播田安弘のレビュー一覧
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船舶の設計者、専門家が文永の役、秀吉の中国大返し、戦艦大和の存在意義などを、あくまで資料の数字などから客観的に立証していく。
こういったことは文系の自分に弱いところで、簡単に事実がそうなのだから検証もすることなく信じてしまう悪癖を持つ自分のような者には厳しい指摘に感じてしまったが、やはり本来文永の役で蒙古軍が撤退したのにはしっかりとした理由(船酔い、寄せ集めの軍、日本武士団の装備と騎馬集団)があり、また秀吉にあっても大軍の移動における糧食から兵士の疲労困憊を考慮してもなお、目的を達しようとすること、反対に戦艦大和を活かせなかった軍首脳部の目的の欠如さなどが、もしもということを交えながらも迫っ -
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天照大神の神話と魏書の東夷伝、皆既日食と史書の分析で糸魚川の翡翠と半島の鉄が古代船で交易されていた時代の卑弥呼の邪馬台国は九州と大和のどちらにあったのか、大和説に近いが結論はまだである。天文学や船舶工学で科学的に分析する視点は新鮮であるが、この時代のことはまだまだ解明の余地が多く、考古学の可能性は大きい。
秀吉の朝鮮出兵は戦争独特の過剰表現の記録によりデフオルメされ、目的や結果が判然とせず曖昧のままその後の政治に利用されてきた。まだその事実を研究し解明する余地は大きく、グローバルな視点も重要である。
次に日本海海戦の日本艦隊勝利の実態を船舶工学の視点から検証する。ロシア艦隊側から見ると途中寄港 -
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元軍の話と秀吉の話が面白かったです。
ただ単に、そんなことあるわけない。昔の人が話を大きくしているだけ!というのではなく
なかなかハードだけど、実現させるなら…という視点で考えているのがよかったです。
よく◯万人の兵士とか、◯隻の船で…などと教科書に書いてあって、すごい数だなぁと思いますが
必要な食料、排泄、衣類、武器、それを運ぶ馬、馬の食料…も必要で。
当たり前のことですが、視野が広がり、また違った見方ができるかなと思います。
上司が貸してくれた本で、普段読まないジャンルなのでなかなか読み終わりませんでしたが、投げ出さなくてよかったです笑
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生物学者が恐竜絶滅の原因を生物学的な学説で説明したいと思うように、
歴史学者も歴史上の出来事を組織学や、ある人物の優れた戦略や統率力の賜物だとして説明したがる傾向がある。
900隻もの大群で九州に押し寄せた蒙古軍が九州を攻め落とせなかったのは、神風が吹いたからと言われていて漠然と日本は運がいいねと思っていた。
日本は海に囲まれており、しばしば暴風雨に見舞われるので確かに攻め入るほうにとっては厳しい条件だろう。
だが、冷静に状況を考えてみると気象条件が全てではない。
何百隻もの船が着岸し人や物の乗り降りをするのにどれだけの時間がかかるのか。
何万人もの蒙古軍が、一斉に上陸して攻めてくるなんて -
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蒙古襲来、中国大返し、戦艦大和という三つの歴史的事件に焦点を当てて、大胆な仮説を立てた本書。
著者は船の設計者であり、歴史学者ではないので、歴史学的に見れば一笑されるものかもしれない。
(私も詳しいわけではないので、何がおかしいのか、といった指摘はできない)
だが、中国大返しに船を使ったのでは?という仮説はとても興味深い。
現代人の体力(訓練された自衛隊員)と当時の騎馬武者の体力、兵站など考えなくてはいけないことはたくさんあるが、そこで船を使えば早かったのでは、なんて今までに聞いたことがない!
蒙古襲来も、いかにも船の技術者と言った内容。
造船技術、航海技術その他従来の歴史書では捉えられてこ -
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蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の3点について歴史家の立場よりプロジェクトを策定するマネジメントの視点から、従来の定説に挑んだブルーバックス本。
3つとも歴史好きにとっては必ずと言っていいほど取り上げられるテーマで、それだけに関連図書も多い。
諸説様々、思い入れの強い人もいて批判めいたコメントも散見される。
個人的には、蒙古襲来は「神風などではない」これは常識。「上陸の不備」これも常識。何処か何かの本で読んでいる。
秀吉の大返しはNHKで何度も取り上げられているのを見た。
戦艦大和については、子供の頃の記憶に頼るしかなかったので興味深く読ませてもらった。
ただし、太平洋戦争史に関わる記載につい -
購入済み
残念
ブルーバックスの編集が止められなかったのか?日本海会戦の章に新しい価値観が見いだせなかった。司馬遼太郎さんの焼き直し以上の新規なものは残念ながら感じられない。
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ネタバレ鎌倉時代に、900隻の大船団が押し寄せ、すぐさま全軍上陸して、武士団をさんざん打ちのめし、謎の撤退をして日本は救われた・・・そんなわけあるかい!ということから検証した結果、どうなのかは本書に譲るとして、神風、奇跡などは心地がよくロマンはありますが、古書・伝説・伝承の通り実行するならこういう条件が必要なはずだ、その条件は満たせるとは到底思えない、だから本当の歴史は○○と推察される、という姿勢が必要という指摘はその通りだと思います。
著者は、長年、船に関わる仕事をしてきて趣味も古船というオタクであると告白し、船への興味から、蒙古襲来について調べ、海洋関係者の集まりで発表してみた結果、本になった