一倉定のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書の初版は昭和44(1969)年ですが、半世紀以上経った今でも十分通用する内容で、新鮮にすら感じられます。
日本のドラッカーとも言われる著者の口調は、大変厳しくも、シンプルかつ合理的なものです。
企業の目標とは、客観情勢に基づき設定されるもので、企業の内部事情とは本質的に無関係である、と喝破。
単に実現可能な目標は現実を無視したものであり、それでは企業は生き残れないという著者の主張は本当に厳しいが、本質を突いたものでもあると思います。
目標管理の現場で起こっている問題点は、今でも全く変わっていないことには苦笑せざるを得ませんでした。
昭和に書かれた本ということもあり、現在では受け入れられにく -
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いい本だと評価が高いのだが、何だか読みにくい。
まず、積読。改めて読み直そう。
改めて読み直した。
随所にためになることが書かれている。やっぱり一倉定はすごい。
・企業の目標は客観情勢によって決められる。市場の動向によって決められるということだろう。企業の内部事情とは本質的に無関係。
・目標を立ててもそのとおりいかない。だからムダだ。→なかなか達成できないからこそ必要であって、簡単に努力もなしに目標を完遂できたら、目標そのものがおかしい。
・目標管理のチェックは報告会でやるべきだが、原因追及は厳禁。→報告会では、目標、実績、不達成事項の対策に限って行う。原因究明をしなくていいのではなく、会議 -
Posted by ブクログ
この本を読む前後で、計画・予算の理解の仕方が変わった。今までは経営側の意図を理解していなかった。やれるかではない、やらないといけない。の理解有無が、大切だろう。
実績がないのが当たり前。
無理と思ったら努力しない。限界を決めるのは上司。
予算は足らなくて当たり前。
部下じゃない。上司の時間を作るために、仕事と権限を奪う
決めたことは守らせる。日本人は守ろうとしない。
朝令暮改は必要。メンツに囚われずに。
責任大・権限小が普通。自分の責任範囲を広げよう。口も手も出す!
収益計算も簡易で良い。評価指数は、善し悪し等加え具体的。
部下には試練を課し周知に追いやることで成長する。
人は自分のために仕事 -
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・気づきが多い良い本だった。1999年には逝去された一倉定の本で、根性論などもあるが、それはやっぱり大事だし、現代もあまり変わらないと感じた。
・過去実績をもとにした、実現可能な無理のない計画は革新も、進歩もない。
零戦設計時も170ノットの戦闘機を200以上にし、航続距離3,000キロにして20ミリの機関砲をつけろという軍の要求は当時めちゃくちゃだった。が、果たせた。戦争に勝つとはそういうこと。計画はいきるためのもの。実現不可能で、無理があって非科学的で納得いかないもの。
・不可能なものを可能に変質させることが経営担当者の存在意義。不可能。無理と思った瞬間から何も努力しなくなる。やっても無駄 -
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本書のキモは、原価計算基準がもたらす企業会計の矛盾です。原価計算の基礎についての頭出しにはいいとおもいます。詳細は、現代の工業簿記、管理会計を参考にされてはいかがでしょうか。
全部原価計算が企業の儲けの計算に役に立たないので、直接原価計算を使おうというのが市倉氏の怒りです。
そうしないと、本当にどこで損をしてどこで儲かっているのかがわからない。
(財務会計は、全部原価をベースとしているため、本質は変わっていない。直接原価は、管理会計の基礎になっていて、両者は決算時に調整されています。念のため)
ただし、全部原価計算を利用すれば、在庫の評価で赤字経営でも黒字の帳簿にできるのである。
企業と -
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1963年に管理会計の重要性について書かれた本の復刻版。日経電子版で引用が紹介されていたのに興味を持って読んでみた。60年以上経ってもエッセンスは色褪せていないことに驚き。これぞ普遍。
・利益率は「過去の優秀さ」しか示していない。生産性を高めること、すなわちより多くの生産価値(限界利益)を生み出すことこそ経営者の使命である。
・利益の絶対値の大小や比率の値は、極言すればどうでもよい。それらの値がどのような傾向をとっているかが問題なのだ。
・部門の成果を測定する際に、未来費用(将来に向けた投資的費用)を計上してはいけない。
・生産価値に対する賃金率を一定にする「ラッカー・プラン」は、従業 -
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ネタバレ会計原則に固執していては事業の実態が見えてこない。本当は赤字なのに、会計上では黒字に見えてしまう事はままある。その最大の原因は「固定費の割掛け」である。伝説の経営者であり、多くのカリスマ経営者の師範でもあった一倉定氏。彼が出てくる前は、管理会計という概念すらなかったのであろう。固定費の配賦を間違えては実態とは異なる原価が計算され、赤字であるのに黒字であるといった誤った情報を元にした誤った意思決定をしかねない。本書では分かりやすく例をあげている。
本書は昭和38年(1963年)に書かれたたものであるが、その当時にこのような視点で経営を見ていた著者の先進性に驚く。復刻版という事で、当時と現在では