マーガレットアトウッドのレビュー一覧

  • 誓願

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    「待女の物語」の15年後の物語
    指導者のリディア小母
    司令官の娘アグネス
    カナダで暮らすデイジー
    それぞれの立場で日々
    暮らしながらも
    何かを求めていた
    デイジーの両親が
    殺されたのをきっかけに
    思惑が動き出す
    ギレアデを告発し、自由を掴むために!

    国民の婚姻、生殖、子育てへの介入、管理
    教育と言語の抑制
    文化、芸術、学術への弾圧

    歴史上、あるいは現実にも
    存在するこれらに対する
    抗議が網羅されている

    さらにそれに加えて
    この物語には無謀な冒険がある
    生きようとする力
    自由を求める力
    大きな革命のために
    自ら犠牲になる少女
    思わず、頑張れ!と
    叫びつつ
    読むことを止められなかった



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    2025年10月30日
  • 誓願

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    最高に面白かった。やや分かりにくい前作の「侍女の物語」と違い、今回は複数の主人公の視点から描かれ、女性蔑視の宗教国家における解像度が飛躍的に上がっていて、非常に楽しめた。
    節々にアトウッド節というか、文学に対する教養の深さが垣間見えて、良い本を読んでいるなぁという実感もあり、600ページ超の大作もあっさり読めてしまった。
    他の作品もいずれ読んでみたい。

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    2025年10月12日
  • 誓願

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    「侍女の物語」の15年後を描く続編。
    こちらは前作と立場がまるで違う3人の女性それぞれの視点から全体主義国家「ギレアデ共和国」がいったいどのような国で、監視社会としていかに女性の人権を蹂躙していたのか、その隆盛から崩壊するまでが描かれる。
    前作から35年後に書かれたこともあり前作の閉鎖的で陰鬱な文体から一転しアップテンポなスピード感のあるポップな文体でエンターテインメント性に溢れ、登場する女性たち全てのその懸命な生き様に魅了され、本から読む手を離させないエキサイティングな展開でワクワクさせられた。
    前作を読み終えた時には喪失感に胸が苦しくなる思いがしたが、今回は「救い」があり穏やかな読後感を得

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    2025年09月20日
  • 誓願

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    リディア小母、デイジー、アグネスの視点で描かれる、「待女の物語」の15年後のギレアデ、その腐敗と崩壊について。前作はオブフレッドの独白という形だった為見えなかった、ギレアデの全体像と細部、そのなかで生きる人々がしっかりと描かれていて、非常にエンタメ感があり、本当にかなり、とにかく、面白かった!!立場が違うと見え方が違うので、読んでいるほうもたくさんのカメラで見ている感覚になり、700ページの長編だが最後まで全く飽きることがない。

    感想を書く為に読み返していてまた何回も泣いた。
    シスター・フッドここに極まれり!570ページ「心臓止め」からラストまでの量みかけるような
    激動の描写は特に圧巻だっ

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    2025年09月19日
  • 誓願

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    あの『侍女の物語』の続編。
    解説まで全部読むと700ページある。久々にこんな長い本を読んだ。ただ、割と短いスパンで視点が変わるのでするする読める。
    人が人を追い込んで支配する時の手法がすごい。徹底的に地獄を見せた後に天国に招待されたら、もう戻れない。

    あとは《信仰》ってなんなのかなって考えさせられた。
    ある日突然自分の芯だと思っていたものが、当たり前が、世界が、音を立てて瓦解する。そのリアリティもすごかった。
    今はアグネスに感情移入して読んでたけど、また年月が経ったらリディア小母のことももっとよく分かるようになるかもしれない。

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    2025年09月18日
  • 誓願

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    前作「侍女の物語」につづく続編ですが 感銘をうけた前作をはるかに超える大傑作でした。おそろしいディストピア国家の 内側の上下二つの視点と 国の外からの視点を巧みに組み合わせて それぞれ共感します。特に国家内の権力者が全く意外にも克明に冷徹にポリティカルに深く描かれています。前作の閉塞・背徳・絶望感から 今作は特に後半ワクワクドキドキのエスピオナージの傑作です。アトウッドすばらしい!

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    2025年09月12日
  • 誓願

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    人間の嫌らしいところ…人を陥れる心の動き、卑屈な精神とその態様、驚くほど残酷な側面、、リアルに表現されてた。それは人のネットワークを制限され、文化との接触を極限まで限られた不自由な暮らしを受忍させられてる人間の、どうしようもなく人間らしい歪み方、生き方なんだと思う。同じ状況なら自分もそうなると思う。
    それでも、そんな中でも状況を変えるために自分が犠牲になることを分かっていて、国家の敵になる危険な行為をする知恵と勇気を持てるのもまた人間なんだよね。
    そんな社会にならないように、〇〇ファーストとか、差別を助長するような(人間区別しだすと際限がなくなるのは歴史が証明済)言説にノーと言っていくことが、

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    2025年09月04日
  • 誓願

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    女性差別は必ず打倒されるという希望の光を心に差し込むような本だった。
    先日、神戸で若い女性が何の接点もなかった男性につけられ、エレベーターで刺殺された。この数日前には未遂で通報されているのに対応が取られてなかった。
    選挙のときには家制度を復古させるようなことを平然という政党が支持を集めた。
    アフガニスタンでは、もう何年も女性は教育を受けられず、要職から排除され、身を隠すことを強要されている。
    ギレアデはすでにあるこの現実世界のことを書いているということを読み進めるほどに感じ、ディストピア小説といってよいものかとさえ思う。
    しかし、最後には女性が勝利した。
    私たちフェミニストも必ず勝利を掴むべく

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    2025年08月28日
  • 誓願

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    ネタバレ

    「侍女の物語」から34年後に出版された続編。解説によれば、TVドラマになったことともリンクしているようだ。

    アメリカのトランプ政権を見ていると、この小説の世界が、あながち架空の世界に思えなくなってくる。実際、これまで歴史上や現実社会に存在しなかったものは書いたことがないと、アトウッドも述べているようで、これはとても恐ろしいことだと思う。

    最後の逃亡劇、途中の記述で、チップを落としてしまったのでは?とハラハラさせられたが、結局、どちらの話も最後には希望が描かれる。その点、歴史上に存在してないんじゃないの?と言ったら皮肉過ぎるね。

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    2025年08月09日
  • 誓願

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    おもしろい。前作「侍女の物語」が、序章に過ぎなかったと思えてくるほど。他に読んでいた本を一旦やめて、この分厚い本を読んでいる。
    3人の女が登場する。侍女の物語にも登場した、リディア小母もそのひとり。凄まじい過去があかされる。精神に変調をきたさず、これを耐えて生き延びてきた女だったとは。なんと強い人だろうと思う。

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    2025年06月29日
  • 侍女の物語 グラフィックノベル版

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    肉体の自由、自由、自由…。自由、とは、何によって保証されるものなのだろう?三体の休憩に読んだ。はからずも、赤。赤い暴力。原作も読みたい.

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    2024年12月01日
  • 老いぼれを燃やせ

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    どの話も出だしはちょっとわかりにくいかもと思いつつ読み進めていくうちに、あれ?面白いぞとなる。文字通りNine Wicked Tales でした。

    描写もゴスで、さがなしで、アティテュードはパンクでよかったな。オススメです。

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    2024年11月16日
  • 誓願

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    ネタバレ

    本当に面白かった!
    「侍女の物語」では侍女目線であったために情報量が抑えられていたが、今作では小母のリディア、司令官の娘アグネス、他国で育ったデイジーの三名が語り手となり、よりギレアデについて理解が深まるつくりになっていた。この三名がどんなふうに繋がっていくのか、そしてギレアデの女性たちがどうなるのか、恐る恐る読み進めていった。
    女性の権利をとことん剥奪していくくだりは読むのもつらかった。でもそれよりも、ギレアデで生まれ育った少女たちが、すべてを奪われていることすら知らない点が一番恐ろしかった。最初から無いものにはなかなか気付けないものだから。
    リディア小母が、人生を失ったあの状態から権力と情

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    2024年07月02日
  • 誓願

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    ネタバレ

    念願の、、!

    日本がギレアデになる日がそう遠くないんじゃないかと思ってしまう

    それを止めるために私も行動したいと思った

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    2024年06月02日
  • 侍女の物語 グラフィックノベル版

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    名作だということは知っていたが、なかなか手をつけられずにいたところにグラフィックノベル版が出たということで読んでみた。

    現代でこそ新しく感じられる、感じられてしまう、衝撃に満ちた物語。
    コロナが蔓延し、ウクライナとロシアは戦争状態、安倍元首相が銃撃に倒れ、テレビであからさまな情報規制がされる。正しい自由が得られる国なんて、もはやどこにもないのではないかと思えるような2022年の世界で、この作品が持つ意味が重要なものになってきていると思う。
    『侍女の物語』という、けして派手ではないタイトルも、これが彼女の物語であるということ、この物語を誰かに託そうとした人間の生き様であることを表しているように

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    2022年07月16日
  • 老いぼれを燃やせ

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    どれも練られた短編で、最初はちょっととっつきにくいけど、アトウッドだから、このくらい読めなきゃとちょっと我慢してるとじわっと面白くなってきて、「ダークレディ」でレールに乗れた感じ
    にやにやしたり

    文学の素養があるともっと楽しめるんだろうとひしひしと感じられ、改めて古典も勉強したいと思わせてもらいました

    という真面目な話ではなく、軽いノリだと、老いぼれってこのくらい意地悪でもいいのね〜、とちょっと嬉しくなったりも

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    2025年09月25日
  • 誓願

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    ギレアデ国内で権力を握るリディア小母。カナダで両親を謎の爆破事件で失ったデイジー。良き妻となるよう教育を受けたギレアデのアグネス。3人の異なる視点で描かれるギレアデ滅亡までのサバイバル。

    『侍女の物語』に出てきたリディア小母がまさかこんな事の糸を引いているとは、と驚きました。少しのミスが命取り、常に正しい選択をし続けなければ生き残れない熾烈な環境に、どれほどの胆力があればこんなに強く生きられるのだろうかと思わず眉間に皺を寄せながら読んでいました。3者それぞれに語り口が異なり、デイジーのセリフや文章が生き生きとしていて引き込まれました。

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    2025年08月21日
  • 老いぼれを燃やせ

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    おっさんおばさんはみんな読むと良いと思う。単なる懐古趣味や昔は良かったではなく、痛快で小気味良いのにしみじみと時の流れの恐ろしさを感じてしまう不思議な読後感を味わえる。
    かなり好き嫌いが出る作品がほとんどだと思うが、おっさんである私は十分楽しめた。

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    2024年12月04日
  • 誓願

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    侍女の物語よりは読みやすかった。そして、希望がある。

    今世界中で、学校や世の中で、読み書きや社会について知ることを禁じられている人たちは、どれだけいるのだろう。
    今さえよければとか、自分が生き残るためになどの理由で、してはいけないとわかっていることをやってしまう人たちは、どれだけいるのだろう。

    善人が安心して生きていける世の中であってほしい。

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    2024年11月23日
  • 老いぼれを燃やせ

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    表題の『老いぼれを燃やせ』がなんというか非常にタイムリーで、鴻巣さんがよく言っている「予言する作家」としてのアトウッドの凄さがよくわかる。
    他の短編はまあまあ、突き抜けておもしろい作品があるわけでもなかった。

    一箇所気になったのが、カベルネソーヴィニヨンの白が出てくるところがあって、そんなのあるの?と思った。調べたら一応あるらしいけど、そんな珍しいワインを登場させる意味があったんだろうか。

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    2024年11月03日