カーソン・マッカラーズのレビュー一覧

  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    大学で英文学の授業の教材として読んだ思い出の本が、同様に思い出深い村上春樹に訳されるという幸せ。
    以前読んだ村上春樹と柴田元幸の対談本「本当の翻訳の話をしよう」で話題に出てたのがきっかけで手に入れてみた。

    授業で学んだから内容は多少覚えていたとは言え、20年以上前に読んでから読み直してもいなかったので、ふんわりとした記憶しかなかった。

    耳の聞こえない主人公のシンガーさんが、町の人々から色々なことを相談されるけど、相手は一方的に話すだけで別に探偵的なことをするわけでもない。
    そしてある日悩みを聞かされまくった主人公は自殺してしまう。
    そして町の人々は後悔する。
    といった感じ。

    読み直した結

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    2025年03月03日
  • 哀しいカフェのバラード

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    読みたかったカーソン・マッカラーズの『悲しき酒場の唄』が
    村上訳で読める日が来るとは!
    それも山本容子さんとの素敵な物語絵本になって

    なんという話しなの!

    という感想に尽きます
    全てが変わっている

    春樹さんはこの中編小説をできれば他の短編と合わせずに一冊の独立した本にしたかったという
    それも絵をつけた一冊に。
    となるともう 私たちも山本容子さんしか浮かばない。カポーティの本たちと同じように。

    それにしても、江國香織さんも書いておられるように、こんなに描いてしまっていいの?ミス・アミーリアを、カズン・ライモンを?
    と思わずにはいられない。
    けれど…このあまりにも新鮮?斬新?な物語だからこ

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    2025年01月03日
  • 哀しいカフェのバラード

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    タイトルで「哀しい」と言ってしまっているので、出オチしているようなのってどうかな?と思いつつ読んだ。杞憂でした。こんな余韻の話は初めてかも。あとがきで村上春樹さんも書いていたけれど、登場人物のどれにも共感できなくて、突き放されたような印象を受けた。でも、それがよかった。どうにもできない渦に巻き込まれていくような、不条理を目の当たりにするような、少しだけ心地よい虚脱感も感じながら一気に読み終えた。

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    2024年12月07日
  • 哀しいカフェのバラード

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    訳者違いの再読。
    再読って初めてかも知れない。
    でもよかった。
    時に人物の気持ちが分からない。
    でも人ってそんなもんじゃないかと思う。
    全てが合理的で他から見て分かりやすくて…みたいな人なんていない。
    それぞれに葛藤やら鬱屈やら抱えてどうにかこうにかつじつまを合わせたり、合わなくなってぐちゃぐちゃになったりしながら生きている。

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    2024年10月04日
  • 哀しいカフェのバラード

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    「愛されるもの」の立場と「愛するもの」の立場。
    両者の立場が移り変わりながら、その哀しさと憎しみが描かれた物語。
    登場人物たちは、みな異様で素直に共感することはできず、ゆえに、箱の中の出来事を見ているような感覚になる。
    けれど、そこで繰り広げられている愛憎は、「愛」の難しさ、他者を理解することの困難さを語っている。

    哀しいけど、涙がでたり、胸が激しくしめつけられたりするわけではない。
    ただ、淡々とした哀しみだけが残る。

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    2024年09月29日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    貧しく人種差別も激しいアメリカ南部のある町。それぞれ熱い使命や思想、夢を持っている登場人物達が、聾唖の男シンガーにだけはその秘めた思いを語る。いつもは聞き役のシンガーも、啞のアントナプーロスだけには手を素早く動かし話しまくる。
    人は、自分の話をまっすぐに受け止めてくれる人を求めている。語りたい、理解してほしい。
    自分の思いが空回りして実現しない事は圧倒的に多い。それでも大半の人は生きていく。シンガーはなぜ死んだのか。皆、彼に話すだけ話して、彼を知ろうとはしなかったからか。
    決して幸せな話ではなく、うるさくて静かで、なぜか心地良い読書だった。不思議だ。

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    2024年09月22日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    闇を鮮やかに描きだしている作品。
    みんな誰かと心を通わせたいと思っているのに、うまくいかない。そんなときにただ聞いてくれる存在がどれほど有難いか、そんな人がいてくれたらどれほど人生が明るくなるか。
    私も誰かの光になれたらと思えた。

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    2024年01月17日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    色彩豊かな片想いが錯綜する物語。
    1930年代の大不況による貧困と差別が蔓延するアメリカ南部で暮らす人々。
    主人公のミック、ジェイク、ブラント、コープランドを中心に様々な人が聾唖の白人、シンガーに心を寄せる。
    シンガーが唖であるがゆえに理想の友人像を作り出し傾倒する。ただしシンガー自身はその友人たちのことを強く思っているわけではなく、心の中にはただ一人、精神病院に収容されてしまった友人アントナプーロスのみ。
    理想の友人のおかげで日々の苦しい生活が救われていると感じている中、その一方通行は突然ドミノ倒しのように崩壊し、人々は孤独へと帰っていく。

    こう書くととても重苦しい感じがするのだが、マッカ

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    2023年12月31日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    これほど力強くも繊細な小説を読んだのはいつ以来だろう。海の向こうではファシズムが台頭しつつある暗い時代、アメリカ南部の貧困と人種差別が蔓延する小さな町に暮らすひとりの聾唖の男と、彼をとりまく4人の人びとの物語だ。
    町にある夜流れ着いた大酒飲みのアナーキストは、この世の矛盾について多くの知識を蓄えはしたが誰にも理解されず、巨大な怒りを内に抱え込んで自己破壊的な暴発をくりかえしている。
    一方、この町にただひとりの老黒人医師は、差別と暴力に虐げられる同胞たちへの大いなる愛とともに彼らの愚かさへの怒りに突き動かされているが、彼もまた、家族を含め誰ひとり理解者をもたない。
    才気煥発な下宿屋の少女は、心の

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    2023年12月28日
  • 哀しいカフェのバラード

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    村上春樹さん訳 山本容子さん絵画

    初カーソン・マッカラーズさん
    中編小説で、挿画が作品とぴったり
    奇妙な人間関係で、3人はそれぞれにコンプレックスがあるけど、幸せになろうとする
    不器用だけど愛を感じる
    愛が憎しみに変わった残酷さが哀しい物語

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    2025年12月05日
  • 哀しいカフェのバラード

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    以前「心は孤独な狩人」を読んだ時とは大きく異なる印象のマッカラーズ。心は孤独な狩人は現代社会にも通じる閉塞感について考えさせられる一冊であった(らしい。自分の感想を見る限りではある)けれど、この何とも奇妙な物語は何かを静かに考えさせるという雰囲気は、一見、ない。訳者の村上春樹も最初に読んだ時の印象をこう語っている。

    『これはいったいどういう小説なのか? いったいこの小説は何を語ろうとしているのか? この本を読み終え、多くの読者はそのような疑問と戸惑いを抱いたまま、あとに取り残されることになるかもしれない。最初に読み終えたとき、正直言って僕もそんな読者の一人だった』―『訳者あとがき』

    時代が

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    2025年11月07日
  • 哀しいカフェのバラード

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    村上春樹氏の訳というので、初めてマッカラン氏の作品を読んでみました。
    なんというか話自体は救いようのないようなものですが、村上春樹氏があとがきで書かれているように、「愛」を真摯に求める心の有り様であり、マッカラーズ自身の孤独な魂の反映なのかなと思うのでした。
    主な登場人物3人の深い欠落と矛盾に苦しみながらも必死でもがいてる姿は、現代でも、世界のどこにいても同じなんだと感じ入ることが出来ました。

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    2025年04月25日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    第二次世界大戦が始まる直前くらいのアメリカ南部の田舎町を舞台にした群像劇。聾唖で聞き役に徹する男性シンガーと、彼を自分の理解者だと慕う人々。年齢や人種も様々だが、自分の正義、真実、才能、情熱などが周りに理解されないという孤独感を抱えているのが共通している。この作品がすごいなと思うのは、彼らの苦悩を描きつつも、独りよがりな部分も浮き彫りにしていることだと思う。人間ってそういうものなのかな、孤独ってなんだろうと考えさせられる。ババ―やベイビーといった脇役の子供のエピソードも印象に残った。

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    2025年03月16日
  • 哀しいカフェのバラード

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    詩情溢れるメルヘン。そして残酷なラブ・ストーリー。
    タイトルに“ballad”とあるとおり、人々が口伝えに繰り返し語り継いできたドラマに耳を傾けているかのよう。

    冒頭でいきなり悲劇の結末は明かされる。
    うらぶれた田舎町に住む、吝嗇で癖が強いが一目置かれてもいる人物であるミス・アミーリアに起きた、これまた風変わりな愛の行方と破局の物語だ。

    なにもないいつもの夕方、訪ねてきたよそ者との出会いによってミス・アミーリアが変わり、その熱が生む磁場に引き寄せられるように町の住民も変わっていき、物語には幸福と高揚感が満ちてくる。
    しかしそれと同時に、きっとなにかが起きるに違いないというカタストロフィの予

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    2025年01月11日
  • 哀しいカフェのバラード

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    とても不思議で、一切の救いのない物語。
    巨躯で訴訟好きの女性、ミス・アミーリア。圧倒的な人間嫌いのアミーリアに対し、突然出現し、一途な愛を受けることになった病的に小さなカズン・ライモン。この二人が始めたカフェが、町全体を活気づけ、奇跡のような平和をもたらした頃に現れる、前科者で過去に10日間だけミス・アミーリアと結婚していた、マーヴィン・メイシー。
    この三者の、愛の一方通行を描きながら、その愛の行き着く先を示す。

    マッカラーズの小説に出てくる登場人物は、皆、どこか普通ではない。
    普通ではないのだけれども、普通ではないなりに、皆、不思議と歯車が噛み合っている。
    そしてその噛み合い具合がとても心

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    2024年10月18日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    孤独は前提であると言っていたのは糸井重里だった気がするけれど、人間が生きる上での前提である孤独を再認識するような小説だった。

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    2024年04月30日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    高校生以来、20年ぶりに読む!

    言葉で伝えられることはとても少ないのかもしれない。
    いや、そもそも伝えると言うこと自体、本当は無理があることなのかもしれない。

    閉塞感に満ちていて、読んだあと数日心が沈む。
    早く明るくなりたい。

    だけど、わずかな、わずかな希望を見つけられる気もする。

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    2024年01月16日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    自分の話をじっくり聴いてくれる相手が居る。それがどれほど救いになるか。
    それだけでも人の役に立てるのかもしれないと、優しい気持ちになった。

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    2024年01月15日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    人間の本質に関する部分を現実味を伴って文章で表現するのは決して容易ではない。それを可能とするためには作者自身が少なからず生きるうえでの酸いや甘いを経験する必要があるのではないかと思うのだが、ここで驚くべきはマッカラーズが23歳の若さで、しかも処女作にして、その点をほぼ完璧に近いかたちで小説に仕上げたことだ

    欧州でファシスト政党が台頭し、今にも世の中が戦争の渦に吞まれようとしていた時代のアメリカ南部を舞台に、年齢や人種、思想が異なる男女の人生が交錯する物語は何となくフォークナーの作品と共通する雰囲気が窺える

    巻末の解説で訳者・村上春樹は、マッカラーズの小説は個人的に閉じた世界と述べている。な

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    2023年10月22日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    村上春樹さんの読みやすい訳で楽しく読めましたが、自分自身の、物語の時代背景への理解が乏しいのが残念でした。

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    2025年08月11日