阿部大樹のレビュー一覧
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ネタバレ外傷を受けた人は些細な事に驚き、挑発に怒り、睡眠の質が下がる。悪夢もそのせい。
闘争か逃走かしか考えられなくなる。
助けられなかった大切な人の命、その情景は強い重荷になって非常にPTSDを起こしやすいらしい。
当たり前だ。なんでこんな他人事だったんだ?
普通の犯罪は被害者に周りの人が寄り添ってくれるが、性的暴力と家庭内暴力については被害者は守られることが少ない。加害者が権力的に上のことが多いから、みんな加害者の味方をする。
おじちゃんのちょっと反抗期だっただけだろ発言がまさにそれである。
一般人を無垢で汚れていないと同時に現実を知らない無知な人達だと、自分を汚れているけれど優位にあると思うよう -
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ネタバレ被害者の視点から被害者の回復のために、社会は何ができるかを書いた本。ここ最近で一番納得する内容が多く、一気に読み進められた。最近、性被害のニュースが多く流れるようになってから、性加害者には厳罰化したほうがよい、という意見をXでよく見かけるようになった。もちろん、憤りがあることはもっともで、でも、そこには被害者の視点が入っていないような気がして、ずっと違和感があった。ハーマンも、被害者よりも周囲の人間のほうが、厳罰化を求めると書いていて、こういうことかと。でも被害者が何を求めるかを聞き取って、それを実践していくことが被害者の方の回復に役立つのだ。それが場合によっては厳罰なのかもしれないし、修復的
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ルーズ・ベネディクトと言われると、『菊と刀』が思い浮かぶ。
だが、この『レイシズム』も、古典でありながらも、現代に通じる、というよりも、現代で改めて考え直さなければならない一冊だった。
人種差別はよくない、ということは誰でも知っている。しかし、なぜよくないかを、「人種」で説明しようとする。例えば、肌の色だとかわかりやすい外見を使って。
しかし、目を向けるべきなのは、「人種」でなく、「差別」の方であり、人種差別とは、「外見の特徴」という、「わかりやすい基準」に目を向けた、差別なのだ。
読みながら思ったのは、こうした、差別がなぜ起こっているのか、ということをこれほどまでに詳しく、網羅的に書か -
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『菊と刀』の著者が第二次世界大戦のさなか執筆したもの。国家や言語、遺伝、文化に対して優劣があると喧伝するレイシストを糾弾している。俯瞰的に考えれば、純粋な人種や民族などというものは存在しないことはわかりきっており、特にヨーロッパは長い歴史の中で混血が繰り返されている。
その中でレイシズムに陥るのは自分の立場が不安定になったときだ。
「自暴自棄になったとき、私たちは誰かを攻撃することによって自分を慰める」という表現は実に的を射ていると思う。当時は政治がその心理を利用し、レイシズムを推し進めることになった。結局は差別を原動力とした国々は自壊したものの。
現代ではオリンピックなどにより、国家、民族の -
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中井久夫を通して間接的にしか知らなかったサリヴァン自身の著作を初めて読んだ。なのに中井久夫訳ではなく阿部大樹さんの訳でなのだが。中井の訳本や原著はいずれ手に取りたい。
本書は阿部さんによる日本オリジナルの論集。サリヴァンが臨床から離れて以降の論文が収録されている。戦争や従軍する人々の士気、国民の戦意について触れられているのが時代を感じさせ、そこには正直あんまり気持ちがのれないのだが、最後の方にまとめられているので、サリヴァンの基本的な考え方を踏まえながら読むと、そういう論考を書かざるを得なかった事情や、その原稿の裏側で実際にサリヴァンが見据えていた未来も見えてくる気がする。「すなわち精神科 -
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アメリカで1940年代末まで活躍した精神科医、ハリー・スタック・サリヴァンの講演や論考をまとめたもの。
サリヴァンは、臨床の方面では統合失調症患者の寛解率7割という数字を残しました。他方、社会的分野や政治的分野では、まず徴兵検査の整備があげられます。精神面の検査を通った者でも、軍に従事していると必ず精神に失調をきたす者がいることをマクロにもミクロにもとらえていますし、かたや徴兵検査で合格しなかった者に対しても、そういった人たちへの大衆の偏見を正すためにどうするかを考えました。次に、現在の精神科医療の診断・統計マニュアルとして用いられるDSM(たびたび更新されて、現在はDSM-5にバージョンが -
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結構テキトーに買ったのに思いのほか良かった
前半レイシズム、後半レイシズムと歴史。
知能など能力は遺伝よりも環境に左右されることを論証。
・ダーウィンの自然淘汰理論が発表されてからレイシストはそれを振りかざすようになったが、他の動物のように人間は自らの体を変化させることなく発明の才能を発揮することで環境に適応しているので他の動物と同列に語るのは的外れ(というかそもそもレイシズムに妥当性は無い)。
・人種ごとにことなる身体的特徴は17世代間で純血を保ち続ければ環境適応という形で生じる。
・キリスト教による単一起源論に支配されてた中世。レイシズムは政治的目的に使われてきた、大衆の不満を政治か -
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文化人類学者であるルース・ベネディクトが著した菊と刀に並ぶ代表作。
その表題の通り、人種差別に対して社会人類学者として確固たる証拠を突きつけながら明確なNOを突きつけている。
著作が書かれたのは1942年のナチスドイツが勢力拡大している最中であり、ナチスドイツが掲げる人種差別政策への批判を念頭に書かれたように見える。
ただ、話題はナチスドイツだけにとどまらず、白人の有色人種に対する差別にも踏み込み、こちらにもNOを突きつけている。
中には社会に阿るために差別を助長する学者もいる中で、白人である彼女が既得権益を捨ててNOというのはとても勇気ある行動だし、人として素晴らしい人物だったのだろうと -
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