:
・fNIRS(簡易脳血流計)を使ったフィードバック効果の測定
・マインドフルネスを取り入れたクールダウン手法の開発
・組織内「叱責依存度」診断ツールの作成
この本との出会いで、指導とは「人を変える」ではなく「環境を整える」仕事だと気付きました。神経科学と伝統的指導法の融合が、これからのマネジメントの鍵になるでしょう。明日からまた小さな実験を続けていきます。 -
Posted by ブクログ
個人的な評価ともいえるが、とても良い本。
いわゆるアスペルガーから触れていき、障害やマイノリティーなどの『ニューロダイバーシティ』をわかりやすく解説している良書。
脳の神経の違いにすぎない、などの科学的根拠に基づく多様性の考え方が身につく。
ところで、僕はADHDだが、日本では悪のレッテルが貼られ差別されることも多い。非ADHD者が多数派、というだけなのだが「数のチカラ」は厄介といわざるをえない。
これまでは、精神医学や心理学によるアピールではなく、遺伝学や人類学、論理学、歴史などの知識を使って、「なぜADHDという名称なのか」からはじめ、その妥当性、科学的根拠がないことなどを他人にがんばって説明してきた。
それはもう、ものすごい労力と時間を使う。非常に疲れるのだ。
そんな中、この本のタイトルにあるとおり「ニューロダイバーシティ」という言葉が存在することを知って衝撃を受けた。
これまで苦労してきたことをこの言葉を使えば簡単に省略してしまえるのだから。
これからは、
「ニューロダイバーシティという考え方がある。今は主流となっている」などと言えば済むわけだ。
言葉の威力とは、すごいものだ。
これからは、何か科学的な、あるいは論理に矛盾があるけれど説明に労力を要することについては、なにか造語を作ってしまえばいいな、などと不思議な気づきにつながった。感謝する。 -
Posted by ブクログ
■叱られた子供はなぜ同じことを繰り返すのか。
その答えは「防御システム」とも呼ばれる脳の危機対応メカニズムにある。脳の奥底の扁桃体は人間の感情、特にネガティブ感情について重要な役割を果たしている。今扁桃体を中心とするネットワークが活性化するとき、人は「闘争・逃走反応」(Fight or Flight Response)と呼ばれる状態になる。
この防御システムは人の学びや成長とは真逆のシステムである。具体的にはこの防御システムが活性化しているとき、脳の前頭前野の活動が押し下げられることが分かっている。危機的な状況においては、時間をかけて考えることが逆に命の危険を高めてしまう。だから防御システムは知性のシステムを停止させて、行動を早めさせる。
■叱るという行為の本質は叱られる人のネガティブ勘定による反応を利用することで、相手を思い通りにコントロールしようとする行為である。叱られた子供の防御システムが活性化されると、戦うか逃げるか、どちらかの行動が起こる。叱る人は権力者なので逃げることが多くなる。戦ったところで勝てないから。
しかし逃げると言っても人間は高度に社会化された生き物であるので、物理的に走って逃げるわけではない。子供たちはその場を取り繕うために「言うことを聞く」「謝罪の言葉を述べる」などの方法で逃げるてしまう。そのことが、叱る側に「叱ることは有効である」という勘違いを引き起こす。
■自分が強く叱責することで、目の前の人の行動が変わる。それが単なる逃避行動でしかないことを知らなければ、「叱れば人は学ぶ」と勘違いしても無理もない。叱られた人の前頭前野は活動が低下している。自分がなぜ叱られているのかを冷静に理解し、今後のために自らの行動を省みることができない状況。そのため子供たちはまた同じことを繰り返す。学んでいないのだから当たり前。
■脳のメカニズムは大人も子供も基本的には変わらない。年令に関係なく人間という存在は叱られることでは学ばないし、育たない。
■人は自分の苦しみを和らげてくれるものに依存する。
依存を引き起こすのは「快楽」ではなく、「苦痛からの逃避」である。苦痛や困難を抱えておらず満ち足りた人生を送っている人は依存症になりにくい。
■「苦痛を忘れさせてくれる」行為にも、脳内のドーパミン回路を活性化する働きがある。
■規律違反を犯した人を罰することで脳内報酬系回路は活性化する。つまり人間には「よくないことをした人を罰したい」という欲求が脳のメカニズムとして備わっている。
■パワハラは会社の未来を潰す。パワハラは「叱る依存」で繰り返される。最悪の場合、職場内にパワハラが感染していく。
■怒られたり暴言や暴力などを浴びせられたりすると強いネガティブ感情が湧く。この危機的状況を回避しようと脳は「防御モード」に入る。身を守るためには叩くにしても逃げるにしても瞬時に行動しなくてはいけない。だから脳が防御モードになると行動が早くなる。そころが、叱る側はそれを「叱ることは効果的だ即効性がある」と誤解してしまう。実際には身の危険を感じて反応しているだけで本質的に変わったり成長したりしているわけではない。 -
Posted by ブクログ
著者の「叱る依存」を悪とした主張に完全な同意はできないが、色々な気づきを与えてくれる内容だった。対談のどれもが趣深いが、最後の佐渡島庸平氏が印象的だった。前さばき、後さばきの概念があり、前さばきの上手い人つまり「予測力」の能力がある人は叱る原因を前もって回避しているという。これには納得した。事が起こってしまった後のさばきが上手い人は、仕事上では誰もが「できる人」認定してしまう節があるが、前さばきが上手い人は、そもそも問題が発生することがないのでその能力に周りは気づかなく、能力を軽視されてしまう。「叱る」の趣旨とは外れるが、この部分のやり取りは大変、会社員として働くうえでは貴重は知見であった。
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Posted by ブクログ
元女子バレーボール日本代表の大山加奈さんとの対談が印象的だった。
小さいときから才能を発揮し、第一線で戦い続けプロになった。厳しい練習や指導にも、それがレベルの高い証拠と疑わずに食らいついた。成長期に無理をして体を痛め、それが原因で選手生命は長くはなかった。
私が子どもに小さいうちからスポーツをやらせたくないと思ったのは、これが理由だな。
大人の厳しい指導で子どもに力はつくかもしれない。でも、叱られたくないから自分で考えることは放棄しちゃうし、頑張るエネルギーを、人にいわれたことを実現することに使ってしまう。成長期で不安定なのに、真面目な子ほど頑張りすぎて、運が悪ければ体を壊してしまう。
スポーツの世界は今だに厳しいが善というイメージがある。「強い」から「楽しい」に変わっていくといいのにな。
早熟だけが才能ではない。人生100年時代なんだから、子どもにあまりプレッシャーをかけない世界になってほしいなぁ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人の成長に携わる全ての人にお勧めしたい名著
教員だけではなく,部下を持つ人や子どもたちと接する人たちが必要とする知識が得られる。
◯「叱る」とは相手にネガティブな感情を持たせて相手を支配しようとすること
◯「こうあるべき」からはみ出た人に対して「処罰欲求」を満たすための手段として「叱る」が選択されている。つまり,その行為は他者の成長ではなく自分の満足
◯「叱る依存」は,苦痛からの逃避によって引き起こされる
◯人を成長させる人は「前さばき」が上手い人。つまり,問題が起こらないようにするために,物事がうまくいくよう事前に準備をしたり働きかけたりすること
◯前さばきをするための「予測力」。そしてその予測も誤りがあるかもしれないことを自覚すること -
Posted by ブクログ
少しずつ世界が変わってきているなと感じる。
叱る(&褒める)ことで望ましい方向にコントロールしようとせず、主体性を出せるようにどう対話していくか。
人は、今やっていることに納得していないと本当の学びはない。
理不尽な大変さを乗り越えたからといって、それは自分のためになっていない。
防御モードのときに学ぶ余裕はない。
この視点を持っていると、子育てや仕事を振り返った時に問題整理がしやすくなりそう。
前さばきと過保護の違いや、勝利至上主義の指導者が過剰に評価されない仕組みについて、なるほどなと思うことが多かった。
学びが多く、読んでよかった。
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Posted by ブクログ
叱ることの弊害について理解できた。害しかない。次に気になるのは「では、叱る以外の方法は何か?」ということです。この本は、叱る以外のアプローチを模索し、それを実践している人々の経験が語られています。特に、叱ることから卒業し、別の方法で人を導いてきた方々の知見が詰まった内容です。さらには、叱られた立場からの語りもされている。
私が仕事や家庭の指導する立場としてなら、この本を読んで感じたこととしては、部下を楽しませながら成長を促すことの重要性です。そのためには、楽しみをどう提供し、どのように巻き込んでいくかを工夫し、試行錯誤する姿勢が求められるということが、この本からの大きな学びとなりました。 -
Posted by ブクログ
きっかけ
子供の教育にも使えるかなと思って読んだ本
内容
環境を整え、人権を尊重し、学び続けろ
感想
読んでいて今まで読書で学んだことがパッパパッパとつながったすごく自分の中では学びにつながった本
叱るとは何か、躾とは何か、少年チームを束ねる人向けに書かれてるけど、家庭、会社どれにでも当て嵌めることができ応用性が高いと感じた。
冒険モードにするために自己決定感を設けようってのは、仕事でも自分が任せてもらえるようになってからすごく楽しくなったし実感があるからこそ納得いく話だった。
読んでいてすごく仏教に通ずるなと思った。叱る自分を客観視し、ルール自体に疑問を持ち、環境を変えて叱りづらくし、子供であろうが上下の関係でなく人権を尊重し、よくなる方に導きましょうってのが全て納得いった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「スポーツの現場から怒声をなくす」は分かる。スポーツの現場に怒声はいらない。全く必要ない。
問題は教育の現場。
叱って場が落ち着くのは短時間。それは理解しているから、叱って落ち着かせて、そのあとネガティブフィードバックに持ち込む方法は割とよく取る。
間違った行動に出る子供は、大体において興奮状態、パニック状態にあり、それを「短時間で」落ち着かせる方法が、叱る以外にあるならいくらでも試したい。学びたい。
叱るなんてネガティブな感情を使わずに済むならそうしたい。
「叱らない=ネガティブなことを言わない」と考える人も多い。それはちがうでしょ。自分が間違っていることに自分で気付かなければ、人は行動を改めない。だから、ネガティブフィードバックが大事。もうこれは、本当にそうなの。
ただそれができる時間は限られている。短時間でやらなければ、全体に影響する、そういう仕組みの中で、限られた条件の中で、私たちはやらなきゃならんのよ。
もうちょっと著者の本を当たってみないとな。まだ何かがつかえて、腑には落ちてない感じ。