播田安弘のレビュー一覧
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前作に続いてとても面白く、なるほどなるほどと何度もうなづく内容。
個人的には珠玉は最初の邪馬台国の謎。翡翠と鉄の道、海潮流、船の形状、方角は不安定といった前提から北部九州→日本海・山陰(水行)→大和(陸行)へというルートは非常に説得力があった。その上で、魏志倭人伝の記述の解釈に止まらず、皆既日食の分析、神話の記述、人口動態などを加味して候補地に点数付けしつつも結論は敢えて出していない。
秀吉の朝鮮出兵は亀甲船対関船の分析がメインだったが、秀吉の目的が潜在的侵略国であるスペイン相手に軍事力を見せて抑止することにあったのではという見立て、小西・加藤などの進軍速度が秀吉の中国大返しと同等のスピー -
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実は,前著とセットでメルカリで購入した。とてもきれいな本だったけど,わたしが一度読むと,赤線だらけになるんだよなあ。
さて今回も,著者の専門分野である「船」が絡んだ歴史的な事件を取り上げている。「邪馬台国は何処に在ったのか」「秀吉の朝鮮出兵」「日露戦争時の日本海海戦」について,科学的に考えてみると,どんなふうな世界が見えてくるのか,とても信じられる仮説として,歴史の見方が変わってくると思う。
ここでは,その一例として強敵ロシアのバルチック艦隊を破った日本海海戦について少しだけ紹介しよう。あの海戦は,東郷平八郎が考えた作戦(T字戦法)で勝利したことになっているのだが,本当にそうだろうか -
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これ面白い本です。歴史上の不思議な「事実」を科学の目で見ると,違うことが見えてくる…という。以前,板倉聖宣氏が『歴史の見方考え方』(仮説社,1986)という本で,人口の増減で見る新しい日本の歴史というものを提案して《日本歴史入門》という授業書を作ったことがあります。数量的にもの(歴史)を見ることで,これまでとは違ったことが見えてくるんですね。それでワクワクしたことを思い出します。
さて,本書の中身も似ています。扱っている内容は,3つしかありませんが,いずれも,具体的に数量的な基準を出してくることで,これまで一般的に言われてきた歴史的な事実?に対して「それはありえんな」「そんなばかな」「どこ -
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前作は、オーディオブックで聞いた。
今回は、紙の本で読んだ。
3ヶ月近くかけて読んだので、読み初めの頃の話しは、忘れたし、前作と内容がごちゃごちゃになってしまった。
でも、歴史の事実として伝えられていることを、データで検証し、実際にはこうだったのではないかと新しい歴史の姿を見せてもらえて、とても面白かった。
改めて、日本人の勤勉さと、技術力の高さを知ることができた。
しかし、その勤勉さ、技術力の高さゆえに、一部の人間かもしれないが、驕りが生じ、日本の歴史を良からぬ方向へと導いてしまったことも一度ならずあり、残念でならない。
謙虚でありたいものだ。
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技術者視点で日本史を解き直す。ブルーバックスならではの素晴らしい視点。好調につき第二弾!
前著は事の他好評だったらしい。早速の第二弾。
今回のテーマは邪馬台国、秀吉の朝鮮出兵、日本海海戦。
前著に引き続き、造船技術者だった筆者の技術的な視点から歴史の謎を解き直す企画。
邪馬台国については当時の船の状況や潮流の複雑な瀬戸内海より日本海航路の方が容易に航海できたことなど具体的に実証していく。
朝鮮出兵については日韓双方まだまだ研究は少ないが亀甲船と日本の補給の状況について定説に疑問を投げかける。
日本海海戦では奇跡の大勝利を日露の艦船の構成などから再検証する。
ブルーバックスから歴史書 -
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造船のエンジニアが、科学技術と数字に基づいて歴史を読み解く本。誰もが一度は疑問に思い、なんとなく聞くに聞けずそのままにしてきたこと例えば大軍の糞尿の処理をどうしていたろうとか、も突き詰めていて面白い。
検証の1つ目は弘安の役で、蒙古の撤退は台風や威力偵察だったからではなく、純粋に武士が追い返したからというもの。まずは高麗が命令された大型軍船300隻を作るのが、大型軍船1隻あたりの木材使用量と加工前木材から合計15万㎥、東京ドーム約150個分の広さになること。その他にも必要な労働力、建造期間から新造船が150隻にも満たなかったことを明らかにする。また、船員や馬の1隻あたりの数、船酔いのシミュレー -
ネタバレ
正に『新たなる視点』!
2022年5月読了。
以前から積ん読状態だったもので、気には成っていたのですが、中々手が出なかったものです。
「科学的見地から歴史を考える」という発想は非常に斬新。著者は「歴史自体の専門家では無いので…」と謙遜されていますが、これだけの検証が今までされていなかった事自体に、正直驚きました。
既に沢山のレビューが上がっていますので、内容全部には触れませんが、どの考察も得心、感心するばかり…。秀吉の件は、先日NHKでも紹介されていましたね。確かに「海路」と云うのは盲点でした。
但し、この考え方を進めて「秀吉陰謀説」を語る方々には賛同し兼ねますが…。
街道(道路)整備及び兵 -
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最近歴史の調査が進んでいることもあって、以前にがっこうで習った有名な事件の真相が一般の本でも紹介されるようになってきました。とても興味深く読んでいます、それらを読むと当事者である武将も、私が理解できる考え方や行動をしていたことが徐々にわかってきました。
さて、この本は新聞か何かの広告で見つけて興味を持ったものですが、海上自衛隊で船の設計などに関わった方が、サイエンス(様々な計算など)を通して、歴史上の有名な3つの事件、事柄(3つ目な戦艦大和の存在意義)について述べています。
どれも素晴らしい視点で歴史の事件を捉えていていますが、本人は歴史学者じゃないのでと謙遜していますが、本を読み限り、歴 -
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蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和――日本史に刻まれたこれらの出来事を船舶の専門家である筆者は科学の視点から読み解く。
蒙古襲来で吹いた「神風」は単なる偶然かそれとも自然現象として説明できるのか。秀吉の大返しは短期間での大軍移動を可能にした兵站の工夫に秘密があった。戦艦大和の沈没には設計や戦術の問題が隠されていた。
著者は最新のデータや科学的手法を用いてこれらの歴史的事象に新たな光を当てる。科学の視点で歴史を紐解くことで出来事の背景や因果関係が浮かび上がり歴史が単なる英雄譚ではなく自然や人間の営みの結果であることが明らかになる。
過去を科学で読み解くことで未来への教訓を得ることができるだ -
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ネタバレサイエンス専攻の日本史好きとして、この手の文理融合な話は大好物。著者は船舶工学を長らく専門とされてきた方で、日本史の様々なエピソードを船を中心に科学的に検証されている。
たとえば邪馬台国がどこにあったのか、ということで、当時の船舶技術から丸木舟を使った朝鮮半島との往来について、対馬海流の存在から但馬~出雲地方に重要な海洋拠点(投馬国)があったと説く。そこから西に行けば九州説となり、東に行けば近畿説となる。
また日露戦争における日本海海戦で帝国海軍がバルチック艦隊を撃破した「東郷ターン」と呼ばれる丁字戦法についても、ロシア側の石炭過積載と船底に付着したフジツボなどの影響でバルチック艦隊の機動