あらすじ
大森望さん推薦!
「明晰でわかりやすく、面白くて叙情的。
科学と詩情。
ここにはSF100冊分のネタが詰まっている。」
一日の長さは一年に0.000 017秒ずつ伸びている。
500億年のちは、一日の長さは今の一月ほどになるだろう――
空想よりも現実の世界のほうがずっと不思議だ、と感じるような、
物理学者のとっておきのお話を22、集めました。
・流れ星はどこから来る?
・宇宙の中心にすまうブラックホール
・真空の発見
・じゃんけん必勝法と民主主義の数理
・世論を決めるのは17%の少数者?
・忘れられた夢を見る技術
・反乱を起こす奴隷アリ
・銀河を渡る蝶
・飛び方を忘れた鳥にそれを教える…
真夜中の科学講座のはじまり、はじまり。
ほんのひととき、日常を忘れて、科学世界の詩情に触れてみませんか?
科学や文学が好きな人へのプレゼントにもぜひ。
「夜話と名乗ってはいるが、朝の通勤電車で、昼休みのひとときに、ゆうべの徒然の時間に、順序にこだわらず一編ずつ楽しんでいただければと思う。」――著者
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
個人的には数理社会編が好み。数学が人々の行動を論理的に説明できる不思議さは、自分が生きているのか生かされているのか分からなくなる感覚に陥り、楽しくなってくる。全体的には難しいところもなく、またかしこまって読む本でもないので、寝る前にさくっと読んで、「あー、楽しかった」と思って寝ればいい本だと思う。軽い気持ちで読めるので、「科学なんて・・・」と思っている人も科学の話題を少しだけ自分に取り込むためのきっかけになると思う。
Posted by ブクログ
すべてが面白かったけど、すっごく好き!という話が偏った分野だったので、自分の興味嗜好がよく分かりました。
こういう話をたくさん聞きたい。すごく知的なエンタメ。
続編も読みたい。
Posted by ブクログ
科学と一口に言っても、宇宙から素粒子、生命から統計的システムに至るまでを含む幅の広すぎるジャンルであるが、それらを縦横無尽に、だが常に繊細な手つきで語る手並みが只者ではない。
Posted by ブクログ
色々なジャンルの科学の話を、分かりやすく面白く教えてくれる。超文系の自分でも理解できたし、もっと詳しく知りたくなった。巻末のおすすめ参考文献も親切で、読んでみようと思った。
堅苦しい感じは一切なく、寝る前の読み聞かせのように、少しずつ読み進めていった。タイトルの「夜話」とは上手いタイトルだ。
Posted by ブクログ
一話4〜5ページで、語り口は叙情的で難しい専門用語も使われていないので読みやすく、挿絵も中世美術を思わせるイラストで、錬金術書っぽい雰囲気で素敵。
Posted by ブクログ
先に「渡り鳥たちが語る科学夜話」を読んだので後追いになったのだが、とにかく興奮する話と知見が多くて、時には涙も出てくる。章でいう16夜にあたるトロッコ問題の言説。メジャーになり過ぎたこの思考実験は、時折我々の玩具として消費されている場合があるが、「自動運転AIに対するプログラミング」という観点で、この問題は非常に現実味を帯び、背筋を凍らせる。我々はAIに対してどのように倫理を教えなければならないのか。
そもそも、倫理に答えはあるのか。
様々な知的好奇心を刺激してくれる、ある意味自己啓発的科学読本である。
Posted by ブクログ
「ずっと夜が続けば話は終わらないだろうか」と思うほどに読み続けたいと思わされた科学のお話。
天空編、原子編、数理社会編、倫理編、生命編と5つのカテゴリの22作品。難しい内容のはずなのにスルッと入り込める。数理社会編が特に生活に密着しているのもあって興味深く読みました。
装丁も挿絵も素晴らしい。引用されている吉田 一穂(よしだ いっすい)の作品にも触れてみたい。
(どのエッセイも素晴らしかったけど)個人的に印象に残ったもの
第1夜 海辺の永遠
9億年前の1日は20時間ほどだった、と推定されているらしい。な、なんだってー!こういうの!学校の授業でやってほしかった!!
第5夜 真空の探求
10mの水柱のポンプ…なんとなく覚えているけど、ああそうだったんだとこの歳になってさくっと理解できた。
第6夜 ベクレル博士のはるかな記憶
第7夜 シラード博士と死の連鎖分裂
X線からウラニウム放射線発見、放射能と原子核物理学の探求という歴史の流れ
第9夜 確率と錯誤
実感と確率ってかけ離れてるときがありますよね、というお話。
「福沢諭吉がLiberteにあてはめる日本語の「自由」を考えたとき、別の有力候補は「天下御免」であった。(P76)
「自由」に決まって良かったなぁと感じました。哲学書などで「天下御免とはなにか」とか書かれてたらムズムズしそう…(笑
第10夜 ペイジランク─多数決と世評
Google検索アルゴリズムのひとつペイジランクについて。昔はライコスなどを使ってた。懐かしい。
第13夜 多数決の秘められた力
民主主義選挙とガラム理論。
「固定型の人が17%以上混ざっていると、彼らは無敵である。」(P109)
この17%が良貨であることを願うばかり。
第19夜 アリたちの晴朗な世界
第20夜 アリと自由
「生まれ変わるならアリもいいかも」と思ったけれど奴隷アリの存在を知り「やっぱり無理」となった。
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〔天空編〕
第1夜 海辺の永遠
第2夜 流星群の夜に
第3夜 世界の中心にすまう闇
第4夜 ファースト・ラグランジュ・ホテル
〔原子編〕
第5夜 真空の探求
第6夜 ベクレル博士のはるかな記憶
第7夜 シラード博士と死の連鎖分裂
第8夜 エヴェレット博士の無限分岐宇宙
〔数理社会編〕
第9夜 確率と錯誤
第10夜 ペイジランク─多数決と世評
第11夜 付和雷同の社会学
第12夜 三人よれば文殊の知恵
第13夜 多数決の秘められた力
〔倫理編〕
第14夜 思い出せない夢の倫理学
第15夜 言葉と世界の見え方
第16夜 トロッコ問題の射程
第17夜 ペルシャとトルコと奴隷貴族
〔生命編〕
第18夜 分子生物学者、遺伝的真実に遭遇す
第19夜 アリたちの晴朗な世界
第20夜 アリと自由
第21夜 銀河を渡る蝶
第22夜 渡り鳥を率いて
Posted by ブクログ
宇宙のみならず、自然科学、いやそれを超える膨大な領域を、平易な語り口で解説する老若男女にお勧めできる1冊。
全22項目を天空編、原子編、数理社会編、倫理編、生命編に分類し、各項目には6P〜10P割かれている。
それぞれの分量は少ないので、日頃ブルーバックスを読むような方には少し薄味かもしれない。しかし、興味のある分野を見つけるのには最適な1冊ではないか。
また、「夜話」とあるだけあって、就寝前の読書にぴったりだ。寝る前に5分を本書に割くだけで、晴れやかな朝を迎えられるだろう。
Posted by ブクログ
夜寝る前に読むのにぴったりの一冊。興味深い科学の話を根幹に持ちながらも、ロマンを掻き立てるような切り口と美しい言葉選びで、非常に読みやすい。遠い銀河に思いを馳せました。
Posted by ブクログ
科学エッセイ、、、ではあるのだが、
著者が博学で且つセンスが良すぎて文系な本を読んだ読後感。
最初の章は天文学を中心とした話なので本のタイトルから予測した期待の範囲内なのだけれども、
中盤以降は倫理学や経済学、集団心理学的な話が、科学的な統計や計算を元に語られて、期待を優に超えるおもしろさ!
下記が特に好き。
・音楽のサブスクでヒット曲が出る仕組みの考察
・ある集団において「固定票タイプ」と、他人の意見を参考にする「浮動票タイプ」それぞれの比率がどのくらいになると世論の意見がどっちになるかの計算
・有名なトロッコ問題を全世界の100万を超える被験者から集めた統計データ
地域で倫理的性向の違いが興味深い。AI自動運転車の設計に応用される可能性について
Posted by ブクログ
科学エッセイです。物理学者さんが書いていますが、分野は多岐にわたっていて、わかりやすく面白い。積んである本で、「そっち系」の本を漁ってみたくなりました。
Posted by ブクログ
作者は、物理学者。知識の海を日常的に俯瞰している方ならではの、美しい世界の理の物語がエッセイとして二十二編まとめられている。
流れ星が生まれる場所、忘れられた夢を見る技術、銀河を渡る蝶、など一見するとハヤカワ書房のSFショートショートのタイトルみたいだ。
だが、これらにはきちんと科学的な深堀がされていて、直近ではどのような研究がされているのかまで具体的に示されている。
私が最初に面白いと感じたのは、「トロッコ問題」にまつわる小話だった。
炭鉱の採掘現場でブレーキが壊れて暴走するトロッコが、線路の先の五人の鉱夫に向かっている。切り替え路線の向こうでは別な一人が線路上で作業中である。あなたはたまたま路線切替機の隣にいる。そのまま五人が轢かれ死ぬのを見過ごすか、レバーを引き路線を切替えて無関係な一人の死を引き起こすか、さあ、どうするかという問題。
今日ではこれは、とても実際的なものとして研究され、データが集められているという。何を隠そう、車の自動運転のAIが直面する状況とよく似ているのだ。AIをプログラミングするときに、膨大なデータを入力し、複雑な判断をさせなければならない。その時、基準になるのは人間の倫理なのである。
そして、2018年にある研究所のグループが、四十通りの状況を設定した「トロッコ問題」の回答を全世界の百万を超える被験者から集めたという。
どんな回答が得られたか、地域によって共通事項があったのか、詳細に述べられていてとても面白かった。日本が属する地域グループは、交通ルールを遵守している方を優先的に守ろうとする回答が多かったらしい。他にも特徴があって興味深い結果だった。
単なる知的クイズと思っていたら……というお話。
ひとつひとつが短いので、考えながらゆっくり読み進められる。
寝る前の読書にぴったりです。
Posted by ブクログ
超文系あたまの私ですが、大人になってようやく科学や数学の面白さに気づき始めたので、難しい数式を使わずにその一端に触れられるこちらを、とても興味深く読みました。
特にアリの社会の話と、確率の話が面白かったです。
Posted by ブクログ
太陽の未発見の伴星「ネメシス」にまつわる仮説、真空発見の瞬間、じゃんけん必勝法と民主主義の数理、反乱を起こす奴隷アリ…。物理学者が、天文学から数理社会、生物まで、この世界にひそむ数々の小さくな驚異について詩的な文章でつづる。コンパクトな本なので、毎晩寝る前に少しずつ読んでこの世の不思議に思いをはせるのにぴったり。レトロ調の挿画もおしゃれな科学エッセイ。
Posted by ブクログ
みんなの感想、から飛んできました。
大変面白く読みましたが、読んだつもりの読み飛ばしが多発している事は自覚しています。
似非理系なもので。
自由、の対立候補語が天下御免だったというのが衝撃的でした。自由民主党じゃなくて天下御免民主党だったかもしれない?言論の自由じゃなくて言論の天下御免だったかもしれない?
天下御免の方が昨今の状況によく合っている気がするのは気のせいか。
トロッコ問題、蟻や蝶のお話、確率のマジック、ラグランジュ点、どれも興味深い。
Posted by ブクログ
たまたま新聞の本の紹介記事で見つけた物理学者・全卓樹さんのこの本。
理系は苦手な私だけど、「銀河の片隅で科学夜話」というステキなタイトルにも惹かれ、自分の興味以外の世界も広げたいという思いもあり読んでみました。
タイトル通りのステキな本!
著者とコーヒーでも飲みながらゆっくりお話を聞いているかのようにリラックスして、楽しめました。
天空編、原子編、数理社会編、倫理編、生命編、22話の物語。
宇宙のこと、真空や放射線のこと、確率や多数決のこと、言語のこと、アリや渡り鳥のこと。
普段何気なく周りにあることを、科学的にみていくと全然違った視点でとらえられるのがとても新鮮でした。
頭の中がすっきり整理される感覚!
夜空を見上げる目も変わります。
言語と認知についてのお話の中の
「白色に相当する何十もの言葉をもつイヌイットたちには、単色の北極圏世界がずっと多彩に感じられるのだろうか。」
「異なった言語を知ることは、異なった世界の見え方を会得することである。」
が印象的でした。
Posted by ブクログ
難しくてわからないお話もあってけれど、
天体の話や生命の話などは興味深く、とても勉強になった。
とにかく短く構成された章がいい。
はじめに書かれているが、わかりやすく、楽しめるよう伝えようという意思が成功している。
Posted by ブクログ
帯通り、「明晰でわかりやすく、おもしろくて叙情的」
広い科学の世界を
誰でもわかるように書いていて
くすっと笑えたり
言葉と科学の世界の美しさにほうっとなったり
とても良い本でした
Posted by ブクログ
一気に読むのが向かない本というと語弊があるからもしれませんが、少しずつゆっくり時間をかけて読みたい本。
一つのお話が数ページと短いけれど、その内容の奥深さや広がる自分の想像力や思考・感想を楽しんでいると、この本は時間をかけてしまう本でした。
物理に縁遠い私にとって難しいお話もありましたが、「そうなんだー」「知らなかった」と勉強になりました。
Posted by ブクログ
これまで気付くこともなかった事象を、身近なこととして科学的に語ってくれる。
天文編は、何だかワクワクキラキラしながら読み、
原子編で量子力学に触ってみたら何て面白い概念なんだと気付く。
確率って数理物理学なんだとか、それぞれがどういう学問分野なのかも知れて、世界が広まった気がする。
定性的だと思ってたものが、定量的に示されたことにショックを覚えた内容もあり。
いつも使ってない思考を伸ばすような、頭のラジオ体操のような本。
Posted by ブクログ
森田真生さん(数学する身体)や福岡伸一さん(ルリボシカミキリの青)など理系の学者さんが書く文章が好きな人にぜひ。科学と詩情が良きバランスで散りばめられた世界に癒やされます。第8話「エヴェレット博士の無限分岐宇宙」が好き
Posted by ブクログ
宇宙から動物まで、科学にまつわる小話を交えたエッセイ集。22話あり、どれも短いので1日1話、読んでいくのがいい。学問的に学べば深くて大変なのだろうが、いい塩梅にとどめているので前提知識がなくても楽しめる。
「夜話」とあるが昼に読んでもいいよ、と著者は言っているが、個人的には夜にパラパラめくりたい。
銅版画のような挿絵が雰囲気に合っている。紙の色から手触りからこだわっているのが感じられるので、電子書籍よりも紙の本で是非楽しみたい。
Posted by ブクログ
ショートショートのような短編エッセイ。
1つ1つが読みやすく、なるほどー、と思ったり、よくわからなかったり。
挿絵もなんだかオシャレで、科学の話をしているが、幻想文学を読んでいるような感覚になる。
Posted by ブクログ
色々なテーマで科学者である著者が思ってことをとりとめもなく語りかけてくれるような本。
私は宇宙の話が興味深いのに怖い。わからないことが多くて、でもいつかは太陽に飲み込まれていくことが分かってる。しかもその太陽系ですら宇宙の中では小さな銀河系(?)に過ぎないのが、なんだか怖い。あんなに綺麗なのに……。
あと面白かったのは、アリの話。虫にも感情はあるのだろうか。アリも人間のような社会動物であるという説明が面白かった。
科学って、今までのたくさんの人たちが連綿として作ってきた歴史の中で少しずつ進歩してきたものなんだと思うとなんだかすごい。
Posted by ブクログ
職場でこの本を読んでいる方がいて、表紙があまりに素敵で、お借りして読んだ一冊。
1番面白かったのは、数理社会編。飲酒検査器で飲酒だと検知された人が本当に飲酒運転だった確率は?とか、成功は才能と時の運、などを数学で証明していて、社会のなんとなくそうだろうなぁという事柄を数学できっちり証明しているのが面白かったです。特に、3人よれば文殊の知恵も、確率で理にかなっていることが証明されて、先人の知恵ってすごいなぁと思いました。
数学って学生の頃に勉強した時はそんなにおもしろさは感じなかったけど、この本を読んで数学って面白い!って思いました。
Posted by ブクログ
忙しい時期に読んだせいで内容うろ覚えだからまた読み直したい。ちょっと専門的な話があったりして私には難しかったけど他の人のレビュー見てると理系の人には物足りないっぽい。ロマンチックというか不思議で美しい話が多い。割と1つの話が短めなのも良い。思い出せない夢の倫理学の話が好き。人は起床直後に直近30秒ほどに見た夢を覚えているのが常で、それまで見てた夢は溶けるように去ってしまう。でも近い将来、科学の進歩で本人が忘れた夢をディープラーニングによって他人が掘り起こし、存在へと転ずることが可能になるかもしれない。面白そうだけど確かに倫理的にどうなのかって領域に入っている。章ごとに写真や挿絵、吉田一穂さんの詩が載っている。『自我系の暗礁めぐる銀河の魚。コペルニクス以前の泥の拡がり…睡眠の内側で泥炭層が燃え始める。』お洒落な詩だな〜って調べたら大正から昭和の詩人でだいぶ前に亡くなられててビックリした。この人の詩ちゃんと読んでみたいな。2巻目も出たらしいから見つけたら買おうと思う。