千葉ともこのレビュー一覧
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安史の乱をベースにした千葉ともこさんの3部作をついに読み切ってしまいました。
今回は安将軍側のストーリーでした。
女性の力士ってこの時代にもいたんですね。
主人公の笑星は最初は戦の過酷さ、ひどい環境でも生き抜く強さを全く知らない守られた存在でした。
そこから福との出会いやその先に起こる出来事を通して成長していく姿に思わず応援したくなりました。
朝儀の過去、そして笑星と出会ってからの日々、黒蛇への思いを考えてとても切なくなりました。
そして安慶緒の理想とそれを引き継ぐ朝儀の関係にも涙…。
戦争ってすべてを壊しますね。
3部作ともシリアスな展開の中に暖かい人同士のやり取りがあってとても読み応え -
Posted by ブクログ
舞台は中国唐の時代、政治の中心は楊貴妃の一族が台頭するなか、節度使の安禄山の勢力が対立し叛乱を起こす、世に言う【安史の乱】が物語の背景にある。
・安禄山は平家物語の冒頭にも遠い国で叛乱を起こした人の一人として挙げられている。
・安史の乱は安禄山とその部下の史思明が起こした叛乱とされている。
その程度の知識しかありませんが本書を手にしました。
物語の主人公達は【安史の乱】の中心にいた人達ではなく【安史の乱】の影響を受ける地方の人々の話です。
主人公の張永は平原の武官、妹の張采春は危なっかしいけど そこそこの武術の達人、張采春の許嫁の顔季明は名家の御坊ちゃまではあるが芯があり文官を目指す -
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ネタバレ安禄山の変と呼ばれる安史の乱。
巻き込まれてしまった民の姿を描いた作品もこちらで終わりなのです。(もちろん、一冊ずつ読んで問題なし)
今回は乱を起こした安禄山の息子たちの物語。そして、史朝義と彼の幼馴染であり力者(力士)の呉笑星の物語です。
私たちが知る歴史は本当にわずかで楊貴妃、長恨歌くらいでしょうか。
ですが、戦が起きれば人々はかり出されて、戦へ行かなくてはならない。残された者たちに残るのは理不尽な飢えや死。
阿倍仲麻呂が遣唐使として、唐に行っていた時期でもありますね。
戦を始めるのは簡単、でも終わらせるのは苦難の道。
それをしっかりと読ませていただきました。
本当に、人間の歴 -
Posted by ブクログ
杜甫を主人公とした小説。杜甫の「飲中八仙歌」をベースに登場人物との関わりを描いていく。杜甫と李白の描き方、関わりは常識的とも思えるが、これ以上上手くは書けないだろう。なかなかである。他の登場人物が素晴らしい。特に賀知章、崔宗之。それほど有名ではない人物だが、さもありなんという感じ。焦遂は歴史上の人物かどうか不明で作者の創作に近いか。八仙の中にない阿倍仲麻呂も登場させる。これがまた絵に描いたような仲麻呂のイメージにピッタリ。素晴らしい。
よく分からないのが粛宗。若い頃はそれなりに魅力的で、杜甫との交わりは創作だろうが面白い。そして即位後の再会。面白くない。事実に近いのかもしれないが、もう少し面白