N・K・ジェミシンのレビュー一覧

  • 輝石の空

    Posted by ブクログ

    親子の絆と軋轢。
    それぞれの物語が最終局面に収斂していく。
    バックグラウンドにある悲痛さを抱え込み、それでも決断した結末には胸に熱い。

    正直SFファンタジー要素が強くて読み進みるには胆力がいる。でも、読後の解放感は唯一無二の作品です。

    0
    2025年04月27日
  • オベリスクの門

    Posted by ブクログ

    母と娘のそれぞれの物語。
    悲しみや孤独、絶望を胸に抱きながらそれでも前に進まねばならないという覚悟をひしひしとつたえる。

    決して読みやすくはない。でも異世界である本作品と現実の世の中の様相がリンクすることで、エンタメには収まりきらない充実感を与えてくれる。

    では、第三部へ。

    0
    2025年03月24日
  • 第五の季節

    Posted by ブクログ

    世界観に没入するまで少し時間がかかるが、後半に行くにつれて物語がダイナミックになり読みが止まらない。

    架空の世界ではあるが、身分社会や自然災害といったテーマは卑近な話題として捉えてることできる。あとがきにあるが著者がフェミニストといういうのを知ると、作品の見方が重奏される。

    ファンタジーな描写を妄想すると、その壮大な風景が脳裏で荒れ狂う。多分に開かれていくストーリーを今後どのように展開、収束させていくのか。第二部、第三部とわくわく読んでいこう。

    0
    2025年02月13日
  • 輝石の空

    Posted by ブクログ

    (オベリスクの門 のレヴューからの続き)

    読み終わっても当分余韻引きずるくらい好きだったので
    この作者が合うんだろうと(実際私自身が40歳くらいのおばさんですし・・・)
    同じ作者の他の作品も読もうかな~とか思わないでもないです。

    でもきっとこの3部作が一番好きだと思います。たぶん。

    0
    2023年12月18日
  • 輝石の空

    Posted by ブクログ

    終わってしまうのがとても心苦しかった。
    作品のメッセージ性は言わずもがなだが、もはや作中世界を現実との類比の対象にしてしまうのは贅沢がすぎるのではないかと思える。
    特に1部2部までのオロジェンVSスティルとか、オロジェンVS守護者のような単純な対立構造しか見えていなかったところから、長い歴史の中に根を下ろした派閥間の複雑な関係が明らかになるところに超大陸の底知れなさを感じる。

    0
    2023年10月19日
  • 輝石の空

    Posted by ブクログ

    破壊された地球3部作の最終巻。旅がふたたび始まっていく。

    エッスンは仲間とともにユメネスへ向かう。その旅は希望のない、いずれは迎える絶滅を少しでも先延ばしにするだけでしかない。コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』を彷彿とさせる世紀末の旅。その旅でエッスンはカストリマのみんなと仲間になる、彼女の人生で初めてのことだ。ミオブで海賊と一緒に生活したことはあった、でもその一瞬の幸せはオロジェンであることで終わってしまっている。エッスンの心境に変化が出てきている、娘ナッスンを探し出すだけでは無く仲間や人類そして地球を助けるためにオロジェニーを使おうと。

    一方、ナッスンは絶滅した文明の造った地下鉄で地球の裏側に向かう。それまでに父親に弟を殺害され、孤独で過去を隠し続ける母親から逃げ出し、さらに父親を殺害してきた。なにもかも奪われ続けてきたナッスンが初めてシャファを愛することができた。そのシャファも地下鉄の旅で失いかけていく。ナッスンはシャファを痛めつける地球を破壊することに決心する。

    エッスンとナッスンの戦いはエッスンが操るオニキスのオベリスクとナッスンの操る27のオベリスクの戦いだ。オリベスクから発せられる光・エネルギー・波動が感じられる、すざまじい破壊力があることが伝わってくる。2人のそれまでの人生で抑圧されていたものが一気に爆発的に表に出ていく感じが表されている。暴力的なだけではなく美しさもある戦いだ。ナッスンはエッスンが以前の母親ではないことに気付いたに違いない、それによってナッスンも破滅から再生へ考えが変わっていったのだろう。

    ラストでナッスンは地下鉄でスティルネスへ帰るのを躊躇するシーンがあります。ものすごい戦いのあとですぐに結論をだすのは難しいと思います。ですが、なんとか希望を持って生きてもらいたい、でないとこの話は悲しすぎます。

    0
    2023年05月27日
  • オベリスクの門

    Posted by ブクログ

    『第五の季節』は旅の物語だったが、一転してコムに定住していくことになる。エッスンが地下都市カストリマで出会う女長イッカとの対比がおもしろい。エッスンは夫・娘に逃げられ、旅のお供は石喰いホア一人だけ、生きる目的は娘に再会すること。一方イッカはオロジェンであるのに関わらずコムを存続させるために仲間とともに力強く生きて行っている。その違いはエッスンの強力すぎるオロジェニー能力と虐げ続けた人生に起因すると思います。本当は普通の家庭を築きたかっただけなのに、オロジェニー能力が高すぎるためとフルクラムでの洗脳に近い教育を受けてきたため地球の存続の鍵を握る人物なってしまう悲しい人生がひしひしと読み取れます。

    地球が滅亡するか復活するか、地球上のあらゆる生き物にはどちらを選ぶかという意志は無いように思います。地球自身も決めかねている、滅亡したほうが良いのか存続したほうが良いのかを。だから石喰いのメッセージも受け取るオロジェンによって受け取り方に違いがでてきているのだろう。地球の存亡を決めることができるのはエッスンとナッスンのみ、ここにも二人が究極の孤独感を感じなければならない理由があります。

    最後の戦闘シーンは前作『第五の季節』をはるかに越えるスケールがものすごい。想像力を最大に発揮して、その美しく残酷な物語に浸ることができるのは大変幸せだ。

    0
    2023年05月25日
  • 第五の季節

    Posted by ブクログ

    物語が進むに連れオロジェンというオロジェニー特殊能力をもつ人種がどのくらいすごい力を持っているのがわかっていきます。そして、第五の季節という文明を滅ぼす災害が起きるのを防いだり遅らせている仕事をさせられているのにもかかわらず、彼らが生まれながら差別され、監視されているのも。オロジェンは多くを語らないというか必要なことも話さない。それは常に緊張状態にいるのもあるし、だれにも理解されない孤独のなかに存在しているからだ。彼らの心のなかに隠し持っている悲しみがものすごく伝わってきます。その対比として登場する海賊イノンの明るさ、アライアの役人アザエルのずるさのなんと人間臭いことか。

    物語は娘をさがす中年の女性エッスン、フルクラムの指示でオロジェニーを使って各地で業務を行う女性サイアナイト、フルクラムでオロジェニーを制御できるように訓練を受ける少女ダマヤの話が順に語られていきます。その3つの物語が徐々に繋がっていく展開がおもしろい、ミステリー要素というほど大げさではないですが納得・腑に落ちるというかとにかくおみごとな語り方です。

    そして、驚愕のラスト。都市を一瞬にして消滅させるオロジェンのちからを見せつけられる戦闘シーン。それまで静かに語られていたため余分にその力の大きさを思い知らされます。

    ホアやトンキーといった魅力ある人物の謎が徐々に溶けていきます、そしてまだ残っている石喰いについての謎。フルクラムという組織がどのような意志をもっているのか。オロジェンと守護者の戦いは始まったばかりですし、隠れているオロジェンの中にはもっと巨大なオロジェニーを持っているものもいるのではないか。残り2作を読むのが本当に楽しみです。

    たくさん出てくる鉱石の名前。黒曜石のナイフ。珊瑚の障害物。マシシというアクアマリンの最高級品。ガーネットのオベリスク。赤ダイヤのかけら。アレキサンドリアの原石。閃長石サイアナイト。雪花石膏アラバスター。巨大な水晶をくりぬいた地下室。翡翠と真珠貝の指輪。アメシストのオベリスク。尖晶石スピネルのオベリスク。鉱石にくわしいとより面白くかんじるかも知れません。

    0
    2023年05月20日
  • 輝石の空

    Posted by ブクログ

    とてつもなくおもしろい。「第五の季節」「オベリスクの門」に続く第三部にして完結編。3年連続ヒューゴー賞受賞は伊達じゃない。読んでいて興奮しながら読み耽ってしまった。とてつもなく読むのが大変そうなびっしりとした文章なのだけど、読むのが苦ではない。それほど集中して読み続けられるパワーがある。この独自な世界観、内容をここまでありありと目の前に浮かぶように表現しきった翻訳家の方には大きな感謝を送りたい。これを読まないのはもったいなさすぎる。文句なしに脱帽だ。

    0
    2023年05月12日
  • 輝石の空

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    オベリスクによって晶洞を破壊されてしまったカストリマの人びとは、無人になったレナニスの街を目指す。アラバスターと同じく体が石に侵食されはじめたエッスンは、彼女らと共に移動しながらも早く娘の元へ駆けつけたいと考えている。一方、ナッスンは守護者のシャファと共に〈見出された月〉を離れ、地球の裏側にある古代都市の遺跡へと旅だつ。そして遂にホアが自らの過去を語りはじめる。〈破壊された地球〉三部作最終巻。


    前作を読んでから1年半経っているので内容をほとんど忘れちゃってて、正直「???」になってしまった。でも今作を読んだあとに読み返すオベ門の面白いこと!思わせぶりに謎めいていたアラバスターとの会話や、カストリマの動力装置をめぐるトンキーの考察など、そういうことね!と。そうして再度今作を開き、ホアの記憶のクライマックス部分を読み返してやっと要点が掴めた。『第五の季節』から各章の終わりに付いていた石伝承や古文書の抜き書きも、もう一度読み返したくなってくる。
    最終巻で一番わくわくしたのは、ホアが語る古代文明シル・アナジストの様子と、その遺物を使って地球内部を移動するナッスンの旅だ。本シリーズの地底旅行はどれだけ鉱物まみれになるのかと思いきや、シル・アナジストの遺物は動物や植物を改造しまくったシュルレアリスティックな生命体なのだ。ホアの打ち明け話によって、〈鉱物パンク〉だと思ってた世界観が〈生命エネルギーパンク〉に反転する。そこから逆説的に「石も生命を持っている」「地球も意思を持っている」と畳み掛ける。有機的なようで非人道的なユートピアをつくりだしたシル・アナジストの魔法は、科学の発展と同じ道をたどって優生思想にたどりついてしまう。
    個人的に、このシリーズのすごいところは主人公への厳しさだと思う。エッスンが過酷な目にあうというだけではなく、どこで間違い、何を見誤り、誰に謝罪すべきなのかを常に厳しく問い質していく。今作では〈季節〉がはじまってからのオロジェンはむしろ英雄だったのだ、という伝承が発掘されていくが、それが鼻につかないのは、エッスンもナッスンもひとつひとつの選択を常にジャッジされる緊張に身を置いていることが読者にはわかっているからだと思う。
    そしてこのシリーズ一番の魅力は、ホアの語りが持つ”声”だと思っている。饒舌だが硬質で、アフォリズムめいた言葉がリズム感よく畳み掛ける、エモーショナルな文体。エッスンに対する厳しさも、二人称の呼びかけを地の文に採用したからこそ効果的になっていると思う。読者が一番近しく感じる地の語りをホアが担当することで、〈石喰い〉と呼ばれるようになってしまった人びとの”人間性”がグッと伝わりやすく、説得力あるものになっている。私が前作の設定をすっかり忘れながらものめりこんで読んでしまったのはこの文体の力によるものだ。翻訳も素晴らしいと思う。
    ただ、『天冥の標』と併読していたので、この技術力を持ったシル・アナジストがなぜ宇宙開発に乗りださなかったのか不思議で仕方なかった。特に『第五の季節』のラストで大興奮した、月の不在という謎の種明かしがちょっと期待外れだった。鉱石幻想の集大成のような月をめぐるファンタジーが読めるものと思っていたのだ。
    ジェミシンがこのシリーズをあくまで地球の物語として完結させた意図はわかる。シル・アナジストは地球を所有物と考え、奴隷化しようとした。地球が人類に復讐する論理と、アラバスターたちオロジェンがスティルネスに抱く恨みは完全にシンクロしており、〈季節〉は復讐の連鎖から生れでた。ここにはっきりとエコロジカルなメッセージが埋めこまれている。
    また、藤本和子の『塩を食う女たち』『ブルースだってただの唄』で知った黒人女性のスピリットが今作にも漲っている。劣等感を抱きながら生きることを当たり前と思いこんで暮らしてきた人びとの苦悩と怒りが、エッセンシャルに昇華されたパワフルな三部作。いま出会えてよかった。

    0
    2023年03月01日
  • 第五の季節

    Posted by ブクログ

    最近もドラマ化された『日本沈没』という傑作SFがあったが、それがちっぽけな作品に思えてしまうほどにケタ違いにスケールが大きいファンタジーな地殻変動もの。まったく不案内な未知の世界であるにもかかわらず、読み始めた途端に引きずり込まれるようにストーリーに没頭してしまう。絡みあっていた三つ編みの髪の毛が解かれて拡がるように物語が展開した先には主人公が追い求める娘の話がくるようである。

    0
    2022年01月10日
  • 第五の季節

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『三体』が読みたいけどまだ読めないので代わりにこっちを読んだ。面白かった。

    だらだらと思い付くままの覚え書きのような感想。

    最初は星3くらいで、世界観の飲みこみがうまくいかず、ノレず、だらだら読んでいた。しかし、サイアナイトの話で、能力のあるオロジェンは強制的に子作りをしなければいけないとか、ノード保守要員はロボトミー手術のようなものを受けて廃人のまま生かされ管理されるという事実が明らかになってきて、この世界の闇が見えてきたあたりで面白く感じられるようになった。さらに、そのノード保守要員は、アラバスターの息子というのも匂わされて面白かった。人権どこいったという世界。ほんとディストピア。
    ノード保守要員が虐待を受けていた事実もまた良かった。悲しい出来事の列挙で麻痺する。

    3視点構成は、おそらく同一人物だろうなあ、でもまだ時系列ちょっとわかんないなあと思っていたので、同一人物だと判明した時はきちんと繋がって面白かった。
    エッスンの時の、語り手はホアだというのも最後にわかって良かった。
    ホアはおそらく地中から産まれた存在で、石喰い人なんだろうけど、まだいまいち目的がわからない。
    アラバスターに付いていた石喰い人のアンチモンが、石化したアラバスターの腕を食べているらしいことから、石喰い人は能力が高いオロジェンを食べる存在ってことだろうか?
    イッカにも石喰い人が付いてた。
    また、アラバスターは、能力が高くなるにつれ地球と同化する感覚が強くなったとも言っているので、オロジェンは石化し、それを石喰い人が食べる?

    冒頭の男はアラバスターかなと思った。アラバスターが季節を起こしたので、その時のアンチモンの会話かなあ。

    守護者は、フルクラムでオロジェン同士で出来た子供だが、オロジェニーの力が無いスティルがなるらしい。
    クラックはノード保守要員になったんだろうな…。
    クラックは、自分の延命のために優秀なダマヤを陥れた。ジャスパーは母親からの手紙が欲しかったので、酒と身体を指導者?に売った。ジャスパーの代わりにクラックがコム無しの掃除係と間を取り持って、酒をもらう代わりにダマヤの靴を渡した。ということかな。

    幕間で月が無いことが仄めかされていた。月が無いので満ち潮引き潮は無いんだろうな。なぜ無い、というか、無くなったのか?
    地球が怒った出来事のせいかな。
    なんとなく、石化するアラバスターをみて、人類は鉱石と交わり、能力が高まれば石となっていくのかなあと想像した。月を作り出そうとしているのかもしれない。

    能力の高いオロジェンはオベリスクと同期できる?
    アラバスターはオベリスクを使って、季節を起こしたと思われる。
    オベリスクの中には石喰いがいる。オロジェンの能力を増幅させるっぽい。
    フルクラムでオベリスクが作られる。オベリスクはオベリスクを操れるオロジェンに近寄る。磁石みたいだな。オベリスクの中の石喰いは死んでるとあったが、石喰いは死ぬのか?冒頭の女性の石喰いは長く生きていたみたいだけど。
    オベリスクを使うと釘が出るっぽい。シャファは死んだのだろうか?
    シャファは最初はいいやつかと思ったら指を折って、でも慰めてくれて、しかし、ダマヤに試験を受けさせるところで、ダマヤはこれ正しくないと自覚し、ミオヴでは反抗する。守護者がずっと微笑んでいるのが不気味すぎる。

    トンキーが実は男だというのは驚いたし、ビノフだったのにも驚いた。性別を変えられる技術があるのがすごい。

    季節があって、人々が飢えをしのぐ時に人肉もあったとありちょっと興奮しつつも、最初のエッスンの旅の時にその話あったなあと思い出した。

    いろいろ事実整理しないとわからなくなるし、絶対続編読む時には忘れてる。
    アラバスターが同性愛者者なのが興味深いし、きっとエソナイトともそんな仲だったかもしれない。片思いかな。

    サンゼ帝国の創始者の将軍が女性という記述も面白かった。すごいな。

    最初、オベリスクは古代人が残したコロニーかと思っていたが、そこまで大きくないっぽい。
    地上が安全じゃないから、空に逃げたのかなあって考えた。
    ティーメイのあれは地球の代弁なんだろうか。
    ホアの「あんた(エッスン)がいっぱいいる」発言も気になる。単純にオロジェンが多いってことでいいのか?
    ナッスンを探していたのにわからなくなったらしいし。なんでだ。

    受賞理由というか、ウケる要員としては、ディストピア社会としてのカースト。特に同性間の親子間でカーストが引き継がれるのが地獄だし、カーストに繁殖者がいるのが地獄。残り1つはなんだろう。
    指導者、守護者、繁殖者、強力、耐性者、革新者。
    宗教というか、神的なものが見当たらなかった。地球がそれに類するっぽいけど、宗教関係者みたいなのがいない。フルクラムや地科学者がそれに相当するのか?天体学が似非科学となってるのが面白い。

    錆びを侮蔑的な意味合いとして使ってるのがなかなか慣れなかったな。自分の中ではクソって翻訳してた。

    0
    2020年11月03日
  • 第五の季節

    Posted by ブクログ

    これは読みごたえがありましたよ・・・。

    三部作の第一部でありながら、細かい文字でびっしりの600ページ越え。

    僕的には、若干でも文字の大きいハヤカワSF文庫で出版してほしかったかったのですが、そうも贅沢はいっていられません。
    はい。
    創元SF文庫さま、日本語版を出版していただきましてありがとうございました。
    僕が愛用している個別にあつらえたリーディンググラスを駆使して読破しました。
    あ、すみません。カッコつけました。ただの老眼鏡です(笑)。

    馬鹿なことを言ってないで、レビューですね。

    いや、面白かったです。
    3部作の全作品がヒューゴー賞を受賞しているという本作品。しかも3年連続という快挙。
    これは読むしかないでしょう。

    ジャンル的にはSFなんだけど、細かくカテゴライズするならば
      終末系ファンタジーSF
    とでもなるのでしょうか。

    本作の舞台は未来の地球。
    人間の開発により荒廃した地球が人類に反旗を翻し、数十年数百年ごとに超絶な環境変化を起こし、人間の文明をその都度全滅させるという世界が舞台です。

    この世界観は嫌いじゃないですね。
    並大抵の想像力でこの小説を読み進めていくのは難しいです。
    まあ、中世の世界に映画『マッドマックス』とコーマック・マッカシーの『ザ・ロード』の世界観をぶち込んで、そこに人類を救うであろう特殊能力をもった人間をひとつかみ放り込んだような感じといえば分かりやすいでしょうか。←全然わからないよねwww

    まあ、まだ第一部ですのではっきり言って謎だらけです。
    でも、3つの視点から本作は進んでいき、それがやがて統合されている手法はお見事としか言えません。

    本作の著者は、女性なので女性視点で描かれた描写が多いです。非常にフェミニンな感じで男女の愛憎も描かれます。
    このあたりの好みは人それぞれでしょうか。

    600ページ越えでまだ物語は始まったばかり、人類は地球上で生き残ることができるのか。
    手に汗握ります。
    続巻はいつ発売なのだろう?
    待ち遠しいですね。

    1
    2020年10月11日
  • 第五の季節

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    はるか未来の地球。不動[スティルネス]と呼ばれる巨大大陸は、数百年ごとにやってくる天変地異〈第五の季節〉と地震の脅威に晒されていた。人びとは〈用役カースト〉という世襲制の役割分担を作って〈季節〉に備えていたが、〈オロジェン〉、あるいは差別的に〈ロガ〉と呼ばれる者たちだけはカーストからもはじき出されている。オロジェンは地震を操る能力を持ち、それゆえに忌み嫌われ、権力者に管理・制御されるべきと考えられている人びとだ。オロジェンでありながら身分を偽り、二人の子どもを奪われた女性エッスンと、〈守護者〉に引き渡されオロジェン育成学校に入学したダマヤ、オロジェン最高峰の能力者アラバスターとバディを組むことになった〈帝国オロジェン〉のサイアナイト。三人の物語はやがて一つに重なり、スティルネスの、そして未来の地球が隠した巨大な謎に直面する。〈破壊された地球〉三部作の第1作。


    いま我々がいきる世界が「神話時代」と呼ばれ、石伝承という旧約聖書じみた聖典によってしか窺い知れない過去になっている世界の話、というだけでワクワクしてくる未来の話。スティルネスはちょうど南北の中心を赤道が走る大きな大陸で、北米とアフリカがくっついたような感じ。かつてはサンゼ人という種族が統一支配していたらしいのだが、いまはそこまで影響力はない。だがサンゼが築いた都市ユメネスはいまだに尊敬を集め、人びとは容姿にサンゼ人の特徴がどれかほど表れているかを美醜の基準にする。こういう未来の文化人類学的なディテールが楽しい。
    本作を語るキーワードは、地震を操る能力〈オロジェニー〉、そしてフェミニズムと鉱物幻想の三つあると思う。
    まずはオロジェニーについて。地震を操る能力とまとめてしまうのは実は正確ではなく、大地に張り巡らされた地脈を自身の体内のできごとのように感じ、地上にある熱エネルギーを使ってその結節点に作用できる能力である。自然状態のオロジェンは感情と力が直で結びついていて、ほかの人間にとっては脅威となる危険な存在。つまり、自分の力に気づいていない子どものオロジェンが一番危ない。
    だが、フルクラムにある訓練学校を出て帝国オロジェンになると力をコントロールできるようになり、オロジェニーを持たない人びとに対して「役に立つ」ことをアピールするため、常に冷静沈着であれと教えられる。オロジェンは地震を防ぐこともできるが地震の元凶ともなりうるがゆえに被差別民であり、帝国オロジェンは一目でそれとわかる全身真っ黒の制服の着用を義務付けられている。十指輪という最高ランクに達するまで住居は一人部屋すら与えられないし、優秀であればあるだけ種馬として子を成すことを強制される。そして訓練で制御不能と判断されたオロジェンは、力だけを搾取できるよう思考を奪われ、肉体も縛り付けられ、地震を抑止するシステムに奉仕するだけの機械となる。帝国オロジェンとして権力に仕えるサイアナイトとアラバスターは、こうした非人間的なシステムのなかでもがいている。
    私は特にアラバスターが好きで、まさかこんな「自身の力が強すぎるがゆえにメンタルがバッキバキにひび割れた加害者意識過剰な中年男性」というドツボを突く男がさ……後半あんなことになると思わんよね……。ありがとう、N.K.ジェミシン。エロティックなシーンの描き方も繊細で、優秀な子を残すというミッションを強いられたサイアナイトとアラバスターの行為はどこまでも味気なく暴力的ですらあるのに(当然第三者からセックスを強要される状況自体が暴力なので)、イノンとの出会いを通じてサイアンとバスターの関係も思いやりを伝え合う良好なものに変わっていく。イノンの終身名誉ヤリチンぶりが頼もしい。
    性的なことがらの書き方はフェミニズム的だが、男女間の対立を煽るような表現がなかったのも良い。エッスンの暮らす一見閉鎖的なティリモの村にもラスクやレルナのように彼女の気持ちに寄り添ってくれる男性がいるし、アラバスターが見せる切ないほどの脆さは「本当は強い女」と「本当は弱い男」の対比などではなく、オロジェンに共通する苦しみとして描かれている。アラバスターが男性であるイノンに恋をする描写のシンプルさや、性転換する薬を飲んでいるトンキーへのサラッとした共感も感じが良かった。エッスンたちは苦しんでいるが、それはオロジェンや用役カーストを課されたほかの人びとと同じ苦しみなのだ。そしてこのように異なるカーストや差別に苦しむ人びとに思いを寄せ、自由と解放をめざすことがフェミニズムの本質だろうと思う。
    三つめの鉱物幻想は、オロジェニーも勿論そのひとつだが、ほかにもオロジェンのエネルギー源になるらしいクリスタル型の巨大な浮遊物〈オベリスク〉や、人の姿をとりながら石の肌を持つ謎の種族〈石喰い〉などが登場する。極めつけは終盤にエッスンが迎え入れられる水晶でできた廃墟の町カストリマ。古代遺物と鉱物精神の組み合わせは『天空の城ラピュタ』のよう(こっちは地下だけど)。訓練を終えた帝国オロジェンは自ら鉱石の名を名乗り、輝石の嵌め込まれた指輪の数で能力値を表すという設定もベタなようだけどやっぱりかっこいい。
    物語はダマヤ、サイアナイト、エッスンと名前を変えて生きてきた女性の一代記だったとわかり、序盤からほのめかされていたある天体の“不在”がこの世界の謎を解く鍵であることが明かされて第1作めは終わり。この世界の権力構造は?〈守護者〉の能力とは?などなど、まだまだ全貌は掴めないのだが、このスティルネスという世界のかけらを眺めているだけでも飽きない。『ザ・ロード』のような天災サバイバルに、市川春子が描かないタイプの鉱物精神と異能力者バトルが組み合わされた豊穣のエンターテイメント。続きを早く読みたい!!!

    0
    2020年08月19日
  • 第五の季節

    Posted by ブクログ

    すごいすごいすごい!!
    三パターンの視点がひとつに集約していく感じとか興奮してしまった。
    続きがはやく読みたい!!
    来年までいきる目的ができました~☺️

    1
    2020年07月29日
  • 第五の季節

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    特に中盤くらいまでは「SF作品だがサイエンスフィクションというよりサイエンスファンタジーだな」という感触の作品だった。
    一方で、SF作品でしか味わえない雰囲気もそこかしこで感じられた。例えば、16節『隠れ里のサイアナイト』では、それまで断片的だった石喰いの様子が少しずつわかってくる(読者にとってはファーストコンタクト)が、その描写に「やはりしっかりとSFだ!」と思ったのが印象に残っている。
    作品の大枠はファンタジーでも、表面的に科学知識を取り入れた幻想小説ではなく、より深いところまで科学が浸透したサイエンスフィクションを随所で感じるものであった。
    
また、本作品の非常にユニークな点としては、“サイエンス”の部分に地球科学的な知識が散りばめられている点がある。惑星の概要や性質で大雑把に地球科学の知識が使われる作品はあっても、全編を通して火山学や地質学、鉱物学などが使われている作品はかなり珍しい。
    これは、目を引くような地球の現象はタイムスケールが人間の感覚と合わない(我々には知覚も『地覚』もできない)ことが大きな要因だと思っているが、本作では問題となっている地球科学的タイムスケールを一万倍も百万倍も縮めること(;地球では数千万年〜数億年に一回しか起きないような地質的イベントがスティルネスでは『季節』として数百年ごとに起きている)で物語の中に落とし込んでいる。地球内部や物質の変形に詳しければ「惑星内部での動きをそんなにパワフルに早回しにすると地球と同じような現象が起きないだろう」と思うかもしれないが、そこまで言及するのは野暮だろう。
    本作はファンタジー要素も多分に含む。珍しい分野の作品をファンタジーやロマンで補って愛でる方が幸せで楽しめると私は思う。

    本書独特の能力『オロジェニー』も面白い。
    一見魔法のようだが、読み進めていくと科学的(= SF)な制約が効いているらしいことが分かっていくる。
    読み始めのうちは、周囲を凍らせることも能力のうちかと思っていたが、それは副作用とも言うべきもので、熱エネルギーを周囲から集めて、物質に働きかけるための運動エネルギーへ変換している(;収支が全然合っていないのではとは思うが)ということが分かってくる。
最終盤のサイアナイトの『石も水も同じ。ただ動きが速いだけ』という台詞から働きかける力も流体力学的な制約を受けている(;実際、遅い流れと速い流れの違いが出るが岩石の流動も水の運動も流体力学でうまく記述できる)ようでもある。
    ビノフとフルクラムの中枢を探索している際に、ダマヤが壁を探っている感じから、オロジェニーは岩石(固体)内部の応力場を感知しているように見える。それまでは岩石の組成を見ているのだと思って読んでいたのだが「オロジェニーは(熱)力学系に干渉する能力なのか?」と認識が変わった。

    ところで、オロジェン名『サイアナイト』の由来については最後までわからなかった。ダマヤが命名する際に意味ありげなことを思うが、その意図がわからない。
    なぜ他のオロジェンのように鉱物名ではなく岩石名なのか(;サイアナイトは閃長岩。文中の『閃長石』はおそらく誤訳。ただ、著者自身が鉱物名と岩石名を混同している気もするので、それならこの差異に深い意味は無い)や、
    サイアナイトは部分溶融で石英成分が抜けた花崗岩のようだが、その成因を調べてもやはり意図はわからない。石英は白色or透明だが、純粋な部分が抜けてしまったという意味だろうか?サイアナイトは大陸縁辺部の沈み込み帯で形成されるので、ロガのなかでも主流ではなく外れている存在という意味だろうか?


    作品の展開としては、
    この物語の世界観の紹介と、プロローグとも言える文明崩壊のはじまり(; この作品特有の『季節』の始まり)を見ながら、徐々に数人のキャラクターの動向へと焦点が移っていく。彼らの素性が明らかになりながらそれぞれが旅の道連れを得、望まぬ旅へと旅立っていく。
思惑を異にする、そしてお互いの気持ちも通っていない3組の物語が交互に進んでいく。という形で物語が展開していく。
    本書の中ではこの最序盤がもっともとっつきにくい印象だった。世界観が不明なままフォローも無く物語の世界に放り込まれ、その世界に馴染んだ住人達の独特の言葉(『地科学(Geomestry)』などは原著でも造語)や、異界の常識が飛び交う間を右往左往しながら付いていくというのは、迷子の子供になったような気分で居心地が悪い。
巻末の『補遺』を読みながら『スティルネス』の世界の事を我慢強く学んでいくとどんどんと面白くなっていく。この導入の不親切さというか、とっつきにくさは本作に限ったことでなく、近年の海外SF作品ではよくあることなので、海外SF作品に馴染んでいる人には言わずもがなだろうが。

    本作は主となるキャラクターを替えながら、少しずつ物語の謎が解けていく仕組みになっている。1人(ひと組)の主人公ではなく、さまざまな場所、時間の出来事から一つのストーリーが形作られていくことや、”神の目線”の読者だからこそ、この世界観を掴めるというのは、実に面白く、スゴイとも思った。
    3組の行方を追っていく形だが、ダマヤの物語は登場回数がやや少ない。エッスンの追跡行とオロジェン2人(サイアナイトの、と言うべきか)の旅が軸となっている。
    最初は世界観や、コロコロ変わる登場人物に面食らっていたが、『スティルネス』に馴染んでくると3組の時間軸がズレていることに気付く。3者の時間関係の詳細はわからないが、エッスンだけが『季節』に入っていることから時間的にもっとも後だとはわかるだろう。
    その物語達が終盤に合流していく様は驚きだった。
    まず17節でダマヤとサイアナイトが繋がる。終盤に入り、「そうかも」と思っていても、「おおっ!」となる節の締めくくりだった。
    500ページを過ぎて新しい節に入ると、エッスンとサイアナイトも一つにまとまる。3つの物語が1人の人物の人生として縒り合わさっていく手法はうまいと感嘆した。この手法は面白いと同時に、単純な過去の追想とは別の趣きがあるとも思った。


    個人的に少し気になった部分としては、
    トンキーもそうだが、「女」にこだわり過ぎというか、LGBTを主要な人物に取り込み過ぎというか・・、という印象を受けた点。中盤くらいまでは気になることはなかったのだが、トンキーが男に戻っていく様子あたりから「くどい」という思いが出てきた。
統計的に少数な者をスポットライトが当たる主要部分に過剰に配置すると違和感が強くなると感じた。フレーバーとして文中での露出を控えめにするか、スティルネスが我々の世界とは違う性的な分布であることを示唆してくれれば納得して読むことができる。
『解説』の最後で、アメリカの作家間での多様性についてのもめ事と著者の立場に触れているが、娯楽作品を攻撃的な駒として過度な主張を混ぜ込んでくるのはやめてほしいと思う。「物語的に意味があるのか?」と思っていた設定が、現実世界の不寛容な勢力への当てつけだったとしたら肩すかしを通り越して「何を見せられているんだ。よそでやれ」と腹が立ってきてしまう。
「主張を入れるな」とは全く思っていないが、いかにも今のアメリカらしい自説での殴り合いではなく、せっかくSF・ファンタジーという道具があるのだから、問題を別の角度から見たり、ごちゃ混ぜ、ひっくり返すような、思考を深める”可能性”を見せて欲しいなと思う。以前読んだル・グィンの『闇の左手』なんかは異星での物語という特性を存分に生かし、穏健な内容だが性差について(自然に)考えさせられる部分が多くあった。
    物語は面白かったので続編も読むつもりだが、この多様性に対する著者の姿勢が気にかかっているので、最終巻となる三作目まで読み進めるかは続編を読みながら判断していこうと思っている。

    0
    2026年02月01日
  • 輝石の空

    Posted by ブクログ

    第1作は2020年刊行だから、4年かけてようやく3部作読み終えた!(刊行に9年かかった『レッド・マーズ』3部作よりずっとイイが)
    ジャファに狂ったように依存していくナッスン、娘を探すためなら他人も自分の体も利用するエッスンふたりが、ついに太古文明に行き当たり、錆び現世を滅ぼすのかあああ!?
    というのが、終末世界のリアリティ豊かに描かれて、各キャラにもだいぶ感情移入してて、ひたすらワクドキで没入しました。
    エンタメとしても文明批評としても非常に質が高く、この作家はこれからも注目したい。

    0
    2024年08月18日
  • 輝石の空

    Posted by ブクログ

    『第五の季節』三部作の最終巻。
    本作を「差別問題に向き合った」と表現するとしっくりこない。

    「差別する」という日本語はどことなく受動的な印象を受ける。「元からそこにある差によって扱いをわけている」といったニュアンスを感じる。
    しかし”差”はつねに「差別」の過程のなかで新たに生産されている。

    直接的ではないが、本作の中でも繰り返しそのことが強調されている。
    オロジェンが最初から差別されるべき対象だったわけではない。権力が、過去に遡って彼らが差別されるべき系譜として、歴史を読み変えたのだ。

    「差別」は、権力によって一方的に生成され押し付けられるより根源的な意味での暴力だ。


    本作でも「差別」という言葉は用いられず、「ジェノサイド」と呼ばれる。
    民族浄化。
    そしてこれはホアが直接言及しているが、ジェノサイドとは単純に虐殺のことを示すのではない。
    人間が、人間として扱われなくなること。
    人間としての権利の抹消が、ジェノサイドの根幹部分に存在している。

    本作は、母と娘といったミクロな関係から、地球と人類というマクロな関係までを織り上げながら、ジェノサイドにいかに向き合っていくことができるかを描こうとする。


    ジェノサイドに対して取りうる態度には、二律背反性がつねに入り込んでくる。
    人として与えられるべき当然の尊厳を奪われたものが抱く当然の権利としての怒りや抗議、破壊行動。
    一方で破壊行動に対する要請には必ず自分や同胞の誰かの尊厳や人生が充分に尊重されねばならないという祈りや愛がある。
    人は、怒ることによって祈ることがある。

    一見両立しないこの怒りと愛が実際はコインの裏表のような関係であることを本作は描き出している。


    本作の特徴である「二人称の語り」。
    作者はあとがきで「色々な人称を試してこれが一番しっくりきた」と話している。

    二人称は、相手に話しかける文体であると同時に、相手の気持ちを誰何し、しかし想像ではなく事実として記述する文体であるといえる。
    したがって、二人称はつねに他者志向的であるし、同時に他者を外部から決定してしまうという根源的な暴力の側面を持っている。
    そしてそのような暴力性は、しかし、それがどのような意図でどのように語られるかによって、相手に対する慈しみとして立ち現れる。

    二人称は、暴力性を持ちながらも他者への愛であることができる。

    0
    2024年08月15日
  • 第五の季節

    Posted by ブクログ

    『ほかの誰もが無条件で受けている敬意を、戦い取らればならない人々に』


    人として与えられるべき当然の敬意を剥奪され、虐げられ、その虐げられていること自体を地の底深くに隠蔽されし者たちの、哀しみと痛み。
    世界に対する憎しみ。

    それゆえ、彼らがおこなう破壊行為はみな、その状況に対する必然の抗議として、その権利を与えられねばならない。


    「あんたは○○した。」と主人公に語りかけるような独特な二人称は、突き放すようでいてどこかしら優しさもこもっており、耳に心地よい。

    彼女たちは、やがて選択をつきつけられることになる。それは単に「迫害の状況に抵抗するか、現状をよしとするか」という2択だけではない。
    ‪「”‬それ‪”‬を迫害として認識するか、しないか」「変容を望む自分自身に気づくか、気づかないままでいるか」という選択でもある。

    それらの選択は、荒々しい葛藤としてではなく、切実な存在の痛みとして描かれる。


    それでも立ち向かわないといけない。
    ゆるされるべきでないことはやはり、ゆるされるべきではないのだから。


    確固たる人権思想に基づいた力強いストーリー。
    SFともファンタジーともつかない世界観も魅力的。

    これは三部作一気に読みたい。

    0
    2024年08月02日
  • 輝石の空

    Posted by ブクログ

    いやー、驚きの連続。
    SFとファンタジーが混ざったような、手強い内容だった。
    とても満足な三部作だった

    0
    2024年06月21日