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歴史とは、人と物が時間軸・空間軸の中をいかに運動したかを記述するものである。
話題騒然の前作に続き、日本史の「未解決事件」に「科学」を武器に切り込む!
【謎の一】邪馬台国はどこにあったのか?
九州か、近畿か、それともほかの場所だったのか? 古代史最大の謎に、皆既日食の観測と
『魏志倭人伝』の科学的解読から迫り、女王・卑弥呼はどこにいたのかを推理する!
【謎の二】秀吉は亀甲船に敗れたのか?
文禄・慶長の役で連戦連勝だった豊臣秀吉軍は、なぜ朝鮮から撤退したのか? 李舜臣が
乗ったとされる「亀甲船」は実在したのか? 新資料をもとにその可能性に迫る!
【謎の三】日本海海戦で日本はなぜ完勝できたのか?
日露戦争の最終決戦・日本海海戦で、日本海軍はなぜロシア艦隊を壊滅させることができたのか?
東郷ターンによる「丁字戦法」ではなかった真の勝因を突きとめる!
歴史をサイエンスで読み解くと、日本人が見えてくる!
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Posted by ブクログ
前作に続いてとても面白く、なるほどなるほどと何度もうなづく内容。
個人的には珠玉は最初の邪馬台国の謎。翡翠と鉄の道、海潮流、船の形状、方角は不安定といった前提から北部九州→日本海・山陰(水行)→大和(陸行)へというルートは非常に説得力があった。その上で、魏志倭人伝の記述の解釈に止まらず、皆既日食の分析、神話の記述、人口動態などを加味して候補地に点数付けしつつも結論は敢えて出していない。
秀吉の朝鮮出兵は亀甲船対関船の分析がメインだったが、秀吉の目的が潜在的侵略国であるスペイン相手に軍事力を見せて抑止することにあったのではという見立て、小西・加藤などの進軍速度が秀吉の中国大返しと同等のスピードで補給をどうしていたのかなどの視点も面白い。
日本海海戦については、T字ターンの戦術による勝利というよりは、長期航海による疲労と練度低下、石炭過積載や船底未整備による海洋生物付着よる速度低下、日英同盟によるロシア海軍の寄港拒否などの効果とあって、そもそも戦力差が日本とロシアで大きくついていたという分析。
第3巻が出たら是非読みたい!
Posted by ブクログ
実は,前著とセットでメルカリで購入した。とてもきれいな本だったけど,わたしが一度読むと,赤線だらけになるんだよなあ。
さて今回も,著者の専門分野である「船」が絡んだ歴史的な事件を取り上げている。「邪馬台国は何処に在ったのか」「秀吉の朝鮮出兵」「日露戦争時の日本海海戦」について,科学的に考えてみると,どんなふうな世界が見えてくるのか,とても信じられる仮説として,歴史の見方が変わってくると思う。
ここでは,その一例として強敵ロシアのバルチック艦隊を破った日本海海戦について少しだけ紹介しよう。あの海戦は,東郷平八郎が考えた作戦(T字戦法)で勝利したことになっているのだが,本当にそうだろうか。
そもそも,バルチック艦隊は,7ヶ月もかけて地球を一周するくらいの航海をしてきている。日本は,ロシアの艦船たちがウラジオストクに寄る前に,日本海でたたくことを計画したという。むしろ,バルチック艦隊に勝てたのは,こちらの理由なのではないか。
7ヶ月も航海を続けてきた乗組員たちは,その間,戦闘の練習などができたのだろうか。食糧の調達に加え,当時の燃料である石炭はどれくらい積んでいたのだろうか。やっとたどり着いた日本海で待ち受けていたのは,戦闘練習をくり返し,海の特性を十分知っている日本の海軍だった…というわけだ。
著者はいう。
結局,日本海海戦の勝利は奇跡ではなく,日本は勝つべくして勝ったのす。「神話」として祀り上げず,なぜ勝てたのかをより理性的に分析していれば,三十余年後,中国などを怖れるに足らずと泥沼の戦争に突き進んでいった歴史は,少しはちがうものになっていたかもしれません。(本書,214ぺ)
歴史を科学の目で料理し直す。好奇心を刺激してくれます。
Posted by ブクログ
前作は、オーディオブックで聞いた。
今回は、紙の本で読んだ。
3ヶ月近くかけて読んだので、読み初めの頃の話しは、忘れたし、前作と内容がごちゃごちゃになってしまった。
でも、歴史の事実として伝えられていることを、データで検証し、実際にはこうだったのではないかと新しい歴史の姿を見せてもらえて、とても面白かった。
改めて、日本人の勤勉さと、技術力の高さを知ることができた。
しかし、その勤勉さ、技術力の高さゆえに、一部の人間かもしれないが、驕りが生じ、日本の歴史を良からぬ方向へと導いてしまったことも一度ならずあり、残念でならない。
謙虚でありたいものだ。
Posted by ブクログ
技術者視点で日本史を解き直す。ブルーバックスならではの素晴らしい視点。好調につき第二弾!
前著は事の他好評だったらしい。早速の第二弾。
今回のテーマは邪馬台国、秀吉の朝鮮出兵、日本海海戦。
前著に引き続き、造船技術者だった筆者の技術的な視点から歴史の謎を解き直す企画。
邪馬台国については当時の船の状況や潮流の複雑な瀬戸内海より日本海航路の方が容易に航海できたことなど具体的に実証していく。
朝鮮出兵については日韓双方まだまだ研究は少ないが亀甲船と日本の補給の状況について定説に疑問を投げかける。
日本海海戦では奇跡の大勝利を日露の艦船の構成などから再検証する。
ブルーバックスから歴史書、というところが実に面白い。知的好奇心大満足の一冊であることは間違いない。
これだから止められない。講談社ブルーバックス万歳!
《理知的》に日本を見つめる。
2023年10月読了。
前作に引き続き、科学的視点から「日本史」を見つめ直してみようと云う、今まで有ったようで無かった素晴らしい企画趣旨の本。
著者が《造船関係》を専門とする為、”海“が絡む歴史に偏ってしまうのは致し方無いが、島国日本であればテーマも少なくはない事も、これまた事実だ。
前作のインパクトの強さのせいで、今作はやや地味に感じてしまったが、中々の考察であり、歴史史家の方々も《素直に》こういった視点からの考察も受け容れていくべきだと強く思った。又、著者の”イデオロギーに左右されない中立な視点“を保っている事も、非常に好ましい長所だ。
理知的に日本史を見つめ、”正当に評価すべき自国の歴史“を、もっと素直に自国民が「誇っても良い」時代が来ることを、期待して止まない。そして《愛国心》がもっと冷静に理解され、”右翼的な名詞“とは受け止められない日が、一刻も早く来ることを望む。
Posted by ブクログ
1.邪馬台国は始め九州、卑弥呼の死後、近畿に移った。
2.朝鮮出兵はスペインを牽制し植民地化を逃れるための策略。亀甲船が存在していたと仮定すれば、戦力は当時日本軍の主力だった関船の二倍(火力及び接近戦が不可な構造)。日本軍の兵站は当初より破綻していた。
3. 日露戦争の影の立役者は日銀副総裁だった高橋是清。莫大な戦費を捻出する為ロンドンで外債を募集。ヤコブ、ヘンリー、シフというユダヤ人銀行家(当時ロシア帝国がユダヤ人を迫害)が500万ポンド(5000万円、戦費の10%)を引き受けた。またバルチック艦隊は日本の偵察船と誤りイギリスの漁船を誤爆したことでイギリスが主要なアフリカ、アジアの港で補給を許さず船体は汚損しており、また当時の大型船は石炭を大量消費することから貯蔵庫だけでなく、甲板にも石炭を置き過積載の状態であった為、速力が大幅に低下していた(日本も同じ状況であったが海戦直前に甲板の石炭を捨て身軽になった)。
Posted by ブクログ
船の専門家である著者が、日本史の謎に挑む、第二弾。
この本で問われているのは、以下の三つ。
1 邪馬台国はどこにあったか
2 秀吉は亀甲船に敗れたか
3 なぜ日露戦争の日本海海戦で完勝できたか
1は、糸魚川の翡翠とフォッサマグナの話に始まる。
その後日蝕のデータ検証、当時の造船技術や中国からの使節の航路の推定に進み…となる。
話がどこへ行くのかわからなくなりそうだった。
古代の交易の道と邪馬台国の関係を見ようとしていたのね。
2は秀吉の朝鮮出兵の意図を読み解こうとしたもの。
日本と朝鮮の軍船がどのようなものだったかを資料から検討し、日本の敗因を推定する。
日本が「鉄砲大国」であったこと、機動力のある軍船を持っていた一方、朝鮮に「亀甲船」が資料にあるように存在していたら、勝ち目がなかっただろうと推測している。
が、その「資料」があまりないらしい。
日本と朝鮮半島との不幸な過去のはじまりにあたるこの戦争について、特に朝鮮半島での研究があまりないというのだ。
国同士の関係によって左右されるという、歴史研究の難しさを思い知らされる。
わからないことはわからない、とするのが本書の筆者のよいところだと思うが、邪馬台国論争にしても、秀吉の意図にしても、はっきり新しい説が打ち出されるとか、既存の説のどれかが力強く支持されるというわけではない。
「答えが知りたい」欲は、すっきり満たされるわけでもない。
が、最後の章では問いに対して、わりとすっきり答えが出てくる。
東郷艦隊の「丁字戦法」だけが勝因ではなく、日英同盟がバルチック艦隊の航行に大きな支障を作り出していたことが背景にあるという。
造船技師の筆者ならではの知見が生かされていて、素人が読んでもわかるよう明晰に説明されている。
歴史研究は、他の分野の研究者と共同して進めていくことが大切と、改めて思う。
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