グレイス・ペイリーのレビュー一覧
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“生きている物語と、生きている言葉―”
アメリカ文学のカリスマにして伝説の女性作家、グレイス・ペイリーの第一短編作品集。平凡な日常を描いたようで、でも一筋縄では噛み砕けない難解な文体。誰にも真似できない特徴的なストーリーテリングは、どれも読み込むほどに色彩を帯びていく。
・さよなら、グッドラック
自らの在りし日の恋愛談を語る叔母。劇団俳優との盲目的な恋は、白昼夢と悪夢の積み重ねの日々。そんな半生を生きた二人が迎える現在の姿とは。永く永く、時に激しい音を立てる、柔らかい水面のようなお話。
・変更することのできない直径
仕事で訪れた家で出逢った少女と恋仲になってしまったエア -
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「この本知ってる?」「何年か前に、本屋さんで見かけたけど買わなかったんだよね」という会話をして数日後、自分の本棚のすみっこに収まっているのを見つけた。あのとき、「人生のちょっとした煩い」というタイトルに惹かれる自分がちょっといやだなと思って書店の棚に返したつもりだったのに。
冒頭の初期作品は、ユーモラスでいきいきした印象。作家の書く喜びが前面に出ていて、そのワクワク感に同調して楽しめる。差しこまれる言葉のイメージが鮮やかで、ハッとさせられるのも心地よい。最後の2編はちょっと難解でぶっとんでいる。ひとつ読み終えるごとに、ほっと一息つきたくなる満足感。 -
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ネタバレ「ペイリーさんの小説は、とにかくひとつ残らず自分の手で訳してみたい」と村上氏が語る、
アメリカ文学のカリスマにして伝説の女性作家の第一作品集。
キッチン・テーブルでこつこつと書き継がれた、
とてつもなくタフでシャープで、しかも温かく、滋味豊かな十篇。
巻末にデビュー当時を語ったエッセイと訳者による詳細な解題付き。
アメリカ文学、ヘミングウェイに続きグレイスペイリー。
訳が村上春樹。
10篇の短編集なのだが、
通して思った事が、この人が書く話は、取り立てて特別な出来事を書いていない事が印象に残る。
だけども、読んでいて面白いし、何処か哀しみや憂いを含んでいる。
10篇のうちいくつかの感想 -
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女は散漫で思いつくままに喋るから、話があっちこっちに飛ぶ、なんて云われます。ええ、思いあたりますとも。この小説も筆者の思考の流れるままにひょいと飛躍するところがあるので、ぼやっとしてると置いてきぼりを食らうことがあります。でもちゃんと帰ってくるから大丈夫です。
そんなわけで、時代とか社会背景とか民族がなんちゃらとか、そういう問題はいっさい置いといて、ようは50年代のガールズ・トークだと解釈すると、もろもろ腑に落ちました。原題は“The little disturbances of man”なんですけど、訳者の村上春樹センセイは「女の人生の煩いのモトはたいてい男だからね、フフフ」といいたいのかも -
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# 最後の瞬間のすごく大きな変化
面白いか。面白いとはいえない。
最初の方は読みにくかったが、だんだんペースに慣れてきて、最後の方はテンポよく読めた。
しかし終わってみるとほとんどのディテールは思い出せない。部分的に思い出せることもあるからそれでいいのか。
筋を追って順に語れるということはない。そもそも筋というものがあるのか。
でもいろいろな状況や考え方や観念が書き込まれているのは確か。
きちんと理解することは簡単ではないだろう。
移民、黒人、ユダヤ人、未婚の母、娼婦など、差別される人々が中心に登場する。
それぞれに苦労を抱えているが、みんな何となくあっけらかんと生きている。
“男たるも