全卓樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
作者は、物理学者。知識の海を日常的に俯瞰している方ならではの、美しい世界の理の物語がエッセイとして二十二編まとめられている。
流れ星が生まれる場所、忘れられた夢を見る技術、銀河を渡る蝶、など一見するとハヤカワ書房のSFショートショートのタイトルみたいだ。
だが、これらにはきちんと科学的な深堀がされていて、直近ではどのような研究がされているのかまで具体的に示されている。
私が最初に面白いと感じたのは、「トロッコ問題」にまつわる小話だった。
炭鉱の採掘現場でブレーキが壊れて暴走するトロッコが、線路の先の五人の鉱夫に向かっている。切り替え路線の向こうでは別な一人が線路上で作業中である。あなたはたまたま路線切替機の隣にいる。そのまま五人が轢かれ死ぬのを見過ごすか、レバーを引き路線を切替えて無関係な一人の死を引き起こすか、さあ、どうするかという問題。
今日ではこれは、とても実際的なものとして研究され、データが集められているという。何を隠そう、車の自動運転のAIが直面する状況とよく似ているのだ。AIをプログラミングするときに、膨大なデータを入力し、複雑な判断をさせなければならない。その時、基準になるのは人間の倫理なのである。
そして、2018年にある研究所のグループが、四十通りの状況を設定した「トロッコ問題」の回答を全世界の百万を超える被験者から集めたという。
どんな回答が得られたか、地域によって共通事項があったのか、詳細に述べられていてとても面白かった。日本が属する地域グループは、交通ルールを遵守している方を優先的に守ろうとする回答が多かったらしい。他にも特徴があって興味深い結果だった。
単なる知的クイズと思っていたら……というお話。
ひとつひとつが短いので、考えながらゆっくり読み進められる。
寝る前の読書にぴったりです。 -
Posted by ブクログ
たまたま新聞の本の紹介記事で見つけた物理学者・全卓樹さんのこの本。
理系は苦手な私だけど、「銀河の片隅で科学夜話」というステキなタイトルにも惹かれ、自分の興味以外の世界も広げたいという思いもあり読んでみました。
タイトル通りのステキな本!
著者とコーヒーでも飲みながらゆっくりお話を聞いているかのようにリラックスして、楽しめました。
天空編、原子編、数理社会編、倫理編、生命編、22話の物語。
宇宙のこと、真空や放射線のこと、確率や多数決のこと、言語のこと、アリや渡り鳥のこと。
普段何気なく周りにあることを、科学的にみていくと全然違った視点でとらえられるのがとても新鮮でした。
頭の中がすっきり整理される感覚!
夜空を見上げる目も変わります。
言語と認知についてのお話の中の
「白色に相当する何十もの言葉をもつイヌイットたちには、単色の北極圏世界がずっと多彩に感じられるのだろうか。」
「異なった言語を知ることは、異なった世界の見え方を会得することである。」
が印象的でした。
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Posted by ブクログ
面白かった。申し訳ないが、おもろなさそうとか思って読み始めたらば、これが存外面白くてハマった。特に、革命家のマルチバース、シミュレーション仮説と無限連鎖世界、土星の環から霧雨が降る。別本で読んだ話やエピソードなどもあるが、それについての考察がちょっと違う方向というか、
十分に進んだテクノロジーは魔術と区別がつかない、と言ったのはアシモフであった。
さらに突き詰めて考えると、完璧に進んだテクノロジーは、おそらく自然と区別がつかないだろう。
これ、最近よく思うことなので、
やっぱりみんなそう思うのねぇ、と思ったのだった。
最後はヒマラヤ越渡りで有名なアネハヅルの話だが、
人間が鳥の渡りに影響を及ぼせる一例を
どのように物理な味付けをするかと思いきや、
まあ、そんなにユニークな話にもならず、少し残念だった。