福徳秀介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ジャルジャルのカクカクした顔の方の小説。
いや、正直 福徳さんがこんなに文才ある人だって1ミリも知らなかった。
予想以上に面白かったです。
独特な言葉の言い回しとセンスのよさ。
回りくどいけど全然嫌味がない、むしろ心地良かったな。最初から最後まで文章もすべて変わり者って感じだった(いい意味で)
人と群れるのが苦手で、華やかなキャンパスライフからかけ離れた地味な大学生の小西くんが恋に落ちたのは、学食でひとり蕎麦を食べるお団子頭の「一人蕎麦女」桜田さん。
青くて甘酸っぱくて可愛くて優しい、めちゃくちゃハートフルな青春物語。
小西くんのおばあちゃんや桜田さんのお父さんの家訓のような名言がどれも素敵だった。
喫茶店のマスターとのやりとりもほのぼのしてクスッと笑えて。
唯一の友人山根くんもとってもいい味出してたし、バイト仲間としか思ってなかったさっちゃんからの突然の告白、文字だらけでなんと8ページも!!!でもすんごい伝わってきて切なかった。
スピッツの初恋クレイジーの話もよかった。
お笑い芸人だけあって、ところどころに笑える場面もってきてくれるから、全然飽きずに読めたし、途中からの悲しい展開と、ラストの伏線回収からのハッピーエンドは見事でした。
登場人物全員魅力的で、裏切りとか、駆け引きとかのない、純粋で優しく爽やかな物語。
またいつか読み返したい。
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Posted by ブクログ
『「しっくりくるといつまでも覚えていて、しっくりこないとすぐ忘れちゃうのかな」「そうかもな」僕は、黄信号と満月のあの言葉にしっくりきていた。言葉はきっと、発した人によって威力や意味合いが変わる。』p5
ーこの一文を読み、頭に次々と私のために私だけのためにかけられた言葉たちがだいすきな人たちの声で再生された。その言葉ーその手が前からだと握手で、横からだと繋ぐ、みたいな。なにを言われたか、だれに言われたか。
忘れられないあの人は、私にとってしっくりきていたのかな。
『「お前と出会った日、楽しすぎたんだ。幸せすぎたんだ。この人と一緒にいられたら、毎十秒が永遠に楽しいって思ったんだ。でも、この十年、あの日を超える日はなかった」「え?私もだよ」』p20
ー出会うことが一番むずかしくて、一番尊い。出会ってくれてありがとう。出会えてよかった。
『「不満はいくらあってもいいんだよ。人と人なんだから。理解しあえばいい。どうせどこかに出口があるし。でもね、恨みは絶対にあったらダメなんだよ。恨みに出口はないからね」』p21
ー最近、不可共感性について考えていたところにこの一文。所詮、人は自分が大切で、すべての価値観が合う人なんていない。それを分かったうえであとは「恨み」の有無。
『「正義を貫くうえで、誰かを傷つけているようでは、それは正義ではないね」』p53
ーこの世界は正義と正義のぶつかり合いで、どちらも本物でどちらも正しい。そんなことに気づいたのは大人になってからだったが、やっぱり誰も傷つかない正義と、誰も傷つかない嘘がやさしい。
『頭の中は自由で、都合の良いことだけを考えればいい。しかし人間というものはわざわざ負を想像する。それは、我に返ったとき、現実世界の方がマシだと思わせるため。現実を受け止めるための防衛本能。現実と想像の対比。p104
『恒例行動が増えていくことは、思い出の数が増えるというロマンチックなことだった。』p107
ー仲が深まるにつれて「いつもの」がお互いの中に生まれる瞬間が好き。自分たちにしかわからない共通言語で私たちだけの世界になれる瞬間が好き。ついつい「これは私たちの歌だね」と思い出を増やそうとしてしまう私は世界一のロマンチスト。
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全体としての読後感は、「少女漫画を読んだあとみたいな甘酸っぱさ」だった。あまりにもピュアででもリアルで思い返すとちょっと自分のことが恥ずかしくなるような心の動きと恋したときならではの思考回路、行動が繊細にかつ分かりやすく表現されている。
誰かのおかげで変われた自分。飲食店で待つのが好きになったし、夜の散歩が好きになった。缶コーヒーを飲むようになったし、高速道路のSAが好きになった。知らぬ間に影響されていて、会わなくなってもなお自分の中で生き続ける。一緒に生きている。そんなことに気づかせてくれた。
好きでなくなってもなお、続く関係はあるけど、嫌いになると人びとは離ればなれになる。好きとは曖昧で、恋愛とは想像力だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ個人的に一番好きだったのは『しっぽの殻破り』。
好きというか、大共感というか。
私もめちゃくちゃ人の目を気にする。
今まではこの性格とうまく付き合ってたつもりやったし、周りの人にとっては「いい奴」として生活できていた。
でも急にコップの水が溢れたかのように
普通に生活できなくなった。
正確には、大学に通えなくなったのだ。
人の目を気にしすぎるあまり、だ。
「そんな理由で?」と思われるかもしれないと思って、なかなか理由を言い出せないのもめちゃくちゃわかる。
だからこそ、カエデの言葉がすごく身に沁みた。
人は人に興味ない。
そう思えたら楽なのになと思う。
私もきっかけポイントを貯めていければいいな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ舞台挨拶の映画を公開前に拝見して、これは公開する前に原作を早く読まなくちゃ!!ってすぐに読んだ。
めっちゃ面白かった。
原作は、ジャルジャルの福徳さん。
コント師なのでストーリーをつるくのはお上手なのかもしれないけど、ちゃんと最後は伏線を回収しまくるのは、気持ちいい。
舞台は関西大学。それはちゃんと実名ででてくるけどほかは全部名前がぼかされている。映画はそのまま出ているけど。
関大2年生の小西くんは、山根という変な言葉遣いと変な服を着ている男しか友だちがいない。もっと大学生になったらキラキラした世界が広がっているとおもっていたのに。
実は小西くんは「独りぼっち」であること、というより、「独りぼっちである自分を他人が見てどう思うか」について恐怖感を持っていた。
なので大学に入ったら日傘をさす。
「いつも日傘の変な奴」と思われたら、「あいつは変わっているから一人がいいらしいよ」って思われるかも。けして、友だちがいなくて「一人」なのではなく「自ら望んで一人」なのだと。
他人の目から守ってもらえる、誰かと目が合わないようにするという意味でも、日傘は武装。
そんな中、お団子頭の女の子が授業後颯爽と出ていくのを見た。
誰かと群れてわぁわぁやらず、ひとりでいることの強さ。すごい。
お近づきになりたいと思い、思い切って隣に座って「出席カードを出してください」とお願いしてみた。
そして次、雨の日に秘密の道をとったら、彼女もいた。
「この間出席カードをおねがいしたものです」と声をかけておしゃべりする。
彼女も「ここは雨の日の秘密の道だったのに」という。
そこから二人、話をするとびっくりするほどいろんなことがぴったり合う。
そしていっきに仲良くなっていく。
小西君は営業終了後のお風呂屋さんの掃除のバイトしている。
同じバイトに同い年のさっちゃんという女の子がいて、二人の日や一人の日がある。
掃除しながらおしゃべりするのも楽しみ。
小西君の大学生活に彩がでてきた。そんな時・・・
っていう話。
原作は映画と違うところが多々あるし(当たり前だけど)
なにより、映画のつづきが少しあって、
「あ~この終わり方ね、あるあるだね」っておもいきや、それだけでは終わらせない福徳さんの遊び心があったりするのもいい。
初小説なのに、文章も表現もとても上手で、初めて書いたとは思えない。
やっぱそれは今までずっとずっとコントを書いていたからなのかなぁ?