竹下文子のレビュー一覧
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本作は、黒ねこサンゴロウシリーズの最後の1冊である。
おれは日記をつける習慣はない。
三日まえはどこにた?
五日まえはなにをしていた?
ひと月まえは?
そんなことはおぼえていない。
ただ、海があって、船がある。
たいくつなんかしない。
こんなサンゴロウだが、彼は自身の過去の記憶と向き合うことになる。
サンゴロウの失った記憶について、友人で医師であるナギヒコはずっと気にかけている。
ナギヒコは、サンゴロウの記憶について、
うみねこ島にむかうとちゅうで、なにかおそろしい目にあって、
それを忘れようとして消してしまったのではないかと考えている。
記憶 -
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本書は、黒ねこサンゴロウシリーズの番外編短編集である。
「みどりの小鳥」、「幽霊船」、「王様の島」の3編が収められている。
そして、今までなくて、全体としてもこの巻にしか載っていないのが不思議なのだが、
うみねこ島を中心に、このお話の舞台となる島々の地図が載っている。
サンゴロウとマリン号は、一心同体である。
ここはマリン号の心臓にいちばんちかい。
おれは、船の鼓動を感じ、船といっしょに呼吸する。
おれには船のきもちがわかり、船もおれの気分をよみとる。
話なんかしなくても、かんがえることは、ぴったりあうんだ。
ところが、そんなサンゴロウとマリン号の関係を揺るがす -
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本作は、前編との関係でいうと『黒ねこサンゴロウ3:やまねこの島』に登場した
やまねこ族の隠れ住む<貝がら島>が舞台となる。
『やまねこの島』では、サンゴロウと友人で医師のナギヒコとの関係が中心に語られていたが、
本作では、サンゴロウは、貝がら島のやまねこ族の後継者争いに巻き込まれていき、
サンゴロウとやまねこ族の末裔達とのやりとりが話の中心をなす。
ナギヒコの思い人であるクルミは、貝がら島の医師である。
サンゴロウとナギヒコが訪れたときから、貝がら島の外の世界に思いをはせているようなところがあった。
そして、その思いのために、クルミは少しずつ準備を進めていたのである。
やまねこ族とう -
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本作は、前編5冊との関係で言うと、
サンゴロウに憧れ、『黒ねこサンゴロウ4:黒い海賊船』で
活躍したイカマルのその後の話である。
『黒い海賊船』で、こっそりサンゴロウのマリン号に忍び込み、
結局すぐに見つかるのだが、助手を務めたイカマル。
今は、船には乗らずに、きつい仕事を引き受け、一生懸命に働いて、
おんぼろではあるが自分の船を手に入れ、
仲間に協力してもらいながら自分で修理して仕上げていた。
イカマルは、サンゴロウの教えを忠実に守っていた。
風にむかってはしりながら、ぼくは、ずっと、船のあやつりかたをかんがえていた。
かんがえなくても、半分ねむりながらでも、しぜんにからだ -
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本書を前編との対応関係を見てみると、
この『ケンとミリ』には、『黒ねこサンゴロウ1:旅のはじまり』でサンゴロウと旅を共にしたケンと
『黒ねこサンゴロウ2:キララの海へ』でサンゴロウを助けたミリが登場する。
ケンとミリはいとこ同士である。
お互いがサンゴロウと別々なときに会っていたことを知らない。
ケンがサンゴロウと出会ってから5年が経ち、ケンは13歳になっている。
当時とはいろいろなことが変わっている。
ケンは中学生になり、「特急マリン号」は「特急スーパーマリン号」になっている。
当時、ケンの父親が建設にかかわっていたホテル・マリンはできあがっている。
ケンがサンゴロウと歩いた川 -
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どうしてか、じぶんでもよくわからなかった。
なにか、たりないものをさがしているような気がした。
ねじとか、ねじまわしとか、そんなものだ。
あちこちさがしまわっているが、みつからない。
いや、いったいなにをさがしているのか、それがわからない。
おれは、どこからきたのか。
なぜここにいるのか。
これからどこへいくのか。
なんのために?
気持ちがなぜかささくれ立ち、やせて目つきが悪くなったと
サンゴ屋のおやじに心配されるサンゴロウ。
夏が過ぎて秋になり、鳥の研究をする学者・イソキチに、
南海島まで送り届けてほしいという依頼が入る。
その依頼を -
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今回の話の中心は、サンゴロウとサンゴロウにあこがれているイカマル。
前編5巻の中では、もっとも冒険物の要素が強い。
三日月島ではサンゴ屋からあずかった細工物がいい値で売れる。
サンゴロウは、ちょっとべつの島に寄り道したあと、三日月島に行く
いつものコースを向かっていた。
最近、三日月島の近くで海賊がでるといううわさがたっていた。
黒い船で、マストがないその船は、うみねこ船ではなく、
海賊はうみねこ族ではないということだけはわかっていた。
帆に風をうけて、すべるようにはしっているマリン号。
ところが、床下から物音が聞こえて・・・。
いつもひとりで航海するサンゴロウにあこがれいたイ -
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『キララの海へ』に引き続き、サンゴロウとナギヒコが話の中心である。
今回サンゴロウは、ナギヒコに頼みごとをする。
医者であるナギヒコに往診を頼むのは普通といえば普通なのだが、
まずもって、サンゴロウの方からナギヒコにものを頼むのが珍しかった。
そして、往診のために用意するようにと頼んだのがカレハ熱の薬をたくさんと予防ワクチンだった。
その行き先は、船で一日。
カレハ熱は、うみねこ島ではこわい病気ではない。
うみねこ族の子どもは、うまれてまもないうちに予防ワクチンをうけるからだ。
一体行き先はどこなのか?
黒ねこサンゴロウシリーズは、語り手がさりげなく毎回変わる。
『旅のはじま -
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本書の登場人物は、
うみねこ島の船乗り・サンゴロウ、ウミガメ号の見習い水夫・イカマル、
うみねこ島の医者・ナギヒコ、サンゴロウを助ける少女・ミリ。
『旅のはじまり』で、
うみねこ族の宝をさがしていたサンゴロウは、その頃の記憶を失って、
うみねこ島の船乗りとして、マリン号の船長として生きている。
サンゴを運んで、サンゴ屋に売って、身銭を稼いでいる。
サンゴロウは、3年前に、この島にながれついだのだという。
『旅のはじまり』から読んでいる読者は、
サンゴロウが覚えていない過去を少しだけ知っており、
また、『旅のはじまり』から
この『キララ海へ』の間に何があったのか想像はできる。
そして、 -
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黒ねこサンゴロウシリーズは、計10冊。
全体的な流れを見ると前編5冊、後編5冊といった位置づけで、
前編5冊は「黒ねこサンゴロウ」、
後編5冊は「黒ねこサンゴロウ旅のつづき」というシリーズ名である。
後編の第1巻は、前編の第1巻でサンゴロウとケンが会ってから5年後という設定になっており、
前編の第1巻ではじまった旅を真の意味で完結させるのは後編の第5巻という関係である。
第1巻、第2巻が、1994年7月、第3巻、第4巻が、1994年10月、
第5巻が1994年12月といったように、ほぼ間隔を置かずに出されている。
旅のつづきは、第1巻、第2巻が1996年3月、
第3巻、第4巻、第5巻が