カーソン・マッカラーズのレビュー一覧
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闇を鮮やかに描きだしている作品。
みんな誰かと心を通わせたいと思っているのに、うまくいかない。そんなときにただ聞いてくれる存在がどれほど有難いか、そんな人がいてくれたらどれほど人生が明るくなるか。
私も誰かの光になれたらと思えた。
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色彩豊かな片想いが錯綜する物語。
1930年代の大不況による貧困と差別が蔓延するアメリカ南部で暮らす人々。
主人公のミック、ジェイク、ブラント、コープランドを中心に様々な人が聾唖の白人、シンガーに心を寄せる。
シンガーが唖であるがゆえに理想の友人像を作り出し傾倒する。ただしシンガー自身はその友人たち...続きを読むPosted by ブクログ -
これほど力強くも繊細な小説を読んだのはいつ以来だろう。海の向こうではファシズムが台頭しつつある暗い時代、アメリカ南部の貧困と人種差別が蔓延する小さな町に暮らすひとりの聾唖の男と、彼をとりまく4人の人びとの物語だ。
町にある夜流れ着いた大酒飲みのアナーキストは、この世の矛盾について多くの知識を蓄えはし...続きを読むPosted by ブクログ -
孤独は前提であると言っていたのは糸井重里だった気がするけれど、人間が生きる上での前提である孤独を再認識するような小説だった。Posted by ブクログ
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高校生以来、20年ぶりに読む!
言葉で伝えられることはとても少ないのかもしれない。
いや、そもそも伝えると言うこと自体、本当は無理があることなのかもしれない。
閉塞感に満ちていて、読んだあと数日心が沈む。
早く明るくなりたい。
だけど、わずかな、わずかな希望を見つけられる気もする。Posted by ブクログ -
自分の話をじっくり聴いてくれる相手が居る。それがどれほど救いになるか。
それだけでも人の役に立てるのかもしれないと、優しい気持ちになった。Posted by ブクログ -
人間の本質に関する部分を現実味を伴って文章で表現するのは決して容易ではない。それを可能とするためには作者自身が少なからず生きるうえでの酸いや甘いを経験する必要があるのではないかと思うのだが、ここで驚くべきはマッカラーズが23歳の若さで、しかも処女作にして、その点をほぼ完璧に近いかたちで小説に仕上げた...続きを読むPosted by ブクログ