全卓樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「ずっと夜が続けば話は終わらないだろうか」と思うほどに読み続けたいと思わされた科学のお話。
天空編、原子編、数理社会編、倫理編、生命編と5つのカテゴリの22作品。難しい内容のはずなのにスルッと入り込める。数理社会編が特に生活に密着しているのもあって興味深く読みました。
装丁も挿絵も素晴らしい。引用されている吉田 一穂(よしだ いっすい)の作品にも触れてみたい。
(どのエッセイも素晴らしかったけど)個人的に印象に残ったもの
第1夜 海辺の永遠
9億年前の1日は20時間ほどだった、と推定されているらしい。な、なんだってー!こういうの!学校の授業でやってほしかった!!
第5夜 真空の探求
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Posted by ブクログ
ネタバレ付和雷同の心理、専門知識や確固たる信念を持たない人は周りに流されて多数決に従っていくが、17%の固定票があれば、残りの浮動票をそちらの結論に変えていくことができる、という話に希望を持った。感覚的には、デマとか生成AIの創作とかにまんまと流されて集団で判断を誤ってしまいそうな人間社会だけど、しっかりと考えて正しく判断できる人が17%いれば世論を変えられる。ただ逆に、17%以上の人が自信を持って危ない方向に走ればみんながそちらへ流されていくということで、やっぱり知性は大事。
アリが高度な社会性を持っていて、農耕もすれば仲間の埋葬もするし、奴隷アリが反乱を起こすこともある、というのが面白かった。
異 -
Posted by ブクログ
作者は、物理学者。知識の海を日常的に俯瞰している方ならではの、美しい世界の理の物語がエッセイとして二十二編まとめられている。
流れ星が生まれる場所、忘れられた夢を見る技術、銀河を渡る蝶、など一見するとハヤカワ書房のSFショートショートのタイトルみたいだ。
だが、これらにはきちんと科学的な深堀がされていて、直近ではどのような研究がされているのかまで具体的に示されている。
私が最初に面白いと感じたのは、「トロッコ問題」にまつわる小話だった。
炭鉱の採掘現場でブレーキが壊れて暴走するトロッコが、線路の先の五人の鉱夫に向かっている。切り替え路線の向こうでは別な一人が線路上で作業中である。あなたはた