無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
ねむり病が、うみねこ島の一部ではやり始めた。
しかし、病気を治すための材料である『ガラス貝』が切れていた。
ガラス貝は珍しく、そこらへんの海では見つからない。
唯一いまだにガラス貝がある海は、船乗りが一番行きたがらない海、キララの海だった。
サンゴロウは、親友のナギヒコに頼まれ、そのキララの海へ、ガラス貝を探しに行った。
しかし、そこでやみねこに出会う。
帰りに、やみねこのせいで、海に放り出されてしまった。
サンゴロウは、人間の女の子のミリに出会う。しかも、ミリは人間なのに、声の波・貝の耳を使いこなした。
結局、ブロック越えをしたウミガメ号に助けてもらい、うみねこ島に帰った。
この本を読んでから、毎日声の波・貝の波を練習中です。
Posted by ブクログ
本書の登場人物は、
うみねこ島の船乗り・サンゴロウ、ウミガメ号の見習い水夫・イカマル、
うみねこ島の医者・ナギヒコ、サンゴロウを助ける少女・ミリ。
『旅のはじまり』で、
うみねこ族の宝をさがしていたサンゴロウは、その頃の記憶を失って、
うみねこ島の船乗りとして、マリン号の船長として生きている。
サンゴを運んで、サンゴ屋に売って、身銭を稼いでいる。
サンゴロウは、3年前に、この島にながれついだのだという。
『旅のはじまり』から読んでいる読者は、
サンゴロウが覚えていない過去を少しだけ知っており、
また、『旅のはじまり』から
この『キララ海へ』の間に何があったのか想像はできる。
そして、この『キララの海へ』で起こる出来事の意味も、
続けて読んだ読者はサンゴロウ以上に理解できることになる。
だが、サンゴロウの過去は、それだけではなさそうだ。
これがシリーズ全体をを貫く謎になる。
サンゴロウのマリン号は、せいぜい3人しか乗れない小さな船で、
サンゴロウは助手をやとうことはめったになく、たいていひとりで出かける。
「足にぴったりあう長ぐつみたいに、おれにぴったりあっている」のだ。
うみねこ島で暮らすうみねこ族たちは、サンゴロウの過去を知らない。
どこか謎の多いねこだと思っている。
サンゴロウは、友人で、医者のナギヒコから、
キララの海に行かないかと持ちかけられる。
キララの海は、ごつごつした岩だらけの小島が多く、
島のあいだには、つよくうずをまく流れがあり、
うっかりすると、うずにまきこまれ、
船ごと岩にたたきつけられる場所ということで、
船乗りたちは誰も近寄らない。
そんな場所に、なぜナギヒコは、行ってくれと頼むのか。
南の浜にネムリ病が出たが、薬は今50人分しかない。
その薬はガラス貝から作るのだが、それが取れるのがキララの海なのだ。
薬が50人分しかないことは、公表したくないというナギヒコ。
信用問題にかかわり院長をクビになってしまうから。
なんとも「人間的」である。
ナギヒコは、うみねこ島の社会で生きるねこなのだ。
一方のサンゴロウは、無頼に生きている。
ひとり旅をしていると、
どうしても、ひとりごとをいうことが多くなると思いながら、
船や海に関することをひとりつぶやいている。
もちろん、船にも話しかける。
これが名言だらけである。
船に心がある、なんていうと、おかしいとおもうかな。
でも、うみねこ船には、たしかに、心みたいなものがある。
船乗りといっしょになって、よろこんだり、はしゃいだり、
すねたり、ふきげんになったりするんだ。
サンゴロウは、ナギヒコの願いを聞くことになる。
キララの海へいくのは、ナギヒコにたのまれたからじゃない。
ネムリ病にかかった子どものためでもない。
船にのる仕事なら、まあ、なんだっていいんだ。
サンゴロウには、海や空の声が聞こえる。
海の声っていうのは、そう、なんて説明したらいいかな。
波の音、風の音、それだけじゃない、もっとふかいもの。
海のふかいふかい底から、おれたちにむかって、よびかけてくるものだ。
それは、物語だったり、歌だったり、なにかのことばのくりかえしだったりする。
長く、はっきりしていることもあるし、とぎれたり、ごちゃごちゃになったり、
とちゅうでふいと消えてしまったりすることもある。
きくたびに、海の声はちがう。
やさしいときもあるし、おこっているときもある。
もちろん、おれにも、意味はぜんぶはわからない。
というより、まあ、ほとんどわからないな。
でも、おれは、それをきくのがすきなんだ。
サンゴロウに聞こえているのは、海を通して聞こえる命の音なのかもしれない。
サンゴロウは、ひとりの孤独と幸せを味わい尽くす存在なのである。
ひとりでキララの海に挑んだサンゴロウがそこで見たものとは?
そして、緊急通信の<声の波>を受け取った<貝の耳>をもつ存在。
<声の波>は、なにも道具をつかわない。
心の中で、つよくおもうことで、ことばを波にかえ、
遠くまでとどかせる。
その<声の波>を受け取ることができるのが<貝の耳>である。
送り手と受け手の気が合わなくてはダメなのだ。
これはテレパシーのようなものとサンゴロウは例えているが、
もしかすると、日頃のコミュニケーションでも、
何かを伝えるための誰かというのは存在するのかもしれないと思わされた。
人はその人だからこそ、その情報の送り手となれた、受け手となれたということがある。
常にその情報を送り続ける、受け続ける場合もあるだろうし、
ピンポイントでそのときのためのメッセンジャーになることだってある。
その瞬間にしかつながれないことだってある。
<声の波>と<貝の耳>は、そんなコミュニケーションの不思議を象徴しているようにも思えた。
その能力ゆえに、その瞬間という偶然がもたらした力によって、つながったサンゴロウとミリ。
金色の潮がみちてくる。波の音しかきこえない。
砂の上についた足あとが、ふしぎなもようをえがいて、ひかっている。
信じていれば、ねがいはかなう、か? ほんとうに?
『旅のはじまり』で、ケンとはあっさりと別れたサンゴロウだったが、
ミリとの関係は、サンゴロウらしい中にも少し余韻があり、
それがまたサンゴロウの格好良さを引き立てるのである。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
ビジネス・実用
小説・文芸
ビジネス・実用
試し読み
小説・文芸