あらすじ
悪政による貧困がはびこる唐の世、仕官を願う杜甫は、花形詩人の李白ら、憧れの酒豪と出会う。型破りな酒仙たちとの交流を通じ、杜甫は「国破れて山河在り」の境地に辿り着き、民のために皇帝に諫言することを決意する。不遇をかこちながらも志を貫いた大詩人の夜明けを活写する、中華烈伝エンターテインメント!
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Posted by ブクログ
漢詩で世の中を変える――。志を胸に抱いた男たちの半生をドラマチックに描いたエンタメ歴史小説。創作色が濃いが、漢詩が詠まれた背景にこんなことがあったら格好いいだろうなと思わずにはいられないほど登場人物たちが魅力的。
仕官を夢見る書生の杜甫。偶然にも彼と出会いその才能を見抜いた賀知章が、会っておくべき酒豪を語り聞かせる第一章からスタート。
第二章以降、杜甫は酒豪たちに出会い事件に巻き込まれる中で彼らの志を知り、自分の進むべき道を見つけていく。杜甫の成長物語になっているが、他の登場人物の視点で進む章もあり、各登場人物が自らの志で人生を切り開いていく様が描かれている。
最終章では腐敗していく国を何とかすべく奔走する杜甫の姿が描かれ、酒豪たちと困難を乗り越える中で見つけた自身の信念を貫きながら新しい世代に期待を託すという未来を見据えた終わり方になっており爽やかな読後感が味わえる。
各章で一つの出来事・事件が起きて起承転結する構成のため読むのが楽しい。章ごとに中心となる人物の見せ場や内面の深掘りがあり、志の深さや精神的な成長が見られる。初めはつかみ所のない人物だと思っても読み進めると新たな一面を知ることができ、読み終える頃には主要人物のほとんどを好きになれるようなアツい仕上がりになっている。
Posted by ブクログ
とある飲み屋の壁に飲中八仙歌が書き付けてあって、元々漢詩や書に惹かれていたのにこんな有名な歌(と後から知った)も知らないのは恥ずかしいと思い、この詩の意味を知りたいと思って探したところ、折よくこの千葉ともこさんの「飲中八仙歌 李白と杜甫」に出会った。
なんてタイミングよく書かれた本!と思いながら手に取ると、これは歴史小説ですね?史実と想像とを織り交ぜた、とても読みやすい、そして李白や杜甫だけでなく顔真卿も出てくるし、史実から紐解いた人物像なんだろうけどそれがとても生き生きとしてドラマのように情景が浮かび、私の知っている俳優さんを当てて読んでみたりしてそれはそれは楽しく面白く読み進めることができました。
八人の酒飲みを讃える詩はとても短いのにも関わらず、これだけのドラマを紡いでそして時系列で一冊の本を書き切ってしまう、素晴らしいと思いました。
素朴な杜甫の良さが周りの人に与える良い影響がこちらにも響いてくるようでした。
Posted by ブクログ
世俗の権力や規範に縛られない「狂」という概念
儒教的理想と、腐敗した政治、戦乱の現実
「狂」を通してしか生き延びられなかった時代の体温を、そのまま流し込んでくる物語の体感が凄まじい
Posted by ブクログ
杜甫を主人公とした小説。杜甫の「飲中八仙歌」をベースに登場人物との関わりを描いていく。杜甫と李白の描き方、関わりは常識的とも思えるが、これ以上上手くは書けないだろう。なかなかである。他の登場人物が素晴らしい。特に賀知章、崔宗之。それほど有名ではない人物だが、さもありなんという感じ。焦遂は歴史上の人物かどうか不明で作者の創作に近いか。八仙の中にない阿倍仲麻呂も登場させる。これがまた絵に描いたような仲麻呂のイメージにピッタリ。素晴らしい。
よく分からないのが粛宗。若い頃はそれなりに魅力的で、杜甫との交わりは創作だろうが面白い。そして即位後の再会。面白くない。事実に近いのかもしれないが、もう少し面白く書けなかっただろうか。
Posted by ブクログ
・あらすじ
天宝三載(744年)から天宝十五載(756年)の唐代が舞台。
飲中八仙歌という唐の酒呑みたちを題材に杜甫が詠った詩に因んで、杜甫と彼らの関わりを書いた作品。
・感想
李白と杜甫については名前しか知らず、有名な「国破れて山河あり」が杜甫の作品だと言う事も忘れてたレベルの知識しかない、ていうか李白と杜甫って時代が被ってた事も知らなかった。
結構ダイジェスト読んでる感じだったかも。
「李白と杜甫」という副題がついてるけれども、李白の杜甫への興味関心の描き方が「ジャンルもカップリングも知らない同人誌を読んだ気分」と同じだった。
作者の中では李白⇄杜甫間に互いに巨大感情があるんだろうけど、読んでる側は唐突すぎて戸惑いを覚えた…。
李白パートの最後、李白と杜甫が酒場で出会った場面も運命的な出会いを演出したかったんだろうけど、杜甫の声を聞いただけで「肌が粟立った。この男こそ太陽。眠っていた体の隅々が覚醒する」なんて描写がされててちょっと笑ったw
そして物語のラストに「杜甫が李白の帰る場所、居所だ」とか書かれても「えっそうだったっけ?」ってなった。
これまでの物語の総括にそのセリフを持ってくるのはちょっと強引じゃないですかね?などなど。
李白と杜甫にするには二人の関係性の描写が物足りず、かといって八人の酒仙を描くにも物足りず。
杜甫▶︎李白はわかるんだけどさ。
副題は要らなかったのでは?と思ったけど、作者はそこを描きたかったんだろうからなー。
真面目な杜甫と型破りな李白、そんな正反対な二人が詩で通じ合う…いいよね、わかる。
文献等から拾える歴史の合間をいかに妄想力で補うかがこういう作品の面白さだなんだろうけど、作者の嗜好が強いな、と思ったかも。
あと古代中国が舞台なのに登場人物の中身が「現代日本人女性」だなというのも感じた。
古代中国人の精神性なんて全然わからんけども。
総じて「全然知らないジャンルの全然知らないカップリングの同人誌」を読んだなーって印象。