クーリエ・ジャポンのレビュー一覧
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コロナパンデミックの世界を識者がどう見つめているかを綴ったインタビュー集。刻々と変わるコロナの状況なので去年刊行された本書にはもはや古い情報からの見方も含まれるがいずれにしても、クーリエだけに欧州の学術者が中心に構成されているのが新鮮で面白い。みんなトランプさん余程嫌いだったんだなあ。
特に経済学の領域で、資本主義の新しい形を従来から探究する識者たちがパンデミックの中にいかようにチャンスとリスクを見出しているかという発見が次々とあって、興味深い。
専制主義が台頭しつつある世界への危惧をいずれの識者も抱いているが、パンデミック下、政府が文化や芸術を封殺するという平時にはできないことが容易にで -
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ネタバレ哲学者やジャーナリストなど16人のインタビュー集。人と会う機会が減る中でもいろんな人の意見を知りたくて、読んだ。
マクロン大統領への批判をみると、日本人からして良く見えるヨーロッパも、私が知らないだけでどこか脆いのかもしれない。どの国においても、政府の対応を見守るだけでなく、監視する必要があると思った。
COVID-19をきっかけに浮き彫りになった国の、世界の問題。それを見つめ、今後どう生きていくかを自分に問いかけていく日々が続くと思う。考え続ける必要性をジジェクも語っていた。
フランスに「レジリエンス」を広めた精神科医シリュルニクによると、ロックダウンの意味を理解しその影響を小さくする -
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東大入学式で上野千鶴子が祝辞の中で、自分たちが今ここにいるのは自分の努力だけではなく、あなたたちの環境のおかげだと述べて話題になった。次の年、東大は現代文の問題で、小坂井敏明の能力主義に関する論述を出題、また次の年の教養部の推薦入試で本田由紀の能力主義の定義に関する論考を小論文の課題文として出題。
メリトクラシーが、人々を分断していく状況に対して、最高学府としてストップをかけたいという強い意志を感じた。東大は本気だなと思う。
メリトクラシーに関しては、日本だけの問題ではない。上野千鶴子が述べるまでもなく、世界各国で問題視されていたことだ。マイケル・サンデルの書籍も出ているが、ここに掲載されて -
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ハラリ:民主主義は市民の健康の保護という名の下に簡単に独裁に変わる。人間は事実よりも物語を通じて思考する。
エマニュエル・ドット:国の存亡を決めるのは出生数であり、特定の死因の死者数ではない。
ジャレド・ダイヤモンド:ドイツはホロコーストを完全に認めており、教育制度にも表れている。だからもう2度としないという約束を信じられる。日本は近代社会における女性の役割をまだ受け入れられていない。人口が減っている国でいったいだれが保育や介護を担うのか。誰かが担ってくれなければ女性は仕事に復帰できない。
スティグリッツ:アメリカの医療費はGDP比で18%。OECD諸国ではダントツの高さ。そのかなりの部分が製 -
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こちらも「世界の賢人」と言われる方々の現状認識と今後の処方箋。なんだかモヤモヤしていたこと、霞がかかっていて誤魔化されているのではということ、よく分からなかったことなどがかなり解消する。「政府が自分たちの気に入った業種・業界だけを支援するなら、文化は一夜にして変わってしまう」「国の存亡を決めるのは特定の病気による死者数ではなく、出生数」「半脆弱性:森で小さな火事さえ起こらないようにしすぎると、燃えるものが溜まり、いつか大きな火事を起こす」「ソリューショニズム:本質的な解決ではなくDXで解決したかのように思わせる。教育問題の本質的な解決方法は、ICTの導入・活用ではなく、良い教員を増やすことでは
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本書とは全く関係ないのですが、読みながら小学生の時に読んだ星新一のショートショートを思い出しました。世界の大国が戦争に明け暮れている時に、宇宙から届いた卵から生まれた凶悪な生物を撃退するために休戦して一致団結して危機を乗り越える、というお話。そして、その生物の正体は…というような結末がついていました。調べたら、たぶん「プレゼント」という題名の作品だったような…。今、世界を襲っているCOVID-19 は、もしかしたら世界を一致団結させるための宇宙からのプレゼントだったのではないのか?という思いつきです。本書に登場する世界の知性16名は多少の違いを超えてそれぞれに連関しているように思います。人類と
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読むタイミングが遅れてしまったので、新鮮さはない。しかし、ロックダウンがあった時の空気感と焦燥感がむず痒く感じられ、こうしたパンデミックに対するレジリエンスについて、忘れてはならず、今後の学びにしなければならないと思わせてくれた。
面白いと思ったのはソリューショニズム:
ソリューショニズムはもともと、シリコンバレーで生まれたイデオロギーで、いまでは国のエリート層の思考法にも影響力を持つ。
ごく単純に言えば、「他の選択肢も時間も財源もないから、社会の傷にはデジタルの絆創膏を貼ることくらいしか出来ない」と考える思想だ。
ソリューショニズムの信者は、テクノロジーを使えば、政治に首を突っ込まなくて済