全卓樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「ずっと夜が続けば話は終わらないだろうか」と思うほどに読み続けたいと思わされた科学のお話。
天空編、原子編、数理社会編、倫理編、生命編と5つのカテゴリの22作品。難しい内容のはずなのにスルッと入り込める。数理社会編が特に生活に密着しているのもあって興味深く読みました。
装丁も挿絵も素晴らしい。引用されている吉田 一穂(よしだ いっすい)の作品にも触れてみたい。
(どのエッセイも素晴らしかったけど)個人的に印象に残ったもの
第1夜 海辺の永遠
9億年前の1日は20時間ほどだった、と推定されているらしい。な、なんだってー!こういうの!学校の授業でやってほしかった!!
第5夜 真空の探求
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Posted by ブクログ
科学エッセイ、、、ではあるのだが、
著者が博学で且つセンスが良すぎて文系な本を読んだ読後感。
最初の章は天文学を中心とした話なので本のタイトルから予測した期待の範囲内なのだけれども、
中盤以降は倫理学や経済学、集団心理学的な話が、科学的な統計や計算を元に語られて、期待を優に超えるおもしろさ!
下記が特に好き。
・音楽のサブスクでヒット曲が出る仕組みの考察
・ある集団において「固定票タイプ」と、他人の意見を参考にする「浮動票タイプ」それぞれの比率がどのくらいになると世論の意見がどっちになるかの計算
・有名なトロッコ問題を全世界の100万を超える被験者から集めた統計データ
地域で倫理的性向 -
Posted by ブクログ
作者は、物理学者。知識の海を日常的に俯瞰している方ならではの、美しい世界の理の物語がエッセイとして二十二編まとめられている。
流れ星が生まれる場所、忘れられた夢を見る技術、銀河を渡る蝶、など一見するとハヤカワ書房のSFショートショートのタイトルみたいだ。
だが、これらにはきちんと科学的な深堀がされていて、直近ではどのような研究がされているのかまで具体的に示されている。
私が最初に面白いと感じたのは、「トロッコ問題」にまつわる小話だった。
炭鉱の採掘現場でブレーキが壊れて暴走するトロッコが、線路の先の五人の鉱夫に向かっている。切り替え路線の向こうでは別な一人が線路上で作業中である。あなたはた