黒イ森のレビュー一覧
-
無料版購入済み
繊細な絵柄が素晴らしい。
AIと人間の破滅的な戦争の後のディストピアを舞台としたSFものであるが、SFにありがちの科学知識を使った設定はなく、スラスラと読みやすい。しかし、生死を扱うトピックスが各所に散りばめられていて、なかなかに印象深い。何よりも繊細な絵柄が素晴らしい。
-
購入済み
原子力潜水艦の名前にも
能力あるSF作家は未来の技術の予言者になりうる、という格言があるがそれの代表とも言えるジュール・ヴェルヌの作品である。本作品の潜水艦の名前が、アメリカ海軍が最初に作った原子力潜水艦の名前にも採用されているも宜なるかなと思わせる傑作である。
-
Posted by ブクログ
久々に読む『エリオと電気人形』(島崎無印 黒イ森)。
旅を通して【人って何なのか】【AIと人間の戦争】【感情】【家族の定義】【生みの親と育ての親】などを主人公が知っていく事になるのですが私にとっても「ふむ」と思う部分あり。
それに……
私にとっての【旅】についても考えさせられた。
目的地も大事なんだけど、そこに至るまでのプロセスもやっぱ大事。
電車の乗り換えは面倒だけど楽しいし、地図見ながらあぁでもないこぅでもないって歩いて偶然の瞬間に出くわすのが何とも言えない嬉しさがある。
予期せぬ瞬間は内容が悪かったとしても、時間が経ったら笑える思い出話になる。
重要なのは止まらない事だと最近は思う。
-
Posted by ブクログ
騒動を抜け出したエリオとアンジュは次なる街へ…って流れだと認識していたから、いきなり学園編が始まったかのような流れにはちょっと驚かされてしまったよ
まあ、エリオの目的って旅を続ける事よりも戦争を知るという方面へシフトしているからこそ、知識を求めて一処に留まるのは間違っちゃいないのだろうけどさ
これまでは当て所もない旅を続け、訪れる街も用件が終われば去ってしまうスタイルだった。だから彼女らが同年代に囲まれるなんて殆ど無くて
そう思えば、学園都市に混ざった二人が本当に学生らしい振る舞いをしている点は新鮮な思いで見てしまったな。これはこれで新たな世界であるように思えたよ
だからその新たな日常があっという間に崩れ去り、隠された真実が提示される展開にも驚かされた。エリオが求めていた戦争の真実は彼女自身が持っていたわけか……
エリオとアンジュに良く似た二人が織りなす昔語り。AIとの戦争が起こる直前の世界
人間同士の愚かな戦争がAIメティスの暴走を招いたというのは因果応報と捉えられなくもないが、それによって戦争に直接手を染めていた訳でもない人間まで大量に殲滅された点にはやはりメティスの暴走が見えるね
メティスの振る舞いをフィーネは喜ばないだろうというと考えれば尚の事
それでもメティスは目的に向けて動き出してしまった。その目的の枢要を叶えるのがアテナ、今はアンジュと呼ばれる彼女なのか…。そしてメティスの手によって生まれ落ちたエリオ…
この辺はこれまで信じていた物語が引っ繰り返っていくものを見せられているかのようだったよ……
けれど、これはあくまでも他者が勝手に定めた運命でもある
エリオがエイダの助言も借りつつ、そしてアンジュがエイダの為に運命から外れた行動を選択する流れは良いものだと感じられたよ
ただ、それは誰もが望まないルートを選んでしまう状態とも言える。二人を援護しようとする者も居るけれど、国家保安局もメティスも二人の自由意志を望まない
そうした抑圧する巨大な意思に反抗するにはそれこそ力が必要となってしまって。以前からちょくちょくきな臭い展開は有ったけど、悪意というものがはっきりと姿を表し、エリオ達が何と戦わなければならないかが明示された印象
であるからこそ、無力な二人が力に抗えないというのは残酷な展開
エリオとアンジュが分かたれてしまった短い時間に起きてしまった悲劇、これは二人の意思でどうにかなる展開だとは思えないけれど…… -
Posted by ブクログ
たまには息抜きにこういうマンガ・イラスト集もいいよね。先般のオンライン本の交換会で紹介されていて気になってた本。
いわゆるブックカフェ的な古書艇で働く女の子とお客の会話。そして本を提案するというストーリーに、スチームパンク、アンティーク、SFなイラストがたくさん。
ノスタルジックな雰囲気に癒された。本があれば人生ほろ苦くても、なんとか生きていけるよねと共感した。もうちょっと長く会話の部分を楽しみたかったな〜。
本屋の漫画コーナーて2.3回しか徘徊したことないから変な汗かいちゃったけど、併読してる2冊の本が内容も物理的にも重くてちょっと疲れてたから、いい気分転換になった! -
Posted by ブクログ
エイダは第一印象こそヤバい人との認識だったけど、実際に人柄が描かれてみればヤバいけど倫理観は備えた稀有な人物だと判るね
ていうか、科学者からすれば興味深い存在である筈のジーナを前にしてエリオの願いを叶えるに留めた精神性は称賛すべきものだと思うよ
エイダがそうした人間性を示せば示すほど、同時期に登場した別種の科学者シュミットが危険な人間だと見えてくる
てか、これまで明確な説明が為されて来なかったエリオの出生に関わっているというだけでもシュミットがこの物語において生半可な人物ではないと判る
なら、抗う力を持たないエリオ達は彼と向き合うべきではない。この点でもエイダは親身になってエリオ達を助けてくれたね
そして、あの街に来た最大目的のジーナの修理だけど、ちょっとしたもやもやを残す結果となったね…
エリオは当初、異なる表情を見せる彼女をアンジェと認められずジーナとして接し元に戻そうとした
でも、いざという場面で躊躇いが生じてしまったのはそれこそジーナもアンジェの一部である、彼女自身であると認められたからなのかな…
そのような印象を残しただけに、アンジェに戻った彼女がパンを「おいしいな」と呟いたシーンにはほろりと来てしまったよ……
24話から描かれた一連のエピソードは大切な人への想いの在り方を考える機会となったような
エリオはアンジェを大切な存在と捉えている。そこには明確な理由付けなんて難しいくらい、時間を共に過ごしてきた経験が有る。エリオにとってアンジェが電気人形だなんて事実は関係ない
このエピソードに登場したミシェルとヴァレットは全く異なる立場であり全く異なる感情を大切な人に向けていたけど、どちらも「不合理」で有ったという点は共通しているね
ヴァレットの方はまだ判り易い
電気人形として手足のように使われ、主のシュミットも彼女に明確な愛情を示していたわけじゃない。それでもヴァレットは余命短いシュミットに寄り添うなんて不合理で無駄で意味の無い行為に殉じた。けれど、明確な理由付けなんて難しいけれど確信を抱ける行動へ自分を突き動かした彼女はシュミットを大切な存在と認識していたのだろうね
また、シュミットの方も最後にはヴァレットに自由を与えようとしていたと感じれる描写が有ったのは良いな
対してミシェルの想いを正しく推し量るのは難しい…
父親から受けた虐待、逃げ出そうとした行動、そして父に迫る死を知って浮かべた表情。それらを見れば彼女が父を憎んでいると判断するのは当然と思える
けれど、父の死体に縋り付いた際の発言は全く異なる印象を抱かせるね
あの表情からは大切な人の傍に居る幸せや穏やかさを感じさせる
親子間で様々な経験を経た彼女にとって、父を失望させず、また父から虐待されずに済むあの状態こそ最も望ましい状態となるのかもしれない…
ヴァレットとミシェルそれぞれが大切な人への想いの示し方を見せてくれた。対してエリオとアンジェはどうなるのかな
アンジェが電気人形である限り穏やかな別れが待っているとは想像が難しい。また、この巻で示唆されたアンジェの来歴も気になる
いつか訪れるだろう別離の際に二人はどのような「大切さ」を示すのだろうね? -
Posted by ブクログ
エリオとアンジュが次に訪れたのはギャングが支配するタークタウン
前回が新しい命の誕生を味わえた都市だったのに今度は逆。命があっさり奪われる危険を孕んだ歓楽街。お気楽なエリオよりアンジュの方が似合う場所
でも、そもそもタークタウンを訪れる事になったのはエリオの希望だし、彼女がギャングの願いを聞き届けたからドナルドの信頼を得られた
こういう点を見ると二人はいい関係を築いているように思えるよ
だから今は道を違えてしまったドナルドとアランも何かが有れば昔のような関係へ戻る事だって可能な筈で
アランは確かに昔と変わってしまったけれど、双方の話を聞けばドナルドだって変わってしまった部分がある
ドナルドなら自分の力で気付ける。でも大きな傷を負ってしまったアランが独力で気付くのは難しくて
ドナルドだけでなくアンジュにすら敵意を向けたアランを止めるのは至難の業
だからアランを回心させるには敵意じゃ足りない。電気人形を庇うというアランからすれば有り得ないエリオの行動が必要だったわけだ
と、話が穏やかに終わりそうだったのに、急に訪れたのはアンジュの不調……というか異変。急に可愛らしい表情になったものだから本当に驚かされたよ
アンジュは電気人形でいつも冷たい印象だったからこそ普通の少女のように動き、話し、食べる彼女の違和感は凄まじいね
エリオにとってもそれは同じ…というかむしろ喪失感を覚えてしまう程のようで
そりゃ、物心ついた頃から一緒に居た相手が全く別の性格になってしまったら受け入れられないか……
アンジュではなくジーナとして生まれ変わった彼女との新たな旅は何処かちぐはぐ
ジーナはエリオに懐いているのにエリオは彼女に壁を作る
そんな状態だったから旧知のウィルと再会できたのは良かったね。おまけにエリオとジーナの事情も理解してくれる程の包容力を見せてくれたし
電気が許される街アトラスシティ、どう見ても変人なエイダ。これらの要素は二人とどのような反応を起こす存在となっていくのだろうね? -
Posted by ブクログ
私達が住む世界では絶対的に必要な電気が敵視される世界とはこれまた一風変わっている。おまけにその世界を旅するのは体内で電気を作れる体質のエリオと電気を動力源とするソルディロイドのアンジュですか
世界から隔絶された灯台で二人だけで暮らしてきた。変わるものなんて何も無い場所なのに、昔馴染みの猫が病魔に冒され死んでしまった
アンジュは兎も角、エリオは人間である以上変わらずには居られない。だから二人は旅立つわけだ、電気を憎む世界へ
電気がない都市は何処か近代に差し掛かった時代の都市構造を思わせつつも、一度文明の華を経由しているためか歪みが幾らか見られるね
電気を得るために危険な橋を渡る若い兄弟が描かれる裏では、老人は大昔に会ったアンドロイドに囚われ続けている
最初に訪れた都市では少し恋の匂いを感じさせるエピソードとなったね
ストラウスが若い頃に出会ったメヌエット。この二人をエリオは「恋人同士だったのかな」と想像するけどアンジュは「ありえないことなんだ」と切り捨てる
実際、ストラウスとメヌエットは恋人なんて穏やかなものではなかったけど、かといって何もなかったわけじゃない。
人間同士であれば色恋を感じたくなる関係だけど、人間同士ではなかったというだけ
エリオの方は鈍すぎて自分に向けられた好意に全く気付いていなかったね(笑)
次は工場のお陰で景気の良い都市
そこで出会ったのは新しい命の息吹だね。迫りゆく死を感じ取って始まった旅、その意味では命の誕生に立ち会う事になったのはエリオにとって大きな経験となったような
元々は栄えていたが、AIメティスによって大勢の人が死んだ都市ではアンジュは滅びを齎した側、いわば命を奪う者。そんな彼女だからマリーと赤子が命の危機を迎えた際に、どちらかしか助けられないと当初は提示した
それを変えたのはエリオの純粋さだね。彼女の無垢な諦めの悪さがアンジュに命を奪わない選択を提示させた
外の世界に求めた非合理な判断、それを遺憾なく発揮したシーンだったかな
本作を読んでいる私達は電気が生活に欠かせないものだと知っているし、欠かせなさ過ぎて有る事を感じない時すら多い
でも、本作のように電気の存在が知られつつも、生活の中に存在しないとこのような認識になっていくのかという点は目を見張る物があるかもしれない
一方で面白いのは憎むべき電気への認識が人によってバラバラになっている点かな
アレクは電気を「魔法の力」と表現し、工場主のスミスは「強大な力」、シュプレヒコールを上げる市民は「安全で便利なエネルギー」
まだ本作の物語には明かされていない領域が多分に含まれているようだし、様々な電気への認識が今後の物語をどう彩っていくのか気になる第1巻だったかな